TBS 1968年5月11日
あらすじ
美しく妖しい魅力の混血女。どこから来たのか誰も知らない。某国から日本に運ばれた世界的秘宝、双頭のスフィンクス。これを狙って、影に犯罪のメロディーを奏でるのは名の売れたプロ一味。迎え撃つキイハンターもご存じ熟練の腕前。ダイヤモンドを散りばめたターナの奇蹟を巡り、いずれが最後に笑うのか。
2025.10.8 J:COM BS録画
ナレーター<この部屋のグループは5人>
元 諜報部員・黒木鉄也:丹波哲郎
元 諜報部員・津川啓子:野際陽子
カー狂・島竜彦:谷隼人
記憶の天才・谷口ユミ:大川栄子
元 新聞記者・風間洋介:千葉真一
<彼らの愛するものは自由。求めるものは平和>
国際警察特別室
UNIPOL JAPAN
国際警察・村岡特別室長:仲谷昇
<彼らの活躍がここに始まる。彼らの行くところ不可能の文字なく、彼らを遮る国境もない。彼らは、こう呼ばれる…>
KEY HUNTER
制作:東映株式会社
TBS
ムンガ秘宝展
●ターナの奇蹟特別公開●
期日 昭和43年5月5日~15日
主催 毎朝新聞社
文 部 省
警備員が秘宝展の会場を点検し、ターナの奇蹟をじっと見つめる。
ターナの奇蹟
双頭のスフィンクス
警備員・野毛は部屋の隅の警報機のスイッチを切り、窓を開け放つと、サングラスの男を入れた。男は大きめのバッグに入れていたニセモノと入れ替えた。
野毛はアケミという膝下しか映ってない女性に話しかけ、「約束どおり、ヤクは、くれるだろうな?」と膝にすがりついた。野毛は確かにヤク中っぽいメイクだね。しかし、アケミはヤクはやれない、死んでもらうと突き放した。
チャンという全身黒づくめの男が入ってきて、「お前、もう、用ない人間だ」と首にかけていたチェーンネックレスで野毛を締め上げて殺した。
チャンは上田忠好さん。
「3年B組金八先生」第2シリーズの荒谷二中の清水! 金八の頃から12年も前なのに頭髪があまり変わらないのが奇跡。
生バンドが演奏するディスコ?に行った黒木、啓子、風間。黒木はカウンターの中にいる男を見ろという。チャン・パイミン。3年前から日本に住み着いて客商売に盛んに手を出しているが、経歴、資金源、その他、一切不明。
最近、アメリカからチャンの元へ頻々(ひんぴん)と手紙が来ていることが分かった。相手は禿鷹(はげたか)ハンス。日本語を含めた6か国語に精通し、世界中に独自の情報網を持つといわれるプロのスパイ、と啓子はハンスの経歴を言うが、黒木は、れっきとした殺人業者だという。
ユミはフロアで1人で踊っている。今回も島は不在?
ハンスが秘書で殺し屋のキリーというプエルトリコ人と一緒に、あした日本へ来る。ハンスはユダヤ人でありながら、ナチに魂を売った男で戦後はすぐにアメリカに寝返り、アメリカから見放されると悪辣なスパイ業を始めた。
あらゆる国際紛争をマークし、隙あらば、まさに禿鷹のように飛びついて巨額の金(かね)をせしめるという手口。表面上は公然たる観光旅行で、ハンスを張り込むほどの手掛かりはなんにもない。しかし、黒木の直感でなんの計画もなしに禿鷹ハンスが日本に来るはずがないと感じた。
翌日、来日したハンスとキリーを啓子と風間が車で追った。今回もロケ地はホテルニュージャパン。
黒木がハンスの向かいの部屋から監視。ハンスもまた双眼鏡を取り出し、誰かを監視している。
ホテルの廊下を歩いていたボーイを部屋に引き入れ、一万円札を見せた風間はボーイに扮して廊下を歩き、780号室を訪ねた。風間はカレーを入れる容器に盗聴器をしかけ、ハンスとの会話は黒木、啓子にも聞こえた。
グレービーボートまたはソースポット。どっちも浸透してない。
なかなかいい食器ですねえと食器を調べ始めたハンスを見た風間は慌ててシャンペンの栓を抜き、ハンスにかけ、謝る。
ハンス「ああ、大丈夫ね。シャンパン、おめでたいお酒です。頭からふりかけられても私、怒りませんよ」
意外と優しい…ふり?
