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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(131)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)は福井(三木弘子)から急な出張で北海道に行くと告げられる。札幌の雪祭りの取材だ。正道(鹿賀丈史)も元気になり、子供たちの手がかからなくなったら元子にも地方取材を、という福井の言葉に、元子は胸がときめく。のぼる(有安多佳子)からも電話があり札幌に雪祭りの取材に行くという。話を聞いた大介(田島理司)はうらやましがるが、数日後、札幌からの飛行機が落ちたという臨時ニュースが流れる。

女性時代編集部

籠と原稿を持った元子が廊下を歩いてドアを開ける。「よいしょ…」

 

元子「おはようございます」

福井「あっ、おはよう。原稿出来た?」

元子「はい、持ってまいりました」

福井「じゃあ、置いてってちょうだい。急に出張になっちゃったの」

元子「出張ってどちらへ?」

福井「北海道」

元子「北海道!?」

 

野村「雪まつりですよ、札幌の」

元子「あ~」

冬木「ついてないんだよなあ。本当はね、僕が行くことになっていたんだけれど受け入れ側は、どうしても編集長に来てほしいんだって」

福井「友達がホテルをやっててね、宿を頼んだら彼の紹介で思いがけない人の取材ができることになったの。そうなれば私が行かなきゃならないし、まあ、そんなことでもなければ、せっかくの東京は暖冬なのに誰がそんな寒い所に雪見物に行くもんですか」

冬木「悔しいんだけど、これ以上言うと愚痴になるし、まあ、肺炎にでもならないように気を付けて行ってきてください」

福井「はいはい。ハハハ…」

 

元子「では、残念組の方で分けてくださいな。長野のリンゴです」

野村「お~!」

元子「主人が家具の仕事で行ってきたもんですから、どうぞ」

野村「頂きます」

冬木「頂きます」

 

元子「編集長、これ、原稿です」

福井「ああ。今年、坊ちゃん、高校よね」

元子「ええ。今、最後の追い込みで頑張ってます」

福井「ご主人も元気になられたんだし、お子さんの手がかからなくなったら、たまには大原さんも地方に取材に出てもらわらなくちゃね」

元子「はい」

 

大介の部屋

大介が波津の縫ってくれた綿入れを着て、勉強している。机の上の宗俊の写真を見て、うなずき、再び勉強にかかる。時々、小山内脚本は高齢視聴者に向けてサービス的な年寄りを慕う若者を出してくるよね~。

 

正道もまた勉強中。玄関わきの部屋らしい。

 

地方の取材は、まだ経験したことのない元子です。その収穫と出会いを思うと、しばらくうちでできる仕事を続けていた元子の胸はやはりときめきます。

 

大原家ダイニング

リンゴをむいている元子。

 

電話が鳴る。

元子「はい、大原でございます」

のぼる「私、六根。今、モンパリ。預けておいてくださったリンゴ、確かに受け取りました。どうもありがとう。大原さん、長野へいらしたんですって?」

元子「そうなのよ。でね、リンゴがおいしかったからってドサッとチッキで送ってきて…。私ね、今度はリンゴ屋さん始めなきゃいけないのかと思ったわ」

 

モンパリ

のぼる「いいじゃないの。ガンコは何だってやりたい人なんだから何でもバリバリとおやりなさいよ」

元子「ほら、またそうやってけしかける」

のぼる「だけど、本当にありがとう。旦那様によろしく申し上げてちょうだい」

元子「はいはい」

のぼる「あっ、代わりにね、明日、私、札幌へ行くの。お土産買ってくるわ。何がいい?」

 

大原家茶の間

元子「あっ、雪まつりね」

のぼる「さすが、女性時代のルポライター。ツーって言えばカーね」

元子「バターがいいかな。重いかしら?」

のぼる「なんのなんの。入試前ですものね。大介君が食べてくれるものなら、えんやこらだわ。それじゃ、行ってきますから」

元子「くれぐれも気を付けてね」

のぼる「はい。じゃあね」

 

モンパリ

受話器を置いたのぼる。

絹子「元気だわね、六根さん」

のぼる「自分で気合い入れなくちゃガンコに負けちゃいますから」

洋三「ハハ…北海道はどういうわけかビールがおいしいんだよね。あれは空気が乾いてるせいかね、部屋の中、暖房でガンガンしてるからね、もうキュ~ッとおいしいんだよ。あ~、それから、ほら、あのジャガイモをホッカホカにしてね、それでその上にバターをたっぷりのっけて食べたら、こりゃもう朝飯要らないよ」

