徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】嵐を呼ぶ楽団

1960年 日本

 

あらすじ

ジャズへの情熱を分かち合う男女が織り成す、色恋も絡むサクセスストーリー。音楽映画の名手・井上梅次監督の元、歌に踊りに芸達者な豪華キャストが集結し、心躍るステージシーンの数々も堪能できる逸品。亡きジャズ界の先駆者の息子の宏志(宝田明)は、激しい気性が災いして人気スターのルリ子(雪村いづみ)らの反感を買うが、彼の作曲の才能を認めるトランペットの純(高島忠夫)や流しのギター弾きの鉄雄(水原弘)らと念願のバンドを組み、音楽界を駆け上がる。

2025.3.12 日本映画専門チャンネル録画。写真は白黒だけどカラー作品です! 蔵出し映画、本日2本目。

 

「蔵出し名画座」評論家・川本三郎さんの解説付き。東宝の特色のひとつは日本では珍しくミュージカルや音楽映画をたくさん作ったこと。東宝の前身、戦前のP.C.Lの第一作が「音楽喜劇ほろよひ人生」(’33年 木村荘十二監督)だったことがそれをよく物語っている。

 

この映画もジャズバンドに青春の夢を賭ける若者たちを主人公にしている。監督は日活時代に石原裕次郎がドラマ―を演じて大ヒットした「嵐を呼ぶ男」を作った井上梅次。フリーになって第一作になる。宝田明演じる若い無名のジャズ・ピアニストが音楽好きの若者たちを集めてゆき、やがてビッグ・バンドとして成功するまで。

 

宝田の他、トランペットの高島忠夫、ドラムの柳沢真一、ベースの神戸一郎、ギターの水原弘、歌手の朝丘雪路らがメンバーを演じる。柳沢真一、神戸一郎、水原弘朝丘雪路はいうまでもなく歌手として活躍していた。

 

宝田明高島忠夫はそれぞれのちに舞台のミュージカルに出演して評価を得る。それぞれ「アニーよ銃をとれ」、「マイ・フェア・レディ」が代表作になる。

 

東宝株式会社 配給

 

宝塚映画作品

 

製作:杉原貞雄

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脚本:若尾徳平

   井上梅次

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音楽:多忠修

   河辺公一

音楽担当:和田肇

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牧宏志:宝田明…字幕黄色

天路ルリ子:雪村いづみ…字幕緑

緒方セツ子:朝丘雪路

三谷純:髙島忠夫…字幕水色

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渡辺鉄雄:水原弘

只野凡太郎:江原達怡

天路マリ子:環三千世

吉川二郎:柳沢真一

亘一夫:神戸一郎

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牧雪江:水戸光子

大貫専務:安部徹

支配人山根:有木山太

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マスター富岡:立原博

ジャズ喫茶マスター:山田周平

番頭高田:森川信

マネージャー松本:山茶花究

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バンドマン:早川恭二

大江万砂夫

ジャズ喫茶司会者:世志凡太

川上のぼる

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花村えいじ

バンマス近藤:弘世東作

ぎょうざ屋の親爺:長谷川みのる

婆や:吉川雅恵

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浜野隆

丸橋清美

宇野美子

森明子

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楠栄二

バンドマン:仲塚雅哉

柴田房夫

大磯栄二

森金太

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主人卓造:柳家金語楼

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梅田コマ.ミュージカル.チーム

松原貞夫

藤本春樹

内田喜隆

児島日出夫

谷雅子

綠葉子

美鈴慶子

篝伊都子

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監督:井上梅次

 

キャバレー・ユニバース

 

店内に大きな看板が出ている。

 

マンモスキャバレー

豪華シヨウ!

