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【ネタバレ】雪の華 -常磐津林中より- 前編

1973年12月2日 TBS

 

あらすじ

林中(中村勘三郎)は、先代の妻・常子(杉村春子)と親子の盃を交わし、11代目常盤津小文字となった。林中は妻のすず(森光子)とともに、常子のいる家元の家に移り住む。しかし常子は親子の縁をタテに林中に言い寄り始めた。常盤津を世に広めることだけを考えている林中の胸中を知るすずは、常子の常識はずれの言動にもじっと耐えていた。しかし、林中に愛を拒まれた常子は、急に態度を変えて林中が常子に言い寄ったと主張し始める。

2025.10.19 時代劇専門チャンネル録画。懐かしの『日曜劇場』時代劇。

 

三中(さんちゅう)「それでは改めて、お引き合わせ申します。こちらが先代家元10代目、常磐津、小文字太夫(こもじだゆう)未亡人、常子どの。この度、守田勘弥(もりたかんや)さま、花柳寿輔(はなやぎじゅすけ)さまのお口添えを持ちまして、2代目、松尾太夫を持ちまして、先代が亡くなりましてより、長年、空席にありました、家元の席を襲い11代目、小文字太夫を襲名いたす運びになりましてございます。つきましては、今日(こんにち)、先代家元未亡人、常子どのと松尾太夫、親子の盃をご一門、お立ち会いのうえ、めでたく執り行(おこの)うことに相なりましてございます」

一礼する常子と松尾太夫

 

しょっぱなからすごい難しいセリフだ~。

 

原作:鈴木彦次郎

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脚本:平岩弓枝

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音楽:平井哲三郎

常磐津:常盤津文字太夫

乘合船恵方万才(乘合船)

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林中(りんちゅう):中村勘三郎…字幕黄色

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すず:森光子…字幕水色

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合川金兵衛:佐野浅夫

せき:一の宮あつ子

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佐登太夫:有田正明

中村勘五郎

米屋:中村清五郎

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みよじ:浜木綿子

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三河屋:森本健介

女中:金長晴子

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方言指導:斉藤千恵子

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常磐津三中:河津清三郎

米吉:市川子団次

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藤野克平:山本学

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つね:杉村春子

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プロデューサー:石井ふく子

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タイトル:篠原栄太

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演出:山本和夫

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制作著作:TBS

 

冒頭でのあいさつでは常子だけど、役名は、つね。松尾太夫が林中。

 

作者の鈴木彦次郎さん、原作本の出版元が岩手日報社だから調べてみたら、生まれは東京だけど、父の故郷の盛岡育ちだったのね。

 

キャストは「ありがとう」シリーズでお見かけした人がチラホラ。

 

つねと林中が帰ると、妻のすずが引っ越しの片づけをしていて、林中の幼なじみの金兵衛も手伝っていた。金兵衛は、うなぎ屋の若旦那。林中は、つねに弟子の米吉を紹介する。米吉は、つねに対し、「ご隠居さんには、いつもながらご壮健で」と挨拶した。

 

つね「あたしは確かに先代家元の後家だが、まだ、ご隠居って言われるほどの年じゃないのさ」

米吉「こりゃどうも」

つね「まあ、そうは言っても11代目と親子の盃を上げたんだから、世間さまじゃ、ご隠居って呼ばれるんだろうね。ああ、嫌だ、ハハハッ…」

 

ピリつく空気。

 

林中「どうも若い者は口の利きようを存じませんので、申し訳…」と言いながら、女房のすずを紹介した。

 

つねは部屋を見渡す。「おや、まあ、まだ片づいてないのね。何をぐずぐずしてんだろう。まあ、ろくな荷物もないのに、フフッ…ねえ、家元」

林中「はい」

つね「ここは汚いから、あたしの部屋へ来て着替えなさいよ、ねっ? かまわないわよ、親子の間じゃないの。さっぱり汗を流して一服しましょうよ、さあ」

 

すずが林中と目で合図。林中は、つねの言葉に甘えることにした。

 

つね「何なら、おっ母さんが背中流してあげてもいいわよ。ハハハハッ…」

 

