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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(112)「ここに花咲く」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

佐和子(瀬戸カトリーヌ)が、通訳兼町の案内役としてエディ・スペンサー(チャド・マレーン)と一緒に出かける。一方、徳永家に、着物デザイナーの吉永東子(高田聖子)が訪れ、町子(藤山直美)や健次郎(國村隼)らと食べ物や着物や東子の会社の話で盛り上がる。由利子(邑野みあ)はひそかに東子へ関心を寄せていた。一方、工藤酒店に突然、佐和子とエディが「かくまってほしい」と駆け込んでくる。そしてエディは…。

台所

町子「♪あなたに抱かれて 私は蝶になる

あなたの胸 あやしい くもの糸」

歌いながらおにぎりを握っている。

白い蝶のサンバ

白い蝶のサンバ

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診察室

鯛子「先生、患者さん以上です」

健次郎「あ、そう。お疲れさん」

鯛子「お疲れさまでした。今日お客さんお見えになるんですよね?」

健次郎「うん。あ、そや、もしよかったら、一緒にどうや?」

 

鯛子「例の着物のデザイナーの方ですよね?」

健次郎「うん」

鯛子「反物見せてもらえんねやろか…。お仕事の話で来はるんですか?」

健次郎「う~ん…ピクルスの漬け方がどうとかこうとか言うとったで」

鯛子「ピクルス?」

 

台所

町子「ピクルスに勝つにはぬか漬けしかないね。うちのエースで勝負や。よいしょ」

かめからきゅうりのぬか漬けを取り出す。

 

廊下

晴子「あっ、早いね。今日、土曜日か」

由利子「叔母ちゃん、これから病院?」

晴子「うん」

 

由利子「あっ、そこ、もっと絞ってた方が似合うのに」

晴子「え?」

由利子「それにもっと明るい色の方が似合うと思うわ」

晴子「あんまり派手な色は病院では着られへんの。それに白衣の下は動きやすい格好が一番」

由利子「かたいなあ」

 

由利子の部屋に入ってくる晴子。「ほっといて。なっ、それより問題集見てみた?」

由利子「あ…まだ。なあ、叔母ちゃん。叔母ちゃんはいつからお医者さんになろて決めたん?」

晴子「う~ん、いつかなあ…。お兄ちゃんが医者になって、お父ちゃん…おじいちゃんが…。うん?」

 

由利子「おじいちゃんにそう言われたから決めたん?」

晴子「いや、違うな…。高校生の時にはもう決めてたな。医大行くて」

由利子「早かったんやね」

晴子「ていうか、それしか思い浮かべへんかった。あんたかてそやろ? 医者になって、ここ継ぐのが自然やん」

由利子「う~ん…」

晴子「それに幸い成績もええんやし」

 

由利子「なあ、お医者さんになるて才能がいるんやろ? いっぱい勉強して試験受かったからって、誰でもお医者さんになれるわけと違うんやろ?」

晴子「うん、まあね」

由利子「才能があるかないかて、どないしたら分かんの?」

晴子「う~ん…続けてたら分かるん違うかな」

由利子「続けてたら?」

晴子「そろそろ行くわ」

 

う~ん、分かる気がする。しかし、続けられるのも才能というか。

 

工藤酒店

俊平「ゆうべは遅くまで、たこ芳で楽しんどったんやな」

佐和子「うん…。ちょっと知らん世界があるんやなて思た」

俊平「有名なデザイナーや作家のつきあう世界は俺らとは違う。華やかで当然や」

佐和子「何であんなに楽しめんねやろ?」振り向いた佐和子はおでこにサングラスをのっけて、ピンクのスーツ、真珠?のイヤリングといつもよりおしゃれ。

 

俊平「あっ、ミスター・エディーここに来はんねんな?」

佐和子「うん…」

 

貞男「おっ! あっ、案内役か。ご苦労はんなこっちゃ」

俊平「ええ女やろ?」

貞男「なあ、ちゃうな」

俊平「なっ」

 

タエ「何で佐和子さんだけが案内役やの?」

貞男「すねとんね。あ~、来た来た」

俊平「え?」

 

タエ「エディー!」

佐和子「エディー!」

英語で会話するエディーと佐和子。

 

佐和子「ほな、行ってきます!」

俊平「あ~、気を付けて! バイバイ!」

貞男「楽しんできいや!」

手を振るタエ。しかし、隣にいた貞男をたたく。

貞男「痛い、痛い、痛い!」

 

茶の間

ピクルスとぬか漬け、おにぎりが並んだテーブル。町子が赤ピーマンのピクルスを口に入れる。

町子「うん! おいしい!」

みすず「そやろ?」

町子「うん!」

東子「参ったか!」

 

鯛子「今日は反物は?」

町子「どうぞ。どうぞ食べてください、よかったら。どうぞどうぞ」

東子「いただきます! じゃあ、これ頂こうかな。あっ、このぬか漬けおいしい!」

町子「おいしい?」

東子「おいしい!」

 