キリーとハンスはスペイン語で会話し始め、盗聴している啓子は同時通訳する。
ハンス「シモーヌは部屋にいないぞ。なんとしても、あの女は邪魔だ。部屋にいないのは、もっけの幸いだぞ」
キリー「ちょっとひとっ走り行ってこよう。このホテルの鍵はチョロい」
もっけの幸い…思いがけず、偶然やってきた幸運。
早速部屋を出ようとしているハンスたちを双眼鏡で見ていた黒木はホテルのフロントに電話し、シモーヌの部屋の番号を聞いた。フロントの男はシモーヌの名字を聞くが、黒木は思い出せなくて困ってると話し、部屋番号を聞き出そうとするが、フロントの男も答えられない。
しかし、偶然、シモーヌが通りかかり、あたし、話しますと電話を代わり、シモーヌ・ハラダと名乗った。黒木は、あなたは狙われている、そこを動いちゃいけませんよと電話を切った。啓子はハンスたちの監視を続ける。
黒木と話すシモーヌは狙われるようなこと、なんにもしてませんと言う。母は日本人だがフランスが故郷。今、上野の美術館で開いているムンガ秘宝展のターナの奇蹟の大変なファンだと話した。ムンガでは王宮の奥深くしまわれたまま、絶対に見ることができないものが日本で特別に公開されることになり、飛んできた。仕事は特にしていない。黒木に警察の人ですか?と聞くシモーヌ。
黒木は外国の方に宝石をお世話するのが仕事だと話し、あなたに関して妙なウワサを聞いたもんですからと切り出し、ハンス・シュワルトの写真を見せた。シモーヌは知らないという。
一緒にシモーヌの部屋に行った黒木に、シモーヌは全部あなたの作り話だというが、黒木はクローゼットから何かはみ出しているのに気づき、シモーヌには離れるように言う。黒木が、ひも状のものを引っ掛け引っ張るとクローゼットが爆発した。
美術商のもとを黒木とシモーヌが訪ね、黒木がシモーヌを人目につかぬ静かなとこで休ませてほしいと頼んだ。屋根裏の納戸みたいな部屋ならあるという美術商・柳川について歩いたシモーヌだったが、店の商品に目が行く。「まあ~! おもしろいものがあるんですね」
柳川「アハハッ、それですか。中国の方が無理やり委託販売の形で置いていきましてねえ。いやあ、大した値打ちもんでもないのに途方もない値段だから売れるはずありませんよ」
シモーヌ「いいえ、とってもすばらしいです。あたし、この表情、気に入りました」
ちょっと不気味な仏像のような?胸像
黒木はシモーヌと納戸へ行き、頼みたいことがあると切り出した。現在、日本とムンガ共和国は重大な協定を結ぼうとしている。ムンガ開発のための膨大な技術資本を日本が負担して、そのかわり、ムンガからは石油、その他の資源を日本が優先的に獲得する。日本にとっては大変有利な協定だが、大切なムンガの秘宝が盗まれたり、傷つけられたりしたとしたら、ムンガの対日感情はいっぺんに悪化し、日本との協定も破棄される。
ムンガに対する利権の大半を失いかけていたある国が一挙に退勢を挽回することになる。その国を動かすことができるほどの大会社が仕組んだことかもしれない。プロの悪党を使えばバレるおそれは、まずない。
シモーヌは秘宝に詳しく、毎日のように見に行く者はいない。そういうシモーヌの存在が敵の計画にとっては邪魔になってきた。ここでようやく本題。シモーヌに頼みたいことは、あした会場が開いたら、すぐにシモーヌの目で秘宝を確かめてもらいたい。
黒木「行ってくれるね?」
シモーヌ「ノン」
長台詞を頑張ったのにそんなひと言で…
シモーヌ「あなたがウソをついてる間は、あたし、何もしません」
黒木が宝石のセールスマンや探偵マニアでないことを指摘。
黒木「私を信じてくれ。君の体に流れる日本人の血が私という人間を信じてくれるはずだ」腕の触り方がなんかエロい…と思ったら、シモーヌが黒木に体を預け、「ハァ…シモーヌと呼んで。そしたら、あした、あなたと一緒に美術館に行きます。あたしの命を助けてくれた、あなたを信じて」って! 突然の甘い雰囲気。
黒木「おやすみ、シモーヌ」
シモーヌ「ウフッ…ボンニュイ」…フランス語の「おやすみなさい」。
翌日、黒木、シモーヌ、啓子、ユミが秘宝展へ。
シモーヌ「大丈夫、みんな本物。傷もありません」
黒木はターナの奇蹟を確認させるが、シモーヌは偽物ならすぐ分かります、と言うが、黒木が何度も確かめさせ、ついにシモーヌは偽物だと断言した。
どうやってすり替えたのかシモーヌの滞在する納屋で考える黒木たち。ユミはけさの三流紙の小さな記事を思い出した。
「ムンガ秘宝展の警備員 行方不明」
野毛敏男、32歳。失踪の動機、その他、皆目不明。最近、アケミという女と関係を結んでいたらしく、当局は、その女の行方を捜している。
犯行は3日前。ハンスが来る前でハンスがやって来たのは、品物を確かに国外に持ち出すということを確認するため。不幸中の幸いは、偽物が見事なほどうまくできていて、世界中の人々は、まだ誰も気が付いていない。黒木たちに最後のチャンスが与えられている。
シモーヌは取り戻すなんて絶対にできないと言う。きょうの午後3時、ムンガ政府の美術長官が日本に来る。美術長官は絶対に偽物だと気付く。
港の空き地に車が2台止まっていた。ハンスと女性の足だけが映る。
ハンス「われわれの計画は完全だ。美術長官の発表で世界中が事件を知る。ムンガと日本の協定は潰れる。われわれには報酬がたっぷり入るね。ハハハッ」
チャン、キリーがうなずく。
ハンス「楽な仕事ね。みんな、安心してやってくれたまえ。アケミさん。あなた、ご苦労だが、もうひと仕事だ。あなたのことだから絶対に失敗はしないと思うよ」
車がそれぞれ逆方向に走る。
人がしゃべってるのにリズムとって手や足を動かしてるのは変だろ、アケミ!
