徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(98)「いつか光が...」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)が暮らす隣の町のスナックに、コンビ別れをしたばかりの漫才師・南野福子(天童よしみ)と、そのマネージャー兼社長の小柳(鈴木ヤスシ)が現れる。福子は「芸人をやめて、子どもと一緒に地道に普通の仕事をしていきたい」と小柳に話す。一方、仕事部屋で原稿を書き続ける町子は、青白い顔でかなり疲れている様子。寒気がして熱っぽく、目をつぶると亡き父・徳一(城島茂)と祖父・常太郎(岸部一徳)が現れて…。

昭和45年10月

 

仕事部屋

原稿を書きながらため息をつく町子。

 

新聞の連載を始めて、もうすぐ半年。毎日の締め切りに追われ、さすがに疲労もたまっているようです。

 

コーヒーを飲んで「あ~」という町子。だいぶお疲れ気味。

 

応接間

松岡「新聞の連載、間もなくゴールですね」

純子「もう長かったです。半年、毎日ですもの」

松岡「週刊誌のカモカシリーズも抱えながらですからすごいですよ。いや~、先生、体力おありですよ」

純子「いえ。これが終わったら少しお休みいただかないと、さすがに…」

松岡「いやいや、うちとのお約束が…」

純子「あっ! 再来月号の中編」

松岡「もう、忘れないでくださいよ」

純子「あら~。じゃあ、これが終わったらすぐかからないと。え~、大変だあ…。ねえ」

 

診察室

健次郎「ここんとこ安定しとるねえ」

一真「そうか。ヘヘヘヘヘヘ…」

健次郎「何か運動でもしてるの?」

一真「これや、これや~」手に何かを持ったふりをして顎の下で回すしぐさ。

 

健次郎「え?」

一真「いやいや、歌、歌てんねや。気分すっきりするわ。声出すってのは体にええねやな。お経の声もな『一段とようなった』って、もう門徒さんから評判やで」

健次郎「へえ」

一真「『タタンタ タンタン 小倉生まれで限界育ち』」

健次郎「『口も悪いが』」

健次郎・一真「『気も荒い』」

無法松の一生

無法松の一生

  • 村田英雄
  • 演歌
  • ¥204
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一真「ハハハッ! ええな、ええな! 鯛ちゃんも一緒にどや?」

鯛子「私は演歌は歌いません」

一真「あ~、さよか」

鯛子「はいはい、もう終わったら、次の人お呼びしますんで」

一真「はいはい、はいはい」

健次郎「歌なあ」

 

その数日後のことでした。

 

たこ芳

俊平「♪『冷たい心じゃ ないんだよ

今でも好きだ 死ぬほどに』」

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星影のワルツ

星影のワルツ

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貞男「ええなあ、千昌夫は」

俊平「次、あの、町子さん歌て」

 

桜木健一さん、歌うまい。

ドラマの主題歌など、歌も出してる方なのね。納得。

 

町子「私、いいです。健次郎さんが歌いますから」

健次郎「好きな歌を歌たらええねや」

町子「好きな歌? え~、そし…あっ、今、好きな歌。歌わしてもらいま~す」

拍手

町子「♪『忘れられないの あの人が好きよ』」

恋の季節

恋の季節

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なぜ、ジャンルがアニメ?

 

貞男「うまいな」

俊平「おう」

町子「♪『青いシャツ着てさ』」

ギターの音色が聴こえる。

りん「え? え…おたくは?」

流しの男「あ…いや、僕、実は流しですねん。今日はもう仕事終わって飲んでましたけど、おねえさんうまいから、つい…。あっ、続けてください」

町子「あ…あ…はい」

 

ギターの音色にあわせて

町子「♪『恋は 私の恋は』」

貞男「いや、うまい!」

町子「♪『空を染めて』」

俊平「ほんとやな」

りん「上手やわ~」

町子「♪『燃えたよ

死ぬまで私を ひとりにしないと

あの人が言った 恋の季節よ』」

 

そして、そのころ、隣町の、とあるスナックに一人の女が現れました。

 

スナック波止場前

小柳「ちょっと待ちいな!」

女性、振り向く。天童よしみさん!

小柳「やっぱりあかんか?」

福子「せっかくですけど、私、もう疲れたんです」

 

店に入る福子。

マスター「あっ、いらっしゃいませ」

女「いらっしゃいませ」

 

小柳「…んなこと言わんと。また新しい相手探すさかい」

 

福子「あっ、すいません。ビール1本お願いします」

 

女「マスター。ビール入りました」

マスター「はい、ありがとうございます」

 

小柳「福子ちゃん…」

福子「この2年で3回ですよ、コンビ別れ」

小柳「知らいでかいな。ワシ、マネージャーやで」

福子「けんかして解散が1回。『1人でやりたい』言うた2回。『実家の仕事継ぐ』言うて芸人やめたんがこないだ。正確に言うたら、私、3人みんなに逃げられたんですよ」

小柳「いやいやいや、そやないで…」

福子「おまけに亭主にまで逃げられてしもて。ああ…私、もう、ええんです。ここらで芸人やめて普通の仕事しますわ。地道にやっていきます。子供とずっと一緒にいられるしね」

 

女「お待たせしました」

福子「あっ、おおきに」

 

小柳「あんたがやめたら、ミス福子のファンはどないなんねんな!?」

福子「社長、あんまり大きい声で言いなや。もう恥ずかしいわ」

小柳「相方が変わっても、ミス福子の漫才が見たいというお客さんは多いんやで」

福子「ファンが多かったら、今頃テレビでレギュラーの一本でも持ってますやろ」

 

