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【ネタバレ】チョッちゃん(144)―連続テレビ小説―

NHK 1987年9月19日(土)

 

あらすじ

台風に見舞われた蝶子(古村比呂)たち。喜作(伊奈かっぺい)のリンゴ小屋は倒壊し、新しく駅の傍の倉庫を借りる。みさ(由紀さおり)は滝川へ行こうと提案するが、蝶子は広いし、ここで頑張ると言う。ここで洋裁で生計をたてようと看板を立てるが、客は来ない。駅から出てきた復員兵に、東京の様子を聞くが、絶望的な反応しかない。常子(栗田ひとみ)が米と野菜を持って現れ、これで洋服を作ってほしいと言い、蝶子は喜んで…。

2025.9.27 NHKBS録画

peachredrum.hateblo.jp

脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色

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北山みさ:由紀さおり

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中本喜作:伊奈かっぺい

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花田常子:栗田ひとみ

岩崎加津子:藤重麻奈美

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中本よし:高柳葉子

岩崎俊継:服部賢悟

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男:大山豊

中本良平:中野慎

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復員兵:伊藤哲哉

    十日市秀悦

鳳プロ

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野々村富子:佐藤オリエ

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野々村泰輔:前田吟

 

強い雨風の音

 

リンゴ小屋

天井からつるされたランプが揺れている。

みさ「蝶ちゃん」

蝶子「うん?」

みさ「これ、台風でしょ?」

蝶子「そうよ」

みさ「いやいや~」

 

富子「大丈夫かねえ?」

泰輔「ああ…」

 

みさ「あれ!」

蝶子「何?」

みさ「いや。しぶきがかかったよ」

蝶子「え?」

 

加津子「雨入ってきてる!」

富子「このまんまだと水浸しだよ」

泰輔「よし、俺、ちょっと見てくるわ!」

 

⚟︎喜作「岩崎さん! 岩崎さん!」

 

泰輔「は~い!」

 

⚟︎喜作「中本です!」

 

泰輔「今、開けます! ただいま! よいしょ!」戸を開ける。

黒い合羽を着た喜作が中に入って来た。「早く、ここ出て、うちさ来なせい!」

蝶子「あの~…」加津子の頭を拭いている。

喜作「川の水かさがどんどんと増して、下手すると、この辺、水浸しになるから、身の回りの物、まとめて早く、うちさ避難した方がいい!」

 

泰輔「チョッちゃん!」

蝶子「はいはい!」

中本「いやいや、野々村さんも!」自分が着ていたカッパを泰輔に着せる。

泰輔「はい、分かりました!」

中本「急いでなす!」小屋を出ていった。

 

泰輔「急いで、急いで!」

蝶子「みんな、急いでよ!」

 

⚟︎強い雨風の音

 

富子「ねえ、向こうの小屋に荷物あるんだよ!」

泰輔「あ、そうか。よし、じゃ、行ってくる!」

富子「うん」

泰輔「よっ、や~!」

 

みさは手拭いを頭に巻こうとしている。

 

⚟︎強い雨風の音

 

なぜか枕を2つ抱えるみさ。

蝶子「母さん、落ち着いて!」飾っていた家族写真を風呂敷に包む。

 

激しい雨風の音

 

外に出たが、すぐに傘が裏返る。蝶子や加津子たちは防空頭巾をかぶって、荷物を背負って外へ。

 

翌朝、滴が落ちる音がする。

 

<昨日の台風は、チョッちゃんの住まいを壊してしまいました>

 

ぼう然と立ち尽くす蝶子。

泰輔「やられたな…。うちの小屋もだよ」

蝶子「…そう」

うなずく泰輔。

大きくため息をついた蝶子はしゃがんで壊れた小屋を片付ける。

泰輔「チクショー」

 

中本家

みんなと背を向けるように座る泰輔。「俺は本当、よくよく運に見放された人間だよなあ」

富子「また愚痴かい?」

泰輔「行くとこ行くとこ住むうちをなくしちまうんだよ。何だい、一体、こりゃ。何でこんな目に遭わなきゃいけねえんだよ。バチが当たるようなこと、俺は何かしたかい?」

富子「もう、お黙りよ」

 

喜作「もうちょっと前だば、うちさ来てもらっても、よかったども、近々、親戚の者が頼ってくることになってるすけ」

よし「こったらごとになるとは思わねすけ」

蝶子「ありがとうございます」

 

みさ「…蝶ちゃん」

蝶子「うん?」

みさ「どうしたらいい?」

 

喜作「いや、2~3日だば、ここさ、いたらいいべ」

蝶子「はい、お願いします。その間、住む所、探します」

 

