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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(42)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

桂木家に泊まった正道(鹿賀丈史)だが、夜行の汽車で出発と言うのに、夕方になっても起きてこない。起こしに行くと、正道は高熱を出し全身汗だくになって苦しんでいた。宗俊(津川雅彦)が無理やり医者を引っ張ってくると、長い間の疲れがたまっていて、それがどっと出てきたのだろうという。元子(原日出子)は正道の枕元で、つきっきりで看病する。夢の中で、正道は元子に告白するが、そのうわごとは枕もとの元子にも聞こえ…。

一旦、桂木家にわらじを脱いだ大原大尉も今夜の夜行で郷里・松江に帰ることになりました。

 

台所

お握りを握るトシ江と元子。

トシ江「松江まで乗り継ぎ乗り継ぎでどのぐらいかかるのかしらねえ」

元子「20時間じゃ難しいんじゃないかしら」

トシ江「そうするとやっぱり5食分はいるわね。1食4個として…」

元子「とりあえず全部握っちゃいましょうよ」

トシ江「そうだねえ。傷むといけないから、ちょいと塩はきつめにしとこうかね」

元子「はい」

 

トシ江「今、何時かしら」

元子「もうそろそろ起こす時間じゃないかしら」

トシ江「そう。東京駅でも並ばなきゃいけないんだろうし、そろそろ支度しないと…。順平! 順平!」

順平「何ぃ?」

トシ江「2階に行ってね、そろそろ時間ですよって大原さんお起こしして」

順平「は~い」

 

元子「いいわよ、順平。お姉ちゃんが行ってくるから」

順平「いいよ、俺が行くから」

元子「お姉ちゃんが行くったら行くの」階段を上りかけるが「順平、お前、行っといで」

順平「だから初めっから俺が行くと言っただろ」

元子「でもね、馬乗りになったり、ひっぱたいたりしちゃ駄目よ。大原さん、今夜の汽車の中で眠れないかも分かんないんだから」

順平「分かってるよ。大原さ~ん! 大原さ~ん!」

 

2階

巳代子「もううるさいわね。大原さん、失礼します。大原さん?」

 

順平「起きなってよ、大原さん!」

 

巳代子は自分の机に戻り、隣の部屋から順平の声が聞こえる。「ねえってば、ねえ。起きろってばよ。チェッ、すげえ、ねぼすけでやんの。こら、こら。ねえ、どうしちゃったんだよぉ。ねえ、どうかしたの? 大原さんってば。何とか言えよ、ねえ!」

 

巳代子「失礼します」

 

台所

お握り作りをしている元子とトシ江。

 

巳代子「お母さ~ん! お姉ちゃ~ん! 大原さんが!」

 

元子たちは慌てて階段を駆け上がる。

 

2階

汗だくでぐったりの正道。

元子「大原さん!」

トシ江「ねえ巳代子、水枕。元子、体温計、早く!」

巳代子・元子「はい!」

宗俊「おう、どうした?」

トシ江「ひどい熱なんですよ。お医者さん早く呼んできてください」

宗俊「よし、分かった」

 

トシ江「順平、そこの手拭い取ってちょうだい」

順平「うん。大原さん、死んじゃうの?」

トシ江「バカお言い! そんなとこへ突っ立ってないで早く冷たい井戸水くむの手伝っといで」

順平「うん」

トシ江「大原さん、大原さん、頑張ってくださいよ。もしものことがあったら私、承知しませんよ。松江には皆さん、首長くして待ってらっしゃるんでしょ。ねっ、大原さん、ねえ、頑張ってくださいよ、大原さん! 大原さん!」

 

元子が戻ってきて体温計を振る。懐かしい動き。しかし、脇に差すのを躊躇。

↑今でもあるんだ!

 

トシ江「何してんのよ!」

元子「はい…」正道の脇に体温計を差す。

 

一体、大原大尉はどうしたというのでしょう。

 

ともあれ宗俊、首に縄をつけるようにして医者を引っ張ってきましたが…。

 

茶の間

キン「檻ん中の熊じゃあるまいし座ってたらどうなんです? 座ってたら」

宗俊「うるせえ。俺はな、こういう時にのほほんとしてられるほど薄情には出来ちゃいねえんだい」

キン「まっ、私たちのどこが薄情だってんです? 人(しと)がこうして心配してるのに」

宗俊「絡むな、バカ」

巳代子「ううん、お父さんのせいよ。絶対にお父さんのせいだから」

 

