NHK 1987年7月14日(火)
あらすじ
蝶子(古村比呂)が加津子を連れて家出した。叔父・野々村泰輔(前田吟)の元に身を寄せる蝶子、そこへ要(世良公則)が慌てて追ってくる。必死に頭を下げる要。だが癇癪を起すたびにご近所にまで迷惑をかける夫の振る舞いを蝶子はなかなか許せない。それでも一度は夫を許し帰宅した蝶子だったが、再び要がいつもの癇癪を起こすと、蝶子はまた家を出る。今度は野々村家に姿はなく、蝶子の行方がわからなくなった要は困惑する。
2025.7.22 NHKBS録画
脚本:金子成人
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音楽:坂田晃一
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語り:西田敏行
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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色
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岩崎要:世良公則
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国松連平:春風亭小朝
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中山音吉:片岡鶴太郎
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田所邦子:宮崎萬純
河本:梅津栄
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北山道郎:石田登星
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中山はる:曽川留三子
白井:市川兵衛
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南:千葉茂
鳳プロ
劇団いろは
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野々村富子:佐藤オリエ
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野々村泰輔:前田吟
野々村家
加津子を膝に乗せている富子。「ポ~ン! あ~、できたね、はい」
⚟︎泰輔「ただいま!」
富子「あ、お帰り」
泰輔「おっ!」加津子を見て喜ぶ。
道郎「あれ?」
富子「加津(かっ)ちゃんだよ~!」
泰輔「ど…どうしたんだ?」
富子が台所を見る。
包丁を持って台所から出てきた蝶子。「お邪魔してます」
富子「家出してきたんだって」
泰輔「また?」
蝶子「だけど、要さんひどいのよ! いくら私だって我慢のならないことあるの!」
富子「包丁振り回すのやめてよ」
慌てて台所に戻る蝶子。
富子「(加津子に)ねえ」
包丁を置いて台所から戻った蝶子。「演奏会前にして神経高ぶってるっていうのは分かるの。だけど、泣いてる加津子に当たることないじゃない!」
泰輔「加津ちゃんに当たるのか?」
蝶子「当たるの!」
富子「そりゃ、あんまりだねえ」加津子の顔を覗き込む。
蝶子「今日だって『蜂の子、食べさせた』って言って怒るのよ!」
泰輔「へえ、蜂の子か!」
蝶子「うん。昨日、カンシャクに効くっていうんで、お隣からもらったの。それ、食べさせたの」
泰輔「うんうん」
蝶子「そしたら、さっき、そのことを知って怒るのよ!」
泰輔「え?」
