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【ネタバレ】チョッちゃん(34)―連続テレビ小説―

NHK 1987年5月14日(木)

 

あらすじ

蝶子(古村比呂)の親友・邦子(宮崎萬純)は、親に蝶子と出かけると嘘をつき、神谷先生(役所広司)に一目会うため岩見沢に足を運んでいた。だが、なんど岩見沢に行っても先生に会うことができないと、邦子は肩を落とす。ところが、そんな蝶子の家に、その神谷が現れる。蝶子が東京の音楽学校への進学の件で、父の許しを得られないことをつづった手紙を読み、相談に乗るためやってきたのだというのだが…

2025.5.1 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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神谷容(いるる):役所広司

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北山みさ:由紀さおり

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田所邦子:宮崎萬純

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マスター:ジョー・グレイス

早川プロ

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北山俊道:佐藤慶

 

今日はまたキャストが少ないな!

 

北山醫院

 

邦子「昼間、家に来たんだって?」

蝶子「いやいや、焦ったもねえ」

邦子「ちょっとあれ岩見沢に忘れ物、取りに行ったんだわ」

蝶子「ウソ。忘れ物取りに行くのに、なして『私と行く』って、ウソつかんきゃなんないの? 邦ちゃん!」

邦子「したっけ、何べんも同じウソつけんもねえ」

蝶子「そんな何べんも岩見沢行ったんかい? 何しに?」

邦子「神谷先生に会いにだ」

 

驚く蝶子。

邦子「会いたくて、会いたくてさ。卒業して滝川に帰った途端、無性に…口実作って、何べんも行った。岩見沢の峰ちゃんに頼んで、私の家に手紙出してもらって用事出来たふりして行ってた。したけど…先生には、いっぺんも会えないの。会ってくれないんだわ。下宿にも行ったのに会ってくれないんだ」

蝶子「今日も?」

邦子「下宿の外で出てくるの、ずっと待ってた。したけど、やっぱり会えないんだわ」

蝶子「邦ちゃん、そんなに…」

うなずく邦子。笑顔になり、帰ってしまった。

蝶子「邦ちゃん!」

 

<女の顔だとチョッちゃんは思いました。恋する女の顔なんだと>

 

雨が降り出す。

 

茶の間でせんべいを食べながら雑誌を見ているみさ。

蝶子「どうしたらいいべ?」

みさ「うん?」

蝶子「父さん説得するのゆるくないしょ」

みさ「そうだね。どうしても説得できない時は…」

蝶子もせんべいをかじる。

 

戸が開き、「ごめんください!」と男性の声がした。

 

みさ「たみちゃん!」

⚟「ごめんください!」

 

蝶子「あの声!」慌てて部屋を飛び出す。

 

玄関

蝶子「先生!」

神谷「おお!」

みさ「や、神谷先生!」

神谷「その節は」

みさ「いや、こちらこそ」

 

蝶子「先生、なして滝川に?」

神谷「いやいや、それは、ないべや。手紙で相談事、持ち込んだんは誰だったんさ?」

蝶子「あ、それで!」

 

みさ「え?」蝶子の顔を見る。

蝶子「父さんのことで先生に相談の手紙、出したんだわ」

みさ「それでわざわざ」

神谷「学校のない時は教師は暇なもんで。ハハッ」

みさ「あ、お上がりください」

神谷「はい」

 

蝶子「あ、先生。外でもいいかい?」

みさ「なして?」

蝶子「父さん、帰ってきたらまたうるさいっしょ」

みさ「ああ…」

神谷「私は、どこでもいいよ」

蝶子「駅の近くに喫茶店がありますので」

 

みさ「あの喫茶店かい?」

蝶子「うん」

みさ「あ、そう…」

 

蝶子「先生、引き返さしてるようで悪いね」

神谷「いやいやいや」

みさ「支度して、すぐ来ます」

 

喫茶ヴォルガ

 

♬~(「喜歌劇『こうもり』序曲」)

蝶子「ロシアンティー2つ!」

マスター「はい、すぐ持っていきます」

 

