1963年 日本
あらすじ
大正末期、若葉が美しい伊豆の街道で、学生だった川崎は旅芸人の一行と一緒になり、純真な踊り子・薫と出会う。かなわぬ恋と知りながらも、二人はひかれあうが…。川端康成の代表作である名作文学の4度目の映画化。現代の場面はモノクロ、追想場面はカラーで描かれ、吉永小百合は踊り子・薫と現代の女性の二役、若き日の川崎を高橋英樹、老いた川崎を宇野重吉が演じる。監督は数々の青春映画や文芸映画を手がけた西河克己。
2025.4.24 NHKBS録画
吉永小百合さんは1963年の紅白歌合戦で「伊豆の踊子」を踊り子姿で歌っていました。
日活株式会社製作
原作:川端康成
「伊豆の踊子」「温泉宿」より
新潮社刊
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脚本:三木克己
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音楽:池田正義
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主題歌
ビクターレコード
「伊豆の踊子」
「花だより」
作詩:佐伯孝夫
作曲:吉田正
唄:吉永小百合
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薫・現代の少女(二役):吉永小百合…字幕黄色
現代の学生:浜田光夫
川崎:高橋英樹(学生時代)…字幕水色
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お咲:南田洋子
お清:十朱幸代
鳥屋:桂小金治
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紙屋:井上昭文
お咲の男:土方弘
人夫頭:郷鍈治
千代子:堀恭子
お時:安田千永子
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鶴の屋:深見泰三
田中筆子
料理屋の女中:福田トヨ
茶屋のばあさん:小峰千代子
旅の坊主:峰三平
百合子:茂手木かすみ
酌婦風の女:新井麗子
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温泉宿の女中イ:三船好重
温泉宿の女中ロ:大倉節美
湯ヶ野の酌婦1:高山千草
人夫4:伊豆見雄
瀬山孝司
荒井岩衛
戸波志朗
人夫5:近江大介
人夫1:澄川透
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人夫2:岩手征四郎
人夫3:田端善彦
式田賢一
村の子供達1:江澤一
村の子供達2:山口光雄
村の子供達3:森重孝
湯ヶ野の子供達A:松岡高史
温泉宿の女中ハ:渡辺節子
湯ヶ野の酌婦2:若葉めぐみ
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村の子供達4:青柳真美
高橋玲子
豊澄清子
飯島美知秀
湯ヶ野の子供達B:奥園誠
湯ヶ野の子供達C:大野茂樹
振付:花柳一輔
技斗:峰三平
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大学教授(川崎):宇野重吉…字幕水色
お芳:浪花千栄子
栄吉:大坂志郎
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監督:西河克己
キャストクレジットが白地に縦に細長い黒文字で書かれていて超見づらかった! おしゃれさを狙ったのかもしれないけど、画面いっぱいに名前が出てたほうがありがたい。
大学で講義をする川崎。講義を終えると、学生からやっぱり結婚するとルミという女性を呼ぶ。川崎は高校生かと思うが、学生は少女歌劇をやめたのだという。結婚したら、学生が卒業するまではクラブで働いてヘルプしてくれる…ってひどくない??
やたらと軽い学生だな~。ルミは吉永小百合さん。
浜田光夫さんって、60年代は吉永小百合さんの相手役とかしてたのに、70年代になるとすごい脇役なんだよね。何があった?
ルミのはしゃぐ様子を見ていて40年前を思い出した川崎。現代が白黒で過去がカラーなんて珍しい。
当時20歳で高等学校の制帽をかぶり、朴歯(ほおば)の高下駄を履いて、一人、伊豆旅行に出て4日目。踊り子一行に出会った。若き川崎は高橋英樹さん。
物乞ひ
旅藝人
村に
入るべからず
という立て看板のすぐそばでタバコを吸う川崎。脇の道を踊り子一行が通り過ぎていった。村の子供たちは旅芸人が村に入ると、太鼓をたたけと踊り子の周りをうろつく。
雨が降り出し、川崎が高下駄で走った。たまたま入った茶屋にまた踊り子一行がいた。踊り子のひとり、薫が煙草盆を差し出す。
茶屋のおばあさんは川崎に対しては丁寧で服が濡れるから奥へどうぞと招き入れ、悪い女に引っ掛かっちゃダメですよと注意する。川崎が踊り子一行が今夜どこに泊まるのか気にすると、おばあさんは、あんな者どこで泊まるやら分かるものか、今夜のあてなんぞございますものかと吐き捨てるように言う。
おばあさんは途中まで送ってくれ、また立ち寄ってくださいと丁寧に頭を下げた。川崎はトンネルを走り抜けた。ここが「天城越え」に出てくるトンネルと同じ?
