TBS 1978年1月30日
あらすじ
美智(松原智恵子)は小野木(伊藤孝雄)から逃れて転職した横浜で、井波(中野誠也)と親しくなった。思想問題で大学中退の彼は出版社員で、松本(織本順吉)の印刷所で顔見知りだった。美智は物静かで誠実な彼にひかれた。前科者の父と小野木のことがあるためあきらめねばと思う。が、井波はすべてを承知で美智に求婚した。二人は松本の仲人でささやかな祝言をあげた。
2024.9.12 BS松竹東急録画。一週間分のあらすじなのでかなりのネタバレだね(^-^;
原作:田宮虎彦(角川文庫)
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塩崎美智:松原智恵子…字幕黄色
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井波謙吾:中野誠也
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松本:織本順吉
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吉岡俊子:姫ゆり子
大垣:長島隆一
のぶ江:岸井あや子
光田(みつだ):桧よしえ
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戸田:磯部稲子
管理人:西沢武夫
吉岡純子:神林由香
高村:多田幸雄
ナレーター:渡辺富美子
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小野木宗一:伊藤孝雄
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音楽:土田啓四郎
主題歌:島倉千代子
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脚本:中井多津夫
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監督:今井雄五郎
<美智が松本の世話で横浜の小さな工芸印刷所に移り、やがて秋を迎えようとしていた。言うまでもなく、松本が横浜の職場に美智を移そうと考えたのは東京を離れていれば、小野木の目も届かないだろうという配慮からであった。そして、美智は、ようやく小野木の黒い影からも解放され松本の言うとおり、本当に美智の第二の人生が始まるはずであった>
美智は会社までの道を歩いている。曲がり角を曲がった所に看板。
神奈川県
勤勞報國隊に参加しよう
こういう看板が立ってるけど、服装も普通?だし、戦時中の感じがしないね。ドラマのスタートが昭和15年だけど、今は昭和15年の秋ってこと?
刷印藝工横東
作製種各・トッセフオ・刷印
地番五目丁三町濱中區北港市濱横
九二三八(七)話電
東横工藝印刷に入ると、松本社長がいた。
美智「社長」
松本「ああ…元気でやってるかね?」
美智「はい。一度、お伺いしようと思ってたんですけど、ご無沙汰しまして」
松本「今日はね、多摩川工場へ来たもんだから、元気でやっているかどうか君の顔が見たくてね、ちょっと足を延ばしてきたんだよ」
美智「わざわざすいません」
大垣「あっ、おかえり」
美智「ただいま。ちょっと着替えてきます」
大垣「松本さん、見てくださいよ」
松本「うん?」
大垣「模造紙でこんな工夫をしてみたんですがね」
松本「はあ…なかなかいい色が出てますね。さすがオフセットの技術は大したもんですなあ」
大垣「いやいや、時節柄、満足な仕事ができなくて、ヘヘッ」
松本「ほんとにね、こんな紙でさえ配給制になるっていうし、我々の商売は難しくなりましたな」
大垣「全く戦争戦争で、この先、どうなっていくんでしょうね」
のぶ江「松本さん、どうぞ」
松本「あっ、もうお構いなく。私はすぐに失礼しますから」
のぶ江「そうおっしゃらずに。ゆっくりしてらしてくださいよ」
松本「はい」
紺色の事務服っぽい服を着てきた美智にお茶を渡すのぶ江。
美智「あっ、すいません」
のぶ江「ほんとに塩崎さんのような、いい方をお世話くだすったんで、うちじゃ大助かりですよ。何から何まで手伝っていただいて」
大垣「手が足りないもんだからね、毎晩、遅くまで残業してもらってんですよ。塩崎さんには、すまないと思ってんだが」
