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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(91)「禁じられても...」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

泊まりがけで広島のフォーク集会に行くと言い張って聞かない由利子(邑野みあ)が、バッグに荷を詰めて出かける準備をする。町子(藤山直美)は、落ち着かない健次郎(國村隼)にたこ芳に行くよう勧め、町子は自分の部屋で執筆の仕事にこもり、2人で由利子を見張るのをやめる。由利子の出かける時間、はたして由利子は…。また、野村寛司(平田満)がベトナムに出発することになり、町子や健次郎にあいさつに訪ねてくる。

教会

フォークコンサートインヒロシマのチラシを見ている若者たち。

男「はい。これ、夜行列車の切符、なくさんといてや」

男「ほな、今日の夜11時に梅田駅集合な」

女「あっ、みんな古新聞持ってきてな。会場の場所取りするから」

一同「はい」

切符を見ている制服姿の由利子。

 

千春「由利子!」

由利子「もう行くの?」

ススム「うん。向こうの人と打ち合わせがあるから僕ら2人、一足先に行ってるわ」

千春「私な、コンサートで歌えるかも分からへん」

由利子「ほ…ほんまに」

ススム「ほな、向こうで」

千春「待ってんね」

ススムと千春を見ている由利子。

 

茶の間

うどんを食べている健次郎たち。

純子「明日頂きまして戻しが…。あっ、それで結構です。はい、よろしくお願いいたします」

由利子「ただいま」

町子「あっ、お帰りなさい。お昼は?」

由利子「いいわ」

 

晴子「今晩でしょ?」

健次郎「うん?」

晴子「『うん?』やないでしょ。由利子が広島行くいうの」

健次郎「『あかん』て言うてある」

気まずそうな町子と純子。

晴子「どないするつもりやろ」

 

夕方、待合室

町子「由利子ちゃん! 何してんの?」

由利子「新聞…古新聞ある?」

町子「あ~、ここにあったの片づけたばっかりやわ。いるんやったら後で持ってってあげる」

由利子「ありがとう」

 

由利子の部屋

荷造りしている由利子。

 

町子「由利子ちゃん、入りますよ」

 

由利子「待って」かばんをベッドの脇に隠す。「どうぞ」

町子「はい、新聞紙。ねえ、これだけでいい?」

由利子「ありがとう」

町子「うん」

 

部屋を出がけにローチェストの上に置かれたフォークコンサートインヒロシマのチラシと広島行きの切符を見てしまう町子。「ねえ、このごろ全然ギター弾いてないでしょ。もう練習してないの?」

由利子「才能ないみたいで」

町子「えらい諦めんの早いんやね」

由利子「菅原さんにも言われた」

町子「え~、あの牧師さん?」

 

由利子「なあ、おばちゃん」

町子「うん?」

由利子「おばちゃんはいつから小説家になろうと思たん?」

町子「おばちゃん? おばちゃんね、ほんまにちっちゃい時やね。もう亜紀ちゃんぐらいの時には、みんなに宣言してたからね」

由利子「私には音楽の才能も詩書く才能も何の才能もあらへんみたい…」

町子「あんたまだね、17年しか生きてないのよ。由利子ちゃんにはいっぱいの才能が詰まってるのよ。それこそ自分でも気ぃ付いてない、あなた、自分の才能がいっぱいいっぱいにこうやって詰まってんのよ。ねっ。おばちゃん、ごはんの支度してくるわ」

 

そして、その夜

 

晴子「ただいま」

町子「あっ、お帰りなさい」

健次郎「お帰り」

晴子「由利子は?」

健次郎「飯も食わんと部屋にこもったままや」

晴子「行くつもりやろか」

 

町子「はあ~。健次郎さん。久しぶりに行ってきたら? たこ芳」

晴子「え?」

健次郎「そやな」

町子「土曜の夜やもん」

晴子「ちょっとこんな時に何言うてんの?」

 

健次郎「行ってこよ」

晴子「お兄ちゃん? ちょっと! 由利子が出ていったらどないすんの!?」

町子「2人で見張ってるっちゅうのも何かおかしな話やもんねえ。そや。私も原稿書いてこよ。あとお願いします。よっ」

理解できない…みたいな晴子。

 

たこ芳

りん「広島で集会? デモ? ♪『フランシーヌの場合は』やな」

健次郎「そうや」

フランシーヌの場合

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りん「やっぱり心配?」

健次郎「え? いや…」

りん「あっ、広島で思い出した! ちょうど今、おいしい生ガキあんねんけど食べはりますか?」

健次郎「あ~、そらええね」

りん「うん」

 

♪西のくにから

こんにちは こんにちは

世界の国からこんにちは

世界の国からこんにちは

一真、貞男、俊平が歌いながら来店。

一真「珍しな! 1人かいな?」

 

由利子の部屋

荷造りを終え、時計を見ると午後10時9分。

 

仕事部屋

原稿を書いている町子も気になる。

 

たこ芳

大皿に盛られた生ガキ

一真「まだ高校生やがな! そんな危ない! 絶対危ないわあ!」

俊平「しかし、難儀な時代でんな! うちは子供いてへんかったからよかったけども」

貞男「健さん、あんたこんなとこで飲んでてよろしいんかいな? 見張ってんと、ちゃんと!」

健次郎「言うことは言うてあるから。最後は本人に、その…任せなな。縄でつないどくわけにもいかんやろ?」

りん「親やんのもえらいこっちゃ!」

 

