徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】女家族

1961年 日本

 

あらすじ

女所帯の一家ならではの葛藤を描く、林芙美子の同名小説を映画化した文芸作。「女の暦」など女性映画の逸品も手掛ける名匠・久松静児監督が、男性に翻弄される三姉妹と娘想いの母親の心の機微を繊細に描出。大阪の中流家庭の滝沢家は、10年前に夫を看取った雪江(三益愛子)、夫を亡くし娘と戻った長女・時子(新珠三千代)と妹るい子(久我美子)、秀子(黛ひかる)の5人家族。るい子と大工場の末息子(高島忠夫)との縁談が舞い込むが、不倫中のるい子は拒絶する。

2025.6.11 日本映画専門チャンネル録画

 

蔵出し名画座なので評論家・川本三郎さんの解説付き。

 

昭和26年に47歳で急死した「放浪記」の作家、林芙美子の同名小説を映画化。

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監督は森繁久彌主演の「警察日記」で知られる久松静児

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母親と三人の娘の女性だけの家族の物語。母親は三益愛子、長女は新珠三千代、次女は久我美子、三女は宝塚出身の黛ひかる。

 

新珠は夫に死なれ、幼い娘を連れて実家に戻ってきた。内職で洋裁をしていて、毎日、遅くまでミシンを踏む。次女の久我は家庭のある男性と関係がある。三人のなかでは癖の強い女性。「挽歌」のヒロインを思わせる。

挽歌

挽歌

  • 久我 美子
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まだ新鋭といっていい黛ひかるが現代っ子らしく三人のなかでいちばん明るく素直で可愛い。映画の舞台は60年代に開発されてゆく大阪の千里ニュータウン。団地や戸建て住宅が並ぶ。

 

監督の久松静児は戦前から活躍しているベテラン。庶民派といわれた。文芸作品も多く、吉屋信子原作の「安宅家の人々」、林芙美子原作の「放浪記」、壺井栄原作の「女の暦」、そして何より永井荷風原作の「渡り鳥いつ帰る」などの秀作がある。もっと評価されていい監督。

…ん? 「放浪記」!? 「放浪記」は成瀬巳喜男監督の作品です。

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私が好きな久松静児作品は「南の島に雪が降る」です。

 

東宝株式会社配給

 

宝塚映画作品

 

製作:藤本眞澄

   金子正且

*

原作:林芙美子

脚色:井手俊郎

   岡田達門

   田波靖男

*

音樂:斎藤一郎

*

和樂:望月太明蔵

*

滝沢時子:新珠三千代…字幕黄色

滝沢るい子:久我美子…字幕水色

*

滝沢雪江:三益愛子…字幕緑

滝沢秀子:黛ひかる

関孝夫:髙島忠夫

*

中原三郎:船戸順

清川圭二:佐原健二

大坪克巳:安井昌二

竹田洋介:加藤春哉

林陽子:環三千世

中原みね子:浪花千栄子

*

関剛:内田朝雄

鷹取まき子

小畑夫人:赤木春恵

平山サヨ:吉川雅恵

園佳也子

小畑:遠藤辰雄

*

相原正子:結城三千代

関はる:二條宮子

千早珠代

松下和代

川路立美

川原健

*

監督:久松静児

 

蔵出し名画座って宝塚映画が多いな。

 

千里ニュータウンは前に「新日本紀行」で見たことある。昭和54年、かしまし娘正司照枝さんがリポート。

www.nhk.jp

団地や住宅が並ぶが、まだ空き地もある。

 

子供たちがお雛様見せてとれい子の家に来たが、雪江がこれからお見合いだからと時子を着つけていて、また遊んでねと子供たちを帰した。るい子が起きてきて、ホントに見合いするの?と聞く。

 

るい子のお見合いに時子もついてくるが、るい子は乗り気じゃなく、時子を売り込めばいいという。時子は29歳。れい子は時子の娘。

 

花屋に立ち寄った雪江たちに、三郎は、れい子の胸に花を1輪さし、3人は駅に向かった。

 

阪急電車

千里山

 

るい子はまだ家に残って化粧していた。妹の秀子は熱心に化粧するるい子をからかう。るい子は26歳の男との見合いが嫌。るい子は時子と気が合わず、家を出たい。るい子だけは東京のおばさんのところで育てられた。

 

