NHK 1987年8月3日(月)
あらすじ
昭和16年、8月。蝶子(古村比呂)の所には、みさ(由紀さおり)から野菜が届く。仕事を選り好みする要(世良公則)の収入が不安定で、やり繰りに苦労している蝶子にはありがたい仕送り。向かいのはる(曽川留三子)や富子(佐藤オリエ)の所にもおすそわけしていると、はるから、加津子(椎野愛)の様子がおかしいと言われる。その夜加津子は、脚が痛いと泣き出して、翌朝医者に連れて行くと、慢性関節リュウマチと診断される。
2025.8.11 NHKBS録画
脚本:金子成人
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音楽:坂田晃一
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語り:西田敏行
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演奏:新室内楽協会
テーマ演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:円光寺雅彦
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考証:小野一成
医事指導:白石幸治郎
タイトル画:安野光雅
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バイオリン指導:磯恒男
黒柳紀明
方言指導:曽川留三子
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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色
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岩崎要:世良公則
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北山みさ:由紀さおり
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中山音吉:片岡鶴太郎
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田所邦子:宮崎萬純
岩崎加津子:椎野愛
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北山道郎:石田登星
中山はる:曽川留三子
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彦坂安乃:貝ますみ
医師:相沢治夫
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岩崎雅紀(まさのり):河野純平
早川プロ
劇団いろは
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野々村富子:佐藤オリエ
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北山俊道:佐藤慶
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制作:小林猛
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演出:富沢正幸
<昭和16年8月です。日本は中国大陸だけにとどまらず、戦闘を更に拡大させ、アメリカとの間も一触即発の状態です。国民は、そんな中、窮乏生活を強いられているのですが、子供は、まあ、無邪気なものです>
音吉が作業する家の前の路地で加津子と雅紀が遊んでいる。雅紀君、坊主頭になった。
ナレーションにかぶって、音吉が「おい、〇〇くれ!」とはるに言っている。煙管に入れる刻みタバコらしい。はるが小さな箱から音吉の箱へ刻みタバコをつまんで入れる。
ラジオから聴こえるのは「月月火水木金金」だな? この歌は知ってる。
この歌のタイトル見ると、日本人って昔から変わらないな~って思っちゃう。土日なしで働けってことでしょう!?
音吉「少ねぇよ、お前」
はる「いいんだよ」
加津子「おじちゃん、何してんの?」
音吉「ん? おじちゃん? お仕事だよ」
はるがたんすに刻みタバコの入った箱をしまっていると、物音がした。
音吉「おい、危ねえよ、ほら!」転んだ加津子を音吉が助け起こしていた。「気を付けなきゃダメだよ」
はる「大丈夫?」
加津子「大丈夫!」
音吉「ええ? よし!」