風景が似ている。
トンネルを走り抜けると、また踊り子一行にあった。荷物を背中に積んだ栄吉に話しかけられ、しばらく一緒に歩いた。薫が大島出身で島には学生が泳ぎにくると話した。
天城屋
踊り子一行と一緒に宿に入った川崎。薫は川崎にお茶を出したが、こぼしてしまった。色気づいたんだねとひやかす仲間たち。
川崎は栄吉に案内され、別の旅館に泊まることにし、お礼に小銭を包んで2階から投げてお礼をした。
旅館
芸者と宿泊客が「ストトン節」で盛り上がっていたが、踊り子一行を見かけて、客がこっちへ来るよう呼んだ。
紙屋と碁を指す川崎。
向かいの旅館では旅芸人が「安来節」をやっていた。
薫は若旦那に部屋に来るよう誘われ、困った顔で栄吉を見た。
川崎は向かいの宴会が気になって仕方ない。若旦那の後ろを歩く薫を目撃し、部屋に忍び込み、若旦那に滝に落とされた…夢を見た。
朝、向かいの旅館の雨戸は閉まっている。
川崎は栄吉と一緒に風呂に入った。昨日の宴会は地元の人たち。川のそばの温泉?にも踊り子たちがいて、薫は全裸のまま無邪気に手を振る。もちろん肩から上だけどね。栄吉はまだまだ子供だなあと笑う。
子供たちと鬼ごっこして遊ぶ薫。まだ子供だという描写もあるのに、一方で生娘とか言われて…怖っ、気持ち悪っ!
お清という芸者?に話しかけられた薫。子供たちはもうじき死ぬんだという。お咲は卵を持って来て、また客を取ったんだってね?と責める。病気になって尚、客を取らされるお清にショックを受ける薫は、川崎に出くわしたものの無視して旅館に入り、ごはんを食べた。
路地で「串本節」を演奏する踊り子一行。客からお金を投げ込んでもらう。
川崎が食事をしていると、また紙屋が来た。「とんだ所に北村大膳」。川崎は踊り子一行が来ると、変な所に碁を打つからやめようと紙屋は帰って行った。
演奏しながら歩く栄吉たちを部屋に誘った川崎。栄吉、薫など数人踊り子たちが入って来た。一行がお風呂にいくというと、川崎も誘われ、お背中お流ししますよって。そういうこともすんの!? 川崎は入ったばかりですからと遠慮した。
お風呂から上がった薫の前でわざとらしく本を読んでいた川崎だったが、薫を碁に誘った。薫としたのは五目並べ。最初の勝負は薫の勝ち。勝負に夢中になるうち、顔が近づき、ドギマギ。
明日下田へ発つという一行に川崎も同行することにした。
翌朝、栄吉の部屋と思って訪ねると、栄吉を真ん中に薫や女性たちも一緒に寝ていた。あれからお座敷があり、今夜もお座敷がありそうなので1日延ばしてほしいとお願いした。
栄吉と河原で話す川崎。栄吉の兄は甲府で立派に店をやっている。栄吉は以前は東京で新派の役者をやっていた。薫は妹。女房と女房の妻と旅をしている。旅の空で女房が2度目の子供を早産して、あさってが四十九日。この前の子供も死なせてしまった。妹にはこんなことをさせたくないと思ってはいるが…。
鳥屋で鳥鍋をごちそうになっている薫たち。鳥屋の薫へのセクハラをお芳がガードする。川崎も鍋に加わる。薫は鳥屋に本を読んでもらっていると、お座敷がかかった。
お千代が栄吉の妻、お芳がお千代の母か。
栄吉が琵琶法師の真似事をしたり、「赤城山の忠治」を見せて、場を盛り上げ、薫たちが「農兵節」を踊る。
川崎は薫の踊りに見入っている。
お座敷から戻ってきた薫は鳥屋がいなくなり、本の続きが聞きたかったと本を投げた。川崎が本を広げて読み始めたが、お芳は明日も早いと止めた。