小畑家

雪江と時子が、るい子の見合い相手・関孝夫について話していた。小畑夫人が赤木春恵さん。孝夫は5人きょうだいの末っ子、雪江は夫を亡くして10年で家とはつり合いが取れないと遠慮するが、小畑夫人は遠慮する必要がないと笑う。そして、お見合いには秀子も連れてくるように言う。甥っ子にどうかと…こうして見合いの輪が広がるのか。

 

あ、今回のはお見合いじゃなくお見合いの打ち合わせか。

 

滝沢家

1人家に残っていた秀子のもとに三郎が雪江に頼まれていた桃の花を届けに来た。タダでいいという三郎に商売なんだからとお金を払うつもりの秀子。しかし、100円くらいかなという三郎に高い高い、と結局払ったのは20円。

 

阪急電車

宝塚駅

 

るい子が大坪と待ち合わせていた。子供が熱を出し、氷を走りに行かされたり、参ったと愚痴る。自分の子供のことなのに他人事だねえ。

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大坪って、水島上等兵なのか! へえ~。

 

雪江が帰りにまた花屋に立ち寄った。

 

大坪は、るい子と歩いていて、近所の人と偶然会い、るい子と離れ、近所の人と挨拶した。近所の人と会うようなところを不倫相手と歩くな!

 

滝沢家

自分の下着の洗濯もせず出かけたるい子に文句を言う雪江。秀子は私が洗濯当番の日ですと、るい子をかばう。

 

旅館

大坪は離婚なんて簡単やと離婚をほのめかすが、るい子は女ばかりの家に帰りたくなく、さっさと別れてほしい。

 

滝沢家

るい子は見合いが嫌。今日は時子とれい子は留守番。

 

見合いは外でやるんだね。るい子が遅れていて、小畑夫人が滝沢親子と関孝夫と両親を紹介した。

 

るい子は大坪の会社に電話し、お見合いで行くところがない、”いさみ”に来てねと勝手に約束を取り付けて電話を切った。

 

るい子が来ないので孝夫と秀子が話をした。秀子がナショナル・ショールーム勤めなので孝夫が六畳一間をつぶしてステレオが組みたいと頼んだ。へ~、設計の技師もいる大掛かりなもんなんだね。

 

座敷のある飲み屋? あ、お好み焼き屋だ。知り合って1年になる大坪とるい子。奥さんと別れる気はないんでしょ?と詰め寄る、るい子。

 

滝沢家

結局、お見合いにるい子は姿を見せなかった。雪江はもらったお菓子を開け、時子と秀子を呼んだ。秀子は怒らんといてというし、時子は、はっきり言うた方がいいわとるい子に対するリアクションは逆。

 

るい子が帰ってきて、好きな人がいるならはっきり言ったらいい、先に美容院へ行くなんてと時子が責め、雪江もるい子をビンタした。るい子が走り去ったが、気分が悪そう。時子は妊娠してるんじゃないかと雪江にこっそり言い、今度は雪江が倒れ込む。

 

荷物をまとめ始める、るい子。秀子は止めるが、時子は自分のことは自分で始末つけなさいと突き放す。雪江が追いかけたが、倒れ込み、時子に支えられて家に戻った。

 

ナショナル電化センター

元気のない秀子を同僚の洋介が気にすると、秀子は一緒に姉さんの会社に行ってと頼んだ。

 

●連続ドラマ”女の断崖”

  ラジオ大阪 月~土 前 10:40~

●ナショナル・ステレオ・ホール

  朝日放送 月 后7:00~8

    毎日放送

●ダブルクイズ花の歌謡曲

  朝日放送 第2、4火 后5:00~5

●ナショナル・DXタイム

  京都放送 土 后11:00~11

 

後ろの番組表?はナショナルの提供番組ってことかな? 午前、午後の午”后”の字が懐かしい。

 

東光機械工業株式会社

洋介が、るい子を訪ねたが、あなた大坪さんですか?と受付の女性に聞かれた。会社に一緒に行こうと言ったのに、洋介が1人で聞きに行き、秀子は外で待っていた。大坪というのは、るい子の恋人だろうと察する秀子と洋介。

 

滝沢家

雪江は、るい子の妊娠がショックで寝込んでしまった。るい子は24歳、自分の体くらい責任持つわよと時子が言う。雪江は、るい子と仲良くするように話した。

 

花屋のみね子が雪江を見舞った。雪江は時子とるい子の仲の悪さを嘆く。みね子は時子を再婚させたらどうかと言う。雪江もれい子を育ててやってもいいと考えていた。

 

