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【ネタバレ】チョッちゃん(46)―連続テレビ小説―

NHK 1987年5月28日(木)

 

あらすじ

蝶子(古村比呂)は邦子の実家に赴き、邦子の母・久子(寺田路恵)に邦子の近況と言づてを伝えるのだが、久子は邦子のことは死んだものと思って諦めたと、肩を落とす。続いて頼介(杉本哲太)のもとを訪れた蝶子は、生活が苦しいなら父・俊道(佐藤慶)や石沢嘉一になぜ相談しないのか、と問い詰めるが、頼介は返せるあてのない金を借りるわけにはいかない、と頑な姿勢を崩さない。

2025.5.15 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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北山みさ:由紀さおり

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彦坂頼介:杉本哲太

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田所久子:寺田路恵

男:斉川一夫

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彦坂安乃:近藤絵麻

彦坂公次:中垣克麻

早川プロ

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北山俊道:佐藤慶

 

北山医院の玄関を出た蝶子。

 

茶の間

みさが賛美歌を歌う。

♬よろずの国人(くにびと)

我が主に向かいて

声を

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前の教会のシーンでは美声だったけど、今回は下手に歌ってる!?

 

俊道「蝶子、どこ行ったんだ?」

みさ「あ、邦ちゃんのうちに行くって」

俊道「そう」

みさ「はい」

 

俊道が診察室に戻って行ったので、再び歌い始めるみさ。

 

♬よろずの国人

 

俊道がまた背後に立っていた。「蝶子とは話するんかい?」

みさ「何の?」

俊道「いろいろあるべさ…話してないんか?」

みさ「道郎さんのことかい?」

俊道「道郎のことなんか聞きたくもない」みさの隣に座る。「この前の蝶子の話聞いて、お前、なんも思わんのかい?」

みさ「?」の表情。

俊道「東京のこととか田所呉服の娘のこととか…男に待ち伏せられたとか話してたべや」

うなずくみさ。

俊道「どう思った?」

 

みさ「東京。私も行ってみたいもんだって。いろいろ見てみたいもんだなぁって」

俊道「蝶子のことだ!」

みさ「ああ…」

俊道「お前は本当に察しが悪いもねえ」

 

みさ「蝶ちゃんは大丈夫なんでないんですか。いやあ、生き生きと輝いてるもねえ。荒れた様子もなく、しっかりしてるでないですか」

俊道「あれは、どうだ?」

みさ「はぁ?」

俊道「男女共学って言うべ?」

みさ「はい」

俊道「分からんかい?」

みさ「…あの?」

俊道「本当にお前は極楽だわ」

みさ「はっきり物しゃべらないのお父さんだ」←そうだ、そうだ!

 

俊道「男だべさ」

みさ「『オトコ』?」

俊道「蝶子は心配ないべな?」

みさ「したっけ、この5月で17歳になったばかりでない?」

俊道「17ったら、いい年頃だべや」

首をかしげるみさ。

俊道「お前は嫁に来たんは、いくつの時だった?」

みさ「18」

俊道「ほれ見ろや。17で色気づいても不思議はないべ」

みさ「あ、私は、そんな色気なんちゅうもんは」もじもじ

俊道「お前のことしゃべってんでない!」イライラとうちわで仰ぐ。

 

俊道にずいっと近づくみさ。

俊道「何だ?」

みさ「私には、よく分からないんだけど」

俊道「うん?」

みさ「蝶ちゃんに色気っちゅうもん、あるんかい?」

俊道「お前、何しゃべるんだ。親が色気の話、して、どうするんだ!」

ションボリ下を向くみさ。

 

俊道「そういう心配ないんだべな?」

みさ「蝶ちゃんは、なんも」

俊道「男と、こう、交際してるとか何とか…」

みさ「蝶ちゃんは、なんも」

俊道「いっぺん聞いてみれや」

みさ「お父さん聞いたらいいんでないんですか?」

俊道「そういうことは、母親が聞く方がいいんだ」

みさ「そうかい?」

俊道「そうしたもんだ」

 

みさ「私は蝶ちゃんは心配ないと思うんだ」

俊道「なして?」

みさ「いやぁ、なしてって…」

俊道「根拠もなく簡単にしゃべるんでない! 男のもとに走った田所の娘に影響されんともかぎらんべや」

うなずくみさ。

俊道「いいべ? それとなく聞いておけや」部屋を出ていく。

 

みさ「そういうことは、いっつも私だ」

 

田所呉服店

蝶子「おばさん、私、東京で邦ちゃんと会ってんだよ」

久子「して?」

蝶子「元気だ。仕事もしてるし、大人っぽいもね」

久子「1人でいるんではないっしょ?」

うなずく蝶子。

ため息をつく久子。

 

蝶子「先生から手紙来たんでない?」

うなずく久子。

蝶子「少しは安心したしょ?」

久子「安心とか何とかより…」

蝶子「先生、何て書いてきてたんさ?」

久子「『邦子が札幌に無理やり押しかけてきた』って…何度も連れ戻そうとしたけど、ダメだったって。東京に来た訳も書いてあった。邦子も『ついていく』と言って承知したこと」

蝶子「邦ちゃんもそうしゃべってたもん」

久子「『いきさつは、どうあれ、邦子のことは大事に見守る』とも書いてあった」

蝶子「そのとおりだ。先生は、そういう人だ」

久子「大事にと思うなら何としても邦子ば、こっちに連れてきてほしかった…そう思わないかい?」

蝶子「したけど、連れ戻しても邦ちゃんの性格だと…先生、そういうこと分かってたんでないかい?」

うなずく久子。

 

