1949年 日本
あらすじ
巨匠・黒澤明監督、三船敏郎主演。戦後の荒廃した社会を背景に、拳銃を盗まれた新人刑事とベテラン刑事を描く犯罪サスペンス。うだるような真夏のある日、新人刑事の村上は実弾の入った拳銃を盗まれてしまう。村上は闇市で拳銃を探すが、その銃を使用した事件が発生する。村上はベテラン刑事の佐藤と共に犯人を追い詰めようとするが…。黒澤監督の緊迫感あふれるドキュメンタリータッチの演出が世界的にも高く評価される傑作。
2025.3.17 NHKBS録画
東宝株式会社 配給
新東宝
映画芸術協會
提携作品
1949年作品
犬の顔のアップ…顔しか映ってないから体を押さえつけてんじゃないのかな…とかイヤな想像しちゃう。ハァハァして息が荒いから(-_-;)
製作:本木荘二郎
脚本:黒澤明
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音樂:早坂文雄
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村上刑事:三船敏郎…字幕黄色
佐藤刑事:志村喬…字幕水色
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並木ハルミ:淡路惠子(S.K.D)
ハルミの母:三好榮子
ピストル屋のヒモ:千石規子
桶屋の女房:本間文子
スリ係市川刑事:河村黎吉(松竹)
光月の女将:飯田蝶子(松竹)
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阿部捜査主任:永田靖(俳優座)
呑屋のおやぢ:松本克平(俳優座)
レビュウ劇場の演出家:千秋實(バラ座)
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ホテル彌生の支配人:菅井一郎(第一協團)
係長中島警部:清水元(第一協團)
水撒きの巡査:柳谷寛(第一協團)
本多:山本礼三郎(第一協團)
鑑識課員:伊豆肇(第一協團)
被害者中村の夫:清水将夫(第一協團)
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アパートの管理人:高堂國典
レビュウ劇場の支配人:伊藤雄之助
若い警察医:生方明
さくらホテルの支配人:長濱藤夫
リーゼントスタイルのボーイ:生方功
チンピラ:水谷史郎
老人の町医者:田中榮三
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佐藤の妻:本橋和子
あづまホテルのマダム:戸田春子
藝者金太郎:登山晴子
パチンコ屋の女:安雙三枝
支配人の妻:三條利喜江
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監督:黒澤明
その日は恐ろしく暑かった。
警視廳
捜査一課室
村上刑事がピストルをすられたと上司に報告していた。コルト式小型拳銃で弾は7発。
射撃練習を終え、疲れており、暑い日でバスは混んでいた。拳銃をすられていたことに気付き、バスを降り、若い男を追いかけたが見失ってしまった。
係長の中島警部に「自分は、自分は」と語りかける村上に軍隊じゃないんだからやめたまえと注意された。指示を仰ぐと、餅は餅屋でスリ係に相談しろと言われ、スリ係の市川のもとへ。市川は犯人の顔を覚えているのなら鑑識課へ行くように言われ、鑑識課へ。
市川は鑑識課に村上の様子を見に来た。村上は見つからないと焦っていて、市川がリレー方式で逃げた男が犯人とは限らないとアドバイス。村上はバスで隣り合った中年女を思い出し、女の写真の中から見つけ出した。
市川は、お銀という女をよく知っており、村上と一緒に出かけた。おお~、岸輝子さんは「おやじ太鼓」のイネさんか。若い~!
村上はピストルを返してくれと頼むが、人権蹂躙で訴えるよ、バイバイと去っていった。何ともならないなと諦めた市川だったが、村上は、お銀を追いかけた。
走って追いかけ、一緒のバスに乗り、さらに歩いて、お銀が入ったのはパーマ屋。裏口から出ようとしたが、村上に見つかり、さらに小走りで歩いていく。村上はヒントだけでも教えてほしいと後を追い続ける。
飲み屋にいるお銀。夜11時半過ぎ。村上は店の外で待っていて、店主から今どきの若い者にしては、と感心された。お銀はビールを持って、外に出て、村上に渡した。お銀のヒントは「ピストル屋探してごらん」。食い詰めた格好をしているとピストル屋から声をかけてくる。お銀は殺しの刑事に追いかけられのは初めてだよと寝転がり、夜空を見上げた。
村上はピストル屋に声をかけられるよう、復員兵風のボロボロの服で歩いた。何日も街をウロウロ歩き続け、怪しげな若い男たちの前を通り過ぎたりしてみたが、なかなかそれらしい人物に巡り合えない。
いろんな歌謡曲が流れたけど、東京ブギウギしか分からなかったなー。
この捜索シーンがセリフもなくかなり長い。射撃場の女に話しかけるが、思いっきり警戒され警察を呼ぶよと言われ、去るしかなかった。
川辺で寝ている村上に川に石を投げて起こした若い男が近づき「パチンコいらねえか?」と話しかけてきた。パチンコ=ハジキ=拳銃。男は配給の米の通帳持ってきなと言い、9時に鈴蘭通りのコンガという喫茶店で待ち合わせて、その場は別れた。
約束の時間に喫茶店を訪れた村上は頭に白い花をつけた女に話しかけ、警視庁の者だと言って女を捕まえた。千石規子さん若い!
