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ドラマの感想など

【ネタバレ】チョッちゃん(142)―連続テレビ小説―

NHK 1987年9月17日(木)

 

あらすじ

戦争は終わり、同時に蝶子(古村比呂)は仕事を失った。着物を農作物に替えてもらって家に帰ると、加津子(藤重麻奈美)が仲良くなったという光代(清水愛)を連れて帰って来ていた。光代は旅回りの役者の子役で、後日、加津子と俊継(服部賢悟)を連れて農家を回っていると、光代のテントの傍を通る。座長の馬之助(加藤武)に中で見ていけと言われて見ていると、熱で倒れた光代の代わりに出てくれと加津子が頼まれて…。

2025.9.25 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色

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北山みさ:由紀さおり

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市川馬之助:加藤武

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岩崎加津子:藤重麻奈美

岩崎俊継:服部賢悟

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大久保千代:溝口貴子

大久保光代:清水愛

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座員:笠井心

   三谷侑未

   小山昌幸

   大館光心

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座員:大川銀二

   長坂しほり

主婦:高橋幸子

   田村久美子

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舞台指導:乾譲

鳳プロ

劇団いろは

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野々村富子:佐藤オリエ

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野々村泰輔:前田吟

 

<8月15日、戦争は終わりました>

 

農家の縁側で着物を見せる蝶子。「あの~、これで野菜と米、分けてくださいませんか?」

主婦「ちょっと待ってなせえ」奥へ。

 

<収入の道のなくなったチョッちゃんは着物などを野菜や米に換える生活を、これまで以上に強いられることになりました>

 

リンゴ小屋

庭で遊ぶ加津子たち。

加津子「跳べた、跳べた。もうちょっと高くして」

 

蝶子「ただいま!」

加津子「お帰り!」

俊継「お帰り!」蝶子に抱きつく。

蝶子「ん? フフン」

 

光代「…こんにちは」

蝶子「はい、こんにちは」

加津子「集会所の近くで遊んでたらね、お友達になったの」

蝶子「そう」

光代「大久保光代です」

 

なんかこう気になる名前?と思ったら、大久保佳代子さんと光浦靖子さんが合わさったような名前だからだな!

 

蝶子「光代ちゃん?」

俊継「子役なんだよね」

うなずく光代。

蝶子「ん?」

加津子「集会所に来てる芝居に出てるんだって」

蝶子「あ、芝居の」

光代「はい」

 

俊継「僕ね、チョンマゲも刀も見せてもらったんだ」

蝶子「へえ、よかったね。あ、光代ちゃん、友達になってくれて、どうもありがとう」

はにかむ光代。

 

また別の農家に行った蝶子。「着物で野菜と交換してもらえませんか?」

主婦「いや~、いいです」

 

リンゴ小屋

お皿の上に乗るジャガイモ2個。蝶子たちは茹でたジャガイモを頬張る。

富子「すまないねえ」

蝶子「おばさん、また」

富子「チョッちゃん一人におんぶしちゃって」

蝶子「大丈夫、大丈夫。私がいるかぎり、大船に乗ったつもりでいてよ。うん?」

 

みさ「着物もまだあるし」

富子「義姉(ねえ)さん…すいません」

みさ「なんも。ね!」

富子「けどね、着物でもお米に換えてくれなくなると大変だよ」

蝶子「うん」

 

加津子「今度から加津子もついていこうか?」

蝶子「着物売りに?」

加津子「うん」

蝶子「いや、加津(かっ)ちゃん、ついてきたって」

 

加津子「けど、光(みっ)ちゃん言ってたわよ。『子供が一緒だと、相手の人、同情して、すぐ換えてくれたり余計くれたりする』って」

富子「光ちゃんって?」

蝶子「ああ、今、集会所に来てる旅芝居の女の子」

 

泰輔「さすが役者だね。ちゃんとツボ心得てるよ。ハハハハハッ」

富子「人のことばっかり感心してないで、あんたも私ら感心させたらどうなの!」

 

加津子「ね? お母さん」

蝶子「あなたたちにそんなことさせられないわよ」

 

しかし、次の場面では

加津子・俊継「わあ~、すごい!」

農家に連れていってる! かごに入ったジャガイモ、袋に米を入れている女性。縁側に座る年配男性。

 

<しかし、いつもうまくいくとはかぎりません>

 

蝶子「ありがとうございます」

 

別の場所では、家の陰で待っている加津子と俊継の前に蝶子が現れた。

加津子「また、ダメ?」

蝶子「よそからも人いっぱい来てて、『着物と交換に』って、野菜と米、欲しがってるみたいなのよ」

加津子「ふ~ん」

俊継「おなか、すいた」

蝶子「行こう!」

 

のぼりがたくさん立った集会所まで歩いてきた蝶子たち。

加津子「光代さん、ここにいるのよ」

蝶子「はあ~。ちょっと休もう」

加津子「うん」

蝶子「ね」

 

外の石段で休む蝶子。加津子たちは集会所に入っていった。

 

