NHK 1987年8月28日(金)
あらすじ
要(世良公則)が音吉(片岡鶴太郎)や清郎(笹野高史)たちに見送られて出征する。最初の晩は、蝶子(古村比呂)たちは泰輔(前田吟)の家に泊めてもらい、夜泣いていたところを加津子(藤重麻奈美)に見つかる。初めての面会日、蝶子たちは要に会いに行き、16日3時に品川駅から戦地に向かう、と言われる。その日に品川駅に向かった蝶子たちは、向かいのホームに要を見つけ、要もヴァイオリンの格好で、気づいたと合図する。
2025.9.5 NHKBS録画
脚本:金子成人
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音楽:坂田晃一
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語り:西田敏行
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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色
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岩崎要:世良公則
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国松連平:春風亭小朝
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中山音吉:片岡鶴太郎
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大川邦子:宮崎萬純
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中山はる:曽川留三子
岩崎加津子:藤重麻奈美
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神谷安乃:貝ますみ
岩崎俊継:服部賢悟
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鳳プロ
早川プロ
劇団いろは
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神谷容(いるる):役所広司
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野々村富子:佐藤オリエ
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野々村泰輔:前田吟
要の見送りに来た人々が「出征兵士を送る歌」を歌う。
♬わが大君に 召されたる
生命(いのち)栄光(はえ)ある
最初のレコードはキングレコードの人気歌手を総動員したから、こんな人数なのね。
こっちが戦後バージョン。林伊佐緒さんは歌手でもあり、この歌の作曲家でもある。戦後にも軍事歌謡が改めて発売されるなんて人気あったんだね。
<召集令状に応じて、この朝、要さんは我が家を去ろうとしています>
♬讃えて送る 一億の
歓呼は高く 天を衝(つ)く
いざ征(ゆ)け つわもの 日本男児!
軍服姿の要が神妙に聴いている。多分、軍帽かぶってて、襟足など短くなってるけど、カツラだろうな。タスキが赤いのは日の丸の旗の赤い所なんだよね。「マー姉ちゃん」だったか? あれが寄せ書きなどを描いた日の丸の旗だと分かった。
要「皆さん、ありがとうございました」
音吉「岩崎要さん、万歳!」
一同「万歳!」
音吉「万歳!」
一同「万歳!」
音吉「万歳!」
一同「万歳!」
蝶子は加津子、俊継と見守っている。
要「ありがとうございました」
富子「元気でね」
要「あとのこと、よろしく」
富子「分かってる」
邦子「お元気で」
要「時々、遊びに来てやってね」
邦子「はい」
富子「うちのも神谷先生もあいにく徴用なもんで」
要「うん」
安乃「『くれぐれもお元気で』って言ってました」
要「神谷さんにもよろしくね」
安乃「はい」
無言で握手する坂上。
連平「あたしも多分、すぐにあとを追いかけることになると思うから」
要「できればね、そんなことは、ない方がいいんだよ」
連平「向こうで一緒になったら、よろしくね」
要「うん。音吉さん、はるさん」
音吉「武運を祈ってます」
要「うちのこと、よろしく」
はる「お気を付けて」
要が加津子、俊継の頭に手を乗せる。「ここでいいよ。なにも駅まで来ることはない」
富子「けど…」
要「皆さんもここで」
連平「分かったよ」
要「じゃ、行ってくる」また加津子と俊継の頭に手を置く。
うなずく蝶子。
要「行ってきます」