時子は団地に仕立てた洋服を届けに行った。清川圭二宅。依頼した陽子は、この襟が大きすぎると言って直しといてと出かけて行った。圭二はそのままでいいというが、時子は持ち帰って直すことにした。そんな時子を圭二はお茶に誘った。夫婦かと思ったら、陽子は”清川”じゃないね。

 

滝沢家

小畑夫人が訪れ、先方が秀子が気に入ったと話し、雪江は戸惑う。

 

旅館

まあ、ええやないかとるい子と事に及ぼうとした大坪を突き飛ばして部屋を出ていった。

 

るい子は下宿先に帰宅。サヨが今、ヒサ子がお風呂に行ったと話した。友達の家? サヨは家に帰った方がいいとるい子に言う。夫婦っちゅうもんは、めったなことで別れられるもんやあらへんとサヨに言われ、涙を浮かべる、るい子。

 

ああ、やっぱりヒサ子は友達か。サヨはヒサ子の母。るい子は大坪のことを愛情のかけらもない、セックスの対象だけだったわとヒサ子に話した。はっきり言うのね。

 

滝沢家

11時過ぎになっても、るい子が帰ってこないので秀子は心配する。イライラしている時子に、お姉さん、ヒスよと指摘。時子に身代わり結婚と言われ、外に出た秀子は玄関先にるい子が立っているのに気付いた。

 

るい子が雪江に謝ると雪江は、るい子の体調を気遣う。

 

時子は夜中になっても洋裁を続けた。

 

布団に入っても化粧バッチリなのは昭和映画の定番!

 

秀子は見合いのことをいうと、るい子はよかったじゃないのと言う。秀子も嫌いなタイプではない。るい子は早く見合いを進めて、早く家を出るように言う。自分の幸福を見つけることが母さんの負担を軽くする。

 

会社の屋上

秀子は、お見合いを進めることを洋介に話すと、銀行マンの孝夫が気に入らず、もめてしまった。銀行マンってことに文句を言ってたけど、秀子のこと!?

 

今度は三郎に電話する秀子。ん~、秀子って男友達しかいないのか?

 

花屋

雪江は、みね子に秀子の結婚について相談。時子が立ち寄り、れい子が一人だから、とお願いした。

 

仕上がった仕立物を持って歩いていた時子は、顔色の悪いるい子と会った。るい子は気分が悪いから会社を休んだというが、時子は、るい子が”始末”したのだと気付いた。

 

団地に行く途中で陽子に会い、陽子はその場で今まで羽織っていたものを脱いで、時子のコートに着替えて出かけて行った。中はドレスみたいな服だった。

 

清川家

陽子の脱いだコートを届けに行った時子。圭二はパジャマ姿で昨日から熱があるのに、陽子がガンガン、ジャズをかけたのでケンカになったと話した。

 

時子が心配して氷を買いに出ると、秀子が三郎と歩いているのを見かけた。花屋の配達車がまだ自転車の時代。三郎に結婚の相談をする秀子。三郎は一流の銀行、財産家、大学卒で良縁だという。

 

家に帰った秀子は布団で寝ていたるい子を心配するが、雪江に関のいる京都へ行くと告げた。

 

孝夫とお寺デートする秀子。寺の座敷のキスするアベックを見て、庭へ。会費制の新しい結婚式をあげようという孝夫。興信所使って調査しはったもんねと笑う秀子に孝夫はいきなりキスした。興信所使わない調査です、と悪びれない孝夫にビンタした秀子だったが、その後、何度もキスをした。はぁ!?

 

滝沢家

秀子が孝夫からのお土産を持って帰宅。母さんが寂しがったら結婚しないという秀子だったが、雪江は結婚を勧める。

 

時子は、妹たちは自分のことばかり考えてたらいいんだからと姉妹のバトルが始まる。時子とるい子のけんかに2人とも年を考えなはれと雪江が仲裁した。

 

今度、結婚するんだとバーに飲みに来た孝夫。ん~、この人、遊び人っぽいな。あ、時子がコートを届けた陽子って、この店で働いてた。陽子は出張中のサラリーマンを引っ掛けて東京へ行くという。正子は結婚式を潰しちゃると怒っていた。孝夫は正子をなだめて、今夜会う約束を取り付けた。

 

清川家

時子は圭二の様子を見に来た。圭二は貴方のことは一生忘れませんと時子の顔を描いていて、時子に突然キスした。えぇ!? あんまりロマンチックじゃないねぇ。あなたなしではいられないと時子に抱きつく。

 

花屋

雪江が訪れると、秀子のお見合いを気にする三郎。明日になったら売れへんさかいと白い菊を雪江に渡した。

 

清川家

髪の乱れを直す時子。へ~…圭二は娘を一時的にでも預けて東京へ行こうと誘う。娘のことを考えてるって、預けるってことぉ!?