富子「でも、あるかね?」

蝶子「いや、雨露しのげたら、どんなとこでもいいっしょ?」

富子「はあ」

 

喜作「おらも心当たりさ、声かけるすけ」

蝶子「お願いします」

 

リンゴ小屋を片付けるみさ。「よいしょ。はい、あれ~? まあ、鍋が出てきたね、これ。よいしょっしょ、はい。向こうにもあるよ」

俊継「ホントだ」

みさ「よいしょ、気を付けて」

俊継「うん」

みさ「大丈夫かい? 気を付けるんだよ」

 

物干し台に布団を干す富子。「よいしょと。お~!」

加津子「よいしょ」手拭いを絞って干す。

www.data.jma.go.jp

昭和20年9月17~18日 枕崎台風

昭和20年10月9~13日 阿久根台風

 

どちらも発生は青森から離れてるけど、全国的に被害があった模様。終戦直後に何千人も死ぬような災害が度々起こるなんてねえ。昭和22年のカスリーン台風、23年のアイオン台風は東北の被害もすごくて、私の地元にも浸水水位を示す看板があります。

 

⚟︎汽笛

 

男「ここだ」

喜作「ああ」

泰輔「あ、じゃ、ちょっと」

喜作「どんだべなす?」

 

倉庫のような場所に案内された泰輔と蝶子。「ここ、いいんですか?」

男「どうせ使ってねすけ」

 

泰輔「ここだと一緒に住めるな」

蝶子「うん。いや、駅のそばっていうのもいいね」

泰輔「うん」

喜作「決めるがい?」

蝶子「お願いします!」

泰輔「お願いします!」

 

泰輔さん、今回は立ち直りが早くて良かった~。

 

倉庫

釘を打つ蝶子、富子。

泰輔「ここ置くぞ」

富子「あいよ!」

泰輔「あ、着いた着いた!」

蝶子「あ、ご苦労さま!」

富子「どうも!」

 

喜作がリヤカーに布団や荷物を積んできた。

泰輔「はいはい、はい、向こうへ運んで!」

荷物を手渡していく喜作。「危ね、危ね」

 

釘打ちしてる蝶子たちの様子を見に来たみさ。「大変だねえ」

富子「面白いよ、義姉(ねえ)さん」

みさ「え?」

富子「やってみる?」

みさ「いや、私は、やめといた方が…」

みさの方を向いてうなずく蝶子。

富子「あらら…」

 

夜、電球を見つめる蝶子たち。

蝶子「電球の明かり、久しぶり」

泰輔「ああ」

 

泰輔さん、マー君だったり俊ちゃんだったりが常に膝の上にいるな。

 

蝶子「電気も使えるし、水道は駅のを使わせてもらえる」

みさ「前より楽だね」

富子「作りも頑丈だし」

泰輔「うん」

 

加津子「学校も近いのよ」

みさ「いや、そうかい。う~ん」

 

蝶子「問題は、このあとね。これからの生活」

富子「食べてかなきゃなんないもんね」

蝶子「加津(かっ)ちゃんの芝居のおかげで今日明日は大丈夫だけど」

みさ「売る物、ほとんどないもね」

 

富子「私、仕事、探すわ」

蝶子「あるかな?」

富子「うん、畑仕事の手伝いだって何だって」

蝶子「私も何か…」

富子「あんたもだよ!」

泰輔「…ま、仕事ありゃいいけどな」

富子「見つけんだよ!」

泰輔「ああ」

 

あくびする俊継。

蝶子「眠い?」

うなずく俊継。

蝶子「2人とも横になりなさい」

俊継「うん」

富子「そうだそうだ。疲れたね」

泰輔「そこ、横になってな」

 

加津子と俊継が部屋の隅に横になり、蝶子とみさが毛布をかぶせた。

 

みさ「こんな暮らし、子供たち、かわいそうで…。ね、蝶ちゃん」

蝶子「うん?」

みさ「滝川、行ってみないかい?」

泰輔・富子「!」

みさ「こうなったら、しかたないっしょ。嘉市さんでも三代治さんでも頼ってみないかい?」

蝶子「けど、今更…。大丈夫よ、私がなんとかするわよ! これだけ広いんだもん。何かできそうじゃない」

うなずく泰輔。

 

蝶子「洋裁かな? 洋裁よ。私にできるっていったら洋裁しかないもの!…よし、やるわよ!」

 

洋裁承ります

   岩﨑

 

倉庫の前に看板を出した蝶子。「よしと!」

泰輔「ハハハハ!」

富子「あんた!」

泰輔「そうだな。じゃ、仕事探してくるわ」

蝶子「頑張ってね」

富子「ちゃんと探すんだよ!」

泰輔「ああ」

富子「しっかりね」

 