美智「そんな、私のほうは…」
松本「しかしね、あまり無理しちゃダメだよ。君は体が弱いんだから」
美智「はい」
松本「じゃ、ちょっと塩崎君、お借りしますよ」
大垣「ええ、ええ、どうぞ」
夫婦でやってる印刷所かな? 優しそうな人たち。長島隆一さんも岸井あや子さんもドラマに出られてたのは80年代くらいまででwikiを見ると没年不詳。
岸井あや子さんは元タカラジェンヌで俳優の岸井明さんと結婚。岸井明さんの名前に見覚えがあったのは「芋たこなんきん」で歌が出てきたから。
船の汽笛が聞こえる港を歩いている松本社長と美智。「私に縁談ですか?」
松本「そうなんだよ。この前、大垣の奥さんから電話があってね、あそこに出はいりしてる紙問屋の息子さんが君を見初めてしまってね、親を通じて話が来たっていうんだ」
首を横に振る美智。
松本「どうして? 話を聞いてみたらね、よさそうな息子さんだし、いい話だからね。この縁談は、ぜひ進めてほしいって、そう返事をしといたんだ」
美人っていうのは普通に仕事してるだけで見初められちゃうんだな~。
美智「社長、私が結婚できる身の上かどうか社長が一番よく知っておられると思います。それに私、一生結婚しようと思ってませんし」
松本「君はまだまだ若いんだ。いつまでも自分の殻に閉じこもってちゃいけないよ。君の人生はね、これからなんだから。いや、なにもね、無理に結婚しなさいとは言わないよ。しかしね、人の厚意は、むげに断っちゃいけないと思うんだ。私はね、君の親代わりとして、君がどんな身の上であろうと私がついている以上、そんなことは…」
美智「社長。お気持ちはとってもうれしいんです。でも、正直言って、今はとてもそんな気持ちには…」
松本「なんだ、しょうがないな。じゃあね、これだけは約束してほしいんだ。これからね、早く結婚することを真剣に考えるって。私は親としてね、年頃の娘が早く結婚しないとね、もう心配でしょうがないんだ。いいね?」
うなずく美智。
松本「なんだ、こいつ」右手人差し指で美智の額をコツン!「まだ真面目に考えてないな?」
美智「あの…その後、小野木のことは何も?」
松本「いや、何もないね。やっこさん、やっと諦めがついたのかもしれない。京都にいて君を捜そうったって、ほとんど不可能に近いからね。あの男のことはね、もう心配せんでいいだろう。早く忘れることだ」
笑顔でうなずく美智。
禁嚴入出者用無内場工
東亞印刷に戻った松本社長。
光田「おかえんなさい。社長、大変なんですよ。小野木って男がうちへ来たんです」
松本「小野木が君のうちに?」
光田「ええ。ゆうべ私が会社から、うちへ帰るときにつけられたんだろうと思います」
松本「で、なんて?」
光田「塩崎さん、どこ行ったか知らないかって。夜の9時過ぎまで粘られちゃって。最後には父が怒りだしちゃったんで、ついに諦めて帰っちゃったんです」
戸田「社長、あの人、門の前で立ってましたよ。ほら、いつかあの…塩崎さんの」
松本「小野木か?」
うなずく戸田。
山村さんは秋になったから辞めたのか、多摩川工場へいるのか不在。
東亞印刷前に小野木が立っていたが、立ち去ろうとしていた。
松本「おい」
振り向いた小野木は黙ったまま。
松本「あんた、うちの女の子のあとをつけてるらしいが、話があるんだったら、私が聞こうじゃないか」
小野木「ほんなら、聞いてもらいまひょうか」
松本社長は小野木の肩をグッと押して、会社内へ。
宿直室
小野木「松本さん、話っちゅうのは簡単なことですわ。今、美智がどこにおるか、それさえ教えてくれはったらよろしいんですが」
松本「知らんね。塩崎君は会社を辞めて以来、行方不明なんだから」
小野木「あんた、どえらいうそをついてくれはりましたな。あんたは美智と夫婦になるんやちゅうてはりましたなあ。それがもしほんまやったら正直に美智から手ぇ引こう。そない思うてましたんや。そやけど、やっぱり私の思ったとおり、真っ赤なうそやった」
松本「あんた、あのとき私から500円受け取って京都へ帰っていった。それで何もかも終わったんじゃなかったのかな」
小野木「あんたと美智が夫婦になっとるんやったら潔う諦めよう、そない思うてましたんや。そやけど、それがうそっぱちだと分かった以上、私にかて考えがありますよってな」
だったらまず先に500円を返せ!