歩き出した要の背後で坂上がトランペットを吹く。
加津子「お父さん!」
俊継「お父さん!」
要は蝶子たちの前から去っていった。
「岸壁の母」でしょっちゅう、いせが「出征兵士を送る歌」を歌いながら歩く集団とすれ違ってたけど、駅までの見送りだったんだな~。
坂上さんがトランペットで吹いてたのはメンデルスゾーンの「春の歌」。美しい曲。
カフェ泉が泰輔の所有になった時のパーティーで要、連平、坂上で演奏してた。
蝶子「中でお茶でも」
坂上「私は、ここで」
こうやって出演者みんなが立ってると、連平さんデカい…と前も言った(-_-;)
夜、野々村家
泰輔「こうなったらさ、残ったもん同士で身を寄せ合っていくしかないな」
蝶子「昼間、邦ちゃんとも、そう話し合ったとこ」
泰輔「そう、うん」
安乃がお茶を運んでテーブルに置く。
神谷「そういうことなら、私も安心して行けるわ」加津子、俊継とあやとりしてる。
富子「先生にも来るかねえ」
神谷「来ないとは限らないっしょ?」
富子「そうかねえ」
神谷「45歳までは引っ張るっちゅうから」
蝶子「叔父さんは大丈夫よね?」
泰輔「ん? アハハ、まあな、ハハハ」
安乃「私は…覚悟してますから」
うなずく神谷先生。
富子「戦争…いつまで続くのかねえ」
「おやじ太鼓」の鶴亀次郎は終戦時38歳だけど、あんなに体が大きくて丈夫そうな人が戦争には行ってる描写はなかったな。友達のイッちゃんが死んだのも徴用の時の空襲だったし。
寝間着姿のまま起きて、庭を見ている蝶子と加津子。
蝶子「お父さん、みんなのこと大好きだったから、離れ離れになって、さみしくて眠れないかもしれないね」
加津子「お母さんも?」
泣きだす蝶子。
加津子「けど泣かないで。お母さん泣いたら、加津子も泣いちゃうから」
蝶子「ごめん。…泣いたら、お父さん心配するね」
加津子「加津子も心配する」
うなずく蝶子。「もう泣かない。お母さん、泣かないから」
うなずく加津子。
バケツリレーする女性たち。「はい!」
音吉「緊張感を持って! ホントの空襲と思え! いいな! よし」
はる「あ…」水の入ったバケツを落としてしまう。
音吉「こら、何やってんだ!」
はる「すいません!」
音吉「緊張感がないからこういうことになるんだ! ちゃんと持って!」
岩崎家茶の間
安乃「これでどうですか?」出来上がったモンペを見せる。
蝶子「いや、いいわ!」
邦子「うわ~! 安乃ちゃん、なかなかやるのね」
安乃「そんなことないです」
邦子「いやいや、大した器用だわ」
蝶子「いや~、久しぶりに北海道弁」
邦子「アハハ、そうだね」
蝶子「あ、考えてみたら、私たち3人、滝川育ちだもね」
安乃「ああ…はい!」
邦子「なんも、考えなくてもそうだ」
蝶子「いやいやいや」
3人の笑い声
音吉「にぎやかだねえ」
蝶子「いらっしゃい!」
はる「こんにちは」
邦子「こんにちは」
はる「何してるの?」
音吉「見りゃ分かるだろ、お前、裁縫だよ」
はる「うるさいねえ」
音吉たちのいる縁側に出てくる蝶子たち。
蝶子「着物なんかね、いつ着られるか分からないから、どんどん作り替えることにしたの」
邦子「上着とかモンペ」
はる「あ、そう!」
安乃「帽子や足袋も作るんですよ」
はる「ふ~ん」
蝶子「夫がいなくなったからって、いつまでもしょげててもしかたないから、こう、何かに熱中することにしたの。ね!」
邦子「そう!」
音吉「うん、そりゃ、いいこった! へえ!」
茶の間に戻る蝶子たち。
はるも茶の間に入ってくる。「何だか女学校みたいだね」
音吉「お前、女学校行ったのかよ」
はる「行きゃしないけど、こんなもんだろうなって」
邦子「そう、こんなもんよ」
蝶子「私とね、邦ちゃんは女学校の寄宿舎が同じ部屋だったのよ。4人部屋でね。でも、休みの日なんか、こうやっていつもわいわいやってたものね」
邦子「そうだね」
はる「わあ~、私も仲間に入りたいな!」
蝶子「どうぞ、どうぞ。私たち、時々、こうやって集まることにしたから」
はる「入れてくれる?」
邦子「どうぞどうぞ」
蝶子「あ、音吉さんもどうぞ」
音吉「俺? 俺?…いいの? そう。へえ~」
一緒になって着物を見ていると、蝶子たちに笑われた。
字幕に出てないけど、はるが音吉に「バカ!」って言ってる。
音吉「冗談か? 冗談か…」
訓練では厳しい音吉が普段は笑ってる蝶子たちをとがめるでもなく仲間に入ろうとするのがいいよね~。「岸壁の母」の組長とかすごい厳しかったからね。
<チョッちゃんたちは今日、要さんに会いに行くんです。そう、初めての面会日なんです>
蝶子は戸締りをし、加津子、俊継と出かけた。
兵舎
外で各家庭がピクニック状態で面会している。
「おしん」でもあったね。お重いっぱいのおはぎを持ってね!