 天路ルリ子

  火の鳥

  大阪

 UNIVERSE

 

白い羽根をつけたダンサーの中に真っ赤な衣装のルリ子が歌う。雪村いづみさん、スタイルいいなあ。ピアニストの宏志がアドリブで弾きだし、戸惑うルリ子だったがアドリブで踊る。汗を拭くバンドの指揮者。

 

ルリ子の楽屋に謝りに来た支配人。ルリ子の姉でマネージャーのマリ子は恥をかかせてくれたわねと怒る。宏志も謝りながらも、ついイメージが湧いたと言い訳。その場でクビを言い渡された宏志は逆ギレ。音楽の世界では身分の上下もない、きっとバンドマスターになってみせますとタンカを切った。

 

女中のいる家で暮らす宏志はオシャレな家で暮らすお坊ちゃん。母・雪江は衣裳係?で家でも仕事している。暖炉の中にストーブ置いてる。

 

クビを言い渡された話をすると、雪江はガッカリ。亡き父は牧新太郎と楽団ブルースターをやっていて、雪江は苦労して音楽学校を卒業させたのに…と言うが、宏志は誰かの下でやるのは向かないと自らバンドを作ることを決意する。

 

大阪から旅公演へ向かう宏志。仲間の三谷は三等車の切符で二等車にいた。駅員の只野はサックスをやっているジャズ好きで軽い注意で済んだ。

 

三谷は宏志の作っている曲に興味を持った。「午前0時のブルース」と名付けた譜面を見て、三谷は車内でトランペットを吹き始め、さすがに怒られてデッキへ。只野もいい曲だと褒めた。

 

宝田明さん183cm、高島忠夫さん181cmって、この時代にすごい。高島忠夫さんは角度によってそれぞれの息子さんの面影がある。

 

九州のジャズバーで演奏した楽団だったが客は少ない。たまたま見に来たルリ子が客に請われて舞台に立ち「私の好きな男」を歌う。1曲だけで帰ってしまい、一緒に客も一緒に店から出ていってしまった。

 

もう演奏をやめようという三谷だったが、一夫という客がもっとやれというので、演奏を続けた。

 

三谷が300円、宏志は2000円持っているので飲みに出かけた。せっかく入ったバーはけたたまくホステスたちが騒ぐので、一度出ようとしたが、引き止められた。宏志はバンドを結成しようと思ってると話すと、三谷は君はリーダーに向いてると話に乗った。

 

流しの鉄ちゃんが一曲聞いてくれとギターを持って話しかけたが、俺たちバンドマンだと断った。しつこいので三谷が怒り、表へ出ろ!な展開へ。宏志は音楽やるなら楽器で勝負しろとトランペットとギターで勝負した!? 鉄ちゃんと意気投合し、バンドメンバーに加えることにした。

 

旅館に帰ると、宏志と三谷は布団部屋に入れられた。他の楽隊メンバーは11820円を未払いでトンズラしてしまった。布団部屋でご飯も出されず、文句を言う三谷だったが、宏志は作曲を続けた。

 

番頭の高田も小番頭・吉川もジャズ好き。おにぎりを差し入れし、名案があると提案した。高田は「男はつらいよ」の初代おいちゃんだねー!

 

旅館の息子・一夫がジャズ好きなので宏志、三谷がジャズをやめさせようと説得することにした。一夫はベースをやっている。宏志は牧新太郎の息子だけど、晩年は苦労したと話したが、一夫は一番尊敬する人は牧新太郎だと感激する。一転、ジャズをやれと言い始める宏志と三谷。

 

結局、布団部屋に戻された宏志と三谷。一夫は弁当とトランペットを持ってきて、旅費を渡し、部屋から出した。番頭たちも協力して屋根から外へ。鉄ちゃんもなぜか屋根に現れ、一緒に大坂に行くという。

 

巡査に見つかるが、高田は友情だと苦しい言い訳。

 

大阪

大阪興行株式会社

宏志は牧新太郎の元マネージャー大貫に相談に行った。

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大貫専務はボースンだ! しかし、つれない返事。

 

牧家

宏志が帰ると、番頭たちが一夫が家出して、ここに来てないかと訪ねてきた。三谷、鉄ちゃんも来ており、一夫が隠れていたのでくしゃみをしてごまかした。三谷は親に夢を反対された若者が自殺したと脅し、一夫が出てきて、バンドに入れてもらうと言い、吉川までバンドに入れてもらうと言いだした。