小柳「地方行ったら皆、喜んでくれはるがな」

福子「社長には今まで面倒みてくれはって申し訳ないと思てます。ほんまにすいません」

小柳「福子ちゃん…。好きな漫才、ほんまにやめんのんか? それでええんか?」

福子「もう私…疲れたんです」ビールを飲む。

 

女1「あの人、あれや」

女2「え? 誰?」

マスター「あ~、小説書いてはる、ほれ、あれ、あれ…天満北の…」

女2「あ~、あの…」

マスター「どっかで見た人や思た」

 

路地

町子「あ~、楽しかったなあ」

健次郎「ほんまやな」

町子「あのね、健次郎さん、歌、歌うとね腹筋使うでしょ? だからいい運動になんの。歌、歌うと健康につながってくると思うねんけど、私」

健次郎「またそうやって理屈つけるやろ」

町子「うん?」

健次郎「楽しかったでええやないか」

町子「そら、そやけどね」

家に入っていく。

 

玄関前で素振りする隆。

健次郎「お~、素振りか。頑張っとるな」

隆「もうすぐ大阪府の大会に出るレギュラー決まんね」

町子「へえ~、レギュラーて何塁守る人?」

健次郎「アホ」

町子「うん?」

 

隆「試合にずっと出られる人のこと」

町子「ああ、それをレギュラーていうの。ふ~ん」

隆「僕、補欠やったから」

 

健次郎「こいつのチームはな、サード…三塁を守る人な、三塁手、これが3人もいてるらしい」

町子「3人もいてんの!? 激戦やん! 隆君、頑張りや。おばちゃん応援するから」

隆「任しといて!」

町子「フフフ! 頼もしなったねえ。さあ、私も負けんように頑張って書こう!」

 

健次郎「これから?」

町子「新聞の最終回、もうちょっとやの。気分転換できたし、頑張ってきま~す」

健次郎「あ…」

 

その深夜…

 

茶の間

電話をしている晴子。「けどやっぱり、あれは私の責任です。私が術後経過を細かく見てれば…。初めてやったんです…自分の受け持ちの患者さん亡くしたん。はい、大丈夫です。ありがとうございます」受話器を置く。

 

町子「あら、晴子さん帰ってはったんですか?」

晴子「うん…」

 

町子が台所でコーヒーを作っていると、晴子のすすり泣く声が聞こえる。

 

町子「飲みはりますか? コーヒーです。はい」

晴子「ありがとう。まだ仕事?」

町子「うん」

晴子「お兄ちゃん、寝たん?」

町子「はい」

 

町子「何かあったんですか? お仕事?」

晴子「ううん。何もあれへんよ。それより町子さん、顔色悪いけど」

町子「私? そうですか。私は大丈夫ですけどね」涙を拭く晴子を見ている。

 

仕事部屋

時計は午前1時15分。

原稿の手を止める町子。「はあ…。寒いわ~」綿入り半纏を羽織る。予定でびっしりのスケジュール表。「風邪なんかひいてられへん…。はあ…」

 

そのころ、隣町のスナックでは…

 

♪ハワイ航路

憧れのハワイ航路

憧れのハワイ航路

  • 春日八郎
  • 謡曲
  • ¥255
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堀之内「歌えましたわ!」

坂本「ほんまや、ほんまや」

堀之内「あ…あの…」

坂本「失礼ですけども小説家の花岡町子先生ですよね?」

福子「え?」

堀之内「やっぱりそうや! うわ~、雑誌で見たんと同じやがなあ!」

 

福子「私、そんな…」

坂本「あの~、もしよろしかったら、あの、こっちで一緒に飲んでくれはりません?」

福子「いや、あの、私…」

堀之内「いや、先生、飲みましょ! いや、感激や。こんな有名人に会えるやなんて! どうぞどうぞ!」

坂本「どうぞどうぞ!」

堀之内は、ぼんちおさむさん。

 

そんなことになっているとは知らない町子です。

 

台所

救急箱があるから、薬を飲んだのかな。

町子「あ~。はあ…。ああ…」

 

茶の間のテーブルに突っ伏す町子。「はあ…。ああ…」

 

「町子、無理しなや」

男性の声がかかり、照明が変わる。

 

町子「健次郎さん?」

 

徳一「町子、無理してんのと違うか? 顔色悪いで」

 

町子「お父ちゃん、どないしたん?」

 

徳一「そないようさん仕事して体壊したらどないすんねんな。お前はちっちゃい時から、いっこも変わってへんなあ。こうと決めたら、それしか見えへん。全力でピュ~ッて走ってしまう。おじいちゃんも心配してんねんで。なあ」

徳一の隣にあるカメラの覆いから出てきた常太郎。

 

町子「ああ…おじいちゃん…」

 

常太郎「頑固なんはワシ譲りか? しょうもないとこ似てしもてからに」

徳一「ちゃんと体休めなあかんで」

 

うなずく町子。

 

常太郎「親の言うことは聞くもんや」

 

笑顔でうなずく町子。しかし、徳一、常太郎の姿が逆さに見えてきて、町子倒れる。

 

徳一「町子!」

常太郎「町子!」

 

倒れた町子を抱き起こしたのは徳一。「しっかりしい! 誰かいてへんのか? 誰か! 町子! 町子!」

町子「お父ちゃん…」

 

健次郎「町子!」

照明が元に戻り、町子が目を覚ました。

町子「え…? お父ちゃんは? おじいちゃんは?」

健次郎「何を寝ぼけてんの。えらい熱や」

町子「健次郎さん…」再び気絶。

 

ミニ予告

健次郎、徳一、常太郎が並ぶ。

常太郎「何や、この子に怒られそうで…」

泣き笑いの町子。

 

月曜日から町子倒れる。これからいろいろありそう。