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ドラマの感想など

【ネタバレ】赤ひげ

1965年 日本

 

あらすじ

長崎帰りの青年医師・保本は、小石川養生所の見習いとして住み込みを命じられる。所長は“赤ひげ"と呼ばれている無口で武骨な男だった。雰囲気になじめない保本は、投げやりな態度で過ごしていたが、確かな診断と優れた腕で懸命に人々の治療にあたる名医・赤ひげと、彼を頼りにする貧しい人々の姿に、次第に心を動かされていく…。黒澤明監督が山本周五郎の小説を映画化、三船敏郎との最後の作品となったヒューマンドラマの傑作。

2025.3.2 NHKBS録画

 

東宝株式会社

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東宝株式会社

黒沢プロダクション 作品

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製作:田中友幸

   菊島隆三

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原作:山本周五郎

   「赤ひげ診療譚」より

脚本:井出雅人

   小国英雄

   菊島隆三

   黒澤明

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音楽:佐藤勝

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新出去定(赤ひげ):三船敏郎…字幕黄色

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保本登:加山雄三…字幕水色

佐八(車大工):山﨑努…字幕緑

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お杉(女中):団令子

おなか(佐八の恋人):桑野みゆき(松竹)

狂女:香川京子

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津川玄三(養生所の医師):江原達怡

おとよ:二木てるみ

おくに(六助の娘):根岸明美

長次:頭師佳孝

森半太夫(養生所の医師):土屋嘉男

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五平次(むじな長屋差配):東野英治郎

和泉屋徳兵衛:志村喬

登の父:笠智衆

きん(娼家「櫻屋」の女主人):杉村春子

登の母:田中絹代

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利兵衛(狂女の父):柳永二郎

平吉(むじな長屋の住人):三井弘次

松平家の家老:西村晃

松平壱岐:千葉信男

六助:藤原釜足

天野源伯(まさえの父):三津田健

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ちぐさ(まさえの姉):藤山陽子

まさえ:内藤洋子

おとく(賄のおばさん):七尾伶子

おかち(賄のおばさん):辻伊万里

おふく(賄のおばさん):野村昭子

おたけ(賄のおばさん):三戸部スエ

長次の母:菅井きん

娼家「つるや」の女主人:荒木道子

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小石川養生所の入所患者:左卜全

            渡辺篤

竹造(小者):小川安三

むじな長屋の住人:佐田豊

         沢村いき雄

         本間文子

おこと(五平次の女房):中村美代子

まさえの母:風見章子

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娼婦:青木千里

   栗栖京子

   柳下悠紀子

   深井聡子

子供を抱えた母親:富田恵子

地廻り:大木正司

    広瀬正

    山口博義

長次の父:大久保正信

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地廻り:常田富士男

    荒木保夫

    田中浩

    伊吹新

    宇仁貫

    木村博人

    古諸州

    久世竜

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監督:黒澤明

 

3時間超えの大作だけど、見ちゃおう。前にNHKでドラマ化されたものは見たことあります。船越英一郎さんが赤ひげで中村蒼さんが保本だった。

 

小石川養生所にやって来た保本に声をかけたのは、津川玄三。保本と交代だと言い、保本が長崎に遊学に行っていたことも知っている。給与は最低だと養生所の悪口を言い、養生所を案内しながら果物の腐ったような臭いは貧乏の匂いと言う。

 

病棟には畳が敷かれておらず、患者は質素な着物を着せられている。布団に寝ていた佐八は着物が質素なのは汚れが見つけやすいため、畳を敷いてないのは畳が湿気とほこりのたまり場であるためだとせき込みながら話した。おお、山崎努さんだ!

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「肉体の学校」でモテ男をやってた頃と同時期かあ!

 

保本が赤ひげに紹介された。じっと保本の顔を見ていた赤ひげだったが、保本は父にここに来いと言われただけと言うが、今日からここに詰めろ、長崎で勉強した図録と筆記を出せと言われた。

 

幕府の御番医になるために長崎遊学もしたのに…と納得のいかない保本だったが、津川は赤ひげは気に入った者には変に無愛想で、自身は無視されていると話した。同僚医師の半太夫からここは町奉行支配下だが、保本に正式に辞令が出ていると言われたものの、保本は出ていこうとして津川に止められた。

 

津川玄三役の江原達怡さんは加山雄三さんの若大将シリーズで共演してたのね。

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「エレキの若大将」も1965年公開だけど、こっちはカラー。

 

赤ひげから図録と筆記を出すように言われた保本だが拒否。酒を飲んだり、入ってはいけない場所に入って追い出されようとした。

 

