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【ネタバレ】チョッちゃん(27)―連続テレビ小説―

NHK 1987年5月6日(水)

 

あらすじ

蝶子(古村比呂)が自分の写真を男子学生たちに配ってまわったという、疑いはついに晴れた。だが写真館の斉藤源吉(小野武彦)は、写真館のショーウインドウに飾った蝶子の写真だけは絶対に外さないという。ついには源吉の娘の峰子(江馬小百合)が退学することになっても、絶対に外さないと態度を硬化させてしまう。板挟みになって心を痛めた蝶子は、源吉とふたりきりで話し合うことにするのだが…

2025.4.23 NHKBS録画

peachredrum.hateblo.jp

脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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北山みさ:由紀さおり

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田所邦子:宮崎萬純

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熊田剛造:津嘉山正種

斉藤源吉:小野武彦

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遠山伊佐子:紘川淳

斉藤峰子:江馬小百合

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石井スエノ:仁科扶紀

山口フサ:土屋里織

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森川とみ子:久野翔子

石野スズ:加藤麻里

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生徒:松永由美子

   外川由起

   榎美咲

劇団いろは

劇団ひまわり

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神谷容(いるる):役所広司

 

教室に戻ってきた蝶子。

邦子「どうだった?」

蝶子「峰ちゃんのお父さんが話してくれて疑いは晴れた」

クラスメイトから歓声が上がる。

蝶子「急におなかすいたもねえ!」

一同、笑い。

 

席に着いた蝶子に前の席の峰子が振り返る。「チョッちゃん、うちのお父さん、許して」

蝶子「なんも」

峰子「ホント、はんかくさいんだから」

蝶子「もういいって」

峰子「私、昨日、ちゃんと叱っといたから」

蝶子「それより今、おじさん、校長先生ともめてんだわ」

 

校長室

熊田「なして外せないんだ?」

源吉「なして外さんきゃならないんだ!」

熊田「我が高女の生徒をさらし者にされては困る」

源吉「さらし者!?」

熊田「そうだべや」

 

源吉「出来のよくない写真なら、さらし者と言われてもしかたないべとは思うが」

熊田「出来がいいと言えるんかい?」

源吉「何!?」

熊田「媚びた表情といい、挑発的な構図といい、我が高女の校風になじまないんだわ!」

源吉「あんたには審美眼っちゅうもんがないな!」

熊田「ふん!」椅子に座る。

 

源吉「みんな褒めてるんだぞ。現にあの写真とおんなじように写してくれっちゅって、高女の生徒も来てるんだわ。外さなくていいべ!」

熊田「いや、外してもらいたい」

にらみ合う両者。

 

面会室

蝶子「分かったかい?」

みさ「うん」

蝶子「したら、なして、おじさんは焼き増ししたか?」

みさ「したから、それは…」

蝶子「ほら~、こういうことは、ちゃんと父さんに伝わんないと、また私、誤解されんだよ」

みさ「分かってる」

蝶子「したら、ちゃんと話すこと覚えてや」

 

みさ「うん。う~ん、まず、斉藤さんが蝶ちゃんの写真ばショーウインドーに飾ったんだ」

蝶子「そう、そう、そう」

みさ「したら、それ見た農学校の生徒やら中学校の男子生徒が、なんとかそれを分けてほしいと頼んだんだ」

蝶子「そう、そう、そう」

みさ「ね! したら…」

 

⚟峰子「チョッちゃん、いるかい?」

蝶子「はい!」

 

峰子と神谷が面会室に入って来た。

蝶子「(みさに)峰ちゃんだ」

頭を下げる峰子。

蝶子「あれ、先生も?」

神谷「(蝶子に)おう! (みさに)今日お帰りですか?」

みさ「はい」

神谷「わざわざゆるくなかったですね」

峰子「すいません、うちの父親のせいで」

みさ「アハハ、なんもなんも」

 

蝶子「それでわざわざ?」

神谷「う~ん」

峰子「いやいや、私もう参ってるんだわ」泣き出す。

蝶子「なしたの!?」

 

