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【ネタバレ】チョッちゃん(121)―連続テレビ小説―

NHK 1987年8月24日(月)

 

あらすじ

雅紀(相原千興)は入院して2日経ったが、日に日に衰弱していくようだった。泰輔(前田吟)や神谷(役所広司)も心配で見舞いに来る。蝶子(古村比呂)と要(世良公則)は、黒木医師(大門正明)から、雅紀は敗血症と説明され、要が治るのかと聞いても、答えは歯切れが悪い。みさ(由紀さおり)からそのことを伝え聞いた俊道(佐藤慶)も、敗血症と聞いて、顔色が変わる。雅紀は要に、ヴァイオリンを持ってきて、と頼み…。

2025.9.1 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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演奏:新室内楽協会

テーマ演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

指揮:円光寺雅彦

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考証:小野一成

医事指導:白石幸治郎

タイトル画:安野光雅

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バイオリン指導:磯恒男

        黒柳紀明

方言指導:曽川留三子

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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色

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岩崎要:世良公則

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北山みさ:由紀さおり

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黒木医師:大門正明

中山はる:曽川留三子

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岩崎加津子:藤重麻奈美

岩崎雅紀(まさのり):相原千興

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横山里子:吉田やすこ

岩崎俊継:服部賢悟

鳳プロ

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神谷容(いるる):役所広司

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野々村泰輔:前田吟

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北山俊道:佐藤慶

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制作:小林猛

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演出:富沢正幸

 

<雅紀君が入院して2日がたちました。容体は回復するどころか日に日に衰弱していくようなんです>

 

ノックし、要と神谷先生、泰輔が入って来た。

要「今、表で一緒になってね」

神谷「いやいや、お見舞い遅くなって」

蝶子「いいえ」

泰輔「どうなんだい?」

蝶子「はっきりしなくて…」

 

泰輔「そいつはいかんな…」雅紀の枕元に座る。

要「敗血症の疑いがあるとかで」

泰輔「何だい? そりゃ」

要「ちょっとやっかいらしいんです」

神谷「どういうふうに?」

蝶子「それもはっきりしなくて」

泰輔がおでこの手拭いを取って、雅紀の顔を見る。

 

蝶子「あ、先生」

神谷「うん?」

蝶子「安乃ちゃんがうちの方のことやってくれてるそうで」

神谷「なんも。気にすることない」

要「どうもすいません」

神谷「いや、ホント、気にせんで」

 

ノック

蝶子「はい」

黒木「あ」

泰輔「お! また、先生」

黒木「はい」

神谷「その節は」

 

黒木「加津子ちゃんに聞くところによりますと、何ですか、神谷さんは安乃さんと結婚なさったとか」

神谷「はい」

里子「栄養不良で倒れたのがきっかけだったそうで」

神谷「いえいえ…」

黒木「今度は大丈夫でしょうね?」

泰輔「大丈夫ですよ。世話女房、ついてますから。ハハハ」

黒木「なるほど」

 

雅紀の診察をする黒木医師。雅紀の腕には赤い斑点が出ていた。

 

小兒科

第二診察室

 

要「敗血症といいますと?」

黒木「体の中のどこかに細菌に感染した病巣があるんですよ。その菌が血流中に侵入して、血液ってのは循環しますからね、体全体に感染していくわけです」

うなずく要。

黒木「これはまあ、ほかの人にうつるというようなことはありません。体全体に及ぶ感染症ですから症状もさまざまで、いろいろな症状を示します」

 

要「治るんですか?」

要と蝶子の顔を見て下を向く黒木。「敗血症を起こすもとになっている感染病巣をまず見つけだして、これを注射などで殺しながら手術で処置していくということも…」

要「いや、雅紀が治るのかどうか、それを伺ってるんですよ」

カルテを見る黒木医師。

 

蝶子「先生」

黒木「細菌性心内膜炎を引き起こさなければ…ま、つまり…血流中の菌が心臓に入って弁膜を侵すと、ちょっとやっかいなことに…もちろんそうならないように全力を尽くします。少しでも早く病巣を見つけて病原菌を殺すことに…」

蝶子「そうすると…」

黒木「はい」

蝶子「心臓に菌が入るともうダメだということですか?」

 

黒木「いや…そうとばかりは…。その公算が大ということでして。でも、今、そのことを考えるのは…」

蝶子「ですけど!」立ち上がる。

要「蝶子! 蝶子!」立ち上がって、蝶子を両腕を押さえて止めた。

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前と逆のシチュエーションだね。

 

蝶子「先生…助けてくださいね」

黒木「全力を尽くします」

 

病室に戻ると、泰輔、神谷先生、加津子がいた。

泰輔「どうした?」

要「やはり敗血症だと」

泰輔「何だ? それは」

要「やっかいらしいんですよ」

 

枕元で手拭いを換えていた加津子が雅紀の顔をじっと見る。

 

神谷「やっかいっていうと?」

泰輔「治らないってことか?」

神谷「長引くってことかい?」

答えられない蝶子と要。

泰輔「ハ…ハハ、大丈夫だよ! 大丈夫!」

要「しかし…。俺たちはどうしてこんな目に遭うんだろうね。3年前が加津子で今度は…」

 

岩崎家

要「いつもすみませんね」

はるが給仕をしている。「蝶子さんの方の食事は?」

要「うん、安乃ちゃんがね、帰りに届けてくれたから」

はる「そう。…はい」加津子に箸を渡す。

 

病室

雅紀の枕元でおにぎりを頬張る蝶子だったが、食べるのをやめ、雅紀の手を握る。

 