保本は禁止されている場所に入り、女中のお杉に注意される。保本のもとにまさえという客が訪ねてきた。ピンと来ない保本だったが、ちぐさの妹と聞き、ハッとする。

 

佐八は病人なのに仕事をしては他の患者のために食べ物を買って分けていた。

 

保本は相変わらず、仕事もせず自室に寝っ転がっていた。津川ももうおらず、赤ひげも猫の手も借りたいほど忙しい。半太夫は子供っぽいまねはやめなさいと注意するが、保本は図録と筆記が欲しかっただけだと言う。

 

お杉が世話をしていたお嬢さんが逃げたと言うので、半太夫は出ていった。その後も部屋にいた保本のもとに”お嬢さん”が来た。これが香川京子さんね。「私を助けてください。ホントはきちがいなんかじゃないんです」と座り込んだ。店の者を殺したのには訳がある、子供の頃、男の人にひどいことをされた、こんなこと女の口から言えませんと背を向けるが、9つの時、年寄りの番頭にいたずらをされたと話す。

 

いたずらって言葉、ホント嫌い。性的暴行だろうが!

 

このことを人に話したら殺すと言われていた。う~ん、こういう犯罪者っていつの時代も同じことを言うんだな。保本は何もかも言ってごらんと促す。その後年寄りは金の使い込みで店を出されたが、11の時にも土蔵の中で手代の一人に同じことをされ、同じことを言われた。保本を見て「殺される、殺される」と逃げ回り、お嬢さんの肩をつかむと、私を助けてと抱きついて来た。17の時に店の者が部屋に忍び込んできたからかんざしをこうしたと保本の首筋に当て、無理やりキスしてきた。ひょえっ!

 

そこに赤ひげが入って来た。保本は、かんざしを刺されて倒れいてた。赤ひげもお嬢さんにかみつかれて傷を負った。お嬢さんを体質が生まれつき狂っていると話すが、そういう目に遭った女はたくさんいるとも話した。

 

傷が癒えた保本は初めて患者を診察した。意識はなく、半刻ももたないと診断したが、赤ひげは病歴を見て判断しろと言う。病歴を見て、胃がんと診断するが、ダイキリール、つまり膵臓は動かない臓器だから、がんが発生しても痛みを感じない。痛みを感じるということは他に転移したということ。もう治療法はない。

 

貧困と無知に対する戦いだと言う赤ひげ。貧困と無知がなければ病気の大半はよくなる。

 

蒔絵師だった六助は苦しそうにしており、保本はいたたまれず部屋を出ようとしたが、賄いのおたけがここは私が見ますと部屋に入って来た。三戸部スエさん!

 

赤ひげの手術の手伝いに行った保本。手足を縛られている全裸の女性患者。白黒でよかった。手術を見て気分が悪くなってしまう保本。その間に六助は結局何も言わずに亡くなった。

 

佐八が仕事をしていて倒れた。患者たちは佐八を神か仏のような奴だと見舞うが、保本が部屋に戻れと言って診察した。佐八は保本になぜあのお仕着せを着ないのか聞く。お仕着せを着ていれば養生所の医者だとすぐ分かる。

 

六助の娘・おくにが幼い子供3人連れて訪ねてきて、赤ひげに会っていた。

 

佐八が死ぬ前にむじな長屋の自分のうちに連れてってほしいと話していたことを赤ひげに伝えに行った保本もおくにの話を聞くことになった。

 

おくにの母は六助の弟子の若い男と逃げていたが、男をつなぎとめるために、おくにと結婚させた。死ぬ間際も男と会いたがり、おくには母の墓も知らない。母親が死んだあと、六助がおくにを訪ね、孫と一緒においでと言うが、今までも申し訳なさに邪険に断った。

 

おくには六助の死に際を聞き、赤ひげは安楽な死に方だったと即答。そうでなくちゃねえと安心するおくに。夫は、おくにの母が亡くなると、今度は六助のところへいって金をもらいに行けと言うようになり、それだけは言っちゃいけないと夫を刺した。

 

赤ひげは腕を刺したくらいでは大したことない、これは事故だ!と言いきり、自首するよう勧めた。子供は、むじな長屋の差配の五平次に預けるといいと、保本に佐八と長屋へ行くように言った。風の強い日、担架に乗せられた佐八とおくにの子供たちを連れて、むじな長屋に行った保本。

 

おくには赤ひげの計らいで子供たちと長屋に住むことになった。

 