 

そこに車掌の只野も鉄道を辞めてきたと訪ねてきた。すぐその場で吉川たちと演奏を始める。只野はサックス。

 

楽団ブルースターはキャバレーのオーディションを受けに行った。昔に比べ貧弱だと落とされ、次に歌ったセツ子は声が出ず、不合格。おなかが空いてフラフラだった。

 

セツ子は宏志たちと餃子を食べに行った。成功するまで北海道に帰らないというセツ子を加えて、再びオーディションに行った。朝丘雪路さんの歌声、ステキ。

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歌うイメージがなかったけど、昔の紅白を見てびっくり。

 

演奏は成功、またギョウザを食べに行った宏志たちは「午前0時のブルース」を歌う。全員、楽器も演奏出来て、歌もうまいってどういうこっちゃ。すごすぎ。

peachredrum.hateblo.jp

鉄ちゃん役の水原弘さんも歌手だしな。

スワニー

スワニー

  • 柳沢真一
  • ジャズ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
十代の恋よさようなら

十代の恋よさようなら

  • 神戸一郎
  • 演歌
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

吉川も一夫も歌手。神戸一郎さんは昭和36年紅白歌合戦では朝丘雪路さんと対戦している。

 

楽団ブルースターの演奏を見に来たルリ子。客席にいたルリ子とマリ子のテーブルに呼ばれた宏志は専属のバンドにならないか?と持ちかけられた。しかし、宏志は豪華なバンドにして東京に出たい、ルリ子を専属の歌手にしたいと話し、ルリ子をムッとさせた。

 

楽団ブルースターは雑誌、テレビ、レコードと活躍の場を広げ、ジャズ界の人気投票でトップを取るほど人気になっていた。宏志は大編成のフルバンドにしたいが、ほかのメンバーは、今のままで楽しくやりたいと不満がたまる。

 

宏志は一人残ってピアノを弾き続け、メンバーは帰った。セツ子はルリ子が好きなのではないかと指摘。宏志は否定し、セツ子が元気がないことを言うと、切ないラブソングを歌う。もっとショービジネスに徹しないと!という宏志にセツ子は鬼みたいな人だとションボリ。宏志は、まだ店に残っていた三谷に疲れてるみたいだから慰めてやれと言って店を出た。

 

三谷はセツ子に愛の告白。宏志をきっぱり諦めるなら婚約してくれないか?…って早っ! セツ子は時間をちょうだいと保留した。

 

地下の練習場

楽団ブルースターには多くの楽団員が増えた。大貫と雪江が見学して、コマで初公演をすると話している。

 

回る舞台で演奏するって目が回る。セツ子も多くのダンサーを従えて歌う。

 

回る舞台、せりあがるピアノ、ゴンドラを降りてくるトランペット…ショーは大成功。

 

ルリ子も宏志の近況を知っていて、感心している。そこへ宏志が楽屋を訪れ、ルリ子のショーを褒めた。宏志は、あなたに負けまいという気持ちで頑張ってきたと感謝を述べ、踊りに誘った。

 

ダンスをしながら、敵ながら、あなたに関心を持ったと話す宏志。ルリ子も同じ舞台に立つことを承諾した。

 

ジャズの歴史という舞台が始まる。こういう褐色に塗った肌…今はダメなんだろうね。

おお、スザンナ

おお、スザンナ

  • provided courtesy of iTunes

この曲は聞いたことある。

 

舞台も好評。こういうショービジネスみたいな世界は昔のハリウッド映画では、よくあるけど、日本でもあったのかね。こういうところからクレイジーキャッツドリフターズが出てきた…んだよね!?