交番の奥を借りて取り調べ。コルトという拳銃を知らないかというと、昨日貸して、明日返してもらうつもりで店にもいたと言う。
中島警部から一丁のコルトよりたくさんの拳銃をあげることに集中したほうがいいと注意され、3か月間、半額減俸を命じられた。
スーツ姿の刑事に戻った村上は射撃場で打ち損じた弾を探し出し、調べてもらった。
辞職願
私事
今般拳銃ヲ紛失シタル責任ヲ痛
感シ辞職致シ度、御願ヒ致シマス
昭和二十四年八月十二日
捜査第一課勤務
警視廳巡査 村上五郎
警視総監殿
中島警部は君の不運は君のチャンスだと辞職願を破いた。もう一度、ピストル屋のヒモの女を洗い出すよう指示された。
中島から組むように言われた淀橋の佐藤刑事がピストル屋のヒモの女を先に取り調べしていた。佐藤は男が夏なのに冬の格好をし、左ギッチョであることも知っていた。女にタバコを渡し、話を聞きとる。女は、その男がマッチを左手ですっていて手がブルブル震えていたと話すが、それ以上、話そうとしない。
佐藤は男のイロ女と見抜き、本多という名で野球キチガイだと聞きだした。女を半殺しにした前科あり。佐藤からカードを調べるよう言われた村上は本名が立花であることを調べた。
村上の盗まれた銃を使った事件が起こった。被害者は4万盗まれたが、結婚資金で貯めていた。またお金を貯めるには3~4年かかる。その間に娘盛りは過ぎてしまうし、婿さんも10年待ちぼうけを食らう。村上は、僕があんなヘマさえやらなきゃと後悔する。
野球場
巨人軍の選手! 背ネームなし。佐藤と村上は球場で野球を見ていた。村上は、あの女を捕まえた夜に男が事件を起こしたのは村上がいたせいでヤケになったのでは…と気にし、佐藤に注意される。
ジャイアンツ対ホークス。観客は5万人。
2番センター河西。河西俊雄さん。南海ホークスの選手なんだね。
4番ファースト川上。背番号16。川上哲治さんか~。
球場の迷子のお知らせを聞いた村上は”上野の本多さん”と呼び出してみたが無視され、今度は本名の”上野の立花さん、お友達がお待ちです”と呼び出してもらった。本多に拳銃を突きつけ、捕まえた。試合、見たかっただろうね。この年は1リーグ8チームでジャイアンツが優勝。2位の阪急ブレーブスと16.0ゲーム差! 南海ホークスは4位。
家庭用主要食糧購入通帳
喜多見町
遊佐新二郎
本多は通帳をネタにゆすろうと通帳を捨てておらず、遊佐新二郎を調べることにし、遊佐の姉を訪ねた。遊佐は復員の時に全財産を盗まれグレ出したと話す。軍隊で一緒だったリーゼントの清さんという友達が悪いのだと言う。佐藤と村上は遊佐の荷物を調べた。
今日もねむれない
雨の音の中からあの捨て猫の…
遊佐が書いたと思われる日記? 以下、猫に対する虐待に書かれていたので割愛。
リーゼントのボーイを訪ねた佐藤と村上。リーゼントは遊佐に会ったのは土曜日、11日の晩。ベロベロに酔っていた。白い麻の背広を着ていたが、何を聞いても答えなかったと話す。佐藤は何の得があって遊佐と付き合っていたのか聞く。遊佐はブルーバード座の楽屋のちょいとした顔でレビューガールに近づきたいため、つきあっていた。遊佐には並木ハルミという幼なじみがいた。
レビューガールがレオタードみたいな格好で踊っている。割と脚長いな。佐藤と村上は舞台で踊る並木ハルミを見ていた。舞台を降りるとぐったりして楽屋で寝転ぶレビューガールたち。
劇場の支配人が楽屋に来て、ハルミがなぜ休んだのか聞き、刑事が面会に来ていると伝えた。佐藤がハルミに遊佐の事を聞いた。半年ばかり隣にいたと話し、恋人であることも否定するが、ただのファンであることも否定。私、何にも悪いことしてないのにと泣き出した。佐藤が公衆電話から署に報告して、今日は終わり。
あの子はなぜ泣いたのかと聞く村上に佐藤は疲れてるんだよと答えた。
佐藤は村上を自宅に招いた。まだ小さな子供たちが3人いる。夕飯はカボチャ。うちもひどいが遊佐の家も酷いねと佐藤がしみじみ話す。村上は悪い人はいない、悪い環境があるだけという言葉を思い出すが、佐藤は悪いやつは悪いと断言する。
佐藤は村上も遊佐もアプレゲールという戦後派なのだと言う。村上も復員時に荷物を盗まれたが、そこから奮起して警官になった。佐藤は村上こそ本物のアプレゲールという。帰ると言う村上に自身の子供たちの寝顔を見せる佐藤。雑魚寝姿にまるでカボチャ畑だと笑う。
ピストル強盗が起きた。さるすべりの咲いた家。夫婦仲がよく、女中が居つかなかった。出張から夫が帰ると、妻が殺されていた。また僕のコルトじゃないでしょうかと気にする村上。膝を抱えていた被害者の夫・中村は妻が育てていたトマトが出張から帰っていたら赤くなっていた、このトマトを見ているのは辛いと庭に出てトマトを抜いていた。おお、「ありがとう」第2シリーズの院長・清水将夫さん!
