TBS 1968年8月17日
あらすじ
1968年―我が国のテレビ界に、後に伝説となる珠玉のアクションドラマが誕生した。それが、丹波哲郎・千葉真一・野際陽子らの出演による『キイハンター』である。国際警察の秘密捜査グループである彼ら“キイハンター”は、世界の平和を揺るがす陰謀や暴動の渦中に、果敢に飛び込んでいく。
テレビ番組の常識を超えたスケール感豊かなストーリーと華麗かつダイナミックなアクションは視聴者の度肝を抜き、5年間・全262話に亘って放送されるほどの大ヒット作となった。
2025.10.28 J:COM BS録画
ナレーター<この部屋のグループは5人>
元 諜報部員・黒木鉄也:丹波哲郎
元 諜報部員・津川啓子:野際陽子
カー狂・島竜彦:谷隼人
記憶の天才・谷口ユミ:大川栄子
元 新聞記者・風間洋介:千葉真一
<彼らの愛するものは自由。求めるものは平和>
国際警察特別室
UNIPOL JAPAN
国際警察・村岡特別室長:仲谷昇
<彼らの活躍がここに始まる。彼らの行くところ不可能の文字なく、彼らを遮る国境もない。彼らは、こう呼ばれる…>
KEY HUNTER
制作:東映株式会社
TBS
アイスピックで氷を砕いていた日本人男性が女性に近づき、左腕を傷つけた。「オー、カトリーヌ。エクスキューゼ、モワ」
包帯を巻くときにマイクロチップも一緒に巻いた。
以下フランス語で会話↓(当時の日本語字幕)
男「大丈夫?」
カトリーヌ「ええ」
男「日本へ着く迄この繃帯を外しちゃいけない」 繃帯=包帯
カトリーヌ「どうして?」
男「訳は聞かずに約束してくれ」
カトリーヌ「そうするわ」
男「日本へ着いたら、ヨウスケ・カザマにこの繃帯をとって貰うんだ」
凱旋門前でカトリーヌをバックハグする風間の写真にキスするカトリーヌ。
男「元気でね!」と乾杯。
男とカトリーヌの部屋の前に車が止まり、男はカトリーヌに「早く! 早く! 空港へ急げ」とフランス語で言い、荷物を持たせて部屋から出した。部屋にやって来た数人のギャングに撃たれた日本人男性。ギャングたちは部屋や男の背広を漁る。
ギャング「ノン!」振り上げた腕にサソリの入れ墨。
フランスからのエアメール
Yosuké Kazama
16, Kasumigaseki B…
Minatoku, Tokio
JAPON
封筒を裏返すと
Melle, catherine Vincent
28, Rue Montmartre
Paris 18
FRANCE
黒木の部屋
啓子「パリ、モンマルトル、カトリーヌ。ふ~ん」封筒を見ている。
風間「カトリーヌ? ちょっとちょっとちょっと」封筒を取り上げる。「こ…これ、俺宛じゃない」
啓子「ねえ、カトリーヌって、どういう人?」
風間「どうって、別に…」封筒を開けるとカトリーヌの笑顔の写真が入っていた。
啓子「ねえ、どういう種類の女性かって聞いてんのよ。だってさ、パリ、モンマルトルっていえばね、いかがわしい夜のチョウだとか姫君なんかがウロウロってしてるとこでしょ?」
ユミ「へえ、風間さんもなかなか隅に置けないのね」
啓子と島が目配せして、風間から手紙を取り上げた。
風間「冗談よしなさいよね、ちょっと冗談…」
ユミ「シット、ダウン、プリーズ」
風間「まいったねえ」
啓子「え~っと『いとおしい洋介』。わあ…『あなたとのことがまるで、きのうのことのように思い出されます』。何これ、ラブレターじゃないの」
風間「よせよ。大体ね、他人の信書を無断で読んだ場合は刑法第133…」
啓子「残念でした。盗み見、盗み聞きがわれわれスパイの商売です。ちょっとこっちへいらっしゃい。伺いたいことがあります、はい」隣に座らせる。
風間「すごいねえ、まったく、こりゃ」
どの辺までの関係かしつこく問い詰める啓子とユミ。風間はブン屋時代に特派員として向こうへ行ってたときに、よく飲みに行ったバーの女の子だと答えた。とってもいい子で、異国でメランコリックになりがちな風間を優しく慰めてくれた。最後の一線は越えてない。しかし、カトリーヌは国境を越え、日本に会いに来る。
13日のエールフランス、東京スカイホテル
島「風間さん、13日ってのは、きょうですよ」
15、16話は同じ脚本家で風間のことを「先輩」呼びしてたけど、脚本家が違うと「風間さん」呼びになっちゃうんだな。
1968年8月13日(火)←あ、「おやじ太鼓」の日だ!