絹子「まあ…」

洋三「夕飯はあれだね、石狩鍋、うん…三平汁がいいかな。あ~、それからルイベも忘れちゃいけない…」

絹子「嫌ぁね、よだれの垂れそうな声出してね、もう」

 

正大あんちゃんを北海道の大学に行かせたのも洋三叔父さんだから、洋三叔父さんも北海道に縁があるのかもね。

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上條恒彦さん自体、北海道が舞台の作品にいくつも出てるしね。

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洋三叔父さんと宗俊。

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洋三叔父さんと大介。

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洋三叔父さんと藤井。たまたまだけど「本日も晴天なり」キャストとの共演。

 

大原家ダイニング

リンゴを食べながら家族団らん。

大介「北海道か…いいなあ」

正道「ん? いいっつったって遊びに行くんじゃないぞ。六根のおばさん、仕事で行くんだから」

大介「けどさ、僕も将来、仕事でいろんなとこ行ける、そういう仕事やりたいな」

元子「いいわよ。自分がやりたいと思う仕事だったら何になったって構わないわ」

大介「ほら、だからまた張り合いがないんだよ」

正道「えっ、何が?」

大介「だって、大抵のうちは親があれになりなさい、これになりなさいって一生懸命なのに」

 

道子「じゃあお兄ちゃん、総理大臣になって」

大介「えっ?」

元子「そうねえ。それで物価を安くして不公平をなくして立場の弱い人(しと)たちが安心して生きていけるような、そういう世の中にしてくれないかな」

大介「すぐちゃかすんだから」

元子「ん…じゃあ、お医者さんになってよ。我が家にお医者さんが一人いたら安心ですもの」

大介「医者かあ」

正道「家具職人もいいぞ」

大介「えっ?」

正道「手作りのな、どっしりとした100年も200年も使えるようなやつ作ればな、お前が死んでからだって、その家具は買ってくれた家族と一緒に生き続けることができるんだからな」

大介「極端すぎるんだよ、お父さんもお母さんも」

笑い声

 

正道「まあな、何になるにしても大介はまず自分の行きたい高校を目指すことだ。頑張れよ」

大介「はい」

元子「ラストスパートなんでしょう。お勉強もそろそろ朝型に直した方がいいんじゃないの? 12時前には、お休みなさいよ」

大介「はい」

元子「お父さんもですよ」

正道「ん?」

元子「別に玄関番をお願いしたつもりはないのに、仕事部屋入ったら出てこないんですもの」

正道「あっ、ハハ…お母さんには逆らえませんな。なあ、道子」

道子「うん」

元子「まあ」

笑い声

 

吉宗

トシ江「ただいま」

福代「お帰りなさいまし。気ぃが付いたら、お義母(かあ)さんがおいでにならんけん、どこへ行かれたのかと捜してしまいました」

トシ江「まあ、そりゃすまなかったわね。よっこらしょっと…。おやおや…順平、ゆうべは随分、派手にまいたらしくて、ほら、そこにまだ残ってるわよ。まあまあ」

福代「どうもすいません。ちゃんと掃除したつもりやったのに」

トシ江「あっ…いいのよ。ケチケチまくよりはパ~ッとまいた方がね、福も入ってくるし、鬼も出てくわよ。あっ、そうだ福代さん」

福代「はい」

 

トシ江「大介にね、後でお守り届けてくれないかしら」

福代「はい」

トシ江「ちょいとね、水天宮さんに行って、あの子のために頂いてきたのよ」

福代「ほなけんど、水天宮さんっていうたら安産のお神さんなんでしょう?」

トシ江「まあ、試験だってお産とおんなじだもの。お産は軽いに限るわよ。ね。安産第一。安産、安産、フフフフ…」

 

大原家ダイニング

原稿を書いている元子。

大介「お母さん! 飛行機が落ちた! 飛行機だよ、飛行機! 札幌からの最終便が行方不明になったんだって。六根のおばさん、雪まつり行ってたんでしょう! 今、ラジオで聞いてたんだけど、臨時ニュースで言ってたんだよ」

正道「おい! おい…彼女、今日帰ることになってたのか?」

元子「分かりません。でも札幌へは編集長も行ってるんです」

 

正道「ちょっとテレビつけてみてくれ」

大介「はい」

正道「君、電話だ」

元子「ああ…」

 

電話をかける元子。

 

テレビ「羽田着陸の直前に行方を断った羽田行き旅客機についてただいままでに分かりましたニュースをお伝えいたします。雪まつりに行った乗客126名、乗務員7名、合わせて133名を…」

 

