公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
元子(原日出子)は、地道に今の生活に合わせようと、今まで書いてきた原稿を整理し始める。大介(中村雅紀)は、元子が書き直した童話を雑誌に応募し、もしかしたら文学賞かもと夢見ている姿に、楽天的だとあきれる。そんな大介が雑誌の感想文で優秀賞を取る。幸之助(牧伸二)や友男(犬塚弘)がさっそく宗俊(津川雅彦)の自慢話に付き合うことに。しかし話題が順平のことになると、宗俊の機嫌が悪くなり…。
今週より再放送が始まった「本日も晴天なり」のタイトルバックのオブジェはたちは、香月画伯が絵画制作の合間に作成したと言われています。 pic.twitter.com/6fk89VSgwr
— 香月泰男美術館 (@kazuki_yasuo) September 22, 2022
今頃このツイートに気付くとは! 「本日も晴天なり」100話です。
地道に素直に今の生活に合わせて思うことを書いていこうと決意した元子さん。まず、今まで書いてきたものの整理から始めました。
大原家茶の間
元子「わぁ、随分書いてるわね。私も本当に好きなのねえ…。『大介の赤ちゃん日記』…。やだ、これ、こんなとこに入ってたの。『今日は、いやにむずがると思っていたら、夕方、歯が生えていたのを発見。河内山とお母さんが大喜びだ。正道さんも帰宅してから何度も大介の口を開けて、のぞきこもうとするのだが、昼間、河内山によって、さんざん近所の人(しと)に口を開けて公開させられた後遺症で、大介は口をへの字に結んで、ご機嫌、甚だ悪し。しかしながら、正道さん、この子は人の言いなりにならない気骨を持っていると親ばかぶりを発揮する』。フッ…いけない、いけない。こんなことしてたら、いつまでたっても片づきゃしないわね。え~っと…」
看板に灯りが入るようになったモンパリ。
悦子「もったいないわよ。彼女、昔から文章力があったんだし、どうしてまたそんな、ただ書いていくだけでいいなんて」
恭子「うん…私が少し、しごきすぎたかなあ」
のぼる「けど、そんなことで尻尾巻くようなガンコじゃないわよ。絶対何か考えてるに決まってるって」
悦子「そうよ。あれで昔からとっぴなことを思いつく才能も人一倍あった方ですもの」
恭子「けど、私としては…」
のぼる「だから、私が東洋テレビに紹介するって言ったのに。彼女、いつも張り切ってないと気が済まないところがあるんですもの。いろんな人のところへ飛び込んでって取材する仕事には絶対向いてんのよ」
恭子「そんなことは分かっているわ。ほっといたって物好きなんですもの。私たちじゃ気が付かないような話を拾ってくることだって予想がつくわよ」
のぼる「だったらどうして?」
恭子「ううん、だからこそじっくりと腰を据えてもらいたかったの。私たちと違って松江で2代のおしゅうとめさんに仕えてきたガンコですもの。そういったものを踏まえて、じっくりと練り上げる仕事にいつかピカリと光る独特なものが書けるんじゃないかと思って、私」
悦子「それは私もそう思う。私なんか茜島のうちの嫁だけで精いっぱいですもの。その上でものを書いていこうっていうガンコに感心してるのよ」
のぼる「けど、ガラは相撲茶屋の若奥さんで格式を重んじるお商売なんだから」
悦子「まあね。先代が頑張っていてくださるから、私はまだまだおかみとしては修業中なんだけど…。要するにガンコは家庭に入ったけど、そこで頑張ってる代表になってほしかったのよ」
小山内さんの書くお嫁さんってこういう姿勢だからかわいがられるんだろうなって分かる。
洋三「でもさ、ガンコだって全然書かないって言ってるわけじゃないんですよ。もう少し子供に手がかからなくなって何か書きたいものが出てきた時、猛然と書く。そういうタイプだと私は思ってるけどね」
絹子「そうよ。だってこれだけのお友達に心配してもらってるんですもの。私だってあの子がこのままただの奥さんで終わるとは思ってないわよ」
洋三「それにさ、このところ大原さん忙しいんだよね。疲れて帰ってくるだろうし、その時に髪振り乱して机に向かっててさ、家の中がおろそかになって、それが間違いにでもつながるようになったら、そのことの方が私は心配だね」