野々村家

電話をかける泰輔。「もしもし? もしもし? 姉ちゃんか? 俺だよ、泰輔だ」

 

北山家

みさ「いや、雅紀ちゃんがかい? いやいや…そうかい。はあ…いやいや、ゆるくないねえ」

 

茶の間

みさ「お父さん! なしたの?」

あおむけに寝ている俊道。「ちょっと体、だるいんだわ」

みさ「いやいや。そういえば最近、食欲ないんでないですか?」

俊道「腹張ってる感じするんだ」

みさ「具合悪いんかい?」

 

俊道「電話の音、したんでないかい?」

みさ「東京から」

俊道「蝶子かい?」

首を横に振るみさ。「泰輔から。蝶ちゃんとこの雅紀ちゃん、入院したって」

 

体を起こす俊道。「入院ってかい?」

みさ「はい」

俊道「病気かい?」

みさ「ハイケツ症とかいうらしいんだ」

俊道「確かかい?」

うなずくみさ。

 

俊道は腹をさする。

みさ「痛いんかい?」

俊道「なんも」

みさ「その…ハイケツ症っちゅうんは、どんな?」

俊道「うん…」

みさ「よくない病気かい?」

 

俊道「どんな様子か聞いたんかい?」

みさ「なんも…ただ入院したっちゅうことだけ」

俊道「なして聞かん! そういう時は、どんな様子か聞くもんだ」

みさ「したけど、泰輔にもはっきりしたこと分からないらしくて」

 

立ち上がった俊道は棚から医学書を取り出し、眼鏡をかけて本を開く。

みさ「あの…」

俊道「大事にならんきゃいいが…」

 

医学書のアップ

 

    〔二十〕敗血膿毒症

定義本病ハ醸膿菌若シクバ腐敗菌ノ作用ニ依リ…

形成シ重篤ナル熱性全身症候ヲ招來スル所ノ急…

原因本病ノ病原素ハ主トシテ醸膿性…

又往々肺炎球菌・淋毒菌・普通大腸菌モ本病ヲ…

…ルヤ、其細菌毒素ノ强弱及患者自己ノ身…

………………ノ症状ヲ呈スルモノニシテ、コレ…

 

病室

目を覚ました雅紀を蝶子、要が笑顔で見ている。

要「気分、どうだ?」

雅紀「今日は、いい」

要「うん、そうみたいだね」

雅紀「うん」

 

蝶子「何か食べたいものある?」

雅紀「ない」

蝶子「食べたくないの?」

うなずく雅紀。

蝶子「食べたい時は言ってね。連平おじさんがね、缶詰くれたのよ」

 

雅紀「連平おじさん、来てくれたの?」

蝶子「連平おじさんだけじゃなく、泰輔おじさんや神谷先生や邦子おばさんも」

雅紀「僕、覚えてないよ」

蝶子「マーちゃん、眠ってたから」

要「アハハハハ」

 

雅紀「会いたかったなあ」

雅紀の顔を見る蝶子と要。

 

雅紀「お父さん」

要「ん?」

雅紀「バイオリンの練習できなくてごめんね」

要「いや、なにも謝ることはないぞ」

蝶子「そうよ」

 

雅紀「僕…家からバイオリン持ってきてほしいな」

蝶子「バイオリンのことは心配しなくていいのよ」

要「どうせ病院じゃ弾けないんだから。な!」

雅紀「そばに置いておきたいんだ。そしたら気分いい時は弾けるかもしれないし」

蝶子「練習なんかよくなるまでしなくていいのよ」

要「そうだ」

蝶子「まずは早く病気を治すこと」

 

雅紀「でも、僕のバイオリンは持ってきて」

要「うん、分かった」

笑顔でうなずく雅紀。

要「じゃ、お父さん、一度帰るからね」

 

病室を出た要についてきた蝶子。「要さん。バイオリン、持ってくるの?」

要「ん?」

 

廊下のベンチに座る蝶子。「持ってこないで」

ため息をついて蝶子の隣に座る要。

 

蝶子「残酷よ。マーちゃん、病気になってまでバイオリンのこと…。下手したらホントに練習しかねないわよ。さっき、謝ったでしょ? 『練習できなくてごめん』て。要さんに悪いと思ってるのよ。いつもいつも練習、練習で病気になっても気が抜けないのよ。…かわいそうに。今、バイオリンそばに置いたら、マーちゃん余計に心痛めるわよ。お父さんの期待を一身に受けてるってこと、マーちゃん知ってるもの。病気になって申し訳ないみたいに思ってるとしたら…。練習しなきゃ、練習しなきゃって焦ってるとしたら…。今、バイオリンそばに置くなんてマーちゃんが苦しむだけよ!」

要「俺のせいかね?」

蝶子「!」

要「雅紀が病気になったのは俺のせいだと思ってるんじゃないのか」

蝶子「…」

 

廊下を医師と看護婦が通り過ぎる。

 

蝶子「そんなこと…私…」

要「分かってる」

 

<その日の夕方です>

 

病室

里子「血圧60。不整があります。急激に下がりました」

黒木「西田君!」

西田「はい!」

黒木が雅紀に注射を打つ。

 

蝶子「先生!」

黒木「お母さんは外へ!」

里子「お母さん。大丈夫ですから」病室の外へうながした。

 

<雅紀君の容体は急に悪化したのです>

 

病室の前で居ても立っても居られない蝶子。

要「どうした?」要はバイオリンケースを持っていた。

何も言えない蝶子。(つづく)

 

雅紀君のバイオリンがもっと聴きたい! 俊道さんも心配…