北山アナウンサー…高橋豊さん。↓確かにこの顔だった。

www.vip-times.co.jp

道子も起きてくる。

 

元子「誰も出ないわ。呼んでるんですけど、六根のうち、誰もいないみたい」受話器を置いて、編集部に電話をかける。

 

女性時代編集部

野村「はい、女性時代」

元子「もしもし、私、大原です。ニュース、ご覧になりました?」

野村「ええ、見ました。えらいことになりましたねえ」

元子「ええ…で、編集長はまさか」

野村「ああ、編集長だったら1時間ほど前に電話があったから大丈夫」

 

大原家茶の間

野村「今夜は支笏湖へ泊まると宿を知らせてきたから、あれには絶対乗ってません」

元子「よかった…それじゃあ、どうも」受話器を置く。「はあ~」

 

電話が鳴る。

元子「はい、大原です」

洋三「あっ、もしもし、私だよ、洋三だ。あの~、ニュース聞いたかい?」

元子「はい、見ました。で、叔父さん、六根から何か?」

洋三「うん…いや、それが全く連絡つかないんでね」

正道「もしもし、僕です。さっきから彼女んち電話してるんですが、誰も出ないんですよ。それで元子も心配してましてね」

洋三「ああ、ジョーとね、花子ちゃんとそれからお母さんは、あの~蔵王へスキーに行ってるんだ。それで、まあ何かあったらね、ここが連絡場所にはなってるんだけれども、六根さん、ほら、例によってね、帰りは行き当たりばったりだって、笑って出かけちゃったからさ、だから、あの飛行機に乗ってる可能性もあるわけでね…。お宅へ連絡したら何か分かると思ってさ」

 

大原家玄関

大介「じゃ、気を付けてね」

元子「うん。様子次第で何時になるか分かんないけど、ごめんなさいね」

正道「うん、こっちは大丈夫だからな」

元子「何かあったら必ず連絡しますから、お願いします」

正道「うん、分かった分かった」

道子「気を付けてね、お母さん」

元子「うん。それじゃ、行ってきます」

大介「行ってらっしゃい」

 

モンパリ

元子「もしもし、ブルース? 私です、元子。六根がね、札幌へ行ってたのよ。ええ、雪まつりの取材に。で、東洋テレビにも問い合わせてみたんだけれどもゴタゴタしててうまくつながらないの。お願いなんだけど、放送局の報道部に知ってる人がいたら聞いてもらえないかしら。ええ、乗客名簿が分かったらお願いします。ジョーもね、花子ちゃんも心配して問い合わせてきてるんだけど…。ええ、私、今、モンパリ。じゃ、お願いします。今はブルースだけが頼りなの。それじゃ」

 

元子の電話中、タバコを吸おうとした洋三は逆さまに加えて、絹子から指摘される。細かいね~。

 

洋三「何だって?」

元子「報道部は多分ゴタゴタしてると思うから直接頼んでも無理だと思うんで宿直の人に聞いてみるって言ってるんだけど…」

絹子「ねえ、その人じゃ駄目なの?」

元子「ううん。でも、こういう時は宿直の人も目の回るような思いしてるんじゃないかしら…」

洋三「大丈夫だよ。だって、何かあったらここへって六根は言って行ってるんだからさ、東洋テレビだって何か分かったら電話してくるに違いないよ」

絹子「そんなこと言ったって…」

 

元子、自宅へ電話する。

 

大原家茶の間

大介「はい、大原です」

元子「お母さん。どっかから電話あった?」

大介「ううん、巳代子叔母さんが心配して電話があっただけ。飛行機は海に落ちたらしいって」

元子「海に…!?」

正道「もしもし僕だ。たった今のニュースだけどもね、漁に出てた漁船が木更津上空で火の玉を見たっていう情報が入ったらしいんだよ」

 

モンパリ

元子「あなた…」

正道「しかしね、まだ未確認情報だから最後まで希望を捨てたら駄目だよ。全員無事であることを祈ろう。な」

元子「はい…。じゃ」受話器を置く。

 

絹子「この寒さですものね…。海へなんか突っ込んでたら私なんかとても…」

洋三「とにかく羽田へ行ってくるよ」

元子「叔父さん」

洋三「大丈夫だ」

絹子「あなた…」

洋三「とにかくね、君ともっちゃんはここにいて何があってもここが連絡所だからね。いいね」店を出ていく。

元子「はい…。気を付けてね」

絹子「お願いしますね。こんなことって我慢できないわ、私」

元子「叔母さん」

絹子「コーヒーでもいれましょうかね。濃いコーヒーをね…」

 

