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【ネタバレ】チョッちゃん(31)―連続テレビ小説―

NHK 1987年5月11日(月)

 

あらすじ

蝶子(古村比呂)が女学校を卒業して、滝川に帰ってきたその日、幼なじみの頼介(杉本哲太)の母・いせ(左時枝)が危篤との急報が飛び込む。父で医師の俊道(佐藤慶)とともに急ぎ駆けつける蝶子だったが、診察した俊道は、すでに手の施しようがないと、肩を落とす。その日のうちに頼介の母は息を引きとる。悲しみにくれる蝶子に、頼介は、母の死に悲しみを感じない、むしろホッとしていると、心の内を明かしだす。

2025.4.28 NHKBS録画

peachredrum.hateblo.jp

脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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演奏:新室内楽協会

テーマ演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

指揮:円光寺雅彦

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考証:小野一成

タイトル画:安野光雅

方言指導:曽川留三子

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協力:北海道滝川市

   北海道開拓の村

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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北山みさ:由紀さおり

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彦坂頼介:杉本哲太

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石沢嘉一:レオナルド熊

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彦坂いせ:左時枝

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北山俊介:伊藤環

彦坂安乃:近藤絵麻

彦坂公次:中垣克麻

早川プロ

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北山俊道:佐藤慶

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制作:小林猛

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演出:一柳邦久

 

<チョッちゃんが女学校を卒業して滝川に帰ってきた日のことです。頼介の母・いせの容体が急変したという知らせを受け、チョッちゃんは俊道さんと共に駆けつけてきたのです>

 

彦坂家

俊道「いつからこうなった?」

頼介「2時ごろ」

俊道「なしてすぐ知らせないんだ!」

頼介「今日は蝶ちゃん帰ってくる日だったし」

俊道「こういう時、変な遠慮するんでない!」

 

息の荒い、いせ。

石沢「こっち来たついでに寄ってみたら『知らせてない』って言うべ。それで、ワシが…」

俊道が診察する。

いせ「先生、すみません」

俊道「しゃべるんでない」

 

蝶子「ごはん食べたかい?」

公次「まだ」

蝶子「したら、何か作るわ」

安乃「手伝う」蝶子と台所へ。

 

俊道「(頼介に)ちょっと…」

 

隣の囲炉裏の間へ移動。

俊道「いせさん…危険な状態だ。危険というより手の施しようがないわ」

石沢「ダメかい?」

俊道「いや、もちろんやるだけのことは、やる」

中越しに話が聞こえている蝶子。

俊道「したけど、ワシにあんまり望みは…」

蝶子「そんな! なんとかなんないのかい?」

頼介「いや、いいんだ」

蝶子「何がいいのさ?」

俊道「大声立てるんでない」

 

頼介「これまで、ずっと先生に診てきてもらったもね。先生しか頼れなかったからだ。その先生ができるだけのことしてダメなら、それでいいんだ」

蝶子「頼介君、諦めてはダメだ」

頼介「諦めでない」

蝶子「いや」

頼介「諦めてるんでないんだ、蝶ちゃん。最後まで先生に診てもらえたら、もう、それでいいんだ。俺も…多分、おふくろもそう思ってるわ」

 

頼介がいせの額の汗を拭く。

 

安乃と公次が食器を片付け、台所にいる蝶子に渡す。

 

俊道「このままでいいんかい? こういう時、黙って見てるしか手はないのかね?」

石沢「注射打ってるでない」

俊道「いや、そういうことではなく。治せないもんだべかとしゃべってるんだ。ワシが学んだのは二十何年も前だ。医学は年々進歩してるはずなんだわ。ワシなんかよりもっと優秀で新しい医学に詳しい医者は、いないんかい?」

蝶子がお茶を運び、石沢が飲む。

石沢「あんたとこのうちのつながりを思えば、頼介がしゃべったとおりでないかい? ほかの人に診てもらって確実に助かるっていうんなら別だ。ほかの人のもとでダメだった時、頼介は悔やむしょ。信頼してる人の力でもダメだったという方が思い残すことはないんでないかい?」

 

俊道は囲炉裏の間から、いせの枕元へ。

 

蝶子は安乃と公次と肩を組み、枕元に座っている。「眠くないかい?」

安乃「眠くない」

蝶子「したら話でもしないかい? 何の話いいべ?」

 

また囲炉裏の間に戻る俊道。

 

蝶子「岩見沢でユーリーさんっていうロシア人のパン屋さんと友達になったんさ。いい人でね。1人で住んで、毎日、パン焼いて、町ん中、売り歩いてんだよ」

 

目を開けたいせ。

頼介「ん?」

いせ「蝶子さんの話、聞いてた」

 

蝶子「うるさいかい?」

いせ「ううん」

 

公次「話の続き!」

蝶子「うん」

蝶子「して、その人のうちの中にも入ったんだよ。したら、そこには蓄音機というもんがあったんだ」

安乃「『蓄音機』?」

蝶子「うん。こう、レコードっていう円(まる)っこい板の上に針のせたら音を出す機械さ…聴いたんだ、そこで音楽。いくつもいくつも初めて聴いた曲、いくつも。したから、ねえちゃんは…音楽の道に進もうと決意したんだ」

 

いせ「蝶子さん」

蝶子「ん?」

いせ「音楽…頑張ってね」

蝶子「はい」

 

いせ「公次…大きくなったら何になるさ?」

公次「俺は…小学校出たら食堂で働く」

いせ「なして?」

安乃「うまいもん、食べられるからだべさ?」

蝶子「食べるのは客の方だ」

公次「したけど、食堂がいい」

いせ「そうかい」

 