鑑識から連絡があり、やはり村上の銃であることが分かった。僕の銃なんですね?と聞く村上に、イヤ、遊佐の銃だと答える中島。村上は頭を抱える。神経衰弱になりそうだと佐藤に訴えた。
人を殺した人間は狂犬だと佐藤が言う。ハルミにホレている遊佐は必ずハルミの所に来る。
劇場に行き、演出家に話を聞くと、ハルミは休んでいると話した。毎月のあれ。住所は高円寺。
ハルミと母が暮らすアパートに行った佐藤と村上。遊佐の事なんて知らない、警察なんてしつこくて大嫌いだと怒っているハルミ。母が知ってることは話しなさいと諭し、一旦部屋を出た2人。佐藤は部屋にあったマッチからホテルを訪ねることにし、村上はハルミの部屋に戻った。
ホテルの宿泊名簿を見せてもらった佐藤は”並木春夫”という名前を見つけた。受付のマダムは酒の切れない方だと話した。
ハルミはこんなもの返すと箱をひっくり返すとドレスが出てきた。ショーウインドーを見て、こんなきれいな洋服いっぺん着てみたいと遊佐に言ったハルミ。私のために悪いことをしたのだと話す。
世の中は悪い、しかし、世の中のせいにして悪いことをする奴はもっと悪いと村上が言う。そうだ、そうだ!
佐藤は遊佐を乗せたタクシー運転手から聞いた待合へ。
ハルミはドレスを着て「とっても楽しいわ!」とクルクル回る。母はドレスを脱がせ、外に投げ捨てた。母にすがって泣くハルミ。外は雷雨。
佐藤は遊佐と一緒にいた金太郎という芸者に会いに行った。
ハルミに浴衣を着せている母。村上はピストルを盗まれ、今日は胸騒ぎがすると話した。
金太郎から聞いた弥生ホテルに行った佐藤。支配人から並木春夫が泊まっていると聞き、裏口を閉めるよう指示。佐藤は並木ハルミの部屋にいる村上を呼び出してほしいとアパートの管理人に電話するが、雷雨で聞き取りづらく、管理人はハルミを呼び出した。
ハルミの母、村上も一緒に電話の前へ。村上に代わろうとしたとき、ホテルで銃声が聞こえた。撃たれたのは佐藤!?
村上は輸血を終え、佐藤さん、死なないでくれ!と必死に叫んだ。
朝、峠は越えたと看護師に言われた村上に6時に大原駅で遊佐が待っていると伝えたハルミ。村上は駅に急ぐ。待合室にはガラの悪そうな男女が並び、遊佐は誰だ!?と心の中で叫ぶ。28歳、白い麻の背広。服は着替えているかもしれない、28歳の男…雨の中飛び出したから泥だらけかもしれない…泥だらけの靴とズボンの男がいた! 左手でマッチを擦り…村上と目が合った遊佐は線路を走りだし、村上が追いかけた。
雑木林で銃を向ける遊佐。
近くの家からピアノの音がする。
銃声が響き、ピアノを弾いていた女性が外を見るが、すぐまたピアノを弾き始めた。
村上は1発、腕を撃たれたものの、後の2発は木に当たり、弾はなくなった。もみ合いの末、遊佐を追い詰める村上。この間、無音。遊佐に手錠をかけ、村上も倒れ込んだ。
子供たちが歌う「ちょうちょ」が聴こえる。空を見上げた遊佐は声を上げて泣き出した。
入院中の佐藤を見舞った村上。佐藤は表彰状を受け取った村上を褒めた。遊佐を捕まえたことに感傷的になる村上に遊佐の事なんか忘れろ、遊佐の事なんか自然に忘れるよと話す佐藤。(終)
名作にはいつも志村喬さんが出てるな~。昭和24年、志村喬44歳、三船敏郎29歳。29歳か! 新人刑事役だけど、貫禄ある~! 悪いやつは悪いと断じているのがいい。しかし、戦後の混乱期と言われる時代でも映画が撮られていたんだな。混沌とした時代。
見ごたえのある面白い作品でした。
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