蝶子「ゆうべは『おいしい、おいしい』って食べたくせに。そのあげく、お隣にまで文句言うじゃない!」
富子「蜂の子、カンシャクには効かなかったってわけだ」
蝶子「あぁ」
泰輔「ま…まあいいよ。今夜、あの夕飯食ってけ、な。道郎君の就職祝だから」
道郎「今日、貿易会社に就職決まった」
蝶子「本当!?」
道郎「うん、来週からは毎朝、市電に乗って会社通いだ」
泰輔「いいよ、いいよ。そういう地道な生活ってのも大事だからな」
蝶子「おめでとう!」
富子「再出発、おめでとう!」
⚟︎泰輔「そうそうそう、再出発だ! おめでとう!」
⚟︎蝶子「おめでとう、再出発!」
野々村家の前の路地を歩いてきた連平は野々村家の前に立つ要を見かけた。「要さん!」
要「うわっ!」後ろで組んでいた両手を上げる。「何だ、お前か」
連平「どうしたの?」
要「いや、中でな、何か『再出発おめでとう』とか言ってるんだ」
連平「ふ~ん」
要「再出発って何だろうね?」
連平「何だろうね? 入ってみりゃいいじゃない」
要「うん、いや…」
連平「変なの。入んなよ。さあさあ、さあさあ。入ろう」玄関の戸を開ける。「ちわ~!」
茶の間
連平「え~と…何だ、チョッちゃんいたの?」
蝶子「うん」
要「あ、どうも…」
泰輔「ああ、どうぞどうぞ」
連平「変だよ、要さん。親戚のうちで何、モジモジしてんの?」
要「う…うん、いや、別に」
連平「うん?」
要「加津子は?」
襖が開き、富子が入って来た。
泰輔「お、加津ちゃん寝たか?」
富子「うん、寝たよ」
泰輔「あ、そう。まあ、お前も座れ」
富子「うん」蝶子を守るように蝶子の前に座る。
蝶子「連平さん、仕事の方は、どう?」
連平「あ、よく聞いてくれたねえ。いや、この間ね、台本書いたの」
道郎「へえ!」
連平「芝居を作るのって面白いね。あたしゃ、今、芝居に乗ってますよ!」
うなずく道郎。
連平「フフン、あ、チョッちゃん」
蝶子「はい?」
連平「邦ちゃんにそう言っといて。『連平は我が道をまい進してます』って」
蝶子「はい」
連平「今度ね、芝居、見に来るようにね」
蝶子「分かった」
連平「フフッ」何となく変な空気に気付く。「どうしたの?」
せきばらいする要。「…蝶子」
蝶子「はい」
連平「何なの?」
富子「シッ!」
要「どうして家出なんかしなきゃいけないんだよ!」
立ち上がった蝶子は隣の部屋へ。
連平「え?」
泰輔「シ~ッ!」
要「失礼!」立ち上がり、蝶子のそばへ。
蝶子「要さんは短気すぎます。すぐカンシャク起こすでしょ? 周りがよかれと思ったことにも、あなたは、やみくもに怒るじゃない! 私を怒る分にはいいの。だけど、あなたは、お向かいにも文句言うでしょ! まだ訳の分からない加津子にも文句言うことあるでしょ!」
茶の間に戻った要に泰輔たちの冷ややかな目。
富子「加津ちゃんにっていうのは…あんまりだよねえ」
連平「あんまり、あんまり」
富子「ねえ!」
泰輔「まあ、そうだな」
もう一度、蝶子の方を向く要。「反省してるから…うん、俺が悪かった」…あらすじの必死に頭を下げる要ってここ!? えー、これで?
夜道を歩く要と蝶子。加津子を抱っこし、荷物も要が持っている。岩崎家に戻ってきたのを向かいの音吉夫婦がほほ笑ましく見ている。
<…というようなことがありまして>
バケツに入ったフナ数匹。
<数日後、要さんの念願の池が出来上がりました>
予想に反してかなり小さな正方形の池。蝶子、要、加津子、音吉、はるがいる。
音吉「よいしょ! ちっちゃいのもいるな」
要「それも、それも」
音吉「これは生きがいいな! すごいよ! アハハ! よいしょ、よし入った~!」
歓声が上がり、拍手が起こる。
音吉「いや~、立派な池だ! 大浴場みてえだもんな!」
笑い声
この場面、ほとんど音吉しかしゃべってないのね。
