徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】おらおらでひとりいぐも

2020年 日本

 

あらすじ

若竹千佐子の芥川賞受賞作を「南極料理人」「モリのいる場所」の沖田修一監督が、主演に田中裕子を迎えて映画化したヒューマン・ドラマ。突然夫に先立たれた75歳の主人公が、孤独な日々に戸惑いながらも、やがて現実を受け止め、自由を謳歌しながら寂しさとともにたくましく生きていく姿をユーモラスに綴る。

2022.4.24 日本映画専門チャンネル録画。原作が賞を取ったときに岩手出身の原作者ということで読みたいなあ、映画観たいなあと思いつつ、日々が過ぎていた。軽部さんの解説付き。

 

冒頭で恐竜! 朝ドラ「エール」のしょっぱな原始人ダンスで挫折した者としては嫌な予感。

 

暗い和室に白髪頭の女性が一人。真っ暗な天井を何かが移動する音がする。老女の目線の先には若い夫婦と小さな子供たちの戯れる姿。それらは全て白髪頭の女性・桃子(田中裕子さん)の見た幻。頭がおかしくなってきたんだべかと考える桃子の前に3人の男が現れる。

 

「おらだばおめだ」=俺たちはお前だという3人。クドカン青木崇高さん、濱田岳さん。やっぱりクドカンの方言はナチュラル。これもまた桃子にだけ見える幻!? 役名は、寂しさ1、2、3。

 

布団で寝ていた桃子の枕元には「どうせ起きても仕方ないから寝てろって」という男。六角精児さん演じる桃子の心の声「どうせ」。よくこの作品を映像化しようと思ったな。六角さんもなかなか方言うまい。東北弁というか岩手の南部弁。

 

病院に行った桃子。普段は標準語をしゃべり、医師(山中崇さん)に最近、頭の中で方言がぐるぐるしていると相談するが、国立の病院に行った方がいいとアドバイスされる。

 

家に帰った桃子は、寂しさたちとおにぎりを握りながら、ああでもこうでもないと話をする。

 

車のセールスマン(岡山天音さん)にN-BOXを勧められる桃子。車が必要な田舎には見えない。桃子は東北出身だけど、今住んでるのは関東。原作者の方も岩手出身、千葉在住だったかな。

 

図書館で数冊の本を返す。図書館の司書(鷲尾真知子さん)に大正琴を勧められる。冒頭、恐竜だったけど、桃子が元々好きなのね。

 

家に帰り、台所に立って、若い頃を思い出す桃子。若い桃子は蒼井優さんで夫・周造は東出昌大さん。昔はキャーキャー行って、周造に退治してもらっていたゴ×××も今では、何のためらいもなく退治できる。

 

また現れる寂しさ1(濱田岳さん)、2(青木崇高さん)、3(宮藤官九郎さん)。桃子が暗記したジュラ紀白亜紀などと唱えると苦しがって消えた。次に桃子の前に現れたのは、ばっちゃ(大方緋紗子さん)。目の見えないばっちゃを子供の頃、邪険に扱っていたことを泣いて謝る桃子。大方緋紗子さんは福島出身ということもあり、「はね駒」や「あまちゃん」で東北の言葉をしゃべることも多いので流石の安定感。

 

1964年、上京した桃子。桃子は東京オリンピックの開会式の日に小吉という組合長の長男と婚約したが、逃げた。上京してそば屋に入った桃子は、その店でそのまま働くことにした。

 

車に乗って大きな病院に行く桃子。車のナンバーは所沢だった。乗ってる車はN-BOXじゃないよなあ。

 

回想。そば屋、居酒屋と働いてきた桃子は住み込みで食堂で働き始めた。履歴書には岩手県遠野市出身と書かれてました。先輩のトキ(三浦透子さん)は山形出身と店長から聞き、意気投合。部屋で歌を歌い、飲み明かす。

 

神社の境内でバレーボールをしながら話している桃子とトキ。病院の待合室にいる桃子の周りには寂しさたち。心の中で会話する。今まで「おら」と言ってた人間が「私」というのは、ある種、踏み絵のようだったと言うのは分かるな〜。

 

