TBS 1979年4月20日
あらすじ
大学受験を前に、道子(真行寺君枝)と付き合ってから試験の成績が下がり、ショックを受けた志郎(広岡瞬)は、もう道子とは会わないと決心をするのだが…。
2025.1.14 BS-TBS録画
このドラマは志郎がノートに書きだすのが定番?
長いこと ぼくは涙を忘れている。
熱い感情を喪(な)くしてしまっている。
なんだかすべてに対して自分が
冷たいような気がしてならない。
教習所でバイクを走らせる志郎。
脚本:山田太一
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原作:山田太一著
「沿線地図」(作品社刊)
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音楽:小川よしあき
主題曲:フランソワーズ・アルディ「もう森へなんか行かない」
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制作:大山勝美
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藤森麻子:岸恵子
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松本季子:河内桃子
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藤森道子:真行寺君枝
松本志郎:広岡瞬(新人)
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湯川時子:野村昭子
岡田鉄太郎:新井康弘
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松本謹造:笠智衆
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下山先生:垂水悟郎
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校長:穂積隆信
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中川元一郎:風間杜夫
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「かもめ」の常連:篠田薫
竹内靖
岸本功
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エンゼルプロ
劇団いろは
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大沢美代:三崎千恵子
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藤森茂夫:河原崎長一郎
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松本誠治:児玉清
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協力:東京急行
衣裳協力:ローマ岩島
アストラ館
ロア六本木クープル
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プロデューサー:片島謙二
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演出:龍至政美
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製作著作:TBS
昭和五十三年十二月
校長室
下山先生と入ってきた志郎。学年2位だった志郎が21位に落ちた。東大に入れるような学力を持っているはずの志郎が成績が落ちたことについて校長から説教された。
この校長、「積み木くずし」の人だよな。
駅のホーム。ここ、自由が丘駅? 道子は志郎が来ないか辺りを見渡す。
そば屋で向き合う下山先生と志郎。下山先生はビールを飲みながらお説教。子供が小さいからうるさいと家には連れて行かなかった。
”垂水悟郎”ってなんか見覚えある名前だなと思ったら、美智の父じゃないか! 当然だけど、役によって印象が変わるなあ。
スナック「かもめ」
ひとり店で待っていた道子。
朝、電車の中で再会した志郎と道子。志郎は今夜、かもめに7時に会おうと約束した。
スナック「かもめ」
店にいた道子に電話をした志郎は、道子に替わってもらい、直接言う勇気がなかったとし、やっぱり受験勉強を捨てられない、会わないほうがいいと言った。道子は、いつ受験勉強捨てろって言った? 勉強に関係ない本を読むヒマはあっても、私と会わないほうがいいわけ?と怒って電話を切った。
