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【ネタバレ】チョッちゃん(21)―連続テレビ小説―

NHK 1987年4月29日(水)

 

あらすじ

蝶子(古村比呂)の保護者が学校に呼び出された。だが俊道は診察や往診で多忙で、駆けつけたのはみさ(由紀さおり)ひとりだった。校長室で、なぜお宅の娘はひとりで男の家に上がったのかと問い詰められるみさ。だがいつものおっとりした対応で、みさは熊田校長(津嘉山正種)の鋭い指摘を煙に巻く。危うく難を逃れて一安心の蝶子に、みさはふたりでもう一度ユーリー・ゴドノフ(東銀之介)の家に行こうと誘う。

2025.4.16 NHKBS録画

peachredrum.hateblo.jp

脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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北山蝶子:古村比呂…字幕黄色

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北山みさ:由紀さおり

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川村市子:中原理恵

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熊田剛造:津嘉山正種

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ユーリー・ゴドノフ:東銀之介

劇団ひまわり

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神谷容(いるる):役所広司

 

昨日と打って変わってキャストが少ない。

 

校長室

みさ「お騒がせいたしまして本当に申し訳ございません。(蝶子に)して、賄いの人には? せっかく作ってくれた弁当残したりして悪いことしたんでないの?」

蝶子「賄いのおばさんには謝った」

みさ「したら?」

蝶子「許してくれた」

みさ「ああ、そりゃよかった」

笑顔でうなずき合う2人。

 

熊田「あの…」

みさ「何せ母親が母親なもんで娘がこんなふうになってもしかたないかもしれません」

熊田「お母さんは今回のこの問題をどうも把握しておられないようで」

蝶子と顔を見合わせるみさ。「問題って申しますと?」

熊田「私が問題にしているのは娘さんが一人で例のあのロシア人のパン屋の家に行ったということなんです。そのことについて親御さんとしては、どのように?」

みさ「したけど…そのロシア人の家には娘は、おわびに伺ったんでしょ? (蝶子に)そうでないの?」

うなずく蝶子。

みさ「あの…それはいけないことでしょうか?」

 

熊田「理由はともかく」

みさ「はい」

熊田「娘さんが男の家に行き、上がり込んだということは、これは甚だよろしくない!」

みさ「はい」

熊田「空知高女の品位をおとしめる生徒の良識を外れた行為と思います」

 

みさ「あの…」

熊田「はい?」

みさ「したら、どうやって娘は、そのパン屋さんにおわびをすればよかったんでしょうか?」

熊田「いや、玄関先で済むではないですか」

みさ「ああ! アハハ。したら、その家に行った、そのことは悪くはなかったんですね?」

熊田「いや…」

神谷「あ、なるほど」

 

みさ「なして、家の中、上がったの?」

蝶子「なしてって、ユーリーさん、2~3日、風邪ひいてたって言ったし、したから玄関先じゃ寒いべと思ってさ」

みさ「あ、そうかい」

蝶子「それに、ロシア人の家ん中、一度、見てみたいと思ってさ」

ほほ笑ましく見ている神谷と笑うみさ。

 

神谷「いや、校長…」

熊田「理由の如何(いかん)を問わず、今回の行動は遺憾極まりない!」

みさ「例えば…」

熊田「はい!」

みさ「校長先生に娘さんは?」

熊田「おりますよ」

みさ「したら、娘さんに用事ば言いつけることあるんでないですか?」

熊田「ありますよ」

みさ「よその家に届けもんばするよう言いつけることもあるんでないんでしょうか?」

熊田「あります」

 

みさ「したら、こういう時は、どうしたらいいんだべか?」

熊田「ん?」

みさ「うちは医者でして、治療代の代わりに何だかんだ置いてく人多いんです。もらいもんば増えると、主人、それば、おすそ分けするんです。自分が持っていけない時は、この子に言いつける時もあるんですけど。中には60~70歳のおじいさんしか居ないところもあるんですけど。したら、こういう用事ば言いつけることもうまくないんでしょうか?」

熊田「いや…それとこれとは話が別だ」

神谷「したけど、校長は、さっき理由の如何を問わずと」

熊田「か…神谷君…」

みさ「どうしたもんかと思って」

 