悦子「それは言える」
のぼる「まあね。私もあの時、亭主が病気にでもならなかったら、ここまで頑張れたかどうか分からないし…」
恭子「とにかく主婦の働きを正当に評価しない風潮には腹が立つわね」
昼間寝っ転がってテレビを見ている主婦の図を何で見たんだろう? 昔っから専業主婦を揶揄するような風潮あるよね~。「岸辺のアルバム」では則子が掃除をしたり買い物したり、内職やったりしている1日を丁寧に描写してたけどな。私も以前、家族がいる時に掃除するのもなんだかなと思って座ってたら、いつも同じ場所で座ってるねと言われて腹立ったよ。専業主婦じゃないけどね(-_-;)
悦子「それは何といったって男性社会ですもの」
絹子「だからこそ第一線で頑張ってるブルースや六根さんたちに大いにその辺のところを言い立ててもらいたいわね」
洋三「参ったな。何だかこの場に居にくくなっちゃったよ」
恭子「やだ、私、そんな意味で言ったんじゃありません」
のぼる「そうよ、おじ様は別ですよ。おじ様は昔っから別」
洋三「はい、ありがとう」
笑い声
たばこを吸いながらコーヒーをいれる。昭和だ。
ダイニング
原稿をまとめている元子。
大介「はい、お母さん」
元子「あら、もう読んじゃったの」
大介「ざっとで悪いけど」
元子「どうだった?」
大介「面白いとは思ったけど、漢字が多すぎるよ」
元子「漢字が?」
大介「うん。だからせっかく読んできても、そこで止まってしまうから、つい面白さも半分になってしまうでしょ?」
元子「情けないわねえ。読めない漢字があるんだったら字引で引きなさいよ。何のためにあんな大きな辞典買ってあげたと思ってるの」
大介「ごめんなさい。今日は時間がなかったから」
元子「ありがとう。勉強の時間、潰しちゃったね」
大介「まあね、難しい漢字を読むのも国語の勉強になるかもしれないし」
元子「まあ」
大介「何するの?」
元子「うん? これね、とじるのよ」
大介「だったら僕がやるよ」
元子「いいわよ、あんた忙しいんでしょう」
大介「いいから、貸しなよ」
元子「あっ、悪いわね」
大介「反対さ。こういう仕事だったらいつだってやってやるのに」
元子「ハハ…」
大介は原稿の隅にキリ?で穴を開け、ひもで縛る。なかなか器用そう。
元子「これね、いつか読んでもらった童話なのよ」
大介「ふ~ん」
元子「一度、放送局のブルース…向井さんね、あの人に読んでもらったら応募作品ならともかく放送では通用しないってケチョンケチョンにされちゃったの。でね、思い切って応募作品に書き直してみたのよ」
大介「じゃあ、これ応募作品?」
元子「うん。駄目でもともと。捨てるのはもったいないし、送ることにしたの。ねえ、これ、もしかしたらね、文学賞もんかもよ」
大介「楽天的って言葉、お母さんのためにあるんだね」
元子「え!?」
どこが難しい年頃なんだか。素直ないい子じゃないか。
玄関
正道「ただいま」
⚟元子「は~い」
元子「お帰りなさい。お疲れになったでしょう」
正道「うん、よいしょ…」
元子「召し上がってきたんですか?」
正道「ん? うん。ちょっと作業員同士のトラブルあってな」
元子「まあ」
台所で水を飲む正道。「あ~、うまかった」
ダイニング
元子「けがでもあったんですか」
正道「ん? いや、そこまではいかなかったんだけどもね、明日の仕事に関わることだから間に入って一杯やりながら話聞いてたんだけども、別に原因はどうってことないんだよ」
元子「ええ」
正道「地方から出てきてる人にとってはね、ささいなことでも聞いてくれる相手がいないといろいろ内にこもってしまうタイプの人もいるしね。ここんとこ残業続きで、少しイライラしてたこともあったんだろうな」
元子「いろいろなところからいろんな人が集まってきてるんでしょうね」
正道「うん」
元子「うちなら構いませんから遠くから働きに来ている人を連れてらしてくださいな」
正道「うん。やっぱり年かなあ。うちで飲むのが一番いいよ」
元子「やだわ、年だなんて。私なんか大介にお母さんは楽天家だなんて言われて逆にショック受けちゃったんだから」
正道「えっ、大介が君に?」
元子「そうなのよ」
正道「ハハハ…それで?」
元子「それでって?」