鯛子「反物…」

町子「どんどん食べてください。どうぞどうぞ。どうぞ。どうぞ」

東子「うん!」

 

健次郎「いらっしゃい」

東子「あっ、カモカの…」

健次郎「どうも初めまして。徳永です」

東子「あ、初めまして。吉永です」

みすず「お邪魔してま~す」

健次郎「はい」

 

町子「健次郎さん。まあ、ちょっとこれ食べてちょうだい」

健次郎「お~、これか。うわさのピクルスは。うん! これはうまい! 甘さと酸味のあんばいがよういいね、これは。ねえ。幸せ感じるね。何のお酒に合うやろね? これは」

みすず「簡単な幸せですねえ」

 

町子「けど東子さん、何で証券会社を辞めて着物を作ろうと思いはったんですか?」

東子「自分一人で最初から最後まで責任持って何かやりたいなって」

町子「ふ~ん」

 

東子「着物ってね、一枚の絵画だと思うんですよ。もちろん西洋の洋服は美しいけど日本の着物は色も柄も時には文字も一枚の絵画を身にまとう楽しさっていうのがあると思うんです。世界でも一番ぜいたくな衣装だと思うな」

健次郎「なるほどねえ。けど、大変でしょ?」

東子「まあ、実際ね、大変でした。特に京都に来た時」

町子「ああ。京都てね独特の京都の文化ていうのがありますでしょ」

 

東子「そうなんですよ。取引先の問屋さんなんてね、気に入ってても絶対に褒めない。でも逆に『よろしですな、よろしですな』って言ってる時は気に入ってなかったりするんですよ」

一同笑い

東子「で『これのここんところがこれ、いまひとつやなあ』とか言いながら、実はこの『ここんところ』が気に入ってたりする。もう何だか面倒くさくてね」

健次郎「ハハハ!」

東子「でもね、今じゃそんな駆け引きもゲームみたいで面白いんですけど、でも最初のうちはね、職人さんなんかは、よそ者の私なんて相手にもしてくれなかった。でも、諦めないで何度も何度も足を運んで説明をして『まっ、そこまで言うんやったら』って、やっと引き受けてくれたりね」

 

町子「けど、東子さんたくましい! 自分でデザインしてね、着物を作って売って、で、会社どんどんどんどん大きいしてはるわけでしょ」

東子「うん、まあ…会社はね、大きいも小さいも関係ないと思う。いつもどっかで何か問題が起きてて…。まあ、今もね、まっ、いろいろあるの」

一同笑い

 

鯛子「経営までしてしんどくないんですか?」

東子「まあ、それはそれで面白いってこともあるし。まっ、結局はね、自分の好きな仕事をして、こうやっておいしいもの食べて、いい友達とつきあって、もう毎日がね、ほんとに面白い!」

みすず「最近ではね、バレエも始めてんで」

町子「バレエ!?」

東子「やってみたかったの」

健次郎「シンプルやね」

 

東子「プロのバレエダンサーが言ってるんだけど『1週間レッスンを休むと体はだらしなくなる』。これね、頭も同じだと思うんですよ。考えることとか求めることをやめたらバカになる」

町子「それはそのとおりやね」

東子「肉体はね、バカになってるってことが明確に形で示されるじゃないですか。だから私は自分の精神が緩んでないかどうかを目に見える肉体に置き換えて確認をしたい」立ち上がり、バレエを踊り始める。「だからこうやって踊ってるのかもしれないなって」

 

くるっと回転した東子は階段に座って話を聞いていた由利子と目が合う。由利子は小さく頭を下げ、東子は笑顔で答える。「あ…何か、ねっ」

 

町子「どうぞどうぞ」

東子「あっ、はい。いただきま~す。おいしそう!」

 

家の前に止められたバイクを見に行く由利子。めちゃくちゃスカート短いなー。

東子「乗ってみたい?」

由利子「あ…」

東子「いいよ、バイクは」

由利子「これ、吉永さんが乗ってはるんですか?」

 

東子「うん。オートバイってエンジンがむき出しになってるでしょ。覆ってある部分も必要最小限。走るためだけに生まれてきた機械。シンプルで美しいと思わない? 車とは違って座ってるだけじゃなくて体全体で操らなきゃいけないってところも好きだな」

由利子「あの…吉永さんて着物のデザインしてはるんですよね?」

東子「うん。東子でいいよ」

由利子、うなずく。

 

東子「ねえ、いくつ?」

由利子「17です」

東子「17歳かあ。いいなあ。これから何でもできるね」

由利子「何でもできませんよ。吉永さん…東子さんみたいに才能、何もあれへんし」

東子「才能?」

由利子「着物のデザインして社長さんもしてはる」

東子「面白いと思うことしてるだけだよ」

 

由利子「あっ! それ先月号の雑誌に載ってたやつですよね?」東子が首に巻いていたスカーフをさす。

東子「あっ、あ~、これ? あ~、このメーカーはね、デザインもいいし、素材もいいから好きなの」スカーフを外してみせる。

由利子「この色の組み合わせ、すてきですね」

東子「ああそうだね。ちょっと面白いね、これ。あげる」

 