川崎が宿を出るので、薫たちが下まで送りに来た。「活動に連れてって下さいましね」と誘う。その後、お風呂に入っていると、旅館の女中たちが入ってきて、学生と踊り子なんてねと笑っていた。川崎が風呂の隅に隠れていると、お咲が入って来て、女中は、お清が夕方に死んだと言い、お咲が稼ぎ頭で見習ったから死んだんだと笑い、ケンカになった。芸者じゃなくて、お咲やお清は酌婦らしい。
朝、お清の棺が運ばれる頃、川崎も薫たちと下田へ出発した。
お咲は客と酒を飲んでいた。
下田まであと五里。三原山が見える。薫は大島へ来るよう誘う。
下駄ばきで山道を進む川崎と同じペースで歩く薫。ホントの山道とセットの山道があるんだな。川崎が岩に腰掛けて休むと、薫も向かいに座る。薫は弟をおぶって学校に通っていた。しかし、弟は死んでしまったことを話した。
水飲み場を見つけ、お芳が女の後だと気持ち悪いだろうからと先に川崎に進めた。そんな気遣いするのね。
旅一座には白い子犬も一緒で薫は自分のくしで子犬をとかした。下田でくしを買ってもらうから壊れてもいいという薫だったが、川崎にそのくしがいいのにと言われると、すぐやめて、犬をなで始めた。
薫は川崎のために杖を用意した。真っ二つに折って捨てるなら片方、薫にやればいいのに。
踊り子一行の泊まる甲州屋に川崎も誘われ、一緒に宿へ。栄吉に別の宿に案内され、くつろいでいると受験生らしき親子の会話が聞こえた。
薫は川崎が外を出歩くのを待ち、川崎を見かけて折り鶴を投げた。川崎に活動に行きましょうと誘われ、薫が、お芳にお金をくれというと、急にお座敷がかかったと断られた。
栄吉は学生と活動に行くのを楽しみにしていて、薫だけでも休ませてやってほしいと頼むが、お芳は一途な薫がこれ以上どうにかなったらどうすると栄吉に言う。立ち聞きしていた薫は、外へ出て、川崎に活動に行けなくなったと断った。
川崎は明日一番の船で急に東京に帰ろうと思っていたと薫に告げ、栄吉たちにも事情を話し、明日の法事のためにお金を包んで渡した。受験生の親子の会話を聞いて、我に返った感じかな。
川崎は旅館の部屋で寝転がって折り鶴を眺めていた。手がキレイ!と思ったら、折り鶴を握りつぶしてポイ! 起き上がって勉強を始めた。
翌朝、川崎を見送りに出てきた栄吉。薫も栄吉がいないので慌てて着替えて外へ。しかし、酔っぱらいに絡まれ、若旦那に助けられた。こっちもこっちで怖いわ。
「いい娘だろう。生娘なんだ」…キモッッッ!
港
あんな小舟で行くのか…と思ったら、大きい船に乗るための小舟か。船は行ってしまい、薫は船を追いかけて走った。岸壁で手拭いを振る薫に気付いた川崎も手を振り返した。
現代に戻り、また白黒に戻った。学生とルミが「お願いしますよ」と声をかけ、手をつないで走って行った。川崎は2人の姿を見送った。街を走って行く2人。(終)
ん~、悲恋ものなのはなんとなく分かっていたけど、こんな感じの話か。現代のシーンがあるのは映画オリジナルの展開。薫自身は子供っぽいのに、周囲の大人は女性と見ていて、それが気持ち悪い。
歌ったり踊ったりするシーンも多く、「夢千代日記」は薫の20年後って感じだな。
予告編だと現代のところもカラーだ!というか劇中に出てこなかったシーンだね。学生とルミの格好は同じだけど、川崎はスーツ姿だったし。街中だったし。