松本「で、どうしようっていうんだね」
小野木「草の根をかき分けてでも美智を捜し出してみせますよってな」
松本「この広い東京でどうやって塩崎君を見つけようっていうんだね。無駄なことだとは思わんかね。第一、京都に勤めを持っていて」
小野木「美智はもう、あんたんとこの会社の人間やないんやさかい、余計なおせっかいは、これっきりにしといてもらいまひょか。それに、私な、今度、縁あって東京のほうに勤めをかえましたんや」
松本「東京に?」
小野木「そうどす。なんのためか分かりますか? あんさんには、よう分かりまへんやろな。美智を捜し出すのに都合がええおますよってな」
東横工藝印刷
紙をそろえている美智。
のぶ江「塩崎さん、電話よ。松本さんから」
美智「すいません」
<松本は美智のことが気がかりだった。そのために美智の新しい下宿も横浜の外れにある彼の知人の元に移していたのである>
松本「ごめんよ」
俊子「はい! いらっしゃい」
松本「塩崎君、帰ってるかね?」
俊子「ええ、今日は珍しく早く」
松本「ああ、そう。ハァ…」玄関の上がり框に腰掛ける。「どうかね? たまには戦地の吉岡さんから便りがあるかね?」
俊子「それが、この前、満州から葉書が来たっきり、ぷっつり便りが途切れてしまったんで心配してるんですけど」
松本「そう…しかしね、満州だったら、そう心配もいらんだろう」
純子「こんばんは」←小学生くらいの女の子。
松本「はい、こんばんは。お利口さんだね。これね、お土産」箱を渡す。
純子「どうもありがとう」
階段を降りてきた美智。
松本「ハハッ、あっ…じゃ、ちょっとお邪魔するよ」
美智の部屋
美智「どうぞ」
松本「いやね、昨日、小野木のことは大丈夫だと言ったがね、会社へ帰ったらね、あいつが現れたんだよ。しかも、京都の役所を辞めて、こっちへ就職したっていうんだ。で、まあ、東京のどこへ勤めたのか、そこまでは聞き出せなかったんだが、いずれにしても君の耳に入れといたほうがいいと思ってね。しかしね、世の中には、しつっこい男がいるね。もう、びっくりしたよ、正直。まあね、ここまで捜し出すとは思えないが、いずれにしろ当分は気をつけたほうがいいかもしれない」
美智「はい」
松本「ねえ、塩崎君。なんだね、昨日の話を蒸し返すようだが、あの男、君の結婚を見届けるまで、いつまでもつきまとうかもしれんな」
美智「でも、社長。今度、小野木に見つかるようなことがあっても、もう逃げたりしません。私、小野木に言ってやります。あなたなんて少しも怖くないんだって」
松本「しかし、そうは言ってもね…」
美智「いいえ。私、これ以上、あの人の影におびえて暮らすのは、たくさんです。社長のご厚意に報いるためにも私がもっとしっかりしなくちゃいけないと思うんです」
松本「うん。万一のことを考えてね、吉岡の奥さんにもよく頼んでおこう」
美智「すいません」
東横工藝印刷
井波「お願いしますよ、大垣さん。グリムの童話集のために西山先生がこうしてすばらしい挿絵を描いてくだすったんですから、なんとかこの原画のままの色を出していただきたいんですが」
大垣「お気持ちは、よく分かるんですけどね。これだけの色が出る紙がないんですよ、紙が」
井波「残念だな。大垣さんを頼りにして来たんですよ」
大垣「何部、お出しになるんですか?」
井波「3000部のつもりです」
大垣「西山先生の挿絵だから、やってあげたいんだけどねえ」
井波「なんとかなりませんか?」
大垣「まあ、いっぺん心当たりを聞いてみるにはみますけどね」
井波「ええ、よろしくお願いします。それでダメだったら諦めますから」
美智「ただいま」
井波「塩崎さん」
頭を下げる美智。
井波「こちらにお勤めでしたか」