鐘の音が鳴り、熊田は天を仰ぐ。

神谷「校長」

熊田「話は、もうない」

神谷「したら、引き取ってもらいますけど」

熊田「うん、ご苦労でした」

みさ「あ、いやいや、なんもです」

 

校長室を出たみさと蝶子。

神谷「どうもご苦労さまでした」

みさ「ありがとうございました」

 

校長室

熊田「いや~、大して疲れたわ」

神谷「校長」

熊田「ああ?」

神谷「私みたいな若輩が言うのは生意気かとは思いますけど」

熊田「あ~、しゃべりたいならしゃべれ」

神谷「こういうことは、やはり、表面だけとやかく判断しては、うまくないと…柔軟性ば持たねば、人間の教育はできないんでないかと…まあ、今回、北山君は他人の家に一人で行ったという軽率な行動はしました。したけど、動機は純粋だったんですし。ロシア人と知り合い、その人の人生を知ったというでないですか。心打たれたというでないですか。そういう他人の心の痛みとか切なさは分かる生徒だと知って、私は大してうれしかったです」

熊田「そんなことは文学的発想だ」

 

みささん、すごいなあ…とも思うし、まあ、でも校長の心配も分かるんだ。

 

面会室

蝶子がお茶を運んできた。「大して心配かけたもね」

みさ「なんも~」

蝶子「父さんは?」

みさ「ん? 詳しいこと分からないもんだからオロオロしてた」

蝶子「怒ってた?」

みさ「う~ん、怒ってたっちゅうより、イライラしてたわ」

 

蝶子「私はてっきり父さんが来るんでないかと思ってた」

みさ「『行かない』っちゅうんだもの」

蝶子「うん」

みさ「『お前が行け』って」

蝶子「患者さん、いるもねえ」

みさ「お父さん、あれで気の小さいとこあるんだ」

蝶子「そうかい」

みさ「うん」

2人で笑っていると、神谷が入って来た。「どうも」

 

立ち上がった蝶子とみさ。

神谷「いやいや、そのままそのまま」

みさ「改めまして、今回は…」

神谷「いやいや、こちらこそ。正月にお邪魔して以来で、その節は…どうぞ」蝶子たちを座らせる。「いや、ご主人とは話も中途で終わったんで、気がかりだったんです」

蝶子「そのことは父さん、何とも。ねえ」

みさ「あ、はい」

神谷「いや、したら安心だ。ハハハ!」

 

<と、親子でウソをついてしまいました>

 

みさ「あの、先生」

神谷「はい?」

みさ「今回のことは、もうこれで?」

神谷「多分、校長もこれ以上は何も言わんでしょう」

みさ「本当にお騒がせいたしました」

神谷「なんもなんも」

蝶子「すいません」

 

神谷「いや、したけど、今回、君にはいいことがあったべ? ロシア人のパン屋さんと知り合えたでないか」

蝶子「はい」

神谷「いい人だったんでないんか?」

蝶子「いい人でした」

神谷「したら、それは、もうけもんだ。いい人と出会えたというのは幸せだ。そういう人との出会いば多く持つことだ。これは人生の中でも大事なことだと思うんだわ」

蝶子「はい」

 

ノック音

神谷「はい?」

⚟川村「よろしいでしょうか?」

神谷「どうぞ」

 

蝶子とみさが立ち上がる。

川村「寄宿舎の舎監をしております、川村と申します」

みさ「それはそれは」

蝶子「(みさに耳打ち)音楽の川村先生さ」

みさ「あ、あの? お名前は娘からかねがね…」

川村「はい」

 

神谷「あ、北山君。川村先生に謝らねばいけないな。君があの日、夕食時間に遅れて帰ってきたことば校長に報告しなかったことで川村先生も責められたんだ」

蝶子「すいません」

みさ「申し訳ありません」

川村「そのことは、もう。どうぞお座りください」自身も座る。

 

神谷先生、その事について触れてくれてありがとう!