 

秀子に会社は辞めたのだと話するい子。失業保険でしばらくブラブラするけど、そのうちどこかへ勤めると話す。るい子は銀行に相談して家を売ることを考えている。秀子は映画を見に行こうと誘うが、るい子は海を見に行こうと言う。

 

滝沢家

小畑さんから縁談の話があると雪江が時子に言うが、時子はしばらく東京で働くつもりだと話した。

 

白浜へやってきたるい子と秀子。るい子は退職金があるから、2~3日泊まれる。

 

白浜観光ホテル

秀子も私もうちを出とうなったと話し、大坪のことをるい子に聞いた。るい子は別れたと言い、今夜は楽しく遊ぼうとホールへ。ホテルのロビーでチークダンスする男女。その中に芸者?連れの孝夫がいて、秀子に声をかけてきた。

 

怒った秀子は部屋に戻り、孝夫は、るい子を引き止め、ダンスに誘った。ん? あら? 一緒にいる芸者さんが園佳也子さんだ~!

 

部屋に戻ったるい子は泣いている秀子にいい収穫だったと話した。

 

滝沢家

るい子と秀子が帰ってきた。時子は一人で東京に行ったと雪江が言う。

 

秀子は小畑さんの話をお断りしてと雪江に言った。正体を見たというぼかした言い方じゃなく、雪江にはっきり言ったらいいのに。

 

茶店

洋介を呼び出した秀子。洋介は今度名古屋の営業所へ回されることになったと話し、一緒に名古屋に来てと冗談っぽく誘った。

 

孝夫の職場を訪ねたるい子は秀子に誠意の万分の一でも見せてほしいという。孝夫は自分は相当な不良だから、あんたのような不良がいいとるい子に言う。

 

滝沢家

秀子が帰ってくると、小畑夫人が来て、雪江が縁談を断っていた。秀子も小畑夫人に直接断りの返事をしたが、小畑夫人は孝夫がるい子と意気投合したようだと話す。うちの娘は犬や猫とは違いますと雪江が断った。

 

孝夫は、るい子をバーに連れていった。席に着いたのは陽子と正子。陽子は親の反対にあい、東京行きは断念したと語る。るい子は孝夫の態度に怒って帰った。

 

滝沢家

時子は雪江にれい子を預け、東京で1年くらい働くという。帰ってきたるい子を雪江と時子が秀子の男を取るなんてと責めた。秀子は好きな人がいるから今度連れてくると言い、るい子は、この家は解散したらいいという。

 

雪江は、れい子を抱えてどうしたらいいのかとキレる。秀子はお父さんの恩給があるじゃないと言い、部屋を貸せばいいと軽い。

カチューシャ

カチューシャ

  • ボニージャックス
  • 謡曲
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

「カチューシャ」を歌いながら山登りする一行。洋介のお別れ会か。秀子は洋介と一緒に転勤させてくださいと人事部長に頼むというので、洋介は大喜び。仕事を辞めないというのはいい決断だね。聞いていた同僚も祝福する。

 

ていうか、三郎じゃなく洋介なんだ…

 

滝沢家

この子が嫁入りするまで死なれへんなとれい子の寝顔を見て言う雪江。家に残ったのは、るい子。三郎が売れ残りの花を持って来て、花瓶に生けた。るい子は秀子ちゃん好きだったんじゃない?と三郎に聞くと、失恋したと答える三郎。

 

あんな貧相な男どこがいいんやろ?と雪江の本音が出る。

 

雨が降ってきたが、月も出ている。(終)

 

男女のシーンが男が無理やりキスするばっかりでなんだかなあ。私は漫画は絶対女性作家が好きで、小説は男女読むけど、昔の女流作家って不倫モノが多くて嫌いなんだよねえ。だから小説に限っては男性作家の方が好きかも。

 

林芙美子さんも向田邦子さんも大体不倫が出てくるんだもん。

 

この映画、昭和の柔らかな関西弁はいいなと思ったけどね。