蝶子「邦ちゃんの住所、分かってるしょ?」

うなずく久子。

蝶子「おじさん、何か…何にもしゃべってないかい?」

久子「会いに行くつもりもないし、連れ戻すつもりもない…連れ戻したところで、こんなに噂が広まってたら、嫁のもらい手もないし…邦子のことは諦めたわ。死んだもんと諦めることにしたさ」涙を流す。

蝶子「おばさん! 安心してや。邦ちゃんたち仲よく暮らしてる。楽しくて羨ましいぐらいだ。おばさん、私、ずっとうちにいるから伝言とかあったら聞くからね」

うなずく久子。

蝶子「したら…」

うなずく久子をあとに店を出た蝶子。

 

町を歩く蝶子はガラス窓を拭く公次を見かけた。「公次君? 公次君!」

公次「チョッちゃんねえちゃん!」店を出てきた。

蝶子「何してるんさ?」

公次「夏休みの間、働いてるんだ。掃除とかいろいろやってるんさ!」

蝶子「偉いねえ。兄ちゃんは、うちかい?」

公次「うん」

 

「公次君!」

公次「は~い!」

「ちょっと買い物行ってくれないかい?」

公次「は~い!」

 

外では子供の遊ぶ声が聞こえる。

 

大工さんの作業場なのかな? 男性2人がのこぎりを引いたり、作業している。

 

彦坂家

蝶子「こんにちは! 帰ってきてたんだ」

家の中に入った蝶子をポーっと見つめる頼介。

蝶子「あ、なんさ」

頼介「いやぁ…」

蝶子「え?」

頼介「やぁ~。大して大人っぽくなったもねぇ」

蝶子「そうかい?」

頼介「今、誰かと思ったわ」

蝶子「ウソ!」

頼介「本当。いやぁ…」

蝶子「なんさ!」

 

頼介「手紙、蝶ちゃんの。先生んとこで何通か読ませてもらったわ」

蝶子「そうかい」

頼介「…読んでても、想像のつかんことばっかしだわ」

蝶子「東京かい?」

頼介「うん」

蝶子「私もいろいろたまげたもねえ」

 

頼介「学校どうだい? 蝶ちゃんより歌のうまいもんがおるってかい?」

蝶子「うん。私のほかは、みんなそうだ」

頼介「へぇ~」

蝶子「世の中、つくづく広いと思ったわ。したけど、私はめげない。何としても頑張る」

うなずく頼介。

蝶子「頼介君は、どうだい? 町で公次君に会ったさ」

頼介「…そうかい」

蝶子「働いてるって」

頼介「うん」

 

蝶子「馬も手放したんだって? 石沢のおじさんに聞いたさ」

頼介「豆もトウキビも出来がよくないんだ。いや、それより何より前々からの借金もあってね」顔を洗っている。「馬、手放さないと息、つけなくなったんだ。内地から馬ば買いに来る人いたもんだから…いやぁ、蝶ちゃん。売られると分かったらしくて、あの馬、なかなか動こうとしないんだわ。しかたなく俺が駅まで連れてったけど、今度は、なかなか貸車に乗らないもね」顔を手ぬぐいで拭く。「ようやく乗したさ。公次の学費もあるんだ。米は取り入れがまだ先。出来てみないことには金には、ならないんだ」

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馬の話は悲しい。「北の国から」にもあったなぁ。脚本の金子成人さんは倉本聰さんに師事していた。単発時代の日曜劇場で何本も北海道を舞台にした話を書いている。

 

蝶子「したっけ、石沢のおじさんもうちの父さんも『なして相談しないか』って、しゃべってたよ。相談したらいいっしょ!」

頼介「金借りても返せる当てないべ」

蝶子「したっけ!」

頼介「当てもないのに借りるわけいかないべさ。甘えたくないんだ」

蝶子「したら、どうしたらいいんさ!」

ため息をつく頼介。

 

安乃が帰ってきた。

蝶子「安乃ちゃん!」

安乃「チョッちゃんねえちゃん!」

蝶子「元気してたかい?」

安乃「うん!」

蝶子「ねえちゃん、忘れもんしたわ。安乃ちゃんや公次君たちにお土産持ってきてたんだけど、急にこっち来たから忘れてきたわ。今度、持ってくるわね」

安乃「うん!」

 

男「やあ、いたかい」カンカン帽に和服、扇子…いかにも金持ちそうな感じ。「どうだい…どうだい、え? めどは、ついたかい?」

頼介「すいません、ちょっと」男と一緒に外へ。

 

安乃は不安そうな表情を浮かべている。

蝶子「安乃ちゃん?」

安乃「チョッちゃんねえちゃん、いつ帰るんさ?」

蝶子「今月の22~23日ごろだ」←もう8月に入ったんだね。

安乃「ふ~ん。食べるかい?」

蝶子「うん」

 

診察室

蝶子「頼介君、なんとか助けられないのかい?」

俊道「う~ん…」

蝶子「あれは確かに金貸しだ」

俊道「頼介君、拒むんだ。嘉一さんも『援助する』って、しゃべったんだ。したっけ、やっぱり拒むんだわ。あれも大して頑固だ」

 

<この日、滝川は雨になりました>(つづく)

 

冒頭は夫婦2人の息の合った掛け合いでほのぼのさせといて、邦子の母の苦悩、彦坂家の困窮など15分でいろんなものを見せられた。全編ほのぼのした朝ドラかと思ったら、ゆるくないねえ~。