佐八を見舞う同じ長屋に住む平吉。9つの頃から飲んでいて常に酔っ払っている。赤ひげが来ると、悪態をついて帰っていった。佐八のことは近所の者がみんな心配していたが帰らせた。六助は10両という大金を残していて、これでおくに親子を助けてほしいと五平次に頼んだ。

 

しかし、五平次は10両は赤ひげが用意したものだと見抜いていた。赤ひげが北町奉行・島田越後の弱みを握っていてせしめた金だった。俺が偉そうにしていたら遠慮なくこのことを言えと保本に言うと、保本は一瞬、ニヤッと笑う。

 

赤ひげが帰り、保本と五平次が佐八のそばについた。地鳴りが起こり、長屋の裏が崖崩れになると、骸骨が出てきた。佐八は私の女房だと言う。

 

回想

雪の降る日、おなかと言う女性から傘を貸してもらった佐八。

 

みんなを集めて、おなかの話を始める佐八。

 

回想

おなかは自分の体が自由にならないと結婚できないのだと佐八に話した。きょうだい、親の面倒を見なければならず、借金もある。金を返せばいいと佐八が言うが、おなかは拒絶する。しかし、佐八が口説き落とした。おなかは親に会わせたがらなかったが、夫婦になったふたり。

 

地震の日、おなかを捜しに行った佐八だったが、おなかは消えた。おなかの親を訪ねたもののおなかのことは死んだものと思っていると言う。しかし、長屋に引っ越して2年たったころ、赤子を背負っている、おなかと再会した。子供の名前は太吉。8か月。

 

その時は、そのまま別れた2人。その後、おなかが佐八を訪ねた。おなかには約束していた人がいて、その人は、おなかの親に貢いでいた。おなかはその人を好きでも嫌いでもなかったが、親にしてもらったことを思えば一緒になるしかない。そんな時、佐八に出会った。親に無理を言って佐八と暮らし始めたが、幸せすぎて、いつか罰が当たるのではと恐れていた。地震が起こり、家が倒れ、これが罰と思い、区切りを告げろというお告げだと、その人のうちへ行っていた。

 

おなかは強く抱いてと迫ったが、懐に刀を仕込んでいて、刀が腹に刺さって死んだ。佐八は、おなかを埋めた場所の上に仕事場を作った。周りの人に優しくしたのは罪滅ぼしの気持ちがあった。「おなか! お前はきれいだ」と手を伸ばした佐八は、そのまま力尽きた。

 

佐八を看取った保本は、お仕着せを着るようになり、賄いのおばさんたちは喜んだ。お杉は半太夫が好きらしい。お、野村昭子さん発見!

 

通い治療の停止と経費3分の1の削減を命じられ、赤ひげの機嫌が悪いと半太夫が保本に言う。

 

通い治療に出かけようとしていた赤ひげと保本に声をかけたまさえ。赤ひげは行き先を告げ、先に行った。保本は忙しいと言って、その場を去った。

 

保本が歩いていると、赤ん坊を抱えた女が近づいてきた。薬札がたまっているので医者が診てくれないというので、保本がその場で診察し、はしかなので養生所へ走るように言った。

 

赤ひげは松平壱岐を診察し、贅沢をしすぎで調和を崩したのだと言った。壱岐は太り過ぎて苦しそう。赤ひげは薬札50両を請求した。

 

徳兵衛から30両を受け取る赤ひげ。金持ちからのお金は取るんだな~! 志村喬さん。

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阿南陸相と下村情報局総裁と館野アナウンサー。

 

岡場所へ診察に行った赤ひげと保本。おおっ! 杉村春子先生! おとよという娘がひどい熱で養生所で引き取ろうとするが、女主人のきんは勝手に連れて行くなと地廻りたちを呼んだ。男たちの手や足をへし折る赤ひげ。強い! 骨が折れる効果音がホントに痛そうで…。やりすぎた、医者がこういうことをしてはいけないと自分で言う。

 

おとよを背負って養生所へ連れて行く保本。赤ひげは、お前の最初の患者だと言う。

 

ここで”休憩”。1時間50分過ぎか…確かに長丁場だもんね。1分くらいと思ったら3分以上? 意外と長かった。

 

保本のそばで寝ていたおとよが急に体を起こした。

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二木てるみさん…「マー姉ちゃん」のお千代ねえや。天才子役!