午前11時51分。ホテルのロビーで「Newsweek」を広げながら、ハンスたちを待っていた黒木。話しかけると、「私を知ってる人間は日本にはいませんね」と返したハンスに刑務所に突っ込むと告げた。
ハンスの滞在する780号室にピッキングで入る啓子。部屋の中を漁る。
ユミと風間はチャンの経営するディスコで踊る。今回のバンドの歌、独特だねえ。ちょっと演歌っぽい。ボスが1時半までに現れなかったら行動開始。
まだホテルのロビーで話している黒木とハンス。黒木はハンスを窃盗罪で刑務所に入れようとしている。ターナの奇蹟が盗まれたことも初耳だととぼけるハンス。シモーヌが証人。ハンスは盗聴しただけでは証拠にならないと笑う。
780号室の電話が鳴るが、当然、啓子は無視。
黒木「日本という国をあまり見くびらんほうがいい」
ハンス「フフフッ」
黒木「お前のような悪党を殺す口実だったら、いくらでもあるんだ」
ハンスは君は決して私には勝てない。君はスパイであるよりも前に人間だからだと黒木に忠告した。
黒木「ありがとう。俺がもし、あんたに勝ったら、その言葉を額にして飾っておこう」
780号室にキリーが戻ってきて、ナイフを出した。部屋を漁っていた啓子は背中越しにスペイン語で「そんなオモチャで何するつもり? プロなら鏡の使い方くらい覚えといてね」と話しかけた。啓子の正面の姿見にキリーが映っていた。
キリーはナイフを投げ、啓子が避けた。啓子はキリーの手首をひねり上げ、ナイフを投げた。「ごめんあそばせ」
チャンの店
まだ踊っている風間とユミ。風間の時計は午後1時半を過ぎ、風間は突然、ぶつかった男と殴り合いのけんかを始めた。ユミは2階へ。2階のカウンターで見ていたチャンは仲裁に入り、その間にユミは事務室へ。風間も殴り合いしながら2階へ。器用だね。
すぐユミに気付いたチャンが事務室に入ってきた。
風間は数人の男に取り押さえられた。
ユミはテーブルの上の書類を投げて逃げ、今度は棚の上のファイルを投げると、チャンが「それはいけない!」と慌てた。スキを見て部屋から出ようとしたユミだが、風間が店の従業員に追われて入ってきた。従業員は銃を片手に風間を殴る蹴る。
風間とユミは縛り上げられ、チャンは注射器を手にする。「一度やったら絶対やめられない、すばらしいことだ。フフフッ」
風間「麻薬か?」
チャン「あんな踊りなんかより、もっともっとしびれるよ。フフッ」
風間は、その麻薬で警備員を…と話してしまい、チャンに正体がバレた。
そこに黒木、啓子が登場。チャンは銃を突きつけられ、ホールドアップ。しかし、黒木がほかの従業員のほうを向いたスキにチェーンネックレスで黒木を締め上げたが、形勢逆転。黒木がチャンにターナの奇蹟の行方を聞いた。
午後2時5分。
事務室前にキリーが控え、チャンの背中にナイフを刺した。
今度は従業員2人を縛り上げたが、2人は何も知らなかった。
ユミは書類を投げたときにチャンがものすごく顔色を変えたことを思い出し、黒木たちは書類を漁る。借用書、土地の権利書、バンドの契約書、肉屋の請求書、店内改造見積書、委託販売預かり証…委託販売、柳川美術。
黒木「ターナの奇蹟は柳川美術だ。あの変な像の中だ!」
キリーが銃を1発放ち、立ち去った。2階から1階にジャンプで降りる風間。すげ~。
黒木は柳川美術に電話し、中国人から預かったブロンズの女神像をすぐ近くの警察に持ってってください、そうしないとあなた自身の命が危ないですよと伝えた。
しかし、電話中、柳川は何者かに後頭部を殴られて倒れた。
黒木は車を飛ばして柳川美術へ。
YANAGAWA ART STORE
柳川アート…わりとオシャレな外観だった。