軽井沢に行った回だ。
啓子「『あなたと東京の夜を楽しく…』」
風間「何もこんな暑い盛りにわざわざ、ねえ? しかし、これは、どっか案内しなくちゃいかんだろうな」
いそいそと出かける準備を始めたので、啓子たちは笑う。
風間「東京タワーがいいかな? それとも歌舞伎座? そうだ。ゴーゴー喫茶っていう手もあるな」鏡を見ながら身だしなみを整える。
啓子「あれでさ、内心、ニヤニヤソワソワしちゃってね、今夜のしけ込み先なんか考えてるの」
ユミ「いや~ん!」←緑色になってたけど、あれはユミの声じゃ!?
風間「じゃあね」
啓子・ユミ「ふんっ」そっぽを向く。
そこにちょうど黒木が戻ってきた。「どこ行くんだい?」
何も言わずに風間は出ていき、啓子たちが黒木を出迎えた。
黒木「あっ、ユミちゃん。塩くれないか、塩」
ユミ「お塩?」
黒木「お葬式の帰りなんだよ」
ユミ「あっ、そう」
国際警察の仲間が殺されて、セーヌ川に浮かんでいた。その遺骨がきょうの飛行機でパリから着いた。パリからってのがはやってると言う啓子にわけの分からない黒木。
カンカン帽をかぶって、車を運転している風間。眉毛がすごい。
カトリーヌの手紙
ムッシュー、カザマ。
カトリーヌの声で読み上げられるフランス語の手紙を風間が心の中で訳す。<「ムッシュー、風間のことがまるできのうのことのように思い出されて、懐かしく…」。もう5年になる。あのころはカトリーヌもまだ子どもくさかったが、今じゃもうすっかり女になりきって大人どうしの恋ってやつができる年頃だ。大人どうしの恋>
子どもくさい女の子と最後の一線を越えない程度のことはしてたなんて…5年前は未成年だったんじゃあるまいな!?
レストランで乾杯
風間<<遠い異国の夜。今夜は僕が君を慰める番>>
カトリーヌ<<うれしい。やっぱり東京へ来てよかった>>←吹替
2人は歌いながらホテルの廊下を歩く。
風間<<カトリーヌ>>部屋のドアの前でカンカン帽に隠れながらカトリーヌとキス。
カトリーヌ<<帰らないで。あたしを一人にしないで>>
風間<<カトリーヌ>>
カトリーヌ<<風間>>部屋のドアを開けて、風間の手を引いて、引き入れた。
カトリーヌをお姫様抱っこしてベッドに運ぶ風間…だったが、クラクションの音にびっくり!
車の運転中の妄想でした!
風間「おおっ、危ねえ、フゥ…恋は盲目」と言いつつ、ハンドル脇に貼る付けたカトリーヌの写真に投げキス。
車を駐車場に止め、花を1輪持ってホテルへ。カンカン帽に蝶ネクタイのスーツって、なんだかすごい格好!?