神谷「ショーウインドーの写真、外せ、外さないで校長と斉藤さん、もめたあげく、決裂したんだわ」

峰子「したら…したら、父さん、私に『高女なんかやめれ』って言いだしたんだよ」

蝶子「ええ~っ!?」

神谷「北山君」

蝶子「はい」

神谷「どうも写真外すしか策ないんだわ」

蝶子「はあ…」

泣いている峰子。

蝶子「峰ちゃん、泣くんでない」

 

みさ「先生。あの…娘とちょっと話したいんですけど」

神谷「はい。斉藤君、斉藤君、行こう、な!」しゃがみ込んでいる峰子をたたせて歩く。「よ~し、よしよしよし」

 

峰子、ラッキーじゃん!

 

面会室に残されたみさと蝶子。

みさ「蝶ちゃん。どうしたらいいか蝶ちゃん、ホントは分かってるんだべさ。したけど、写真屋のおじさんに『外して』とは言いにくいしょ? 母さん、分かってる。おじさんば傷つけてしまうかもしれないもねえ。したけど、このままじゃ、みんなば騒ぎに巻き込んでしまうんでないかい?」

うなずく蝶子。

 

自宅に帰ってもまだ泣いている峰子。

蝶子「おじさん」

源吉「いや、誰が何と言おうと峰子ば高女ばやめさせる!」

神谷「むちゃですよ!」

源吉「校長はね、あの写真を外さねば斉藤写真館の高女への出入りを差し止めると!」

神谷「校長が?」

源吉「はっきり口にしたわけではない。ないが、そう言ったんだわ。そんな校長のいる学校なんか行くことないんだ!」

峰子の泣き声が大きくなる。

源吉「私は、あの写真は外さないよ。15歳の時に写真屋に修行に入って27年。ここに写真館開いて15年。自分では最高の傑作だ。自信を持って、ここに飾った。見た人は、みんな『いい』って言ってくれた。うれしかった。それをあの校長は『外せ』って言う。写真稼業27年のこの私の思い入れば、あの校長…」

 

神谷「したけど、このままでは斉藤写真館の高女への出入りは差し止め、娘さんは学校をやめるということに…」

源吉「なんも、んなことは構わないんだ」

激しく泣き出す峰子。

 

蝶子の顔を見たみさがうなずき、蝶子もうなずき返す。

 

蝶子「おじさん…2人だけで話あるんだ」

奥へ。

 

蝶子「おじさん。あの写真、私も好きだよ。大していい写真だもの。あの写真、おじさん『私との共作だ』って言ってくれたしょ。うれしかったよ」

笑顔になる源吉。

蝶子「2人して、ああでもない、こうでもないって話しながら作ったもね」

うなずく源吉。

蝶子「楽しかったもね」

うなずく源吉。

蝶子「あの写真、2人が気に入ったんだもの。2人だけでなく、ほかの人まで気に入ってくれた。峰ちゃんまで巻き込むことないんでない? もう…それでいいんでない? おじさんと私だけの思い出にすればいいんでない?」

何か気づいたような源吉の表情。

 

源吉「撮影室の中に飾ることにするわ」

みさ「あの…その写真、私にも焼き増ししてください」

源吉「はい」

みさ「ウフフ、それじゃ、私、帰るわ」

蝶子「駅まで送る」

神谷「したら、私も」

みさ「あ、そんじゃ」

神谷「ついでですから」

 

神谷と蝶子が雪道を歩いている。

神谷「北山君」

蝶子「はい」

神谷「斉藤さんと2人で何、しゃべったんだ?」

蝶子「秘密です」

神谷「そうかい」

蝶子「あ~っ!」スッ転ぶ。

神谷「ほら」助け起こす。

蝶子「すいません」

 

歩きながら蝶子の背中や頭の雪をはらう神谷。2人を見ていた女生徒。この2人は、いつものとみ子、スズではないような?