蝶子「先生」

神谷「うん?」

蝶子「私の手紙のことでわざわざ?」

神谷「うん。なして?」

蝶子「いや、したって、あまりのことにちょっと…」

神谷「手紙だと書き尽くせないし、もどかしいべさ」

蝶子「あ、はい」

 

隣のテーブルの男性が帰った。

マスター「ありがとうございました」

 

神谷「いい店だなあ」

蝶子「はい」

神谷「よく来てたんかい?」

蝶子「はい!」

神谷「高女の時?」

蝶子「ああ、よくではなく1回目は母と2回目は友達、そして、今日、たったの3回」

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神谷「なんも言いわけすることないべや」

蝶子「あ、したって不良娘だと思われたくないから」

神谷「こういう所来ると不良なんかい? そういうこと言ったら店の人に失礼だべ?」

申し訳なさそうに頭を下げる蝶子。

 

NHKニュース速報

アメリカとウクライナ 合意文書に署名

鉱物資源の権益めぐり ウクライナ発表

 

神谷「どうしたらいいべ?」

蝶子「え?」

神谷「君だよ。お父さんのこと」

蝶子「あ、そうでした」

 

神谷「お父さんの反対の理由っていうのは何なんだ?」

蝶子「要するに父は音楽の世界のことがよく分かってないんです。声楽で身を立てるということがどういうことか分からないから、まるで見せ物の芸人にでもなるっちゅうしか思ってないんでないかな」

神谷「う~ん」

蝶子「それに…必ず声楽家になれるかどうか分からないっていうことにも不安持ってるんだ。東京に行くっていう、そのことも反対してるんだ。『賭け』だとか何とかしゃべって」

 

マスターがロシアンティーを運んできた。

蝶子「この曲、何ていう曲だ?」

マスター「オペラ『こうもり』の序曲なんだ」

蝶子「オペラ?」

マスター「ヨハン・シュトラウスです」

蝶子「ありがとう」

 

神谷「お父さんが君にあれこれ言うんは君を行かしたくない口実でないべか。その…君をそばに置いておきたいからの。『生きるってことが一種の賭けみたいなもんだ』ぐらい、お父さんは百も承知だわ。人生は賭けみたいなもんだべ? 君のお父さん、そんなことは、よく知っていながら、つい口に出したのさ。なんとか引き止めようとさ。親の情だわ。そのことは君も感じてるんでないかい? したから、思い悩むんだ」

 

♬~(「喜歌劇『こうもり』序曲」)

神谷「君みたいに相手の気持ちば思いやる人間は、したからつらいんだわ。冷淡になれたら、もっと楽に生きられるんだけどねえ」

 

客が入って来た。

マスター「いらっしゃい、いらっしゃい」

 

神谷「説得できるまで待つか、行動かだ」

蝶子「行動?」

神谷「うん、例えば家出とか。いや、なんも家出、勧めてるわけでないんだ。したけど、自分の目的が他人によって、ゆがめられるとしたら、そんな悔しいことはないべ? したら、思い切って断ち切るしかないんでないかい? 情に縛られると後悔するもんだ。後悔したら憎しみも出てくる。恨みも出てくる。一つの世界で情に縛られて生きると物の考え方も狭いままになる。そしたら、いつまでも自立はできない。そういう人生でもいいんかい? これからは女性もどんどん世の中に出ていかんきゃ。まあ、出ていきゃいいってもんでないけど出たいという人は出たらいいと思うんだわ。そしたら、誰のもんでもない自分の人生ってもんば生きられるんでないかい? 自分の人生ば生きるってことは、そうだな、生きた証しば残すってことかもしれないな。なんも大したことでなくていいんだ。土地耕して作物を実らせる。農家の人には、それがそうかもしれない。君のお父さんのようなお医者は病気を治した人に感謝されることが証しかもしれない。君には少なくとも一つ音楽っていうもんがある。小説もそうだけど、音楽っていうもんも作った人が死んだあとも残り続けるもなぁ。ヨハン何て言ったっけ? これ」

蝶子「シュトラウス

神谷「今、生きてるのかい?」

蝶子「いや、確か二十何年か前に死んだって教わったような…」

神谷「だべ! こうやって死んでも、こう、残るもなぁ。生きた証しが外国ででも残るもなぁ。見も知らない人の前にも残るもなぁ。したけど、教師として私は、どんな証しば残せるんだべな」