フロントでカトリーヌのことを聞くと、1時間ほど前に到着しているので直接512号室へ行くように案内された。
512号室をノックした風間。返答がなく、鍵もかかっている。「バスにでも入ってんのかな? では…」とカンカン帽から麦わらを1本抜き、鍵を開けた。
え!? 勝手に入るな。今回は、ちょっとムーディー?な場面に「非情のライセンス」のしっとりしたインストが流れる。
仕切りのカーテンに人影を感じた風間。<フフフッ…隠れていて俺を脅かす気だ>
しかし、カーテンを開けると、富士真奈美さんがいた。
風間「あっ、ああ…こ…これはどうもすいません。部屋を間違えました。いや、どうも」部屋を飛び出した。「ああ、びっくりした。待てよ? 確かに『512』だよな? おかしいな?」
部屋から謎の美女が飛び出して行き、風間が話しかけても走って行ってしまった。もう一度、部屋番号を確認して、部屋に入り、「カトリーヌ」と呼びかけると、カトリーヌが倒れ込んできた。「し…死んでる」
そーっと床に寝かせ、部屋を見ると、突き出し窓が開いており、ロープが括り付けられていた。ロープをたどると、下は結び目がついていた。カトリーヌのにおいをかぎ、持参した花を胸に手向け、「警察だ!」と電話をしたが、電話線が切れていた。
廊下に出て走って行く風間を見ている男2人。
フロントに行き、警察に電話するよう頼む風間。「512号で人が死んでるんだ」。ホテルマン2人を連れて部屋を見に来たが、カトリーヌは消えており、窓も閉まっていた。「あなたたちがモタモタしてるからだよ」
ロープがあったと言っても信用してもらえず、短いロープだったから、振り子の原理を利用して、隣の部屋…と言いかけ、隣の511号室の客を確認しようとした風間だったが、ホテルマンたちに変な顔をされ、電話線も元に戻っていた。
つながっている電話でフロントに確認を取ったホテルマンによると、カトリーヌはホテルを引き払ったという。「幽霊じゃあるまいし、妄想狂も度が過ぎると精神病院を呼びますよ」。ホテルマンに引っ張られて廊下に出た風間。ちょうど隣の部屋からサングラスをかけた男が出てきた。
風間「511号の男…」
ホテルマンに押さえられ、男に話しかけることもできず、男はエレベーターに乗って去って行った。
黒木の部屋
黒木「カトリーヌという女の子から手紙が来て風間が出かけていった…」
啓子「ねえ、ボス、何考えてんの?」
黒木が啓子に男の顔写真を渡した。
啓子「セーヌ川に浮かんでたっていう?」
黒木「うん。パリのある組織の画商に化けて潜入していた男なんだがね、カトリーヌを使って俺たちに何か秘密情報を届けようとしていたらしいんだ」
島「秘密情報…いったいなんの事件ですか?」
黒木「去年、フランスのある美術館から名画がごっそり盗まれた事件、知ってるか?」
ユミ「海外ニュースで読んだことがあるわ。ピカソ、マティス、ボナール、モディリアーニ、ローランサン、ルノワール」
黒木「その中の1点が最近、日本で見つかったと、こういう訳なんだ。汚職で摘発された財界のある大物の邸宅でね」
啓子「えっ? 1点、何千万円もするんでしょ?」
黒木「ああ、国際警察の捜査官の1人がね、流されたルートをさかのぼって、パリの組織に潜入した。そして殺された」
電話が鳴り、黒木が出た。相手は風間。「何? カトリーヌが殺された? バカ野郎!」
「うっ」と受話器を顔から離す風間。
黒木「で? 荷物や死体は?」
風間「それも忽然と消えてなくなって」
黒木「お前ってやつは、しょうのないやつだな。そうドジばかり踏んで」
風間「すいません、どうも。でも、ボス、何もそうガミガミ言わなくたって」
黒木「何を言ってんだよ、おい。いいから捜せ。いいか。昼日中、死体が歩いて逃げるわけはねえんだから」
男2人がカトリーヌを運んでいるのを目撃した風間。「ボ…ボス、死体が歩いてる」
黒木「何? おい、風間!」
公衆電話の受話器を元に戻さない風間。
しかし、黒木さんって、こういうキレキャラだった?
地下駐車場で男2人でカトリーヌの死体を車のトランクに積み、走り去った。柱の陰で見ていた風間は運転席に女性が乗っている車に「ハロー、ねえ、ドライブしない? 僕の趣味なんだ。さっ、車、スタート!」と助手席に乗り込んだ。なかなか車を出さないので女性の顔を確認すると、さっきカトリーヌの部屋から出てきた女性だった。
風間「お手柔らかに、お嬢さん」
車線の多い道路だけど、交通量は少ない。早朝の撮影か!?
