徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】山の音

1954年 日本

 

あらすじ

原節子が清楚(せいそ)で意志の強いヒロインを演じる、巨匠・成瀬巳喜男監督の代表作の一つ。鎌倉で息子夫婦と暮らす尾形信吾は、老いを感じ、寂しさを感じる日々を送っていた。息子の修一はほかに女がいて、信吾は浮気に耐える嫁の菊子を不びんに思い、いつしか菊子にひかれるようになる。やがて菊子の妊娠がわかり…。撮影・美術・編集、光と影を繊細にとらえ、映画ならではの演出で複雑な人間関係を描いた映画史上の傑作。

2025.3.27 NHKBS録画

 

東宝株式会社

 

製作:藤本真澄

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原作:川端康成

   筑摩書房・版

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脚色:水木洋子

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音楽:齊藤一郎

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尾形菊子:原節子…字幕黄色

尾形信吾:山村聰…字幕水色

尾形修一:上原謙…字幕緑

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谷崎英子:杉葉子

尾形保子:長岡輝子

池田:丹阿彌谷津子

相原房子:中北千枝子

絹子:角梨枝子(松竹)

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信吾の友人:十朱久雄

事務員:北川町

房子の娘:齊藤史子

巡礼:馬野都畄子

相原:金子信雄

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監督:成瀬巳喜男    

 

オフィス街っぽい通り。会社に戻った修一は事務員の谷崎をダンスホールに誘う。

 

鎌倉駅を降りた信吾。ていうか、山村聰さんって、昭和29年にこんな年寄りっぽい役をやってたことが驚き。

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1980年代でも50代役してたからねえ…さすがに1982年に50代設定は無理あったけど。

 

菊子:原節子 大正9/1920年生まれ(映画公開時34歳)

修一:上原謙 明治42/1909年生まれ(映画公開時45歳)

 

信吾:山村聰 明治43/1910年生まれ(映画公開時44歳)

保子:長岡輝子 明治41/1908年生まれ(映画公開時46歳)

 

山村聰さんは早生まれで上原謙さんと同学年! 小説の設定だと信吾62歳、保子63歳、菊子は二十歳くらいということらしい。いろいろ無理がある。

 

商店街を通り抜けて帰り道に自転車に乗った菊子に声をかけられた。ヒマワリが咲いているのを見ていた信吾は「見事なもんだ。人の頭のように大きい」と感心していた。近頃、頭がぼやけて、頭を胴体と切り離し、洗濯か修繕をしてもらいたいと話し、菊子を笑わせた。

 

菊子は「お疲れなんでしょう」とお父様を気遣う。字幕はお父様だけど、お義父様じゃあないのかい!? 信吾は買ってきたサザエを菊子に渡し、家に着くと砂糖水を求めた。菊子も伊勢海老、車海老を買っていた。信吾の妻・保子は長岡輝子さんか~。山村聰さんも長岡輝子さんも原節子さんの義両親をやるには若いね。

 

菊子の夫・修一は今日も帰りが遅い。

 

信吾が寝床で本を読んでいると、保子が隣の布団でいびきをかいて寝ているので、思わず鼻をつまんだ。

 

修一が遅くに帰宅。ご飯もお風呂も要らない、とそっけない。この組み合わせ、「めし」でも夫婦役だったんだね。山村聰さんと長岡輝子さんもだった。

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信吾と修一が一緒に出勤。修一は谷崎に女中を頼んでいたと報告。修一は谷崎ほか女遊びが激しい。信吾は菊子がいてどうしてそういうことをするのか聞くと、湖と激流と答えた。谷崎とは別れると言ってるけど…。

 

尾形家には房子が娘たちを連れて訪れた。房子は信吾、保子夫婦の娘。しばらく滞在するつもりなのか大荷物で来た。保子は房子の荷物を勝手にチェックし、信吾にとがめられる。(夫の相原は)お金がなければ逃げ出さないと思っていると房子は投げやり。

 

菊子が現れると房子は「まだおできにならない? お子さん」と聞く。

 

菊子が房子の娘を泣かせてしまったと笑うと、修一は菊子に向かって「お前なんかに子供は扱えない。お前が子供だもの」だって。ひでーこと言う。

 

房子は菊子が美人で羨ましいと愚痴り、保子は菊子が親切だから優しくしているのだと反論。修一は「亭主にだけは優しくないね」と日曜なのに出かけて行った。

 