正道「どう答えたのかなと思って」
元子「それが不意打ちだったから、ただ目をぱちくりとさせてただけ」
正道「ハハ…そりゃよかった、ハハ…」
元子「だけど、大介もそんな年になったなんて…。これはウカウカできないなって」
正道「うん、全くだな」
リビングのテーブルでノートに文章を書いている元子。
元子「昨日、大介に楽天家だと言われてしまった。ちなみに楽天的ということを辞書で引いてみると『天命を楽しみ自然に従うこと』とあるが、不思議とモンテーニュの一節を思い出す。『その移り変わりゆく自己の全人間性を素直に受け入れ、自然との調和をはかっていく』。つまり、今、私がなすべきことは、それぞれ社会的な意味で働き、あるいは学びに出ていく、夫や子供たちの核となるべく主婦としての役割を果たしながら、かつ自分の向上を目指す。難しく言えば、そういうことで一日一日を決しておろそかにしてはいけないことなのだ」
正大あんちゃんの手紙でもモンテーニュの同じ言葉が書かれてた。
戸が開く音
⚟郵便配達「大原さ~ん、小包です。はんこをお願いしま~す」
元子「は~い。はんこ、はんこ…」
玄関
元子「あっ、どうもすいません」
郵便配達「こんにちは」
元子「ご苦労さまです」
郵便配達「えっと、じゃあ、ここにお願いします」
元子「はい。はい」
郵便配達「はい、どうも。じゃ」
元子「あっ、どうも、ご苦労さまでした」
郵便配達「どうも」
郵便配達夫…佐久間公彦さん。大河や「おしん」66話など。「ザ・商社」「けものみち」にも出てたらしい。今日の郵便配達夫はベージュのバケットハットみたいなのをかぶってたのが珍しい。↓形状はこんな感じ。
それは意外なものでした。
ダイニング
大介が箱を包みを開け、木の箱を開ける。
道子「わぁ、顕微鏡だ」
元子「どうしたの? これ」
大介「賞品だよ」
元子「賞品!?」
大介「春休みに書いた感想文が入選したんだ。道子にあげるよ」
道子「本当!?」
元子「大介…」
大介「だって別に顕微鏡が欲しくて応募したわけじゃないんだもの」
元子「だったら一体…」
大介「まぐれだよ、まぐれ。佳作が目覚まし時計だったから、もしかしたらと思って出したら優秀賞に入選したんだ」
元子「そう。目覚まし時計が欲しかったの」
大介「僕がじゃないよ、お母さんにさ」
元子「私に?」
大介「だってほら、これを出す頃、よくお母さん、遅くまで書き物していて目覚まし巻くの忘れたことがあったじゃないの」
道子「そうよ。あの時、私もお兄ちゃんもお父さんも、もう少しで遅刻しそうになったのが2度もあったもの」
元子「そうだったかしら…」
道子「そうよ、忘れん坊」
元子「それは申し訳ありませんでした。だけど、もう大丈夫。お母さんね、無理しないことにしたから、もう二度と決してお寝坊はいたしません」
道子「ねえ、見せて、お兄ちゃん」
大介「ああ、いいよ」
焦らずにいこう。やはり、私の決心は間違っていなかったと元子は思いました。
ここは、芸者をやめた銀太郎の店ですが…。
「銀太郎」という小料理屋。「たこ芳」みたいなカウンターのあるお店。
銀太郎「ほら! ほらね、出てるでしょう。ここにちゃんと、ほら、『応募作品 優秀賞 大原大介君』。ねっ」
宗俊「まあ、いいからお前、そう騒ぐなって」
幸之助「ハハハ…けどよ、大(てえ)したもんだよな。よく『親に似ぬ鬼っ子』っつうけどよ、さしずめここんちはよ、じじいに似ねえ孫っ子か」
笑い声
親に似てないから、人じゃない鬼の子っていう考え方が面白い。幸之助も友男も自然に老けてるね~。友男の白髪は自分の白髪っぽい感じもするけどね。
宗俊「この野郎、何とでも言いやがれ。なあ、大介はおめえ、俺の孫にゃ違(ちげ)えねえんだからよ」
友男「まあな。もっちゃんの子供だから頭のいいことは分かってるけどよ、いやぁ大したもんだ。いなごの小便(しょんべん)だよ」
田へしたもんだ→大したもんだ=イナゴの小便…ということらしいが。寅さんの口上でもあったんだね。しゃれことばというのかな。
幸之助「『恐れ入谷の鬼子母神』ってな」
しゃれことばが続きます。
銀太郎「血は争えないって本当ですねえ。やっぱりこれは血ですよ」
友男「ああ」
宗俊「おい、おだ、あげてねえでもう一本つけろ」