加津子は再び路地へ。
音吉「タバコこぼしちゃったよ、もう!」はるが手伝うが…「ほら! 道具と一緒になっちまうじゃないか、バカ!」
はる「しょうがないじゃないの!」
加津子「痛い!」
はる「あ、大丈夫?」
音吉「おう、大丈夫か!?」
また転んだ加津子が立ち上がる。「大丈夫、大丈夫!」
<今日、チョッちゃんのもとに滝川から荷物が届きました>
台所で安乃と木箱を開ける蝶子。
みさの手紙「蝶ちゃん、お変わりありませんか? 東京辺りは野菜が不足しているとのこと、大変ですね。少しですけど、野菜送ります。石沢牧場の嘉市さんがくれたものです。ありがたいことです。満州の道郎さんからは月に一度、手紙が来ています。元気そうで安心しています。なお、野菜は泰輔のところなどにも分けてやってください」
茶の間
手紙を読んだ蝶子は大きくうなずき、頭を下げる。
偶然なのか朝ドラに出てくる女性たちってクリスチャン率高いよね。「はね駒」のりん、「マー姉ちゃん」のはるさん、そして、みささん。だからこそ、”分けてやってください”になるんだよね。「マー姉ちゃん」の場合は旧ツイッターで散々毒親と言われてたけど。
台所
蝶子「いや~、助かった! ウフフ」
安乃「蝶子さん」
蝶子「ん?」
安乃「こちらに来るようになって1年です」
蝶子「うん」
安乃「私、分かったんですけど、蝶子さん、時々、お金に困ってますよねえ?」
蝶子「あっ…いや~、分かった? 要さんの仕事もポツポツだしね」
安乃「はい」
蝶子「でも、安乃ちゃんの給金は、ちゃんと…」
安乃「そういうことじゃないんです。こちらからは給金頂かなくてもいいなって」
蝶子「それはダメよ」
安乃「私だったら一日置きに行ってるとこの給金でもやっていけますし」
蝶子「それはダメ! 心配しないで」
安乃「じゃ、蝶子さん。急にどうしてもお金が必要な時は私に言ってくださいね。少しは蓄えありますから」
蝶子「それは安乃ちゃんがお嫁さんになる時のために」
安乃「でも…」
蝶子「その時はね、遠慮なく、お願いするから」
安乃「はい」
蝶子のいいところが詰まったシーンだな。
⚟︎はる「ただいま」
蝶子「あ、お帰り!」
安乃「お帰りなさい」
蝶子「どうかしたの?」
茶の間
はる「今、うちに来てたんだけど、ちょっとした拍子に転ぶのよ、何度も」
蝶子「どうしたの?」
加津子「分かんない」
はる「何だかこの辺に力が入らないみたいなんだよね」
蝶子「そう…」
加津子「脚が時々、ちょっと痛いの」
蝶子「ふ~ん」
はる「ま、毎日、あんなに遊び回ってちゃね」
蝶子「今、ケガしたら、学校のキャンプ行けなくなるわよ」
加津子「キャンプは行くもん!」外へ。
蝶子「はるさん! ちょっと」手を引っ張って台所へ。「これ、持ってってください!」
はる「うわ~、トウモロコシも!」
蝶子「北海道から届いたの」
すかさず、はるにざるを渡す安乃。
はる「うわ~、すごいね」
蝶子がざるにトウモロコシやジャガイモをドンドン乗せていく。
夜中、布団で寝ている加津子が泣きだす。「痛いよ~、痛いよ~! 痛いよ~」
蝶子「どうしたの?」
加津子「痛いよ~」
要「どうした? 腹痛(はらいた)か?」
加津子「痛いよ~」
蝶子「どこ?」
加津子「痛いよ~」
蝶子「加津(かっ)ちゃん、どこが痛いの?」
加津子「アンヨが痛いよ~」
蝶子「アンヨ?」
加津子「痛いよ~。痛い~」
蝶子「要さんは休んで」
要「いや、しかし…」
蝶子「演奏会近いんだし、ゆっくり休まないとね」
加津子「痛いよ~」
蝶子「ここは、いいから」
要「じゃ、頼む」部屋を出ていく。
加津子「痛いよ~」
蝶子「ここ?」布団をめくって脚をさする。
加津子「痛い、痛いよ~」
蝶子「ここ? どこ?」
目覚まし時計は3時35分を指している。
⚟︎加津子「痛いよ~。お母さん、アンヨが痛いよ~」
1人、別室で寝ている要。
⚟︎蝶子「ここかい? ここ?」
⚟︎加津子「痛いよ~」
⚟︎蝶子「どうしたの、加津ちゃん!」
⚟︎加津子「痛いよ~、痛い~、痛いよ~」
⚟︎蝶子「加津ちゃん!」
目を覚ました要が時刻を確認する。
⚟︎加津子「アンヨが痛いよ~」
せきばらいして起き上がる要。「ああ! はあ…」
⚟︎加津子「痛いよ~」
⚟︎蝶子「どうしたの? 加津ちゃん!」
要は茶の間を通って、加津子の寝ている部屋へ。
加津子「痛いよ~」
蝶子「どこ?」
要「どうした? またか?」
加津子「痛いよ~」
蝶子「すみません、起こして」
要「一体どうなってるんだ?」
加津子「痛いよ~、痛いよ~」
要「あんまりね、外でばかり遊ばせてるから、こうやって脚を痛めたりするんだよ」
蝶子「そんなこと!」
蝶子が謝ることでもないし、要の逆ギレなんなの!?