気づかわし気な金兵衛に対し、すずは明るく片付けの続きを始める。

♪ 桑名のお殿さま

時雨で ぶぶ漬け

ヨーイトナ

アーレワ アリャリャンリャン

コーレワ コリャリャンリャン

桑名の殿様

桑名の殿様

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しかし、1人になったすずの表情は暗い。

 

つねは自室の上座に招き、酒を勧める。林中が酌をし、つねも酌をした。つねの家にいる千代が金長晴子さんかな? 「こころ」の店員・和子。毎回のように「ありがとう」第2シリーズに出てたというのに、顔がさっぱり覚えられてない。

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つねは、家元が来てくれて家の中が活気が出ると大喜び。男の人がいるといないじゃ、大変な違い。林中にしつこく酒を勧め、千代には下がるように言う。

 

林中が帰ってくると、すずは長火鉢に寄りかかって眠っていた。そっと上着をかけると、すずが目を覚ました。起こすつもりはなかったんだよと、すずを気遣い、冷えたお燗をそのまま飲み始める。

 

親子のつもりでいた林中だが、つねは元々、柳橋の芸者だった人で、しっかり者。「だから、私は、お前には、きっと荷の重いお人かもしれないが…おすず、頼むよ」

すず「分かってますよ。あたしはおっちょこちょいで気が利かないから、おかみさんのお気に入るかどうか分からないけれど、一生懸命、心を込めて、お仕えすれば、きっとうまくいきますよ」

 

数分の間に面倒そうな人柄が伝わる、つね。

 

すずは改めて、「家元ご襲名、おめでとうございます」と頭を下げた。

 

♪ 春風や~

 

と稽古している林中。すずにこんなふうに歌いたいが、どうかね?と歌ってみせる。千代が離れで呼んでますと言いに来たが、稽古中だからと追い返した。

 

家元になった林中とすずが引っ越してきて、つねは離れに移ったってことか。

 

つねが自ら来て、三中さんが相談があるといって離れに来てると伝えたが、稽古に夢中になっていた林中は「うるさい! ちょっと待ってくれ」と稽古を続け、別の部屋に行ってしまった。

 

すず「どうも相すいません。早速まいります」と頭を下げたが、「用事がなきゃ呼びゃしませんよ。すまないと思うなら、もっと気持ちよく家元を離れへよこしてちょうだいな」とピシャリ。謝るしかないすず。

 

せきとみよじという東北訛りの親子を三中が連れて来た。盛岡の番街の梅乃井の女将のおせき。みよじは芸者さん?

 

せきとみよじが東京見物にやってきて、林中に挨拶にしたいと連れてきた三中は、つねにつかまり長い愚痴を聞かされたと笑う。謝るすずに三中は、つねを世話する苦労をねぎらった。

 

林中が帰ってきて、盛岡は私の故郷だという。親父の生まれが盛岡だが、親類も誰も残っていない。林中の生まれは芝の神明(しんめい)。みよじは冬は寒いが、5月くらいに盛岡に来るよう勧めた。「チャゴチャゴ馬(うまっ)コも見でってくなんせ」

 

チャグチャグ馬コってこの時代からあるんだ。

 

林中「みよずさんとおっしゃいますの?」

みよじ「いえ、そでねござんせん。みよず…みよずでございます」

林中「あっ、みよずさんですか?」

 

会話は堂々巡り。すし→すす、みたいなもんだね。

 

林中「まあ、何だか知らないけど盛岡弁ってのは、もうべらべらしゃべられると何が何だか、さっぱり分からないね」

すず「フフッ…子供のころ、お父っつぁんがしゃべってんの聞かなかったんですか?」

 

林中が軒先につるしてるのは釣忍か?

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しかし、林中の父は、林中が3歳の時に母と別れて、盛岡へ帰って死んでしまった。生涯のうちに一度でいいから先祖の土を踏んでみたいと思っている。

 

林中「おいおい、いい釣忍だろう」←おお!