健次郎「うまい、これ!」

一真「え~、そうか! どれどれどれどれ」

 

仕事部屋

町子の耳に階段を下りる足音が聞こえる。由利子が仕事部屋を見ると、原稿を書く町子の背中が見える。

 

廊下

帰ってきた健次郎が茶の間の明かりをつける。

町子「お帰りなさい」

健次郎「ああ」

 

縁側に座っていた町子。「いてやるよ」

健次郎「行かへんかったんか?」

町子「うん」

健次郎「そうか…。風呂入るわ」

笑顔で返す町子。

 

由利子の部屋

「禁じられた恋」のレコードを明かりのついてない部屋で聞いている由利子。

禁じられた恋

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由利子、千春、ススムが並んだ写真を見ながら、目に涙。

 

由利子「♪禁じられても 逢いたいの」

 

その翌日、寛司がベトナムにたつと挨拶に来ました。

 

茶の間

町子「早めに言うてくれたら用意してたのに。ちょっと待っててね」

寛司「あ~、あのマコちゃん。話が…」←何気にカンジがマコちゃんなんていうの初めて? キャッ。

町子「え?」

 

仕事部屋

町子「ものすごいちっちゃいねんよ」

寛司「へえ~、ここで書いてんのか?」

町子「はい」

 

寛司「嫁はんとのことなんやけど…その…もうちょっと続けてみよいうことになった」

町子「ほんまに?」

寛司「話し合うたんや。こないだ2人を見ててな『ああ、俺、嫁はんとこんなにようさんしゃべってへんなあ』て思て。それで時間かけてしゃべってみたんや」

町子「それであの時『お礼を言うのはこっちの方や』て…」

寛司「そう」

 

町子「けど、よかったね」

寛司「あっ、由利子ちゃんは、どない?」

町子「うん…。フォークの集会へは相変わらず行く言うてるから、この先どうなるかも分からへんわ…」

寛司「大丈夫やて。むちゃするような子やあれへんわ」

町子「うん」

 

寛司「あっ、これ…。お父さんや!」机の脇に飾れた家族写真を見つける。「あ~、優しそに笑てはる。考えたら写真撮んの教えてもろたけど、お父さんの写真一枚も持ってへんね、俺。ほんまのとこ、俺、最近、分からへんようになってたんや。『何でこんな怖い思いして戦地の写真撮ってんねやろ』て。今、お父さん、俺の撮った写真見たら何て言いはるやろな…。もうお父さんの年、追い越してしもたけどな、2人とも」

町子「お父ちゃん、きっとね『ええ写真やなあ』て言うと思うわ。それでね…『寛司君。死んだらあかんぞ』て。『ちゃんと帰ってこいよ。待ってる人がいてるんやから』て…」

 

そして、寛司はベトナムにたちました。その数日後…

 

由利子の部屋

由利子「学校やめんの?」

千春「これから日本中あちこちの集会にも行ってみよう思てる。もっともっと曲作ってな。自分の歌、聴いてもらおて思うねん」

 

夕方、縁側に座っている由利子。

町子「千春ちゃん来てたの?」

由利子「学校やめるんやて」

町子「え?」

由利子「音楽で頑張っていくねんて」

町子「そう…。千春ちゃんはきっとほかの子よりちょっと早う大人にならなあかんかったんやろね。誰にでもね、そんな時期は必ず来るの。そやから焦らんでええのんよ」

 

そして…

 

玄関前

町子「早う早う早う! パビリオン回れるだけ回るんやから! 最初は月の石やったね」

亜紀「うん!」

健次郎「あれ? 由利子は?」

町子「朝になって『やっぱり行かへんわ』て」

 

由利子の部屋からロックが流れる。外にいた町子、健次郎、亜紀、隆も由利子の部屋の辺りを見上げる。家にいた清志、登も顔をのぞかせる。由利子は黒い革ジャンにほうきを持ってノリノリ。「ワオ! やっぱこれからはロックやな! ワオ!」

 

徳永家の長女・由利子はまだまだ青春真っただ中です。

 

あきれ顔の町子、健次郎、隆、亜紀。

 

来週は「しもたっ!」

・健次郎「千手観音さんや」

 

・「弟子にしてもらえませんやろか?」

町子「は?」

 

・「小説家になりたいんです、僕。そのために会社も辞めました」

 

・信夫「お母ちゃんさ、最近、仕事辞めてんで」

 

・和代「何かの犯人みたいやろ」

 

・町子「うちとお母さん巻き込まんといてよ」

 

・町子「観音さんのバチやろか…」

 

・町子「小説というのはね、そんなに甘いもんやないんですよ!」

 

ミニ予告

町子「折れてんのやなしにこれはめ込み式、はめ込み式、これ…」

 

由利子の迷走も一段落? 1970年はもう学生運動自体も下火だったらしいけどね。ベトナム戦争どうのというよりススムが好きだったんだよね。カンジは平田満さんでよかった。