セットの感じがこの映画の感じに似てるな。この映画では営庭(えいてい)って言ってた。
蝶子たちが要を捜す。赤ちゃんの泣き声が聴こえたり、たくさんの家族がいる。
俊継「いた! お父さん、ここだよ」
要も蝶子たちを見つけた。
蝶子「お父さんよ」
加津子・俊継「お父さん!」
要「(子供たちに)ハハハ、よく来たね! よく来た! (蝶子に)よく来たね」
蝶子「変わりない?」
要「うん。このとおりだよ」せきばらいして全身を見せる。「どうだ?」
加津子「お父さん、変な格好」
俊継「変な格好」
要はシーッと指を口に当てる。「ハハハハハ…」
聞かれたらヤバいよね。
要「家の方は、どうだね?」
蝶子「大丈夫。邦ちゃんがね、よく顔出してくれたり、安乃ちゃんやお向かいも気にしてくれてる。時々ね、女たちで集まって裁縫やったり、料理作り合ったりすることにしてるの」
要「うん」
蝶子「だから、もう大丈夫。心配しないで」
うなずく要。しゃがんで子供たちと目線を合わせる。「2人とも、お母さんの言うことをちゃんと聞いてるか?」
俊継「はい」
加津子「ねえ、お父さん」
要「ん?」
加津子「うちを出た日の夜、ちゃんと眠れた?」
要「眠れなかった」
蝶子に笑いかける加津子。
要「アハハ、何だ?」
加津子「加津子も眠れなかったのよ」
要「そうか」
加津子「お母さんも」
うなずく蝶子。
俊継「僕も」
うなずく要。
加津子「俊ちゃんはね、グーグー寝てた」
俊継「起きてた!」
加津子「寝てた!」
要「分かった、分かった。俊ちゃんは寝てしまうまでは、ちゃんと起きてたんだろ?」
俊継「うん」
要「うん。ハハハハ!」俊継の頭をなでなで。
加津子「加津子にも」
要「うん。よしよし」立ち上がって加津子の頭をなで、蝶子を見る。「戦地行きがね、決まったんだよ。16日の3時。品川駅だ」
入営したのが9月だとして、昭和19年10月16日かな? 月曜日。先勝。
沢山の人でごった返す品川駅。軍服姿の人を見かけて話しかける蝶子。「あ、すいません! 麻布の連隊の汽車はどれでしょうか?」
男性「ああ、多分、向こうだよ」
駅のホームの向こうに今にも発車しそうな列車がいた。発車ベルが鳴る。
蝶子「あの汽車よ!」俊継を抱き上げる。
加津子「お母さん、あれ! あの車両の左から3番目。扇子、動いてるでしょ?」
蝶子「うん、うん!」
加津子「お父さん、あんな扇子持ってた! あの人、お父さんよ!」
俊継「お父さ~ん!」
加津子「お父さ~ん!」
汽車の中で日の丸の扇子であおいでいる男性が今までより早く扇子を動かした。
加津子「合図した!」
手を振る蝶子たち。
発車ベルの中、日よけシェードを下げ、汽車が走り出した。
加津子「元気でね!」
俊継「さようなら! 行っちゃった」
蝶子「帰ろう」歩き出すと、加津子がホームを指さした。
蝶子「ん?」
ホームで兵隊たちが整列していた。蝶子たちに気付いた要が小さく手を振る。蝶子たちが手を振り返すと、要はバイオリンを弾く格好をした。うなずく蝶子と要。
さっきのは人違いだったのね。日の丸扇子なら誰でも持ってそう。
汽車が到着し、要の姿が見えなくなった。
加津子「会えて、よかったね」
<ホントによかった>
うなずく蝶子と俊継。
岩崎家
バイオリンのアップ
蝶子「違う。もう一度」
譜面台の前に立ってバイオリンを弾いている俊継。
蝶子が俊継の前に正座し、繕い物をして、耳だけで聴いている。
バイオリンを弾く俊継。
蝶子「もう一度」
バイオリンを弾く俊継。
蝶子「そんな音出してたら、お父さんに叱られるわよ」
俊継「ホントにお父さん、お母さんに『教えるように』って言ったの?」
蝶子「そうよ。この前、品川駅でお父さんバイオリン弾く格好するの見たでしょ?」
俊継「見たけど」
蝶子「あれは、そういうことなの」
俊継「お母さん、バイオリン弾けないのに?」
蝶子「弾けなくてもね、よい音か、よくない音かは分かるの。うん…ファ!」
俊継がバイオリンを弾く。
蝶子「ファ!」
俊継がバイオリンを弾く。
蝶子「もう一度!」
俊継がバイオリンを弾く。
蝶子「もう一度!」
調子外れなバイオリンの音←と字幕に出ていた。
<要さんは既に日本にはいません。子供2人抱えて大丈夫だよね? チョッちゃん>(つづく)
ちょっとスパルタになったチョッちゃん。女学校時代と同様、昭和19年はじっくり描くね。
旧ツイッターでいいドラマだから地上波で!っての分かるけど、「純ちゃんの応援歌」みたいないいドラマも休止が多かったからねえ…ま、あの時はNHKプラスで配信があったのはありがたかったけど、やっぱり毎日放送できる枠でやってほしいよ。