 

いよいよ東京進出することになった楽団ブルースター

 

楽屋でルリ子が宏志への恋心を話した。ルリ子は三谷と仲のいいセツ子に話したが、セツ子の気持ちに気づいてしまった。あとから楽屋に入って来た三谷はバンドか恋人、どちらかをセツ子に返してほしいとルリ子にいう。

 

セツ子は宏志にバンドを辞めたいと言い、三谷は止めなかった宏志に怒り、今日限りで辞めさせてもらうと去った。ルリ子も辞めると言いだした。

 

ジャズタレントは探せばいくらでもいるという宏志に友情は金で買えないという一夫や鉄ちゃん。ブルースターで内紛が起こったと新聞記事にもなった。

 

ブルースターは東京公演が失敗し、解散。

 

三谷と吉川はシンギングウォーカーズを結成し、テレビで歌っている。鉄ちゃん、只野はロカビリー、一夫は流行歌手になった。

 

大貫と雪江は宏志について語る。今はそっとしておいたほうがいい。

 

一夫がテレビで「青い霧」という歌を歌っている。ブルーミストという歌詞だけど演歌っぽい。宏志はテレビを見ていたが消した。

 

帰ってきた雪江はジャズをやめるという宏志にあなたに平凡なサラリーマンなんて勤まらないでしょう!とハッパをかけた。雪江がおつまみを作りに台所へ入ると、宏志はリビングのピアノを弾き始めた。三谷やセツ子の姿が浮かぶ。

 

しかし、蜘蛛の巣にとらわれたようなイメージからピアノの鍵盤を思いきりたたき、ジャズをやめるという。

 

鉄ちゃんがテレビで歌ってる~。同じバンドに只野もいる。テレビ局に行った大貫と雪江はいつものギョウザ屋へ一夫、只野、鉄ちゃんを誘って、宏志の代わりにバンドに誘う。只野たちはルリ子の楽屋へ行った。

 

三谷はセツ子が九州を回ってると知り、九州公演の仕事を取った。

 

ルリ子は宏志に頼まれて来ていると思い、機嫌を損ねた。

 

別府銀座

セツ子が歌っていた。緒方セツ子の公演を見に行った三谷はバンドのトランペットを借りて演奏を始めた。

 

浜辺で歌い、キスする三谷とセツ子。宏志と一緒にブルースターを作りましょうとセツ子が言うが、三谷は宏志に友情を踏みにじられたという思いがあり、許せない。セツ子は宏志と仲直りするまでプロポーズはお預けだという。

 

セツ子はルリ子に会いに行き、一緒にバンドを作ろうという。ルリ子も三谷と思いは同じで私から宏志のところへ行くのはイヤと答えた。ルリ子はセツ子から宏志を取ったみたいで気にしていたと言い、宏志と会うことを約束した。セツ子が来る前に三谷からも呼び出しを受けていた。

 

バーで会った三谷、ルリ子、マリ子。ルリ子は宏志とブルースターをやりたいのに三谷が邪魔している、恨んでると言い、セツ子が来たことも話した。三谷に宏志のところへ行くように約束させ、別れた。

 

テレビ出演しているシンギングウォーカーズ。喫茶店で見ていた宏志も微笑む。歌が終わってインタビューされた三谷は宏志への思いを語る。

 

映画でこれまでのダイジェストが流れるの珍しいな!? 過去の楽しい思い出場面集。

 

宏志が自宅に帰ると、ルリ子とマリ子がいた。ルリ子って1人で行動することないんだろうな。三谷もテレビ出演が終わったら来る予定。

 

ルリ子の説得で宏志は自身をわがままで高慢で偏屈だったという。ルリ子は、あなたは私を使う人だと喜んで専属になると抱き合った。雪村いづみさんって、高身長俳優と並んでも様になる身長なんだな。調べたら162cmか。

 

宏志とルリ子が話で盛り上がっていたが、三谷は来ない。宏志は僕を恨んでるんだとすねる。深夜0時。

 

外でギターの音色が聴こえる。鉄ちゃんのギター、一夫のベース…と三谷とメンバーがそろう。夜中に思いっきりトランペットを吹いてるよ。宏志と三谷は仲直りし、ルリ子が午前0時のブルースを歌い出す。

 

舞台でルリ子、セツ子のツインボーカルに宏志たちも周りを囲んで歌う。(終)

 

こういう音楽映画好き~。ジャズというか昭和歌謡というか何でもありな世界で面白かった。