宗俊「何だと?」

巳代子「ゆうべ大原さんに飲ませたお酒、あれはきっとメチルアルコールだったんだ」

宗俊「メチルアルコール!?」

巳代子「そうよ。メチルが出回っているから安酒には気を付けろと新聞にも出てたじゃないの」

キン「そうですよ。たとえ治ったとしてもね、目が潰れんですよ。まあ、どうしてくれんですよ、旦那」

宗俊「ど…どうするったって、おめえ…。ええ? ふざけんな、この大バカ野郎!」

キン「でっかい声出せば済むって問題じゃございませんよ!」

宗俊「てやんでぇ! ゆんべの酒がメチルだったら、この俺はどうなんだ、この俺は」

キン「この俺って旦那のことですか?」

宗俊「あたぼうよ。この俺も一緒に飲んだんだ、え。この俺が目も潰れてなきゃ、こうしてピンシャンしてるってのは、どういうわけなんだ、え! メチルだなんて脅かしやがって、ぼけなす! うすらとんかち! へちゃむくれ!」

 

罵倒3連発(笑)。

 

トシ江「何ですよ、2階に病人が寝てるっていうのに」

宗俊「こりゃどうも先生」

医者「ああ…」

すぐに深く頭を下げる巳代子とキン。←こういう感じ、今の時代出せないなあ。

 

宗俊「え~、そんで、どんなあんばいでございましょうか?」

医者「まあ、疲れでしょうなあ」

宗俊「疲れ? たったのそれだけ?」

医者「まあそれも長い長い間の疲れがたまっていて、それが急にどっと出たんでしょう」

キン「あの、それで?」

医者「まあ、ぐっすり休ませることですな。熱がちょっと心配だけれども、今夜一晩せっせと冷やすことです。熱さえ下がれば若いんだし無理さえしなければ回復は案外早いんじゃないかな」

宗俊「こりゃどうもありがとうございました。な~に、今、おだぶつにだけはさせたくないもんで…(トシ江から叩かれる)何だよ。本当にどうもありがとうございました」

医者「いやいや」

 

医者 鈴木昭生さん

wikiによれば60~80年代の大河ドラマ数十作と「マー姉ちゃん」の千代の父だって。チラッとしか映ってなかったような。

peachredrum.hateblo.jp

飢餓海峡」の唐木刑事。ふ~ん。

息子さん二人はムーンライダーズのメンバー。↑これは映画版のエンディングだそうです。映画版は見た…かな? やたら暗かったような記憶がうっすらある。

 

その晩、つきっきりで看病したのはもちろん元子です。

 

トシ江「どんなあんばいだい?」

元子「うん、さっき一度、目ぇ覚まして喉渇いたって言ったから、お水あげたら、また眠ってしまったけど、だいぶ楽になったみたい」

トシ江「そう…。氷があれば助かるんだけど今どき氷屋なんかどこにもないしねえ」

元子「ねえ、モンパリにないかしら?」

トシ江「モンパリ?」

元子「うん、最近は外人のお客さんがよく来るし、あそこにはおっきな冷蔵庫があるから」

トシ江「分かった。電話してみる」

元子「そしたら、お母さん、もう休んで。巳代子が交代に起きてくれるって言ってるし」

トシ江「あいよ。そいじゃね」部屋から出ていく。

 

2階で元子たちの隣の正大の部屋ということかな? ふすま一枚隔てた隣の部屋。

 

元子「大原さん…。頑張ってくれなくちゃ嫌よ、大原さん。おばあさんのおひなさま見せてくれるって言った約束、破ったりしたら、私、許さないから…」

 

寝ている正道のアップから夢?の世界へ。着物の正道と正大。

正道「おい、あんなこと言ってるけども約束破ったら怒るかな」

正大「当たり前ですよ。元子のやつ、どうやら先輩にほれてるようだし」

正道「まさか」

 

元子「えっ…何? 今、何て言ったの?」

正道「それは僕の方だもの」

元子「え?」

おでこに乗せた手拭いを濡らす。

 

朝、流しで氷を割っている宗俊。

 

やっぱり若さでしょうか。夜中にモンパリから氷も届き、朝を迎えた頃には…。

 

2階

元子「大丈夫ですか?」

正道「ん…。ちょっと頭がフラフラするくらいで」体を起こす。

元子「あっ、それじゃ駄目よ。やっぱり寝ていなくちゃ」

正道「いや、寝てばかりいると何だか力が抜けてくようで」

元子「そんなの嫌! 力が抜けていくだなんて縁起でもないこと言わないでください」

正道「ああ…どうも申し訳ありません。うっ…」元子にもたれかかる。

元子「大原さん! ちょっ…」

 

トシ江「どんなあんばいかしら?」

元子「今ね、起きてみたいって言ったんだけど無理みたい」

トシ江「そうよ、熱があんなに高かったんだもの。当たり前でしょ。さあ、横になった横になった」

正道「はい…どうも」

トシ江「もう少し下」

正道「すいません…」

トシ江「いえ、気兼ねはいらないんですよ。ご気分はいかがですか?」

正道「ええ、何だかいろんな夢見てたような気がします」

 