座員・男「『やいやい、てめえ、よくも足を踏みやがったな』」

馬之助「違う違う、違うよ! お前さん、1人ですごんでるだけで、な! 相手をもっと脅かすようにだ、脅かすように」

 

石段に座って汗を拭く蝶子。

俊継「お母さん!」

 

⚟︎座員・男「『やいやい、てめえ、よくも人の足を踏みやがったな』」

⚟︎座員・女「『きゃ~』」

 

俊継に手招きされて、集会所に行く蝶子。

 

⚟︎座員・男「『フフフフ、ハハハハ。バカ野郎が!』」

 

集会所

加津子、蝶子、俊継で並んで芝居稽古を見学。

 

座員・男「『うるせえやい、この、おとしめえ、どうつけてくれるんでえ!』」

座員・女「『おとしまえとは?』」

 

蝶子「光代ちゃんは?」

加津子「いない」

蝶子「そう」

 

馬之助が振り向いて蝶子たちを見た。

女「あら~、光代のお友達じゃないの」団扇で口を隠して、馬之助に何か話している。

馬之助「うん…へえ~」立ち上がり、蝶子たちの方へ。「おう、ここは暑いから、さ、中へ入んな」

俊継「本当?」

馬之助「ああ、いいよ」

蝶子「じゃ、遠慮なく」

馬之助「さあ、おいで」

 

蝶子たちは靴を脱いで集会所の中へ入る。

 

馬之助「さあ、それじゃ、今までのとこ、ザッと一とおりやってみな」

一同「はい!」

馬之助「はい!」

 

座員・男「『やいやい、てめえ、よくも足を踏みやがったな。バカ野郎が!』」

座員・男「『と…と…とんだ粗相をばいたしました。どうぞ、どうぞ、お許しを!』」

座員・男「『うるせえやい! このおとしめえ、どうつけてくれるんでえ!』」

座員・女「『おとしまえとは?』」

座員・男「『おう!』」

座員・女「『きゃ~!』」

 

馬之助「うちの光代のお友達だって?」

蝶子「はい。あの、この子が」加津子の肩に手を置く。

馬之助「ハハハハッ、そうだろうな」

加津子「あの~」

馬之助「うん?」

加津子「光代さんは?」

馬之助「え? 光代はどうした?」舞台に向かって言う。

 

座員・男「『光代は!』」

馬之助「バカ、セリフじゃねえよ!」

座員・男「『あっ』」

 

千代「すいません、座長。光代、今日は立てそうもないんですよ」

馬之助「どうしたんだ?」

千代「熱出して今朝から寝込んでるんです」

馬之助「じゃ、芝居は、どうするんだよ」

千代「すいません!」

馬之助「すいませんじゃ困るんだよ。お~、おいおい。この芝居はな、子役がいなきゃ、お前、できねえじゃねえか。そうだろう?」立ち上がる。「いたぶられている夫婦者のそばを、そのいたいけな巡礼娘が通りかからなきゃ、話の筋は進まねえんだよ! 『巡礼にご報謝』とやらなきゃ!」

 

柝(き)の音

拍子木の音【効果音】

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おお! こんな効果音もあるんだね。

 

柝(き)の音をきっかけに一人芝居モードに入る馬之助。

 

♬~(笛)

 

馬之助「今度はな、その巡礼娘が地回りにからかわれてな、倒れた時に頭からポロッと赤い櫛が落ちるんだ」

 

舞台上の座員たちはリラックスムード。

 

馬之助「その櫛はな、おとっつぁんと自分を捨ててったおっかさんの櫛だ。それを見たお伊勢参りの片割れの女が『ああ、その櫛は!』と声に出かかるんだが、口に出すことはできねえ。ま、やがてな、やっと地回りから抜け出した夫婦者は、ここで改めて巡礼娘と話をするんだ。『これこれ、お前の名は、なんとお言いやる?』『あいあい、つると申します』『して、そなたの親は?』『あいあい、ととさんは去年死に、かかさんは10年前にどこかへ行ってしまいました』『その母の名はえ?』『あいあい、しづと申します』『おお、我が子じゃ、我が子じゃ!』と、思わず叫びそうになったが、声にすることはできねえ。そりゃあ、そうだ、なあ! 今の連れ合いに昔のことは何にも話しちゃいなかったんだ。そこでな、この、かええそうな母と子は互いに名乗り合うこともできずに…西と東に離れ離れになってゆくんだ」

拍子木の音

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柝(き)の音

 

立ち上がって拍手する蝶子。舞台上の座員たちは笠であおいだりしている。

蝶子「あ…」

馬之助「だから!」舞台の方を向く。

座員たち「はい!」慌てて立ち上がる。

馬之助「だから、子役がいなきゃ、この芝居はできねえじゃないか! 子役で客を呼ぶんだ。客を呼んで、泣かせるんだ! 泣かして、おあしを頂くんだよ! え、子役がいなきゃ、お前、芝居の筋立てもへったくれもねえじゃねえかよ、おい! どっかにいねえのかよ? 光代の代わりになる子供はいねえ…」ハッと気づき、蝶子たちの前に正座する。「ひとつ、お願いがございます」