俊継が泣きだす。
蝶子「ごめんね。泣かないのよ、大丈夫よ」
要「ちゃんと睡眠をとらないと満足に練習ができん! そうなると演奏もうまくいかないっていうのに」
俊継の泣き声
蝶子「分かってますよ!」
加津子「痛いよ~」
要「よしよしよし。どうした?」蝶子と一緒になって加津子の脚をさする。
ま、加津子の心配をしつつも、なんだけど、言い方がね…
診察室
蝶子「あの…どうなんでしょうか?」
医者「ええ、大人で言えば慢性関節リューマチでしょう」
蝶子「は?」
医者「ああ、痛み止めを打っときましたよ」
蝶子「はあ」
医者「関節リューマチ、これはまた痛いですからね」
蝶子「あの、夜中によく泣きだしまして」
医者「ハハハ、そうでしょう、そうでしょう」
蝶子「関節リューマチ。はあ…」
岩崎家前の路地
はるが自宅のガラス戸を拭いている。
加津子「おばちゃん!」
はる「あ、どうだった?」
加津子「あのね、加津子ね、注射しちゃった」
はる「へえ、痛かったろう?」
加津子「少~し」
はる「泣いた?」
加津子「泣かないもん」
はる「へえ~、偉い、偉い」
加津子は植え込みの間から自宅の庭へ入っていった。
はる「何だったの?」
蝶子「あ、慢性関節リューマチだって」
はる「ふ~ん」
蝶子「じゃ…」
はる「お大事に」
蝶子「ありがとう」
道郎の手紙「蝶子、あと数日で私の満州での生活も1年になる。思えば、あっという間の1年だった。満州も今は夏の盛りだ。暑くてかなわん。冬も一度、経験したわけだが、その時も厳しかった。北海道の冬には慣れてはいたが、比較にならない。しかし、秋はいい。太陽が地平のかなたに沈む時の色といい、静けさといい、雄大で美しすぎて、何ともはかなくていい。仕事は順調だ。毎日、つつがなく勤めに出ている。だが、一歩、町の外へ出ると戦場だ。銃声も何度か聞いた。どこどこで戦闘があったという話もよく聞く。しかし、今のところ、身に危険はないので安心してくれ。実は今、交際している女性がいる。日本の会社の満州支社長の娘さんで6月ごろから親しく交際している。今後、どういう具合になるかは分からないが、ま、そういう人がいるということだけは知らせておく。では、皆々様によろしく」
道郎さん、字がめっちゃくちゃキレイ! 道郎は声だけで、縁側で手紙を読む邦子、邦子に麦茶を出し、台所で鍋の様子を見たり、洗濯物を畳む蝶子や縁側の風鈴やすだれが映し出される。夏の風景。
手紙を読み終え、麦茶を飲む邦子。
蝶子「読んだ?」
邦子「うん」麦茶と手紙を持って茶の間に入ってくる。「恋人、できたのね」
蝶子「うん」
邦子「ホッとしちゃった」手紙を封筒に戻す。「道郎さんの私への、つまり…道郎さんの気持ち、何となく感じてたし…」
蝶子「気付いてた?」
邦子「そりゃ…」
蝶子「気付くよね」
邦子「だけど、私は」
蝶子「大川さんの方でしょ? 分かってる」
邦子「…」
蝶子「兄はね、ホント、恋には手遅れなの。私が東京に来てから、大きな失恋が3回。アハッ、私が知ってるだけでよ…何なんだろうね。積極性がないのね。あれこれ、考え過ぎるのよね。だから、女の人には頼りなく見えるのよね」
邦子「要さんは、その反対だったわね?」
蝶子「そう。強引すぎるくらい強引で」
邦子「うん」
蝶子「気付いたら、結婚してたのよ。そうそう」笑う。
邦子「でも、よかった。道郎さんに恋人できて」