すず「あら! まあ、本当」

 

すずに対し、体の調子が悪かったのに、床上げが早かったんじゃないのかと気遣う林中。

 

♪ いとま申して 歸(かえ)る山の~

山姥 - 月花茲友鳥 -

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お風呂に入りながら歌っている林中。離れからつねがやってきて、晩酌は向こうで支度しとくから、風呂からあがったら来るように伝えた。一瞬表情が曇ったすずに「仮にもあたしは家元の母親ですよ。母親がたまに息子と晩酌しながら流儀の話でもするってのに、いちいち、そう、やきもち焼かれちゃたまらないわね」とチクリ。

 

謝るすずに「おお、嫌だ。おすずさんの言うことは、いちいち恩着せがましくて」今夜は佐登(さと)太夫も来るから心配ないと笑う。

 

つねが行ってしまうと、米吉が入ってきて、「離れのご隠居さんには、お気をつけくださいましよ」と、すずに言う。あちらの腹の中は色と欲。林中が風呂に入っていると、背中を流すとか一緒に入ろうというので、林中は、びっくらして素っ裸で飛び出した。「とんだ色きちがいばばあですよ、あんなん」←言うね~、米さんも!

 

すずは「仮にも家元のおっ母さんじゃないか」と注意し、妙に周りが勘繰るからおかしくなるのだといい、米吉の忠告を聞かずに、「桑名の殿様」を歌った。

 

米吉は、つねの本心を語る。本当は林中に継がせたくなかった。つねの甥の芸もできないへなちょこの佐登太夫に…と言いかけると、すずは聞かないふりをして、御膳を食べてしまいなさいと風鈴の音に耳を傾けた。「どうかお忘れください」と部屋を出た米吉に、そっとお礼を言うすず。

 

刺身、ごま豆腐の御膳に林中は喜ぶが、すずは離れに行くように言う。林中は嫌がり、すずは促されるまま酒を出した。林中は離れとは気が合わないと愚痴る。すずは、そんなに嫌ならどうして親子の盃を交わしたのか聞く。

 

林中の目的は、家元を継いで、ご維新前から仲たがいをして敵(かたき)同士みたいになってた岸沢派の人たちと、めでたく手打ちをして仲直りをさせたかった。常磐津をもっともっと世間に知らせたい。常磐津を繁盛させたい。清元や長唄に負けないくらいの人気が常磐津のために欲しい。

 

しかし、つねは、いやらしく、変な目つきばかりするのでいけ好かない

 

そんな話から林中とすずがじゃれ合っていると、つねがのぞきに来た。「おすずさん。あんた、相当、物忘れのひどい人だね。あたしは、さっき『家元に用があるから、すぐ来てくれ。晩酌は向こうで支度しとくから』。そう言ったはずだけどね。なんだい、このざまは」

 

謝るすずを私がぐずぐずしていたとかばう林中。

 

つねが堀切のあやめを見に行こうと誘う。稽古が忙しいと断る林中だったが、結局は、つねと晩酌することに。つねは、きれいなお月さまだと部屋の明かりを消した。「あたしは、お前の芸に惚れたんだよ。お前さんに惚れたんだよ」と林中にしがみつく。

 

「あのお盃はね、三三九度だよ。ハハハハッ…」噂がたてられているのも知っていて、あたしと一緒に逃げておくれと迫る。流派のことも関係なく、佐登太夫に家元を継がせればいいと言う。

 

林中は部屋の外にいた米吉に明かりを持ってくるように命じた。米吉が入ってくると、つねは自分で着物の袖を破いて「誰か来ておくれよ!」と叫んだ。佐登太夫がやってくると、家元があたしを手ごめにしようとしたんだよと訴えた。

 

林中は弟子たちやすずもいることを確認し、神棚に置いていた盃を割った。「もう、家元も何もかもすっかりお返しいたします。私はもう元の常磐津林中です」

つね「ハハハハッ…そんなことで世の中、通用すると思ってんのか。家元の名前があってこそのお前じゃないか」

 

佐登太夫「家元、この始末は流儀の皆さんにお知らせ申しますからね」

 

林中は今夜中に家を出ることにした。すずはどこへでもついていくといって、割れた盃やお膳を片付けた。

 

♪ かっぽれ かっぽれ

甘茶で かっぽれ

ヨーイトナ ア ヨイヨイ

沖の暗いのに ソレ

白帆がさ

かっぽれ

かっぽれ

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二人で歌いながらタンスの中の着物を風呂敷に包む。

 

金兵衛が仮住まいに遊びに来た。林中もすずも不在。2階から若い男が顔を出した。忠助(ちゅうすけ)などという者はおらんと言われ、一度は家を出た金兵衛。しかし、表札は”常磐津林中”。もう一度、家に入り、忠助の幼友達と言って家に上がった。