夜、岩崎家茶の間
坂上「…うん」
要「いや、今日ね、理事長と現れた、こいつ見て驚いたんだ」
蝶子「どうして、また?」
坂上「いや~、野口のとこも最初はよかったんだけど、だんだん『経営のため』とか言って流行歌のレコード録音とか、そういう仕事入れ始めたんだ。いや、なにも流行歌が嫌とか言ってんじゃないんだ。ただ、おいらはさ、クラシックをやりたいわけでさ」
南「流行歌ばっかりじゃな」
白井「そうだな」
蝶子は台所へ。
⚟︎坂上「以前、岩崎が言ったとおりになったな」
⚟︎要「ん?」
⚟︎坂上「ほら、『野口ってやつは金もうけ中心になる』って言ったろ」
料理をよそいながら会話を気にする蝶子。
茶の間
坂上「そうなった」
要「昔のことは忘れろ」
坂上「また、一緒だな!」
要「…ああ」
坂上「乾杯!」
要「うん、よし。じゃ、乾杯!」
一同「乾杯!」
要「よろしくな!」
坂上「よろしく!」
茶の間に戻ってきた蝶子。「楽団の稽古場も近いし、いつでも寄ってください」
坂上「うん。寄ります、寄ります!」
白井「え、坂上さんだけですか?」
蝶子「白井さんも南さんも!」
白井・南「はい!」
白井「それと『皇帝』」
坂上「あら、俺は猛練習だな!」
要「指揮者のダルチェックっていう人はなかなか厳しい人だ」
南「音をごまかすなんて小細工は通用しません」
白井「ああ。音に関しては妥協を許さないからね」
坂上「あら~…」と落ち込むそぶりを見せたものの腕を組む。「ハッハッハ~だい! 俺はそういう人間には慣れてらい! 岩崎がそうだもん」
要「…俺か?」
坂上「よっ! しかし、岩崎みたいのが2人もいるとなると、こりゃあコトですよ!」
笑い声
♬~(バイオリン)
要が「シェエラザード」を自宅で練習していた。
蝶子は加津子を抱いて、庭へ。
加津子「あ!」
池にフナが1匹浮いていた。
蝶子「(大声で)ああ! あれ」
加津子が泣きだす。
蝶子「あら、これ! あ、ごめん、ごめん。びっくりした? ごめんなさい」
要「どうしたんだ?」
蝶子「すいません」
要「今、俺が練習中だってことは…」
蝶子「分かってます」
要「分かってるんだったらね、泣かせるな!」
蝶子「あの~」
要「何だ!?」
蝶子「フナが1匹死んでます」
要「何!?」庭に出て池を見る。「あっ!」
加津子の泣き声
要「ああ…」フナを池から出し、なでる。「お前、どうして死なせたんだよ!」
蝶子「どうしてって!」
要「お前がね、ちゃんと見てないからだ!」
蝶子「そんな!」
加津子の泣き声
要「もう、どこか連れていきなさい!」フナを持って家の中へ。
ムッとして要の行った方を見る蝶子。
野々村家の電話が鳴る。
富子「もしもし…はい。あ、要さん? チョッちゃん来てませんけど。またケンカ?」
夕方、中山家の戸を開ける要。
音吉「いました?」
要「ううん」
はる「どこにも?」
うなずく要。
音吉「まあ、どうぞ中入って!」
茶の間
音吉「どうぞ、どうぞ」
要「じゃ、ちょっと」
中山家は夕食時でちゃぶ台に料理が並ぶ。チラ見する要。
音吉「ふ~ん。ほんで…今日のケンカの原因は何なの?」
要「うん。一つはね…」
音吉「原因、いくつあるの?」
指を2本出す要。
音吉「で?」
要「うん。一つはね、その~、池のフナがね、1匹死んでたんだよ」
はる「それでどうしてケンカになるの?」
音吉「考えられないようなケンカがな、このうちでは起こるんだよ。そんで?」
要「…もう一つは加津子の泣き声がね…」
音吉「またそれ?」
はる「子供は泣くのが商売みたいなもんでしょうに」
音吉「そうだよ、なあ! ったくもう。子供がいるっつうだけでもね、幸せなんだよ!」
はる「そうそう。うちなんか欲しくたってできないってのに」
音吉「そう。加津子ちゃん、うちでもらっちゃうよ!」
要「…」