由利子「え? いいんですか?」

東子「うん」

由利子「ありがとうございます!」

 

工藤酒店

タエ「ふん!」

 

佐和子「お願い! ちょっとかくもうて! エディー、カモン! アラウンド ゼア! アラウンド ゼア!」

タエ「何やの?」

佐和子「シ~ッ!」

 

女性たち「キャ~! エディー!」

走っていた女性たちが店に入ってくる。

「あっ、すいません」

タエ「はい」

「エディー・スペンサー君、通りませんでした?」

タエ「あ…いいえ」

 

「こっちに来たんやけど!」

タエ「さあねえ…」

貞男「向こうの方、ちゃうか?」

「ありがとう! エディー!」

 

佐和子「行った?」

タエ「うん。大変やねえ、人気者も」

エディー「ほんま、そうですねん」

タエ「ねえ。えっ!?」

佐和子「いや…今何て?」

 

エディー「すんませんなあ、ご迷惑かけてしもて」

貞男「に…日本語…。いやいや、大阪…大阪弁しゃべってる?」

タエ「しゃべれんの?」

エディー「エージェントにないしょにしとけ言われてて、みんなの前ではしゃべられへんふりしてますけども、お父ちゃんが大阪弁しゃべるもんやから」

 

佐和子「そ…そしたら、私の通訳はいらんかったん…」

タエ、ちょっと笑っている。

エディー「すんません。実は僕、どうしても行きたい所がありまして。もうちょっとつきおうてもうてよろしですか?」

 

俊平「それにしても大阪弁しゃべるてなあ!」

貞男「びっくりしたわ。何やおいしいもん食べたいとか言うてたけどな。こんな商店街の何が珍しねやろな」

俊平「懐かしいねんがな。子供の頃に来た大阪に何十年かぶりで来た言うてたやろ?」

貞男「大阪になあ。まっ、どっちゃでもええけど」

 

俊平「あれ?」

貞男「うん?」

俊平「何や、お前」

貞男「何や?」

 

俊平「嫁はんが『エディー、エディー』言うさかい、エディーにやきもちやいてんのか?」

貞男「アホ、お前! 誰がや! あっ、お前こそ、お前、通訳やなんて言われて、うれしそうについていかしてええんか?」

俊平「ええで!」

 

台所

健次郎「おっ、うまそやな」

町子「フフフ。ねえ、健次郎さん」

健次郎「うん?」

 

町子「由利子ちゃんから何か聞いてる?」

健次郎「『何』て、何を?」

町子「いや、あの、進路のこと」

健次郎「いや、別に。あっ、そない言うたら、晴子が医学部の入試問題集やら何やらせっせと渡しとったわ」

 

町子「お医者さんになんの?」

健次郎「いや、晴子はそう思い込んどんのや。えらい気合い入ってたで」

町子「へえ~。お医者さんなりたいのかな?」

健次郎「うん? どやろ。まっ、どっちにしても親が先回りして、ヤイヤイ言うことでもないやろ?」

町子「うん。私もそう思う。自分の人生なんやから自分でじっくり考えた方がええと思う。うん」

 

由利子の部屋

東子にもらったスカーフを高く掲げる。

 

自分の人生をどう生きるか。いまだ答えの出せない由利子でした。

 

椅子に座っていて、バランスを崩して後ろに倒れた由利子。「あっ、あっ! イタッ…」

 

ミニ予告

健次郎「あいつが『なりたい』て相談してきたら考えてもええな」

 

東京生まれの東子さん、時々ため口になるのがちょっとわざとらしく感じてしまう。大阪の方言は自然だけど、なぜかこのドラマ、他の地方の方言や言葉遣いがイマイチなんだよな~。昭一を捜しに来た青森の女性とか。

 

1998年「天うらら」と1999年「すずらん」に挟まれた「やんちゃくれ」。前者2作品は完走したけど、「やんちゃくれ」は途中で見なくなったな。鯛子さんがヒロイン、東子さんがヒロインの姉でした。完走してたら今日の対面シーンはもっと感動があったかも。

 

しかし、「芋たこなんきん」見て、元ヒロインもいるから「やんちゃくれ」や「私の青空」が見たい!なんて声も見かけるけど、う~ん…。どっちも挫折したやつ。藤山直美さんが出ていた「おんなは度胸」なら見てみたいけど。

 

この作品で欧彦さんという名前が妙に印象的だと思ってたけど、ヒロインの夫とかじゃなく幼馴染だったか。そして、演じたのは、ウルトライダー(本物)の海部 剛史さんだったとは! 鯛子さんと河原崎が会うシーンはなかったな。

peachredrum.hateblo.jp

欧州の”欧”を名前で付けるって!と思ったんだけど、その後の「やまとなでしこ」でも欧介さんが出てくるんだけどね。

 

東子たちのキラキラっぷりがまぶしすぎて、今週はドラマを見ながら、たこ芳に同席していた佐和子さんみたいな表情になってるだろうな…。