蝶子「うん」
邦子「チョッちゃん」
蝶子「ん?」
邦子「私…大川さんに結婚申し込まれたのよ」
蝶子「して?」
邦子「まだ、返事は」
蝶子「迷ってる?」
邦子「考えてるの。迷いはないけど、考えてるの。本気で考えようと思ってるの」
大川さん、どこがいいのかイマイチ分からない。積極性か!? ズケズケした物言い? 道郎さんの大失恋、蝶子の知るところで3回、視聴者の知るところで2回かな。
野々村家
台所で雅紀を抱っこしている富子。
⚟︎蝶子「ジャガイモとかありがとう。なんもなんも大助かりだわ」
茶の間
電話をかけている蝶子。「お向かいにも分けてあげた。石沢のおじさんにお礼言っといてや。それと、母さん、道郎兄さんから手紙、来たんだわ」
北山家
みさ「うん、うん…エヘヘ、ハハハハ、いやいやいや、恋人かい?」
診察室から顔をのぞかせる俊道。
みさ「いや、そんなこと、書いてきてないよ。そうかい、蝶ちゃんとこ、変わりないかい?」
野々村家茶の間
蝶子「あ、うちは別に…ああ…あ、品子さんが? あ、そう、加津ちゃんがちょっと…うん、脚、痛いって、夜中に泣いたりしたもんだから、お医者に連れてったの。そしたら慢性関節リューマチだって…うん、そうそう。時々、注射してもらったりして、今は…」
北山家
俊道「ワシだ。慢性関節リューマチだってかい? うん…して、どんな様子だ? ん? うん。そりゃあ、したけど、ちゃんと調べた方、いいわ。別の設備の整った病院に行って」
野々村家茶の間
蝶子「分かった…うん、そうする。したら」受話器を置く。
⚟︎加津子の泣き声
富子「ね、加津ちゃん、大変だよ!」加津子を抱っこして茶の間に入って来た。
加津子「アンヨが痛いよ~!」
蝶子「叔母さん、痛み止めある?」
富子「あ、あるよ」
蝶子「あ、いい! やっぱりお医者を!」
電話をかけようとする富子。
蝶子「やっぱり私が病院、連れてくわ!」
富子「どこへ?」
蝶子「どっか!」
富子「どっかって…え~と…」
蝶子「とりあえず痛み止め!」泣いている加津子の脚をさする。
<加津子ちゃんの様子は、これまでと違い、痛みは更に強いようです。その様子にチョッちゃんは、ただならぬものを感じていました>(つづく)
あらすじには加津子のことだけだったけど、こうして道郎さんの様子が知れるのはうれしいし、思いもかけず俊道さん、みささんも出てきた。身もふたもないけど、加津ちゃんは今でも元気だから乗り越えてくれるだろうという変な安心感がある。
「朝ドラヒロインはこうあるべき」と絶賛の声多数…『チョッちゃん』にあって令和の作品にない“安定感”の正体とは
— 文春オンライン (@bunshun_online) August 9, 2025
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「おしん」や「芋たこなんきん」みたいに旧ツイッター受けのいいドラマは、こうやってライターの人が書いてくれるんだね。
「マー姉ちゃん」や「本日も晴天なり」の戦争描写、素晴らしかったと思うんだけどね。「あぐり」も、当時は好評だったかもしれないけど~とよく書かれたけど、確かに同意せざるをえない部分もある。しかし、今でも要さんよりマシじゃん!と思っちゃう。それと「あぐり」の1週目はホントにスピード感があって完璧。