安乃「私は芸者さんだ」

いせ「はあ…」

蝶子「そうかい」

安乃「この前、町で見たんだわ。いや~、大したきれいな着物、着てたもね。髪結って、白粉(おしろい)つけて」

いせ「そうかい。そうなれるといいね」

 

夜が明けるころ…ロケっていいね。景色が素晴らしい。

 

俊道「いせさん! いせさん!」

 

囲炉裏端で寝ていた頼介たちが起きて、いせの枕元へ。

 

俊道「いせさん!」

息の荒い、いせ。

頼介「母ちゃん!」

いせ「はあ、はあ…苦労…させたねえ」

 

石沢「いせさん!」

俊道が聴診器を当て、瞳孔を確認し、頼介を見て首を横に振った。

安乃「死んだのかい?」

うなずく蝶子。

安乃や公次が「母ちゃん!」といせに抱きつき、泣き出す。

 

今言うことじゃないが、安乃や公次って割とうまい子役だな!

 

蝶子も何度も涙を拭く。

 

家の外に出た頼介と蝶子。

蝶子「大丈夫? 一睡もしてないんでない?」

頼介「先生もだ」鼻をすする。「俺は卑怯者だ。冷たい人間だ」

蝶子「何、言うんさ!」

頼介「悲しくないんだわ。涙も出ないんだ」

蝶子「気ぃ張ってるからさ」

頼介「それだけでない。気持ちのどっかでホッとしてるんだ。母ちゃん死んでホッとしてるんだわ」

驚く蝶子。

 

頼介「なんも死んでほしかったわけではないんだ。ただ、病気のまま寝たきりよりはって、心のどっかで…布団の中でおふくろ『畑はどうなるんだ。安乃や公次は、どうなるんだ』って、あれこれ気ぃもんで…黙って寝てりゃいいのに、気ぃもんで…たまに煩わしくなって怒ると、ス~ッと涙、流すんだ。生きてて一番つらかったのは、おふくろだべなって…したら…悲しいより何より楽になったべなって…死んでほしかったわけではないんだ」

蝶子「分かってる!」

頼介「したけど…」

 

<春ももうそこまで来ているという朝、頼介の母・いせさんは息を引き取ったのです>

 

北山家

俊介「行こう、行こう!」

公次「うん」

蝶子「遊んどいで」

 

<その葬式も済んだ、ある日です>

 

石沢「今日、来てもらったのはな、お前の今後について話すべと思ってよ」

頼介「はい」

俊道「何か考えてるんかい?」

頼介「いえ」

石沢「心配してるのは、これから先、お前一人で米やトウキビ作ってやってけれるかっちゅうことだ。このままでは先細りするのは目に見えとる。頼介一人の力じゃ、そうそう収穫も増えるもんじゃねえ。天候にも左右されるべ。ま、はっきり言って、どっか働きに出た方がなんぼか楽だわ」

うなずく頼介。

みさ「そうなんかい?」

石沢「ワシの牧場でもいいんだぞ」

俊道「町の中の方がいいって言うんなら口きいてやってもいい」

 

頼介「ずっといつ畑、手放そうかと考えてました。迷ってました。おやじが汗水流して耕してきた土地ば切り売りしながらも残してきたんは、おふくろが寂しがるからで。悲しむからで。おふくろ死んだら土地はもう手放そうと思ってました。したけど、いざ死なれてみるとどういうか、反対に余計、土地がド~ンと重く思えて。何て言うか…俺らきょうだいにとっては、おやじやおふくろにつながるもんは、もう土地しかないんだと思えて。おやじとおふくろがいて、俺らきょうだいが生まれたっていう、あれ、証しっていうか…したから、この1年は土地にしがみつこうと思うんだ」

俊道「分かった。そうしれ」

頼介「はい」

石沢「安乃は、どうするんだ?」

頼介「どっかに奉公に出そうかと…」

 

みさ「したけど、まだ12でしょ?」

頼介「はい」

みさ「安乃ちゃん、あれでなかなかしっかりしてるわ。家ん中のこと任せたらいいんでない?」

蝶子「そうだね」

みさ「ねえ。そして2年…3年もしたら働きに出したらいいんでない?」

石沢「安乃は、よく働くしな。お前の畑仕事も手伝うつもりでいるんだべさ」

頼介「あいつは、そう言ってます」

みさ「したらねえ、しばらくは、そうしたらいいっしょ?」

頼介「はい」

 

玄関

石沢「それじゃ」

頼介「したら」

公次・安乃「さいなら」

蝶子「さよなら」

みさ「気ぃ付けて」

石沢たちが帰っていった。

 

俊道「蝶子」

蝶子「はい?」

俊道「頼介君ば見習って、よそにばかり目向けることは、やめるんだな」

蝶子「どさくさに紛れて何言うのさ」

みさ「ああいう人だもねえ」

 

<父親の俊道さんは東京を目指しているチョッちゃんにクギをさしたのです>

 

診察室に入った俊道のほうをにらみつける蝶子。(つづく)

 

月曜日からすごい展開にするもんだ。卑怯でも冷たくもない! 介護してきた人は、介護される人の苦労も分かるから、楽になってよかったとホッとする気持ちが大きいかもね。

 

別に視聴率が悪かったわけでもないけど、私が無知なだけだけど「純ちゃんの応援歌」と「チョッちゃん」は埋れた名作って感じ。