銀太郎「はいはい、ただいま、ただいま」
幸之助「いや、けどよ、吾郎も言ってたけどな、やつも順平ちゃんの書いたものを時々、読ましてもらってるらしいがな、なかなか大したもんだってよ」
友男「ああいうもんの修業は並大抵のもんじゃねえとは聞いてたけどよ、順平ちゃんの名前がド~ンと映画館に出るまでは、俺ぁ、なんとか頑張ってな、達者でいてえもんだと」
宗俊「おい、あといらねえよ」
銀太郎「旦那ぁ」
友男「宗ちゃんよ」
宗俊「あのろくでなし野郎が」
幸之助「そら、ねえだろう。吾郎もここんところよ、さんざんジャズだか何だか知らねえけど騒々しいものに血道上げてたけどよ」
友男「そうだよ。てめえのことを考えてみろよ。若(わけ)え頃、さんざん、先代の頭ぁ悩ませた遊び人で通ってたくせによ」
宗俊「けど、俺はお前、紺屋を継ぐの嫌だっつった覚えはねえぞ。吾郎ちゃんだって、そうだろ、え。騒がしいやつかもしれねえがよ、家業の鳴り物、離れたわけじゃあるめえ」
幸之助「けどさ」
宗俊「いいから。俺はな、なにも紺屋を継がねえからってむくれてるわけじゃねえんだ。そんなことはとっくに諦めてらあ」
幸之助「だったら好きなことさせてやりゃいいじゃねえか」
宗俊「けどよ、ふらっと出てったまんま、10日も帰(けえ)らねえってのはどういうわけだ。俺ぁそんなやつに育てた覚えはねえやな。それで苦労してる、お前、トシ江の顔を見るのが嫌だから、俺ぁこうやって、むさ苦しい顔を相手に、お前、外で酒飲んでるんだい」
友男「そりゃねえだろ。俺たちのどこがむさ苦しいんだよ」
銀太郎「そうですとも。河内山を筆頭に昔鳴らした三羽がらす。さっ、キュッといきましょ」
幸之助「昔ってのだけ余計だ」
銀太郎「何言ってんですか。渋さが加わって、よっ! いぶし銀の男前!」
笑い声
宗俊「これじゃお前、善吉が勝てねえわけだ」
銀太郎「ご冗談でしょ。あれはあれで石焼き芋みたいなよさがたっぷり」
友男「石焼き芋だってよ」
宗俊「食やぁ、へが出るな」
銀太郎「あっ、まあ…」
幸之助「ふんけいの友か」
笑い声
何やかんや楽しそうだね。吾郎の近況もちょっとだけ分かったし。
ダイニングでノートに何かを書いている元子。
元子にせよ順平にせよ、いぶし銀の魅力を発揮するまでには、まだまだ多くの壁に突き当たることでしょう。それを一つずつ乗り越えていくことが今、一番大事なことではないでしょうか。
やかんで沸かしたお湯をポットに注ぐ元子。こういう日常のさりげない描写がいいよね~。
つづく
元子周りはPTAの奥さん以外は専業主婦がいない世界だね。
100話も過ぎ、大体118話辺りに次回再放送作品が発表されてました。
「あぐり」の時は、いつもとタイミングが違ったけど、夕方再放送の「純ちゃんの応援歌」との同時発表をするためだったのかな?
な~んて、この時も「芋たこなんきん」「ひまわり」同時発表でした。
春スタートの朝ドラは8月初旬、秋スタートの朝ドラは2月中旬くらいには次回作が分かるという感じかな。
「おしん」は1年やったので118話じゃないけど、2月14日。
そういえば、前回の「おしん」の再放送は朝ドラ100作目記念でしたが、今年2023年は放送開始から40周年です。2003年、2013年も再放送してきたらしいので、どこかでやるかな?
地上波で早朝とかやればいいのにね。前から何度も言うけど、早朝推しなんです。毎週月曜日の朝4:45~現行朝ドラの先週分の総集編をやってますが、この時間に朝ドラの再放送やって、NHKプラスで配信があれば、好きな時間に見られるのに。
「本日も晴天なり」は、もちろん楽しく見ていますが、予習するのは好きなので次回作も気になります。今回は117話が2月11日(土)だからその辺りかな~? 続けて昭和の作品が見たいですが、次はグッと新しめのが来そうな気がして複雑。
いろいろあらすじを読んでいて、最近気になるのは「おしん」の次の次の作品で男主人公である、この朝ドラ。笑いの昭和史で語りはミヤコ蝶々さん。
一番の希望はこれだけど、テレビ局に残されたテープじゃなく全話一般家庭のビデオテープなので画質的に難しいかな。
あとはこの辺。ヒロインというより、脇のキャストや脚本家が気になるのです。