あんなヤツ最低と怒る道子に嬉しそうな鉄太郎。水割りを注文されると、喜んで店の鍵をかけた。でも結局、反撃される。そうじゃなきゃね。
松本家
誠治は若手社員の中川を家に連れてきて、入行して2年目辺りに辞めたいと言う相談をよく受けると話した。中川は銀行は不況に強いなどと聞いていたが、毎日の生活がどんなものか知らなかった、残業が多い、もっと小さな会社で働きたいと言うと、誠治は誰もが入れる銀行じゃない、惜しいじゃないかと引き止めた。
陰で聞いていた志郎もまた校長に言われた、惜しいじゃないかという言葉を思い出していた。
朝、中川が銀行を辞めるか聞く志郎。誠治も季子も辞めないだろうと言う。志郎は上役にああまで言って辞めないかねえと不思議がる。
電車の中で離れた場所に立つ志郎と道子。
藤森家
道子の進路について話し合う。麻子は短大はどう?と聞く。道子は結婚するときに高卒より格好がつくから行くだけと否定的。茂夫は大学へ行かすくらいの甲斐性はあると言い、麻子も自分たちが高卒だから家族で1人くらいは大学へ行ったほうがいいと勧めるが、大卒の女性はものすごく成績がよくても就職はものすごく差別的で女性は中卒でも大卒も結婚しちゃえば同じ。男はいいけど!と部屋を飛び出した。
道子が頭がいいということもあり、進学に対して先進的な両親。
結局、中川は銀行を辞めないことにし、勝手なことを申して申し訳ありませんでした、もうあのような愚痴は言いませんと誠治に謝りに来た。
スナック「かもめ」
店に1人で来た志郎に「彼女は俺のもんだ」とにらむ鉄太郎。道子は店に入りなり、志郎がいることに気付いて帰った。志郎は道子を追いかけ、成績が落ちて不安だったと語り、大学へ入って、会社に入って、そういう生活をすることについての迷いがあることを訴えたが、道子は迷いがある人は嫌いだと帰っていった。
松本家
誠治が突然部屋に入ってきて慌てる志郎。日曜日、自動車教習所に行っていたことを目撃されていた。それが季子の耳に入り、学校へも連絡があった。誠治にも問い詰められ、振り切るように志郎は出かけた。
誠治は正面から言いすぎたかもしれないと季子に話す。
藤森電気店
店では甲斐バンドの「HERO」が流れる。
店に行った志郎は麻子に道子を呼び出してもらった。道子と外に出ると、明日の7時に「かもめ」で会おうと約束した。大きなカバンを抱えて、明日見せると嬉しそう。父親と初めてケンカしたとも話した。
藤森家
道子は茂夫から志郎のことをしつこく聞かれたが、ボーイフレンドではないと否定。
松本家
誠治が軽率だった、今夜7時半に話し合おうと言うが、志郎は今夜は出かけると反発し、今までおとなしすぎたと部屋を出た。
スナック「かもめ」
鉄太郎が美代に味を見てもらっていた。店に入ってきた志郎がコーヒーと言っても無視。美代は志郎と鉄太郎の関係を知らずにお客様が来てるのに無視しないでと指導し、志郎には鉄太郎が母親と店を2人でやって来たが、母親が肝臓壊して三月(みつき)も入院していると話した。
志郎は道子が店に来ると、すぐ道子を連れて店を出た。鉄太郎は水を出して損した!と荒れる。
志郎は免許を取ったとバイクを借りていた。道子はもう12月なのよ!と驚く。ホンダのバイクで2人乗り。
バイクを降りた2人は冷えた体を温めにスナックへ入りミルクコーヒーを頼んだ。
また会うようになった2人。
謹造のアパート
道子とケーキを買って訪問した志郎は道子のことは口止めする。道子はアパートで1人暮らしをする謹造を気の毒がる。1人暮らし=かわいそう、みたいなのやめてほしいね。「和菓子のほうがよかったかね?」という志郎の言葉遣いが山田太一って感じ。
東京にも2回雪が降った。2回目は1月の半ば。すっかり安定したと思っていた両親だったが、志郎はあることを考えていた。夜、道子の家の前に行った鉄太郎が道子が2階から投げる荷物を受け取っていた。
それを見ていたお向かいの時子さん! お向かいは不動産屋か? 家政婦は見た!…家政婦じゃないけど。
藤森家
道子は本を読んでいる麻子にお茶を出した。茂夫はコタツで寝ている。麻子はストーブや電気毛布がもっと売れればいいと話す。本を読んでいる麻子に女は同じ。子供育てて、おさんどんして…と言う。何となく別れをにおわす道子。
松本家
志郎は直接別れを言う余裕はなかった。
誠治はリビングでベストテンを見てる。第9位はサザンオールスターズの「気分しだいで責めないで」。
いつも通り家を出て、いつもの電車に道子と乗った。(つづく)
年齢だけは親世代の私もやっぱり親や先生が言うようにしておいたらいいのになと思ってしまう。
「兄弟」の静男も悩んではいたけど、静男のように一流会社に入ってから悩んでもいいような気がする。「二人の世界」の二郎のように一流会社を辞めるのもアリだし。それを高校卒業直前で投げてしまうというのはやっぱり惜しいと思うよ。