回想。桃子の働く食堂で大声で方言丸出しでしゃべる男・周造が来店。店によく来るようになった。周造に大盛りにしたり、水を取り替えたり…故郷の八角山について話しかけてみた。話は盛り上がり、付き合い始める。

 

自宅で食事をしていた桃子の背後にビッグバンドが登場、前には客席が広がり、歌い出す桃子。田中裕子さん、歌うまいな〜。周造の愛を演歌調に歌い上げる。本音を言ってみろと観客にヤジられる桃子。新しい女になりたいと上京したものの、古い因習に囚われた、大事なのは自由、自立だと言ってステージを降りた。暗いいつもの家に戻る。

 

夏。新車が届いた。これがN-BOXか。セールスマンが家の中にいるときにオレオレ詐欺からの電話がかかってきた。

 

図書館に行くと、今度は司書に太極拳に誘われた。

 

道路にはみ出した庭木を警官に切ってもらう。警官は息子の正司(しょうじ)の友達。おしんの息子が正司。

 

新車を買ったと聞きつけた桃子の娘の直美(田畑智子さん)が孫のさやかを連れて遊びにきた。桃子の車は正確にはレンタル。しかし、桃子がお金を持っていると思った直美は、子供を絵画教室に通わせたいからお金を貸して欲しいと言いにきた。

 

さやかには、おばあちゃん自由でいいねと言われる。直美が帰ると昼間からビールを飲み出す桃子。フリフリのスカートをはかせたくてよなべしてまで作ったのに、直美には無理やりはかされたと泣かれたことを思い出す。しかし、さやかはフリフリのスカートをはいていた。直美は自分に似てしまったと泣いてしまう桃子。

 

桃子はお弁当を作って出かけると、とよという少年に誘われて公園へ。ここから蒼井優さんに変わる。とよはさっきの警官の幼い頃で秘密基地に連れてきたことを正司に責められていた。山の中を歩く現在の桃子。自分の人生、何もなかったと落ち込む桃子の前に現れた周造。桃子は周造が死んで数年が一番人生で輝いていたときだと周造に語る。

 

いつの間にか一人になった桃子の前には幼い頃の桃子が現れ、子供の頃、こたつで火傷したことを思い出す。今でも残る傷跡。

 

山で一人お弁当を食べていた桃子の前に若い桃子と周造がキャッキャッしている姿が見える。周造の計らいで先に一人にしてくれたと若い桃子と話す現在の桃子。ここで出てくる「おらおらでひとりいぐも」。

 

野の花を摘んで山から降りた桃子はお墓へ。寂しさたちが背中を押す。ばっちゃや幼い子供たちも後に続く。

 

冬。家の前の雪かき。家に入ってこたつでテレビを見る。

 

いつもの病院の待合室でノートを広げる。ノートに書いたマンモスのイラストがアニメになる。なんかこうイメージ映像みたいなのが多いな〜。医師は原始人になってるし〜。

 

図書館で司書からの卓球に誘われて、いつも断っていた桃子が初めて誘いに乗る。

 

桃子は家へ帰り、寂しさたちと豆まきをする。

 

春。窓を開け放って廊下で寝ている桃子。起きて、寂しさたちと踊っていると、一人で踊っているところをさやかに見られた。さやかは一人でバスに乗って来て、壊れた人形を持って来た。直しながら、おばあちゃん誰かと話してるの?と聞かれた桃子は、この部屋にはたくさん人がいると話す。

 

お母さんは怒ると東北弁になると言われてハッとする桃子。人形に新しい服を作ると笑顔でさやかに話しかけた。(終)

 

録画時間が3時間近くあると思ったけど、映画自体は2時間20分くらい。エンディング曲は映画観てる人にはよく分かる内容。突然、コンビニとかで流れたら、なんじゃこの歌と思うだろうな。解説が少しあって、あとは長々CMだった。演歌調の歌は田中裕子さんの鼻歌を少し整えたものであるとか、桃子がサラリーマンに言われた「遠くの子供より近くのホンダ」は監督の母が実際に言われた言葉など。

 

何というか評価が難しいな。岩手出身なので方言が聞けるのは楽しいし、上京者の気持ちもわかる。田中裕子さんも素敵。でも寂しくなるような映画でもある。

 


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