ブロンズ像が倒れていた。売れるはずのない値段で預けて、あとで仲間が買いにくればいい、と黒木は推理。倒れていた柳川を発見した黒木は風間に医者を呼ぶように告げ、納戸へ。シモーヌは、とっても怖かったわと抱きつき、アメリカ人らしい男の人の声が聞こえて、下の店で物音が聞こえたと話したが、黒木はシモーヌ=アケミと気付いていた。
一応、何のことですか?とごまかしたアケミだが、顔から血の気が引いてバレバレ。サイケ(チャンの店)から柳川美術までは30分。3分後には柳川美術にハンスの仲間がいたということは…最初からアケミはハンスの仲間だった。
ハンスが望遠鏡で覗いていたのは、まだ会ったことのないアケミを確かめただけ。盗聴器に気付いたハンスが逆用し、時限爆弾を仕掛けた。シモーヌを殺すためでなく、黒木を殺すためのものだった。
混血娘・アケミとして警備員を誘惑すること。もうひとつはフランス娘・シモーヌとして女神像をある場所まで運ぶこと。
アケミは新宿のバーを流れ歩いてきた、ただの混血娘。麻薬で飼育され、チャンやハンスの言いなりにされた。しかし、世界中を驚かせるような仕事をやったので後悔してない。
ターナの奇蹟は必ず俺が取り戻すという黒木。しかし、キリーが銃を突きつけていた。
なぜ偽物だと真実を言ったんだ、君にはまだ立ち直すチャンスがあるとアケミを諭した黒木は、もう一度ターナの奇蹟の在りかを聞いたが、アケミが部屋の隅に視線を向けた時、キリーに撃たれた。
風間が窓から飛び込んでキリーを倒し、黒木も参戦し、キリーと殴り合い。キリーはかなり体が大きい。アケミが最後の力を振り絞ってキリーを撃ち、キリーは窓から転落した。
午後3時。美術長官が来日し、車に乗る。
黒木は再び、アケミに聞く。仏像の下の箱にターナの奇蹟が入っていた。
アケミ「もう一度シモーヌと呼んで」
黒木「君のおかげで日本はすくわれたぞ、シモーヌ」
ゆっくり目を閉じて息絶えたアケミ。
黒木たちは秘宝展へ行き、トランクから煙を発生させ、ほかの客たちが逃げている間に本物のターナの奇蹟と取り換えた。
黒木「ハンスは敗北という屈辱を抱いて日本を去っていくさ」
プロデューサー:近藤照男
坪井久智
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脚本:小川英
*
擬斗:日尾孝司
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音楽 :菊池俊輔
主題歌:キイハンター
作詩 :佐藤純弥
作曲 :菊池俊輔
唄 :野際陽子
テイチクレコード
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黒木鉄也:丹波哲郎…字幕黄色
*
津川啓子:野際陽子…字幕緑
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谷口ユミ:大川栄子
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風間洋介:千葉真一…字幕水色
*
チャン:上田忠好
柳川:田武謙三
野毛敏男:三島耕
*
フランツ・グルーバー
チャーリー・ギルモア
カール・ヘンリー
*
水原仗二
山浦栄
岡野耕作
都健二
*
アケミ(シモーヌ):楠侑子
*
監督:島津昇一
<プロフェッショナル・キイハンター。次の赤いシグナルは…誰かがとるなら、俺がとる。密輸会社の数億の金。狙いは1つ。キイハンターとギャングのグループが手を握り、獲物は山分け、ギャング同盟。だが、所詮、タヌキとキツネの化かし合い>
ゲスト
<どっちが先に尻尾を出すか。勝負のカギは襲撃の日>
<ガスを使って殴り込み作戦。勝てば猫、負ければネズミの一本勝負。さて、どうなるか、ギャング同盟>
ギャング同盟
に御期待下さい
外国人の俳優は名前で検索しても、写真がなくて分からないね~。美術長官は中東っぽい格好をしていた。
前回、今回と島はどうした!?