美智「はい。(大垣に)たかしま商会から代金、受け取ってまいりました」
大垣「ああ、ご苦労さま。井波さん、塩崎さんとお知り合いで?」
井波「ええ、塩崎さん、神田の東亞印刷にいましたから」
大垣「ああ、なるほど。ハハハ…」スーッとフレームアウト。
美智「この度、事情がありまして、こちらでごやっかいになることになりましたので、よろしくお願いいたします」
井波「いやいや、こちらこそよろしく。あっ…ハハッ。塩崎さんって相変わらずですね。折り目正しいっていうのかな」
大垣「ハハハッ。京女ってのは礼儀正しいからね」
井波「ハハハハッ」
大垣「あっ、そうだ。塩崎さんに行ってもらおうか、中田商店。あそこの親父さん、塩崎さんが頼みに行ったらアート紙、分けてくれると思うんだ」
井波「そりゃよかった。じゃ、ぜひお願いします」
大垣「井波さんに泣きつかれちゃって弱ってるんだよ」
夜、駅の階段を降りている美智に井波が声をかけた。「塩崎さん。今日は余計なこと、お頼みしてすいませんでした」
美智「いいえ。あの…なんとかアート紙、分けていただけることになりました」
井波「そうですか。そりゃよかった。塩崎さんもご存じでしょ? あの西山国行(くにゆき)っていう画家。あの大家(たいか)が童話集のために挿絵を描いてくだすったんですからね。なんとか生かしたいと思ってたんですよ。おかげで西山先生に顔向けができます。助かりました」
帰り道を歩く2人。
井波「塩崎さん、いつも遅いんですね。いえ、この時間によく電車の中でお見かけするもんですから」
美智「人手が足りなくて毎日残業してますから」
井波「ああ…僕も1日置きに夜間の中学校に理科を教えに行ってるもんですから、こんな時間になるんです。今までに何度か話しかけようと思ったんですが、いつも声をかけそびれてしまって。うっかり話しかけたら、ご迷惑かもしれない。そんな気がしたもんですから」
美智「私、そんな…」
井波「いや、気に障ったら勘弁してください。僕の悪い癖なんですよ。何でも思ったことをずばずば言ってしまって。今日はほんとにありがとうございました。じゃ、おやすみなさい」
美智「おやすみなさい」
東横工藝印刷
大垣「塩崎さん」
美智「はい」
大垣「挿絵の見本刷りができたからね、井波さんとこへ電話して見に来てもらってくれないかな」
美智「はい」
大垣「こういうのは手がかかるからね、なるたけ早いほうがいいんだ」
メモを見ながらダイヤルを回す美智。
大垣「うん? もう4時半か。じゃ、今日は間に合わないなあ」
大垣の言葉を聞いて受話器を置く美智。
大垣「井波さんのうち、塩崎さんの近くだって言ってたね」
美智「はい」
大垣「じゃあ、すまないが帰りに井波さんのお宅に届けてもらったほうが早いかもしれないね」
美智「でも私、所番地が分からないんですが…」←こういう言い方久々に聞いた。
大垣「いや、それは分かってるんだ。今、地図描くからね」
美智「はい」
封筒とメモを持って第二やよい荘へ
管理人室に声をかけた美智。「ごめんください」
管理人「はい」
美智「あの…井波さんのお部屋はどちらでしょうか?」
管理人「え~と、井波さんは、まだ帰ってないよ」
美智「あっ、そうですか。それでは恐れ入りますが、これをお渡しいただけませんでしょうか」
管理人「いいですよ。あんたは?」
美智「東横工藝の塩崎と申します。これをお届けに上がったんです」
管理人「じゃあ、確かに」
美智「よろしくお願いいたします」
管理人「はい」
美智が去ると、管理人が受け取った封筒を高村が乱暴に取り返した。「今の女、ちょくちょく井波を訪ねてくるのかね?」
管理人「え~、私は初めてですがね」
高村「なかなかいい女だったな。塩崎とか言ってたな」←おえーっ!