元子「それでうわごとを言ってたのね」

正道「え?」

元子「『それは僕の方だ』とか何とか言ってたみたい」

正道「あっ…それはそうなんですけど」

トシ江「何がです?」

正道「い…いえ。それじゃあ、あの、元子さんが一晩中?」

トシ江「ええ。交代するつもりではいたんですけどね、元子が誰も起こさなかったもんですから、とうとう朝まで一人(しとり)で」

正道「そうでしたか…」

トシ江「どうですか、おかゆさんが出来てますけど一口(しとくち)召し上がってみますか?」

正道「は…はい」

元子「そんじゃ、私が…」階段を駆け下りる。

 

台所

キン「よかったよかった。ぐっすり寝て食べれば大抵の病気は治っちまうって昔っから相場は決まってたんですよ」おかゆを作っている。

 

細々動いているキンのそばで柱にもたれかかりポーっとなっている元子。

 

別に抱き合ったわけじゃありませんが、あの時の若い男の汗の匂いと胸の重みが一安心した元子の頭の中をポ~ッと占領していたんですねえ。

 

それから1週間がたちました。

 

吉宗前の路地

正道「どうもいろいろお世話になりました」

巳代子「気を付けてね」

トシ江「ご両親様にどうぞよろしく」

正道「はい」

キン「もうこれっきりなんでしょうねえ」

正道「善吉さんが帰ってきますよ。だからおキンさん、いつまでも元気でいてくださいね」

キン「へえ…ありがとう存じます」

正道「それじゃあ、元子さん」

元子「いつか…おひなさまを見せていただきに行きたいと思っています」

見つめ合う2人。

 

宗俊「そんじゃあ出かけようか、大原さん」

正道「はい。それでは」敬礼!

元子たちは頭を下げて見送る。

 

2階

正大の写真を見つめる元子。心の声「ねえ、あんちゃん、大原さんはあの時、どんな夢を見てたのかなあ…」

巳代子「ねえ、見てよ。ねえったら、ほら」

元子「えっ?」

巳代子「教科書よ、ほら。訂正箇所がこんなにあるし、この部分は削除だなんて…もう何が何だかさっぱり分かんないし、これじゃ勉強する気なんか起きやしない」

元子「うん」

巳代子「私たちのこと、どうせ3月になれば卒業していってしまうとでも思ってるんでしょうけど、いいかげんな先生がいるんだから」

元子「うん…」

 

巳代子「今まで朝礼の号令だけに生きがいを感じていたみたいな先生が急にデモクラシーなんて言いだしちゃって信用できると思う?」

元子「うん」

巳代子「教科書このまま使えないということは今まで教えていたことは間違いだったということなんでしょう。よくも間違ってたことを教えて月謝取ってたもんだわ」

元子「うん」

巳代子「ということは今まで間違ってたことを習ってた人たちは先生でも学歴が消えちゃうのかしら?」

元子「松江といったら山陰線よね」

巳代子「うん。地理の教科書も同じなのよね。日本の地図もインチキだったのかなあ。実は日本の国土はまん丸だったなんて言われたら、私、ショックだわ」

元子「本当に途中でまた熱でも出たらどうするのかしら」

巳代子「え?」

元子「もう二度と会うことはないわよね、絶対に」

 

巳代子「大原さんのこと?」

元子「当たり前でしょ」

巳代子「まあね、焼け野原の東京に元軍人が用なんかあるわけないし」

元子「そんなこと分かってるわよ」

巳代子「何怒ってるのよ」

元子「あっ、流れ星」

 

下手なうそ。

 

元子の心の声「早く帰ってきて、あんちゃん。あんちゃんがいないから、私、つい大原さんのことあんちゃんみたいに思えてしまって…」

 

これもうそです。

 

元子の心の声「でも大原さん元気になってくれて本当によかった。だけど、何だか私、気が抜けちゃって…」

 

これは本当です。

 

今と違って松江は遠い遠い所でした。だからこそ大原との別れは元子の乙女心を一層切ないものにしていたのでしょう。

 

つづく

 

来週も

 このつづきを

  どうぞ……

 

ツッコミ入れるタイプのナレーションが好き。そして、元子と正道のカップル感も何とも言えず好き。

 

原日出子さんと鹿賀丈史さんはその後、共演することはあったのかと検索しました。

ja.wikipedia.org

宮之原警部の愛と追跡

宮之原警部の愛と追跡

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2001年に「警察庁特別広域捜査官 宮之原警部の愛と追跡」というTBSの2時間ドラマで夫婦役で共演してました。シリーズものらしいけど、鹿賀さん版は、この1作のみ。しかも、この作品って誘拐された奥さんが殺される話なのか(-_-;) BS-TBSで10月に放送してたらしい。チェック不足でした。

 

怒涛の1週間だったな~。戦時中に放送員になり、辞めるっていうのはナビ番組を見て分かっていたけど、放送員→次の回には古着屋になってるとは思わなかった。今ならもうちょっと時間かけて女は辞めろという空気だったというのを存分に出すだろうな。