女「部屋へも車へもいきなり飛び込んでくる癖がおありのようね」
風間「そういう君も、あのトランクの中の死体には、ひどくご熱心のようだね。かわいそうに。パリからはるばる訪ねてきてくれたというのに。本当なら今頃、俺はカトリーヌをこうやって抱いて…」女性の肩を抱く。
女「あたしみたいな女でおあいにくさま」
風間「どういたしまして。君を離したくない」
女「浮気な方」
風間「フッ、それがカトリーヌの供養になるんだったら。生きてる彼女を死体にしたのは君の仕業? 君みたいなきれいな殺し屋なら俺も殺されてみたい」
笑って否定も肯定もしない女。
風間「やつらの仲間?」
女「…」
風間「お愛想に返事ぐらいするもんだぜ。なんのためにカトリーヌを殺した? そのうえ、死体まで運んで、いったい何をする気なんだい?」
女「死体を見た?」
風間「見たなんてもんじゃないさ。俺の腕の中へ、まるで恋人どうしが抱き合うようにね」
女「凶器は? 拳銃? ナイフ? それとも…」
風間「そんなもんじゃない。鈍器で殴られた痕もなかったよ。となると、残るは毒を盛られ…」
女「フフッ、それも違うわ」
風間「えっ?」
女「心臓マヒ。あなたも気をつけたほうがいいわね」
風間「…」
女「殺し屋は前を走ってる2人だけじゃないわ。もう1人、すごく腕の立つ男」
風間「もう1人? カトリーヌを殺したのは、そいつか?」
風間の顔を見てほほ笑む女。
風間「死因は心臓マヒだと言ったね?」
女「…」
風間「心臓マヒに見せかけた殺し。511号にいた男」
信号が赤になり、前の車と同時に急ブレーキをかける女。「首を突っ込みすぎないうちに、この車を降りたほうがいいわよ。あの車についてくとカトリーヌと同じように地獄の針が待ってるわ」
風間「地獄の針?」
風間の顔を見る女。
風間「フッ、車を出してくれ。地獄の針とやらが見たくなったね」
女「忠告を聞かない気ね」
前の車は行ってしまい、女の車は止まったまま。
風間「愛しちゃってるんだ、ほんと」
サングラスをかけ、再び車を走らせる女。
急に山道みたいなところに入ったな。風間がストップをかけて車を止めた。目の前にあるのは鉛の性能テストをするプール。風間はキーを預かり、武器を持っているか調べることにした。女のバッグを漁り、ボディチェック。堂々と胸を触るなよ!
女「持って生まれた女の武器よ」
風間「どうなってんの? そのほうの性能テストは?」車を降りた。
女はエンジンをかけた。「忠告を聞かなかったバチだわ」
風間が前の車を見に行っているうちに女の車は発進してしまった。「ハァ、なんて人だ。性能のテストもしないで」と肩をすくめる。
草むらに隠れていた男が銃を向けたのを、風間は車のミラーで確認した。「謀りやがったな」銃声を華麗に避ける。
風間「ここまで来れば大丈夫だろ」外階段でタバコを吸っていると、銃を持った男1が風間のカンカン帽を取り上げ、自らかぶった。「邪魔な方には消えていただきましょうか」
風間「俺が邪魔だってことは、よく分かるような気がしますがね。でも、どうしてカトリーヌは、どうして殺したの?」
男1「何? すると、あなた何もご存じない?」
風間「知るわけないでしょう。カトリーヌと遊ぶつもりでホテルを訪ねたら死体になって倒れてきた。訳も分からず狙われてね」
男1「先刻、ご承知のことと思ってましたがね」
ホールドアップしている風間。「すいません。聞くは、いっときの恥。教えてやってくれませんか?」
唾を吐く男1。「冥土の土産か。カトリーヌがパリから運んできたリスト。それを取り戻すためですよ」
風間「そのリスト、いったいなんなの?」
男1「フッ…私たちはパリのある組織につながってましてね。世界の名画、美術品を各国の政財界の同好の士に、フフッ、適正な値段でお分けしようって組織だよ。こういう商売、信用が大事でしてね。今度のように邪魔が入ったときには殺し屋も兼ねることになってるってわけです。つまり日本にいる3人の殺し屋のリスト、フフッ…俺も含めてね」銃を風間の胸元に押しつけていると、突然、銃声が響き、倒れた。
男1の背中越しに仲間の殺し屋が銃を向けていた。
男2「貴様、いつの間に帽子を!」
風間「カンカン帽子を俺だと思ったんだな。ハハハハッ」銃を向ける。
男2「ちきしょう…」
風間「こいつはたまらねえや」男1からカンカン帽を取り上げ、かぶると、男2は走り去っていった。
男1は自分で風間のカンカン帽をかぶり、ペラペラ内情をしゃべり、殺された。すごい都合のいいキャラ!