管理人「えっ? ええ」
下宿先に帰った美智。
俊子「塩崎さん」
美智「はい」
俊子「下に警察の人が来てるわよ。なんだか聞きたいことがあるんですって」
美智「警察の人?」
俊子「なんかあったの?」
美智「いいえ」
俊子が手招きして玄関へ。
美智「あの…私、塩崎ですが」
高村「横浜南署の特高課の者(もん)だ。夜分すまんが、ちょっと聞きたいことがあってな」
美智「はい」
高村「あんた、井波謙吾という男を知っとるかね?」
美智「はい」
高村「どういう知り合いかね?」
美智「井波さんとは、お仕事の関係上、私の勤めてる印刷所に時々、おみえになりますので」
高村「ふ~ん。で、いつごろからの知り合いなのかね?」
美智「半年ほど前からです」
井波さん初登場が15話。美智が京都から家出して10日ほど温泉宿にいて、そこから上京。1か月くらいは職探しをしていて、東亞印刷前で倒れて…初回が昭和15年のはじめとか春先だったら、今が昭和15年の秋ってことになるのかな。すごい年だ。
高村「それなら、単に仕事上のことだけじゃなしに個人的にもつきあいがあるんじゃないのかね?」←そうかなあ!?
美智「いえ、特にそういうことは…」
高村「正直に答えんといかんぞ」
美智「はい」
高村「時には2人でお茶を飲んだり、映画を見たり、そんなことがあるんじゃないのかねえ」
美智「いえ、そんなことは一度もございません」
高村「事実なんだね?」
美智「はあ」
高村「二人っきりで話をするようなことはないかね?」
美智「時々、電車が一緒になりますので、そんなときには…」
高村「なるほど。そういうとき井波はどういう話をしとるかね?」
美智「?」な表情。
高村「ありのままを答えればいいんだよ」
美智「特別なことは何も…大抵、お仕事の話ですから」
高村「例えばだな、今、我が国は戦争をしておるな」
うなずく美智。
高村「そのことに対して、なんか批判がましいこととか、あるいは軍隊の悪口とか、そんなことを口にしとらんか?」
美智「あの…井波さん、何か?」
高村「うん…あの男は悪いヤツじゃないんだが、帝大在学中に社会主義にかぶれよってな、そのため、思想犯として検挙されたんだ。その後、裁判では不起訴になったが、目下、保護観察中の身柄でな。本当に改心したかどうか、時々、こうして調べとるんだ」
特高警察の高村役の多田幸雄さんは「おんなは一生懸命」では医師、「赤い運命」では…多分、この回だと記者かな? ほかにも「おしん」や「男たちの旅路」など結構見かけていた。
部屋に戻った美智は、そっと窓の外を見てカーテンを閉める。
出勤している美智に井波が声をかけた。
美智「おはようございます」
井波「おはようございます。ゆうべわざわざこれをとどけてくだすったんですね」手に持っていた封筒を見せる。
美智「はい。大垣さんに早いほうがいいって言われまして」
井波「お手数かけました。電話をくだされば、こちらから取りに行ったんですが」
美智「あの…見ていただいたんでしたら、大垣さんに何か?」
井波「ええ、2~3注文がありますから、今日の午後にでも伺いますって、大垣さんに言っといてくださいませんか?」
美智「承知いたしました」
反対側のホームに立つ井波を見る美智。チョコレート色の車両に乗り込む井波は美智に会釈しながら列車に乗っていった。
走り出した電車の車窓に見えた駅名は”×くどう”
横浜市鶴見区生麦五丁目、鶴見線の国道(こくどう)駅。1930年の開業以来、改札口の位置の手直し以外、大きな改装はされてない…だから、ここが撮影場所として選ばれたのかな。他にも数々のドラマでロケ地として使われているらしい。
<なぜか美智は、ゆうべの出来事を井波に話す気にはなれなかった。しかし、これまでと違い、井波に言いようのない親しみを覚え始めていたことは確かだった。思想問題で検挙され、警察の監視下にある井波の身の上が父親の前科のために世間から冷遇された自分の身の上と引き比べ、ひと事に思えなかったからである>(つづく)
エンディングの歌詞が変わった。
風に誘われ
噂にひかれ~は3番の歌詞。もう5週目ってことなんだよね。早いなあ。
美智の周りには普通?の人がいない。美智はインテリ好きだな!