 

校長室

熊田「いや~、ご苦労さん。これで一安心だ」

神谷「校長。校長は斉藤さんに高女への出入り差し止めうんぬんと話したんですか?…そうなんですね?」

熊田「時には、そういう断固とした姿勢を見せんとね」

神谷「それは脅しだわ」

熊田「したけど、効き目あったべ?」

神谷「いいえ。斉藤さん『出入り差し止めになっても写真は外さない』と言い張りましたよ。斉藤さんを説得したのは北山蝶子です。北山蝶子と斉藤さんが何、話したかは知りません。したけど、それまでかたくなだった斉藤さんが写真を外したのは事実です。校長、脅しには屈しなかった人が北山蝶子の説得には折れたんです」

 

熊田「何を言いたいんだ? 君は」

神谷「規則、規則と生徒に対し、高圧的に接してばかりいる校長のやり方では人の心は動かないと思うんです! 今の校長のやり方では生徒の心は、つかめませんよ。本来、規則なんてものは、ない方がいいんです。信頼関係さえ出来てれば、そんなものは不要なんだ。そうでないですか?」

 

熊田「大正7年には257だった高等女学校の数が大正12年には、その倍の529に増えた。そして、昭和3年の今、その数は700を超えようとしておる。なして、こうも女学校の数が増えたんだ? なしてだ? これまで嫁入り修行などは家庭で母親や姉さんなどから教えられていた。それが今や高女で何もかも教えてもらえるようになった。掃除、洗濯、育児のことまでだ。そういう役割ば高女は親から託されていると思うわけだ。そして、私は、その高女の責任者だべ。責任者としては期待に応えなければならないべさ。責任者としては生徒に対し、親に対し、役人に対し…空知高女は私の持ち物ではない。校長とはいえ宮仕えだ。監督されている身だ」

神谷「そういう言い方は…!」

熊田「とにかくワシの好きにはできないということだ。君のように生徒に対し、楽に接することはできないぞ」

神谷「そんなことはないでしょう!」

 

熊田「私は高女の全体ば考えなきゃならんのだわ! そうした立場だ!」神谷に向き合って立っていたが、椅子に座る。「そうなると、いろいろと考えてしまうわけだ…学校の不始末が例えば、生徒の写真が町なかに掲げてあったとか生徒が弁当ば食べずにパンば食べたとか…ま、そういうことが役人の耳に入ったら、どうなるんだべと…ワシはどうなるんだべと考えるわけだ。正直言うと、うちの生徒見てると時の流れば感じる。『ワシとは違うな、違うな』思いながら、どう扱っていいか分からん。とまどいながら務めてる。したから…ま、したからということもないが、ワシには『規則、規則』と言うしかないんだわ。しくじって職ば失いたくないんだ。君のように若ければ、そりゃあ、どこでも行けるべさ。しかし、ワシには家もあり家族もある。ここがダメなら別のとこちゅうわけにはいかないんだわ。したから学校には、ただただつつがなく、ひたすら平穏であってもらいたい。軽蔑したべ?」

 

神谷「軽蔑はしませんが…」

熊田「情けないかい?」

神谷「いえ、ただ…」

熊田「ただ、何だ?」

神谷「いえ。なんも…」

熊田「したら、帰るわ」

 

朝、登校し始めた生徒たち。蝶子が「おはよう!」と教室に入って来ると、クラスメイトと話していた峰子が近づいてきた。

蝶子「何さ?」

峰子「噂。チョッちゃんと神谷先生の仲が怪しいって。昨日、2人で道歩いてたとか、この前、仲よく写真眺めてたとか」

蝶子「それで何が怪しいのさ?」

峰子「噂だ。そういう噂!」

 

<一難去ってまた一難。チョッちゃんも大してゆるくないね>(つづく)

 

校長の思いまで描くとは…! まー、でもチョッちゃんと神谷先生、ちょっと絵になる組み合わせだ。邦子や伊佐子でもそうかもしれないけど(^-^;