黒木の部屋
風間「死体が2人とも俺の胸に抱きついてきたんだからね。いや~、面食らったぜ」
ユミ「2度あることは3度って言うわ」
風間「えっ?」
啓子「そうよ」
風間「今度は誰の死体だよ? 勘弁してくれよ」黒木にお酒を注いでもらう。
それにしても今日の黒木さんは肩口と袖口に線の入ったTシャツで完全に休日スタイルだね。
黒木「まあ、とにかくカトリーヌが密使として利用され、敵に悟られて殺されたということがはっきりしたな」
風間「カトリーヌが左腕にしていた包帯、あの下にマイクロフィルムに収められた殺し屋のリストが隠されていたような気がする…殺し屋は3人、1人は死に、1人は逃げた。そして、もう1人」
黒木「なんか心当たりがあるか?」
風間「元ブン屋の第六感…511号の男。登場人物はまだいる。ちょっぴりイカして、ちょっぴり冷たいあいつ」
ユミ「ちょっと待って!」
黒木「なんだい、記憶魔のユミちゃん。また何か思い出したかい?」
ユミ「心臓マヒと世界の名画」新聞を広げ、死亡欄を見せた。「え~『日本でも一流の美術鑑定家、ホテルで突然、心臓マヒ』」
水林氏、心臓マヒで死亡
(美術鑑定家)
スカイ・……
水林建氏
黒木「じゃあ、今度と同じように殺しだったかもしれんというわけか」
啓子「ありえることね。この鑑定家が職業上、組織の秘密を知ってしまったとしたら…」
ドアが開き、島が入ってきて、511号の男は狩猟家だといって風間に写真を見せた。「日本人としては珍しくプロのね。アフリカの奥地へ出かけていって象やライオンをズドン、ズドン!」
啓子「表向きは猛獣を殺し、裏へ回って人間をズドン!」
ユミは悲鳴を上げて、黒木の背中に隠れた。
狩猟家の男の部屋
シカのはく製に隠れて、京子という女が「お誕生日おめでとう」と祝っていた。ま、声でバレバレだけど、富士真奈美さんね。
西条「ああ…今までの誕生日、私はいつも一人だった。あるときはここの部屋で。あるときはケニアのテントで」
京子「でも、今は違うわ」
西条「怖くないのか?」
京子「えっ?」
西条「どんなけだものでも私の手にかかれば必ず命を落とす」
京子「あたし、あなたのフィアンセよ」
西条「不思議な人だ。君といると心の中の冷たい氷がとけていく」
啓子とユミがホテルのロビーを歩いている。
啓子「きょうってきょうは、きっぱり白黒をつけてやるわ」
ユミ「ええ、あたしのほうこそ身の証しを立てますとも」
ホテルマン「恐れ入ります、ご静粛に…」
啓子「あっ、ちょっと調べてほしいのよ」
ユミ「半年前にこのホテルで人が死んだでしょ?」
啓子「ほら、心臓マヒで美術鑑定家が」
ホテルマン「はあ、それが何か?」
啓子「そのとき、隣の部屋にどんなお客さんがいた?」
ホテルマン「そういうことは申し上げられないことになっております」
啓子「では、ありましょうけども、そこをなんとか。とにかくもう生きるか死ぬかの大問題なんだから」
ホテルマンに背を向けて目薬をさすユミ。「ああ…あんまりだわ。あたしがその人の部屋で、この人のご主人と浮気しただなんて。ひどいわ、あたし、なんにもしてないのに」
啓子も泣きまねをする。「ああ…あんまりだわ。あたしにしたって、うちの主人が、こんな小娘に、悔しい」
ホテルマン「弱ったな」
ユミ「宿泊人名簿を調べてさえくだされば、あたしの無実も晴れるっていうのに」
ホテルマン「そういうご事情ならしかたありません。少々お待ちを」
ロビーのソファに座り、泣きまねをする啓子とユミ。
ホテルマン「当日の隣室のお客さまでございますね。え~、西条さまとなっております。狩猟家の西条さまです」
啓子「この男?」すかさず写真を見せる。