 

常磐津林中(ときわづりんちゅう)は芸の名前。本名は山陰忠助(やまかげちゅうすけ)。

 

いい名前だと笑顔になる男。山本学さん、かっこいいな~。男は藤野克平(かっぺい)という絵描き。十病院の産婦人科医と内科医だね。

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すずが帰ってきたので、藤野は2階へ。貧乏書生で部屋代ももらっていない。林中のお稽古先もなくなり、大丈夫かと金兵衛が気遣う。

 

三河屋が来たと言うと、すずは金兵衛を押し入れに隠して、自身も身を潜めた。三河屋さん、中央肉店の保だよね。声で分かる。

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そこに林中が帰ってきたので、金兵衛と同じ押し入れに隠した。林中は玄関から、三河屋は裏口から来てたから鉢合わせしないのね。

 

押し入れから出てきた林中と金兵衛が飲むことになった。金兵衛は檜物町(ひものちょう)のお常さんと林中の間をとりなそうとする花柳の師匠と成田屋の申し出を断ったと聞き、驚いてやってきたという。「天下の9代目団十郎花柳寿輔の口利きを蹴った」と噂になっている。檜物町に帰る気はない林中。家元に未練はない。

 

江戸がだめなら他へ行く。林中は金兵衛の母と相談していて、青森にいる松美太夫から誘われていることを話した。盛岡でも八戸でも常磐津が盛んだから喜んで迎えてくれるに違いないと、すずは父の故郷である東北行きを勧める。家元になってから、雑用に追われて自分の芸に磨きをかける暇がなかったのだから、行っておいでよと言う。

 

すずは足手まといになると残るつもりでいる。金兵衛の店の手伝いや、ご近所の子供さんに踊りでも教えて、林中の帰りを待つ。

 

林中「お前ってえのは、さっくりしてるんだな」

 

林中は三河屋から身を隠す、すずを見て初めて、方々に借りがあることに気付いた。質屋に行く暇がなかったと笑うすずだったが、林中がたんすを見ると着物がなくなっていた。

 

すずってこういう奴なんだと金兵衛に言う林中。自分は、やりくりに骨身を削るような思いをして、芸人が貧乏を気にしたら、芸がこずんで小さくなって伸びないと懐は無一文でも晩酌は灘の生一本(きいっぽん)。三日にあけず、天ぷら、刺身。

 

…それは、それでどうなんでぇ!?

 

おすずのことを頼みますよと金兵衛に頭を下げる林中。金兵衛は、おすずを床の間へ飾って毎日、俺が拝むという。

 

…なにそれ!?

 

藤野も「一生の不覚」と頭を下げた。毎日、天ぷらだ何だと豪勢な献立だし、茶は上等の玉露、酒は灘の生一本、おかみさんは陽気で、ご主人は泰然としている。金がないわけがないと考えたのが、小人の浅はか。つい部屋代は、ためっぱなし。毎日、ただ飯、ただ酒をごちそうになって、ぼんやりもいいところだ。穴があったら入りたい。友達のところを訪ねて、決まりのものだけでもお支払するようにしますと頭を下げ続ける。

 

すずは部屋代をもらおうなんて思っていなかった。藤野が下宿を追い出されそうだと聞いて迎え入れただけだという。義理を感じているのなら、この家を明け渡すその日までいてくださいよ。藤野さんの描く絵がけちくさくなったら、私たちの苦労が水の泡。勉強が大事と語る。

 

藤野は立派な絵が描けるようになったら見に来てほしいという。

 

飲みすぎた金兵衛を藤野が送っていった。

 

米屋が訪ねてきて、明かりもついているのに身を隠す林中とすず。米屋が諦めて帰ると、また帰ってきてくれるよね?と泣くすず。

 

雪道を歩く林中。言葉が通じなく、道に迷い、心の中でおすずに弱音を吐いた。(つづく)

 

生活の苦労をさせずに芸を磨かせる…う~ん、男の考える”いい女”ってやつ? おつねはいかにも男の考える”やな女”って感じでもある。

 

でも芸の邪魔をしたくないとついてかないすずも何で?って思っちゃう。それこそ、日々の暮らしが大変じゃないの?