暴風雨の中、修一と信吾が仕事から帰ってきた。

菊子はレコードで「ラ・カンパネラ」を聴いていたが、帰ってきた修一は「近所に聞こえてのんきだぞ」と文句を言う。菊子は怖くて、じっとしていられないと笑顔で答えた。

 

修一がいちいち菊子に突っかかるような言い方するんだよな。

 

台風で停電になり、ろうそくをつけた。保子は自分で話をつけるといきり立って帰ったが大丈夫だろうかと房子を心配する。保子は今になると房子より菊子のほうが気が軽くなると話し、信吾が昔から修一ばかりかわいがり、その嫁の菊子を気遣うからだと信吾のせいにする。

 

保子もまた美人の姉がおり、生きていたら信吾の妻になっていただろうという思いが今でもある。

 

台風も去り、尾形家に電報が届いた。房子が田舎のうちへ飛び出したという知らせだった。田舎のうち? 親戚の家? 房子は信州の空き家に入っているらしい。んん?

 

修一は信州に出張に行くと谷崎に報告していた。修一と信吾は同じ会社。修一は今日は谷崎と踊りに行く約束をしてたのにと文句タラタラで出かけて行った。会社の用事じゃなく房子を迎えに行った。信吾は谷崎に修一の女の事を聞いた。ダンサーではないが奥さんより美人。酷く風邪を引いたような声だが、それがエロティックだと修一が言っていたという。

 

修一の女は、いつも女2人と来ていて、一緒に暮らしている。修一は、やきもちをやかせるために谷崎も一緒に連れていく。谷崎を女性2人の住んでいる家へ案内させた。

 

こんなことが知られたら会社にいられませんから辞めさせていただきますと谷崎が言うので、家の目の前まで来て、このまま帰ろうと信吾が言った。

 

会社に信吾の友人・鈴木が訪ねた。十朱久雄さん。若い女と頓死した水田をうらやましがる。その水田の妻が能の面を持ってきたのだという。子供の顔だというと、信吾が興味を示す。友人は谷崎に面をあてさせ、顔をゆっくり動かさせ、神韻縹渺(しんいんひょうびょう)だと言う。

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すごい言葉だね。

 

修一が房子を連れ帰った。

 

谷崎は、やっぱり会社を辞めると信吾に言い、修一の女である絹子と別れさせると話した。菊子のことを谷崎や絹子に子供だと話しているという修一に憤りを感じる信吾。修一は「子供だから親父はかわいがっている」と話していた。

 

房子が帰り、ごちそうを作る菊子。修一と信吾は黙って飲んでいた。

 

明け方、菊子が鼻血を出していたのを信吾が気遣う。房子の娘・里子が起きて、2人を見ていた。

 

オシャレな喫茶店に巡礼の女性が入って来て歌っている。菊子の額には傷がある。出産のときに難産でかぎをかけたあとで苦しむと出るらしいと信吾が修一に話すと、修一も知っていた。そして、夫婦のことに口を出さないでくださいと突っぱねる。

 

喫茶・銀十字

谷崎が絹子と同居している池田を紹介した。池田もまた修一と絹子が別れたほうがいいと思っている。修一は歌が嫌いな絹子に歌うことを強要したりするが、絹子自身は洋裁をしていて経済的にも自立している。池田は修一を夫婦2人で暮らさせたらどうかと提案した。

 

尾形家

房子がそれなら私が出ていくと言って、保子を困らせた。房子は相原からも親父にかわいがられてないと指摘され、悔しい思いをしたと語る。

 

酔っ払って帰ってきた修一を介抱する菊子。

 

相原の家を出てから半月以上、房子をどうするのか保子が信吾に聞く。菊子は修一から映画に誘われたのは断ったのに、信吾とは出かけるのか! お産のあと、調子がよくない友人の見舞いに2人で出かけた。列車の中で別居の提案をする信吾。菊子はお父様に優しくしていただいてと別居を拒む。えー!