ホテルマン「あっ、このお方です。間違いありません」
啓子とユミは抱き合って笑った。
電話を受ける黒木。「ハハハハッ。その狩猟家がね、ずばり、殺し屋だったってことだ。君はな、美術鑑定家の遺族を訪ねて、心臓マヒと死んだときのもようを詳しく探ってみてくれ」
啓子「了解、ボス」
黒木「それからね、風間と島は狩猟家のうちへ飛んだよ」
狩猟家のうちは山の中の一軒家。カトリーヌの死体が運び込まれているのではと島が予想する。
風間「敵(かたき)は、きっと取ってやるぜ、カトリーヌ。坊や、俺がまず先に入る。30分たって出てこなかったら…」
島「オーケー」
高いフェンスを軽々乗り越えて敷地内へ。家の前に止まった車のトランクには女性ものの靴が残されていた。何かの気配がして、西条が庭に向かって猟銃を向けると、サングラスをかけ、草を体に括り付けた風間がホールドアップして出てきた。「いや~、うまく隠れたつもりだったんだけど、さすがにプロの狩猟家だ」
西条「君…まさか人間が隠れていたとは。びっくりしたのは私のほうだよ」
風間「へっ? それじゃ僕の早とちり?」
西条は家に上がるように言う。家の中はライオンを撃ち殺した写真、サイの写真、アフリカの原住民との写真、京子との2ショット写真、アフリカっぽい小物にあふれていた。
西条「しかし、私の体験談など記事にならんだろう」急に槍?を投げ、部屋に飾られたトラの首のはく製に刺した。「人間は猛獣のように太いやりは、いらない。細く短い針があればいい」風間の背中の上のほうに手を置く。「脊髄の上のこの部分。ここが急所といわれている」
風間「それで心臓マヒでイチコロ」
部屋に男2が入ってきて、風間の顔を見た。咄嗟に背を向ける風間。男2は西条に手紙を渡し、耳打ち。
タイプライターで打ったっぽい小さな宛名で見づらいな~。
Tatuo Saijo
1-12 Yamanaka-tiyo
Setagaya-ku Tokyo-to JAPAN
山の中の別荘かと思ったら世田谷区!? 封筒の裏にはサソリのマーク。手紙の中身はこれまたタイプライターで書かれたっぽいフランス語の文章。
読み終えた西条は、その場で手紙を燃やし、猟銃を手にした。「急ぎの仕事ができた。すぐ行かなければならん。お客さまをお引止めしておいてくれ」と男2に猟銃を渡して出ていった。
西条は車に乗って出かけた。
島「おかしいな。もう30分たってる」ヒョイッと柵を越え、敷地内へ。
地下の倉庫へ連れてこられた風間。クモの巣が張り、ワイン瓶が並んでいる。そして、カトリーヌの死体。左腕の包帯はなくなって傷だけが残っていた。
男2「マイクロフィルムはこっちの手で焼き捨てた」
風間「殺したのは、あの狩猟家か?」
男2「そうだ」
風間「どこへ出かけたんだ?」
何も言わずに猟銃を向け、近づく男2。
風間「仕事というのは?」
男2「航空便に黒いサソリのスタンプがあった。殺しの指令だ」
島は家の中を探索中、何かを倒した。
男2「すぐにカトリーヌのところへ送ってやる。向こう向きな」
背を向ける風間。
男2「それまでしばらく眠っていただこうか」銃で撃つんじゃなく、風間の後頭部を殴った。
うめき声を上げながら倒れた風間を起こし、改めて殴ろうとした男2の頭上に民芸品っぽい胸像が落ちて、風間に折り重なるように倒れた。そこへ駆けつけた島。「死んでますよ」
殺し屋たち、結構あっさり死ぬよね~!
風間「誰かを殺すためにどっかへ出かけていったんだ」燃え残った手紙を読む。「U、N、E、F、I」…「ユヌ・フイル」1人の娘。
場所はカップ…岬。大文字のBで切れている。Bで始まる岬…ぶちねこ岬!