 

おとよは保本に診察をさせない。ある朝、おとよは起きて床を拭いていた。保本が病人だから寝ていていいと言っても、ひきつけを起こすまで床を拭き続けた。手に負えないと赤ひげに相談すると、赤ひげの診察は受けた。

 

その夜、おとよは初めて口を開き、なぜあの人はぶたなかったの?と保本に聞いた。おとよは母親から親切な人には用心おしと言われていたと言う。おとよは保本の目の前で茶碗を割って、怒らないか試した。そんなおとよを哀れに思う保本。

 

翌朝、おとよがいなくなり、保本が捜した。おとよは橋の上に座り、通りすがる人に頭を下げてはお金を恵んでもらっていた。保本が声をかけると、おとよは買った茶碗を落として割った。保本は責めたつもりはなかったけど謝るよと言うと、おとよは声を上げて泣いた。

 

赤ひげに報告すると、保本に休むように言い、図録と筆記は写させてもらったと返した。保本は許婚のちぐさの父・天野の策略で養生所に入れられたと思っていたが、赤ひげの勧めだった。私は下劣な奴だと告白した保本は倒れた。看病したのは、おとよ。保本は「私もいい子だから薬ものもう」と口を開けた。

 

元気になった保本をまさえが見舞った。赤ひげは保本が寝込んだのは急に世の中を知った知恵熱みたいなものだという。

 

保本は実家の母を訪ねた。おお、田中絹代さん。保本は、まさえを保本の結婚相手にどうかと言う。まさえは、おとよに着るよう、自分の着物を洗い張りして渡したが、おとよは渡された着物をどぶに捨てたので賄いのおばさんたちは怒った。賄いのおばさんの野村昭子さん、三戸部スエさんのほか、見たことある人があると思ったら、七尾玲子さんは「俄」のお鹿さんか。

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お杉は、おとよが保本先生を好きになり過ぎたのだと語る。まさえへの嫉妬。おとよが好きになったのが森先生じゃなくてよかったねとおばさんたちにからかわれ、逃げるお杉。

 

養生所へ入り込んで盗みをはたらく子供を見逃すおとよ。

 

保本が赤ひげに相談すると、保本を好きになったおとよは、そのうち他の人にも愛情を向けられるようになると話した。

 

おばさんたちから小ねずみと呼ばれる長次は、おとよが見逃したお礼にあめを渡そうとしたが、おとよは拒否。長次は7歳で母も兄も2人いると身の上話を始めた。おとよは、あめを一旦受け取り、長次にあんちゃんたちとお食べと返し、夜になったら余ったごはんを上げるから泥棒なんかしないでね、と注意した。

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長次役の頭師佳孝さんも有名子役。

 

話を聞いていた保本とおとくはすすり泣いた。

 

お嬢さんは首を吊って亡くなった。引き取りに来た利兵衛は目を離したお杉を責めたが、赤ひげがお杉をかばった。お杉はお嬢さんの家の奉公人なのね。

 

きんがおとよを引き取りに来たが、赤ひげは引き取りを拒否。赤ひげは、きんにはらわたが腐っていると話す。賄いのおばさんたちもおとよを守り、きんを追い返した。

 

長次に食べ物を持っていったおとよだが、長次は食べ物の心配いらない遠い所へいくと言って受け取らなかった。

 

赤ひげは天野に会い、保本に妹娘をもらってほしいという伝言を伝えた。

 

太夫は近頃、保本が赤ひげに似てきたと笑う。半太夫はお杉をもらうつもりでいて、お前もはっきりしろとけしかけた。

 

おとくが一家心中が担ぎ込まれたと言ってきた。毒を飲んだのは長次の一家。長次は毒を少し吐いたので、朝までもてば助かるだろうと保本が言う。小ねずみが石見銀山の毒をのんだとおとくが言う。

 

長次が泥棒をして捕まり、泥棒を家から出してしまったと死ぬことになったのだとおとよに話した。長次の母は、このまま死なせてやってくださいと言う。菅井きんさんだ。

 

賄いのおばさんたちは井戸に向かって「長坊!」と叫んでいた。死にかかっている者に呼びかけると生き返るといういいつたえを信じていた。

 

長次は毒を吐き助かった。

 

保本は、まさえと結婚することになった。結婚の前に天野の口利きで御目見医になることになったが、養生所に残りたい、貧乏に耐えられますか?と聞いた。ここで、保本の父・笠智衆さんとまさえの母・風見章子さんが出てきた。一瞬!

 

赤ひげは養生所に残りたいという保本に後悔するぞ、とツンデレ。お礼を言う保本にフン!と歩いていった。(終)

 

おお~、3時間超え見ちゃったよ!

 

ドラマ版は第1シリーズしか見てないけど、ドラマの数話分の内容を映画1本に詰め込んでるから、こんなに長いんだな。案外、知ってる俳優さんも多く、面白かった。