 

蝶子「それは先生、卒業式前のお別れ会の時に自分でしゃべったでない。『自分の教育が正しかったか間違っていたかは今後、私たち教え子がどういう生き方をするかで決まる』って」

神谷「うん」

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蝶子「したから、先生、このあとも私たち教え子ば見守り続けないといけないんだ」

神谷「ハハハッ、いや、いや、いや」

蝶子「はい!」

 

神谷「したら、それを楽しみに私は札幌に帰るわ」

蝶子「え?」

神谷「高女は辞めることにした」

蝶子「なして!?」

神谷「うん…」

蝶子「私のせいかい? 私が騒ぎを起こすたんびに校長先生と対立してたっしょ」

神谷「君のことは、なんも関係ない。教育者として相いれないことが分かったんだわ。札幌に帰って、また、教師の仕事でも探すつもりだ」

 

マスターが次のレコードに針を落とす。

 

神谷「雨、やんだみたいだなあ。君に頼もうかな。実はな、田所君にも会うためにこっち来たんだ。話、しようと思って来たけど、会うのをやめた。彼女に伝言ば頼みたいんだわ」

うなずく蝶子。

神谷「つまり、その、なんだ…『人に、この、何かを求めるんでなく、もっと視野ば広げ、目ば転じて、その…君は君のよりよい人生ば、生き方ば送ってほしい』と…」

蝶子「はあ?」

神谷「まあ、そうしゃべったら分かるわ」

蝶子「あ、はぁ」

 

♬~(「別れの曲」)

「別れの曲」ÉTUDE,Op.10,No.3

「別れの曲」ÉTUDE,Op.10,No.3

  • provided courtesy of iTunes

「別れの曲」っていったら、「101回目のプロポーズ」だな。

 

神谷は手帳に何か書き始める。「これが私の札幌の住所だ。困った時は、いつでも手紙でもくれたらいいわ」

 

いやいや、そんなことよりさっきの邦ちゃんへの伝言を書いてほしいわ。いや! ちゃんと会って話してほしいわ。

 

神谷は蝶子に手帳を破って渡す。「ともかくあれだな。世の中、跳んでみんことには分からんことがいっぱいあるんだわ。計算どおりにいくんなら苦労はない。面白くもないべや」

蝶子「はい!」

 

喫茶ヴォルガを出た神谷。「おお! 日ぃさしてきた!」

蝶子も店から出てくる。

神谷「北山君、いい人生を送れや」

蝶子「はい」

神谷「うん。したら」

蝶子「先生!」

神谷「ん?」

 

蝶子「さよなら」

神谷「永遠にかい?」

蝶子「なんも」

神谷「したら…『今日はさよなら』だ」

蝶子「『また会うまでのさよなら』」

神谷「うん!」手を振り、蝶子も手を振り返す。

 

田所呉服店

蝶子「先生、学校辞めて札幌に帰るんだって」

邦子「私のことは、なんも?」

蝶子「伝言頼まれた。ええと『人に何かを求めるんでなく、もっと視野ば広げ、目ば転じて君は君のよりよい生き方ばしてほしい』と。何のこと?」

邦子「チョッちゃん、先生は?」

蝶子「2時14分の汽車だから、もう…」

邦子は蝶子をビンタ!

蝶子「なんさ!」

邦子は奥へ行ってしまった。

蝶子「なんさ!」

 

これは神谷先生悪いよねえ。こうなるよねえ。

 

診察室

キャラメルを食べている俊道のもとに行く蝶子。

俊道「なしたんだ? ほっぺた」←真っ先に目がいくところがいいね。

ハッとして左頬を触りつつ「私は何としても東京、行くから!」という蝶子。「生きた証しば見つけに行くんだ!」

 

<チョッちゃんは、もう突っ走りだしました>(つづく)

 

子供をそばに置きたい人は「おやじ太鼓」の亀次郎みたいに東京に住むことをお勧めする。その上、田園調布の大きい家なら誰も出ていかないよ!

 

神谷先生は小学校や男子高の先生がいいと思う! 女子高の先生は要らぬ争いを生む。