音吉「そんで?」
要「『どっかへ連れてけ』とどなったらね…」
音吉「どっかへ連れてったと?」
要「うん」
はる「どこ行ったんだろ?」
音吉「そりゃあ、お前、どっかだろ」
要「うちは晩ごはんどうするんだろうな?」
はる「あ、奥さん帰ってこないなら、うちで食べたらいいわよ、ね」
音吉「おい、ちょっと待て! この人に食べさせることは簡単だよ。だけど、お前、それをやっちゃあ、この人の薬にならねえだろ」要に近づき、膝をたたく。「ねえ、旦那、いつもいつも家出されて少しは懲りるってこと知らないの? 家出されてさ、オタオタするぐらいだったらケンカしなきゃいいのよ! カッとしなきゃいいの! カッとしそうになったら1、2、3と数、数えるんだよ。そうやって気持ちを抑えるの。ね! 1、2、3って。カ~ッとしそうになったら…」
音吉・要「1、2、3、1、2、3」
はる「あんたもね!」
音吉「はい」
要「1、2、3か…なるほどね」
戸が開き、連平が顔を出す。「要さん?」
要「あ、連平!」
連平「いた、いた」
邦子のアパート
⚟︎連平「連平ですけど」
邦子がドアを開ける。「あ」
連平「夜分、すいません。あ、いた!」
蝶子「うん?」
連平「やっぱりここにいましたよ!」
蝶子「あ、要さん…」
要「やあ…」
蝶子は奥へ。
邦子「あ、まあ、どうぞお入りください」
連平「そうですか? じゃ。あ、そうだ、要さん先だ」
要「お邪魔します」
連平「お邪魔しま~す」
居間
蝶子「なあに?」
要「う…うん」
蝶子「捜してたの?」
要「…別に」
蝶子「連平さん『やっぱりいた』って言ったわよ」
食卓のカレーライスを見ておなかが鳴る要。
邦子「あ、食事は?」
要「うん…あ、まあ」
連平「邦子さんの手料理食べたいな」
蝶子「作ったのは私」要をにらみつける。「私、演奏会間近っていう時は要さんと別居しようと思うのよ。加津子の泣き声もないし、その方が思いっ切り弾けるでしょ? そしたらケンカもしないしね」
連平「チョッちゃん、何でそういうこと言うの。要さん、せっかくこうやって来てくれたんだから」
蝶子「謝りに来たの?」
要「いや…」
連平「いや、そうじゃなくてさ、千駄木にいなかったから、ここしかないだろうと思って」
蝶子「連れ戻しに来た?」
連平「いや…いや、違うんだよ。あ、そうチョッちゃんにね、話があって来たの」
蝶子「うん?」
連平「いや、銀座のね、泉のマスターがさ、店やめたいって言いだして」
蝶子「ええ!?」
邦子「どうして?」
連平「どうしてか分かんないんだけど、要さんに話したら、チョッちゃんに知らせようってことになってね」
蝶子「本当?」
要「うん」
蝶子「泉のこと」
要「本当だよね?」
連平「そうそう、本当だよ」
邦子「じゃ、早く食べて、みんなで泉に行ってみない?」
連平「行きましょ、行きましょ! ね! みんなでね、どっと繰り出そう」
連平・要「いただきま~す!」カレーを食べ始める。
何でお前らが率先して食うんだ!
カフェ泉
河本「おそろいで」
蝶子「やめるって、本当?」
河本「…疲れましてね。ま、どうぞ、掛けてください。さあ、どうぞ」
<チョッちゃんにとっては青春の思い出でいっぱいのこの店が消えていくなんて信じたくありませんでした>(つづく)
3週間ぶりの放送再開~! 過ぎてしまえば、あっという間。
「澪つくし」再放送時に最終週が2話ずつの放送だったので、もしかしたら、「チョッちゃん」も放送再開時に3週×2話ずつで追いつくのかと思ったら、そうじゃなかった。でも、もしかしたら9月末までに終わらせるよう最終月に調整するかも…とまだちょっと疑っている。2話ずつ見られるのはお得なようでいて余韻がないんだよなあ。
あらすじ読んでて今週の展開は楽しみにしてたんだよ! 早く見たい。