電話が鳴る。

元子「もしもし、モンパリです。東洋テレビですか! はい…はい…あっ、そうだったんですか! じゃ、六根…いえ、立山のぼるさん、まだ札幌に? はい…どうもありがとうございました。はい、どうも」受話器を置く。

絹子「もっちゃん!」

元子「叔母さん!」

絹子「よかった…」

元子「大丈夫だったって。はあ~」

絹子「よかったよかった」

元子「もう大丈夫よ」

 

のぼるが元子のところを訪れたのは、その翌々日のことでした。

 

昼、大原家ダイニング

のぼる「おいしい…。何時間ぶりのコーヒーかしら。といったって、まだ事故から48時間たってないのよね」

元子「ええ」

のぼる「本当にガンコには心配かけちゃって」

元子「本当ですよ」

のぼる「とにかく昨日は朝一番の便に一緒に乗ったでしょ。羽田に着いたら局の車が待ってて、そのまんま押し込まれて、いやおうなしに黒の腕章をつけられてさ、着いた先が増上寺、そのまんま取材したんだけど、まかり間違ってたら、私もこのお棺に入ってたかもしれない。そう思ったら、さすがに複雑だったわよ」

元子「ええ」

のぼる「だけど…誰が死にたいものですか」

元子「ええ」

のぼる「とにかく今は全員の遺体が収容されるのを祈るばかりだわ」

元子「そうよ」

 

のぼる「けど、お互い気を付けましょうね。いずれガンコにも地方取材の仕事が来るだろうけど死んじゃ駄目よ。殺されてたまりますかって」

元子「そうよ。まだまだ死んでたまるもんですか」

のぼる「長生きしましょうね、ガンコ」

元子「憎まれるほどに頑張りたいわね」

のぼる「うん」

 

つづく

 

実際に、元子や正道のモデルになった人は長寿だった。のぼるのモデルになった方はまだ存命だし、ブルースのモデルになった方も昨年、お亡くなりになったばかり。

 

昭和41年は航空事故が多発した年らしい。

ja.wikipedia.org

はっきりと明言されてないけど、今回の事故はこれだと思います。昭和41年2月4日(金) 全日空ボーイング727-100型機が東京国際空港沖(羽田空港沖)の東京湾に墜落。乗客乗員133人全員が死亡。

 

wikiによれば、昭和41年は飛行機事故が5件も起こった。

www2.nhk.or.jp

昭和41年3月4日(金) 香港発東京経由バンクーバー行きのカナダ太平洋航空402便が東京国際空港への着陸直前に墜落。乗務員全員と乗客54名の合わせて64名(うち日本人5名)が死亡し、乗客8名が救出された。

 

www2.nhk.or.jp

昭和41(1966)年3月5日(土) 英国海外航空のボーイング707型機が富士山付近の上空で乱気流に巻き込まれ空中分解し墜落。乗員11名、乗客113名の合計124名全員死亡。

 

ja.wikipedia.org

昭和41年8月26日(金) コンベア880-22M(機体記号JA8030)が、羽田空港から離陸直後に墜落炎上したもので、乗員訓練飛行につき乗客の搭乗はなかったが、同社員4名と運輸省(現・国土交通省)航空局職員1名の5名全員が犠牲になった。

 

ja.wikipedia.org

昭和41年11月13日(日) 全日本空輸が運航する国産旅客機YS-11による墜落死亡事故(航空事故)である。乗員乗客45名の計50名全員が犠牲になった。

 

元子が地方取材も行ける…というタイミングでね。

 

掲示板で見かけた再放送予定の作品が急きょ駄目になって他の作品を探してるのではないかという説、ありかも。4月以降のタイムテーブルだと大河ドラマアンコールは枠自体なくなっているけど、朝の連続テレビ小説アンコールの枠は残ってるらしいからねえ。でも、ここまでないとなくなるのかも?と思えなくもない。

www.nhk.jp

次の次の朝ドラは日本初の女性弁護士の話であらすじ的にはめちゃくちゃひかれるものはあるけど、時代的には戦争を挟んでいて、私も戦争を経験した世代じゃないけど、やっぱり現代感覚で描かれる戦争って抵抗ある。

 

無茶な話だけど、「本日も晴天なり」を描いてた時代の小山内さんの脚本なら見てみたかったかも。朝ドラも戦争じゃなく30年ぐらい前のバブルの時代を描くんでもいいんじゃないの、もうって思うけどなあ。当時の空気感を描ける人っていないよ。描けても、現代感覚で批判する人がいるしね。←これがやっかい。