 

お父様のそばを離れたら、どんなに心細いか分かりません。別居させられるのは恐ろしい、一人では待っていられないと菊子が言う。

 

2人でタクシーに乗り、菊子だけが降りて病院へ。

 

信吾は修一に菊子はどこか悪いのか?と聞くと、心当たりがないらしい。

 

信吾が先日買ったお面を眺めていた。保子は69と68の夫婦が死出の旅に出て、養子夫婦と孫に遺言を残していたという記事を読んでいた。保子は自分たちが心中したら…などと話していると、話を聞いていた菊子は泣き出し、立ち去った。保子は「あれはヒステリー」だと決めつける。

 

ミシンの調子が悪く、房子が菊子に見させた。

 

菊子は頭痛がすると寝ついていて、信吾は心配するが、修一は日曜だというのに出かけて行った。後を追った信吾が問い詰めると、流産したのだと答えた。菊子がそうすると決めた。修一に女がいるうちは子供が産めないと中絶したってことらしい。

 

信吾は女のことは別にして、修一が優しくすれば、そんな事はしないと責めるが、修一はこれで菊子が子供が産めることが分かったと悪びれない。

 

家に帰った信吾は房子の赤ん坊を抱いていた菊子にすぐ休むように気遣う。保子は赤ん坊を抱いて房子を迎えに行った。

 

2000年前のハスの実が花を咲かせたというニュースを見たかい?と菊子に話しかけた信吾は事前に相談してくれなかったことを問うた。その日に帰ってくるというのはどうかね? 医者にはもう行かなくていいのか? あした、ちょっと…と涙を見せる菊子。

 

信吾が絹子を訪ねた。応対したのは池田で家に上げた。池田は自宅で家庭教師をしており、文机には子供の写真を飾っていた。主人のもとに置いてきた子供だと話す池田。この時代に女2人で暮らしてるって珍しいようにも思うけど、戦後9年だし、夫を亡くした同志とかそういうのもあったりしたのかな?

 

帰ってきた絹子と信吾が対面した。絹子は修一のことなら話すことはない、別れたと言うが、子供がいることが判明した。戦争未亡人が私生児を産む。信吾は、そういう不自然な子を…と言いかけ、絹子に責められる。修一は産むなと、絹子を蹴ったり殴ったりしたのだと泣いた。絹子は修一さんの子供じゃありませんと言って別れた。真意を問うた信吾だが、どうお取りになっても結構だと濁したが、信吾は手切れ金を渡した。

 

信吾が酔っ払って帰宅。しかし、修一がまだ帰ってこない。菊子は里に帰り、寝ている。保子は寝に帰ったんでしょうと言うが、信吾が子供をおろしたのだと話した。勝手にばらさないでくれます!? 保子はあれでしんがきついんですねえと感心!?する。

 

房子は菊子ばかりをかわいがる信吾に不満をぶつける。

 

信吾と修一の働く会社は”東神産業株式会社”というのね。相原が信吾を待っていたが、結局会えずに修一と話をして帰っていった。新しい事務員がいる。

 

出勤してきた信吾が修一を呼び出し、今日話すことがあるから早く帰れと伝えた。昨日は相原と会っていて帰っていなかった。

 

信吾が菊子に電話で呼び出されて外へ。菊子は修一と別れる決意をしていた。信吾は修一に天罰だ、自分で自分の運命を狂わせたと言い、女に子供が出来た子とも話した。今、私にできる事は菊子を自由にしてやる事で、今度、ばあさんと信州に行き、故郷の土になろうと話す。元々、信州出身なのね。

 

信吾はたまには便りが欲しいと言い、菊子は涙を見せた。二人は広々とした公園にたたずんだ。(終)

 

wikiに小説の設定が詳しく書かれていたので読みました。修一がただひたすらひどいクズ男だな~と思ったら、以前は優等生だったのに戦争に行っておかしくなったらしい。ほかに保子は若く見えるが美人ではない。房子は不器量だが乳房は大きいとか、何なの、この設定は。菊子はほっそりとした色白。

 

池田と絹子はどちらも戦争未亡人で絹子は子供がおらず、池田は夫の実家が息子を育てている。あれだね、「おやじ太鼓」の神尾と同じだね。あ、神尾の母は、おばあちゃんが再婚相手を探して、再婚して家を出されたんだった。

 

「山の音」というのは死期が近づいた者に聞こえる音、らしいけど、信吾と菊子の関係にフォーカスし過ぎた感じに思えた。小説を読んだわけではないけど、wikiを見た限りだと小説の世界観とはかけ離れてるように思えた。