 

みさ「あの…先生、早速ですけど、以前、蝶子が札幌からいらしたピアノの先生に歌褒められたとか言っておりましたけど」

川村「川島栄先生」

みさ「はあ、ホントですか?」

蝶子「母さん…」

川村「ホントです」

みさ「はあ…」

川村「音楽の教師として、そういうことをお話ししたいと思いまして」

神谷「したら、私は…」立ち上がりかける。

川村「どうぞ、先生もいらしてください。北山さんの今後のことですので、担任として」

神谷「はい」もう一度座る。

 

川村「お母さん」

みさ「はい」

川村「私は北山さんには何としても音楽の道へ進んでほしいと願ってます」

みさ「はあ」

川村「先日、北山さんを褒めた川島先生は才能はあるっておっしゃいました」

みさ「はあ」

川村「磨くべきだと思います」

みさ「はあ。したけど…父親が反対しておりまして」

 

神谷「北山君自身は、どう思ってるんだ?」

蝶子「まだ決められないでいるんです」

川村「私は…音楽の道へ行くことを勧めます」

笑顔でうなずくみさだが、蝶子は硬い表情。

 

外を歩くみさと蝶子。

みさ「したけど、ロシア人のパン屋さんがなして日本にいるの?」

蝶子「なんも珍しいことでないでしょ? 滝川にも、ほれ、あの喫茶店はロシアの人がやってたべさ」

みさ「ああ…! だね」

蝶子「ユーリーさんていうんだけど、日本語しゃべるんだわ。日本の女の人、奥さんにしたんだけど、5年前に亡くなって、今、1人暮らしだと」

みさ「ふ~ん」

蝶子「滝川の喫茶店で母さんとロシアンティー飲んだしょ?」

みさ「うん、アハハ。おいしかったねえ」

蝶子「ユーリーさんちでも同じもの出してくれたんだわ」

 

みさ「ね、蝶ちゃん」

蝶子「ん?」

みさ「あれだべか…母さんも挨拶しといた方がいいんでない?」

蝶子「ユーリーさんに?」

みさ「うん、おわびを…パン屋さんがどういうもんか見てみたいし。おわびもしたいし…何さ?」

蝶子「ロシアンティー、飲みたいのかい?」

うなずくみさ。

蝶子「したけど…」

みさ「2人で行ったら誰も怒らないんでないかい?」

蝶子「うん!」

みさ「ウフフフ。行こ!」

 

ユーリーの家

みさ「ロシアンティー…ああ…あ、自分でやる」蝶子がジャムを入れようとするのを自分でやり始めた。

 

ハト時計の時報が鳴る。

 

ほほ笑ましく見ているユーリー。

みさ「いただきます」

ユーリー「どうぞ」

お茶を飲んだみさ。「う~ん!」蝶子と顔を見合わせ、微笑む。

 

ユーリー「お母さん、岩見沢には、いつまで?」

蝶子「あ、明日、帰るんだ」

ユーリー「いやあ、そうかい」

みさ「はい」

ユーリー「こっちには用事で?」

蝶子「なんも、なんも。ちょっと。ね?」

みさ「はい」

 

ユーリー「うん。あ、腹、すいてないかい? 今日焼いたパンがあるんだ。食べるかい?」

蝶子「うん」

ユーリーは奥へ。

 

みさ「来てよかった」2人で笑う。

 

みさは室内を見回し、日本人女性の肖像画が目に入る。「誰だべか?」

蝶子「死んだ奥さんでない?」

 

ユーリーがさらにパンを乗せ、部屋に入って来た。「どうぞ」

みさ「はい」

パンを手に取った蝶子はすぐ口に入れようとし、みさが「いただきます」というのでユーリーに会釈して食べ始める。

 

ユーリー「味どうだい?」

蝶子「おいしい!」

みさ「うん!」

ユーリー「うん…」レコードをかける。

 

♪~(「ユーモレスク」)

ユーモレスク

ユーモレスク

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由紀さおりさんのがあった~!

 

蝶子「音楽はいいねえ、母さん」

みさ「う~ん」

音楽に乗る蝶子とみさ。

 

ユーリー「このレコード、あげようか?」

蝶子「ホント!?」

ユーリー「うん」

みさ「すみません」

 

<母親のみささんには分かったはずです。チョッちゃんの音楽への執着は、よ~く分かったと思います>(つづく)

 

みささんを送り込んで大正解! このほのぼのさがたまらない。