西条が車で到着した。2時58分。
午後3時、ぶちねこ岬の突端。1人の若い女。
岬へ出ると、西条の目の前にいたのは京子だった。風間、島も駆けつけ、黒木も啓子と車で来た。美術鑑定家の遺族を当たった啓子は一人娘の様子がおかしいのであとをつけたが、ここでまかれたと言う。
風間の言うちょっぴりイカして、ちょっぴり冷たい女=西条のフィアンセ=美術鑑定家の一人娘だった。
啓子「復讐のために近づいたとしたら?」
黒木「急ごう、彼女が危険だ!」
岬の上で両手を組む京子。西条に黒いサソリの航空便を出したと言い、あなたに父を殺された娘だと告白した。近づき方が変だったと笑う西条。
京子「パリから来る黒いサソリの手紙。でも、殺しの現場を押さえないことには…そう思って、きょう、自分を的に罠を張ったの」
西条は針を取り出す。
風間と島、黒木と啓子は二手に分かれて京子を捜す。
京子「野獣だって肉親を殺されれば必ず復讐の牙をむくわ」銃を向ける。
風間と島は高い場所から京子たちを見つけた。
西条は京子の持っていた銃を蹴り落とした。「お望みどおり、俺の芸術的な殺しをお目にかける。若い女の心臓マヒ」今にも針を刺されそう。
風間は鎖を伝って崖を降りていた。
京子と西条がもみ合っている中、「もしもし、恐れ入りますけど、ちょっとシャッターを押していただきたいんですがね。われわれは新婚旅行でここへ来たもんですから、2人そろってるところを撮ってもらいたくて」と黒木がのんびりした口調で話しかけた。
黒木「なっ? 啓子」
啓子「ええ、あなた」風間が崖を降りているのをチラ見。
黒木「それじゃひとつお願いいたします。あっ…」
西条は落ちていた銃を拾い、京子に向け、黒木はかばうように京子の前に立った。
西条「おかしなまねをすればハジキで3人、皆殺しだ! 象やライオンのようにな」
啓子「あなた、怖い!」と黒木たちのほうへ走る。「怖いわ、あたし」
黒木「啓子、大丈夫だよ、大丈夫だよ。怖がることはないんだからね、僕がここにいるんだから。大丈夫、大丈夫、ねっ? 落ち着いて、落ち着いて」
西条の手めがけて鎖を投げた風間。黒木が近付き、西条をぶん殴る。今度は京子が銃を拾い、西条に撃とうとするが、背後から風間が京子に覆いかぶさった。
逃げた西条を島が足止めし、黒木がぶん殴る。「黒いサソリを首魁とするパリの組織が昨夜、一網打尽にされたそうだ。国際警察パリ支局の活躍でな」
一緒に並んで倒れている京子と風間。
啓子「狩人は捕まったわよ、ほら」
風間「ハァ、やっぱり抱き心地は生きてる女性のほうが…」
啓子「風間くん、パリのお嬢さんのこと忘れちゃったの?」
風間「分かってます」
風間の心の声<そうだ…やっとカトリーヌの敵が取れたんだ>
プロデューサー:近藤照男
坪井久智
*
脚本:池田雄一
*
音楽 :菊池俊輔
主題歌:キイハンター
作詩 :佐藤純弥
作曲 :菊池俊輔
唄 :野際陽子
テイチクレコード
*
黒木鉄也:丹波哲郎…字幕黄色
*
津川啓子:野際陽子…字幕緑
*
島竜彦:谷隼人
谷口ユミ:大川栄子
*
風間洋介:千葉真一…字幕水色
*
京子:富士真奈美
西条:川辺久造
*
中原弘二
田村保
久保一
*
岡野耕作
菅原壮男
高須準之助
カトリーヌ:バーバラ・ウオルチン
*
監督:若林幹
<プロフェッショナル・キイハンター。次の赤いシグナルは…粋な姉御の艶姿は暴力団どうしの拳銃密売ルートを探る危ない使命。情報は乱れ飛び、横取りをたくらむギャングの出現。入り乱れる波止場の大乱闘に間一髪。駆けつけた姉御の正体は、とうとうバレたか。キイハンタースタッフの救いの手は遅い。度胸を決めたこの勝負、果たして丁と出るか、半と出るか>
ゲスト
田武謙三
武藤章生
稲吉靖
<キイハンター、拳銃あねごの潜入作戦>
拳銃あねごの潜入作戦
に御期待下さい
いつもとナレーションとゲスト紹介の感じが微妙に違った。
富士真奈美さんってホントキレイな顔立ちだな~。美人だから意地悪キャラがハマるともいえる。父が殺されて、すぐ西条と婚約できる手腕がすごい。
今回の出演者、後は誰が誰やら…だな~。岡野耕作さんは前回も名前があったし、ネット上の写真を見ると、今回の黒ぶちメガネのホテルマンかな~? そうなると、前回どこで出てたんだ?ってなる。高須準之助さんは多分、殺し屋の2のほう? 田村保さんは最初に殺されたフランス語堪能な日本人。結構複数回ゲストに出てる人も多いんだけど、なかなか顔と名前が一致しない。
そういや今回の黒木さん、休日っぽい衣装だったけど、最後はしっかり仕事してた。