駅の近くというより、諏訪ノ平駅の目の前の倉庫なんだね。

 

富子「復員してきたんだね」

みさ「本当に戦争終わったんだねえ」

 

⚟︎汽笛

 

蝶子「要さん、帰ってきてるんじゃないかな。ね!」

みさ「…帰ってきたら、連絡あるんでない?」

富子「うん。洗足のうち、出る時、行き先、書いた札、立ててきたんだから」

蝶子「札には滝川に行くって書いてたのよ。あの、嘉市さんとこにって」

富子「そしたら、滝川に連絡して、ここにいること分かるんだろ?」

蝶子「連絡つけられないのかもしれない」

戸惑う富子とみさ。

蝶子「私、東京に行ってこようかな? 東京の様子も見てきたいし、あ、洗足のうちが、もし残ってたら帰れるじゃない!」

 

倉庫

泰輔「そりゃ、まだ危ないよ、チョッちゃん。『東京どうなってるか分からない』って言うだろ?」

蝶子「けど、要さん、帰ってきてるかもしれないし」

泰輔「気持ちは分かるけど、今は危険だよ」

蝶子「いや、けど…」

泰輔「待つんだよ! 今は待つんだよ」

 

富子「どうだった?」

泰輔「…あ?」

富子「仕事」

泰輔「ないね…」

富子「本当に探したの?」

泰輔「あ…足が棒だよ。あ、イテテテッ、ああ~」

 

富子「私もね、2~3、聞いてはみたんだけど『リンゴの取り入れまで手は要らない』って」

泰輔「洋裁の方、お客さん、どうだ?」

首を横に振る蝶子。

 

⚟︎汽車の走行音

 

外に出た蝶子が自分が掲げた看板を見つめ、駅から出てくる復員兵を見かけた。

 

⚟︎汽笛

 

蝶子「あの…復員していらしたんですか?」

復員兵A「はあ」

蝶子「あ、ご苦労さまです。どこから?」

復員兵A「南方です」

蝶子「…ああ」

 

復員兵A「何か?」

蝶子「東京へ寄ってから?」

復員兵A「通過しただけだすけ…」

 

復員兵B「自分は東京にいました。東京さ、2日いました」

蝶子「そうですか」

 

復員兵A「せば、自分は」

去っていく復員兵に頭を下げる蝶子。

 

ベンチ?に座る復員兵B。こちらの方が月曜日のキャストクレジットで方言指導に名前のあった十日市秀悦さんだと思います。

 

蝶子「で、東京どうでした?」

復員兵B「焼け野原です。ず~っと野っ原」

蝶子「洗足の方は?」

復員兵B「洗足っていえば?」

蝶子「あの五反田から西の方へ行ったとこなんですけれど」

復員兵B「おら、東京、よく知らねえすけ」

小さくうなずいて下を向く蝶子。

 

復員兵B「あんだ、東京の人?」

蝶子「はい」

復員兵B「今、戻ってもしょうがねえなす」

蝶子「そうですか…」

 

復員兵B「疎開ですか?」

蝶子「はい…。戦地はどこだったんですか?」

復員兵B「大陸です」

蝶子「岩崎要という者をご存じじゃないですか?」

復員兵B「いや~」首をひねる。「旦那さんですか?」

うなずく蝶子。「大陸へ行ったもんですから」

復員兵B「大陸は広いがら」

うなずく蝶子。

復員兵B「んだば」駅の方へ歩いていく。

頭を下げて見送る蝶子。

 

最初の復員兵の人は駅から出てきて、今の復員兵は駅に向かってたのね。

 

常子「岩崎さん!」風呂敷包みを持ち、笑顔で頭を下げた。

 

倉庫

野菜と米を持ってきた常子。「困ってると思ってなす」

蝶子「いいの?」

常子「うん、いいすけ、いいすけ」

蝶子「…すいません」

 

常子「んだども、ただでねえよ」

蝶子「!?」

常子「おらの洋服、作ってもらいてんだ」

蝶子「そりゃ!」

常子「洋裁の看板も出てるし、うん、ちょうどいがった。うん」

 

蝶子「常子さんが初めてのお客さん」

常子「あれ、んだのが?」

蝶子「うん、なかなか、お客さん来ないの」

常子「あ、心配ねえ、心配ねえ。おらがあっちゃこっちゃ宣伝してやるすけ!」

蝶子「ありがとう」

 

<泰輔さんにも富子さんにも仕事はなく、チョッちゃんの洋裁の仕事が唯一の希望でした。お客さん、来るといいね、チョッちゃん>(つづく)

 

常子さん、蝶子に洋裁習ってたけど、あえて依頼したのかな? 優しいねえ。