蝶子「は?」

 

馬之助「今夜の芝居に出ていただけやすか?」

蝶子「いや、芝居は私、女学校以来してなくて…」

馬之助「いえいえ、そうじゃねえんで。あの、お嬢ちゃんの方なんで」

蝶子「あっ、子役でしたね…」

 

馬之助「どうです? お嬢ちゃん」

蝶子の顔を見る加津子。

蝶子「いや、どうしようね?」

馬之助「お願(ねげ)えします!」

 

蝶子「芝居、できないよね?」

加津子「学校でやった」

馬之助「おっ! だったらできる! うん!」

蝶子「しかしねえ?」

加津子「おしろいも塗るの?」

馬之助「う~ん、口紅もさすんだよ」

加津子「カツラもつける?」

馬之助「つける、つける!」

 

蝶子「やるの?」

加津子「うん!」

 

馬之助「おっかさん、許してやっておくんなせえ」

蝶子「はい」

馬之助「よし、決まった! さ、稽古だ! 子役が決まれば、もうしめたもんだ! さあさあ、もういっぺん、はなっからやろうじゃねえか!」

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加藤武さんと言えば「よし! 分かった!」だよね~。

 

加津子はニコニコ。前の加津ちゃんは和風な顔立ち、今の加津ちゃんは、ちょっと洋風な感じだね。

 

集会所にはたくさんの人が集まる。みさ、蝶子、富子、泰輔、泰輔の膝の上にいる俊継がハラハラしながら芝居を見守る。

座員・女「『して、巡礼、母の名は?』」

加津子「『あいあい、かかさんの名は、しづと申しまする』」

座員・女「『しづ!』」

座員・男「『どうしたのだ、おまき?』」

座員・女「『な、何も。して、お前は、これからどこへ?』」

加津子「『あいあい、かかさんを捜しに江戸へ参りまする』」

座員・女「『江戸へ~?』」

座員・男「『さあ、おまき、先を急ごう』」

座員・女「『は、はい』」

加津子「『巡礼にご報謝』」

座員・女「『おつる!』」

加津子「『え?』」

 

柝(き)の音

 

座員・女「『お気を付けてねえ』」

加津子「『あいあい』」

 

客席から「日本一!」という声が飛ぶ。拍手と歓声。みさは涙を拭き、富子は笑顔で拍手する。舞台におひねりが飛ぶ。

 

柝(き)の音と拍手の中、幕が閉じた。

 

集会所

おにぎりや、ジャガイモ、魚などがたくさん並んでいて、旅芸人の宴会の場に蝶子たちも呼ばれていた。

 

馬之助「なあ、このお嬢ちゃん、素人とは思えねえよな!」

泰輔「いやいや、いやいや、叔父さんね、加津ちゃんに泣かされちゃったよ!」

富子「何しろね、加津ちゃんが物心ついた頃には周りに映画の女優や噺家や浅草辺りでね、芝居やってる連中がいましてね」

馬之助「なるほどねえ」

座員・女「さあさあさあ、遠慮しないで食べてくださいよ!」

泰輔「いただきますよ! いただきます」

 

みさ「ねえ、芝居見られて、その上、ごはんまでごちそうになって何だか夢みたいだね」

泰輔「酒もな、姉ちゃん! ハハハッ!」

富子「ありがたいねえ」

 

馬之助「そうだ。光代がまたダメなようなら、ね、明日もお嬢ちゃんお願いしますよ」

蝶子「はい!」

馬之助「おお、出てくださる? よかったよ、ハハハッ!」

 

⚟︎宴席のざわめき

 

加津子は光代を見舞っていた。「大丈夫?」

光代「ありがとう」

加津子が光代のおでこに手を当て、自分のおでこにも当ててみる。

光代「私の代役、ありがとう」

加津子「面白かった」

光代「上手だってねえ」

加津子「どうかなあ」

 

集会所

蝶子「母さん、滝川にも芝居小屋、あったよねえ」

みさ「え~と、戎座(えびすざ)だ!」

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蝶子「そうそう! 見に行きたかったけど、父さん、許してくれなかったんだ」

みさ「そうだねえ」

富子「チョッちゃんも好きだったんだ」

蝶子「女学校では私がいつも主役だったのよ」

富子「あら~!」

泰輔「加津ちゃん、そこに似たんだな」

 

馬之助「じゃあ、お母さんにも芝居に出てもらいましょうか?」

「お、そら、いい!」←座員の男性かな?

馬之助「冗談、冗談、ハハハハッ!」

一同の笑い声

 

おにぎりを食べながらちょっと不満気な表情の蝶子。

 

<出てもいいなとチョッちゃんは思っていたのに…>(つづく)

 

蝶子のこういう素直なところが変わってなくていい。

 

加藤武さんがスーツ着てない役、珍しい気がした。大体、刑事とかだし。珍しい戦後のスタートのしかただな。