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ドラマの感想など

【ネタバレ】土曜ドラマ 「松本清張シリーズ 天城越え」

1978.10.7 NHK

 

あらすじ

 大正時代、天城峠でおきた殺人事件。ベテラン刑事と若い刑事の二人が捜査をするが、事件は迷宮入り。

時は現代、事件当時若かった刑事の回想シーンでドラマは始まる。

家出をした少年が天城峠で出会ったのはやさしい娼婦と自分の過去を閉ざした土工。3人で旅をするうちに、やがて少年の一途で純粋な心が…。

ドラマは、現代と当時を振り返りながら真相を明らかにしていく。

このオープニングいつ見てもシャレてるなあと思う。ビルの電光掲示板に「土曜ドラマ」というネオンサインが流れる。

 

天城トンネル

大正15年 夏

 

トンネルを抜けた車の運転手が車を降り、木に引っ掛かっている雨傘を見つけた。「本立野(ほんたちの)…土谷…良作」と雨傘には書かれ、崖の下には衣服が脱ぎ捨てられていた。運転手は再放送の「マー姉ちゃん」にも出ていた「金八先生」第2シリーズの荒谷二中の音羽先生! 稲垣昭三さん。

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大正15年6月29日 午前10時 上狩野村、湯ヶ島巡査駐在所より報告が入った。天城峠の一の橋の辺りに着衣や荷物が捨てられている。

 

昭和53年 夏

原稿を書いている田島老人。

 

田島老人は事件を担当した刑事か。似たような人を選ぶねえ。現場検証。刑事がバンバン素手で着物を触る。衣服の中には法被がいっぱい。服は無理やり脱がされた。財布には98銭入っていた。

 

雨傘は28日に土谷良作宅から盗まれたものと判明。

 

法被の持ち主の男と同行していた女、12~13歳の少年も一緒だった。少年は、家出した鍛冶屋の三男坊。鶴見辰吾さん、かっわいいなあ~! 「金八先生」の前だもんね~。でも、金八先生の前年なら14歳…だけど、幼く見える。

 

列車に乗っている女(大谷直子さん、キレイ!)にしつこく声をかける土建屋大塚周夫さん。「マー姉ちゃん」の印刷屋さん。

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7月10日 土工風の男(佐藤慶さん)の死体発見

背中に切り傷があり、自殺とは考えられない。

 

田島たちは氷室から裸足の足跡を見つけた。男と同行していた女のものだと考えたが…。田島は再び調査を始める。今も嘱託らしい。当時同行していた鍛冶屋の三男坊が手広く印刷屋を経営していると知った田島は「刑事捜査 参考資料」をその印刷屋に依頼することを考えた。

 

田島はその資料に天城山の事件のこと書くつもりでいた。その印刷屋の社長が宇野重吉さん。田島刑事と同じくらい年寄りに見えるが…。駆け出しの刑事なら少年と10歳くらいしか変わらないかな? それにしたって…。

 

ためた16銭を持った少年が山道を歩き、川を眺めていると菓子屋に声をかけられた。菓子屋は荒井注さん。トンネルを抜けたところで菓子屋から3つ5銭でパンを買う。菓子屋とはそこで別れた。

 

今度は呉服屋に声をかけられ、一緒に歩く。茶屋に一緒に入るが、細かい金がないと呉服屋が言い、一人5銭の餅を少年がおごることになった。その店近くで、土工の男とすれ違うが、呉服屋の男はああいうのは危険な男だと注意する。その後、呉服屋とも別れた。

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呉服屋は丸菱炭鉱の支店長か~。「マー姉ちゃん」キャストが多いね。

 

お金は1銭しかなくなり(呉服屋ひどいな)、道端で座り込んでいると、きれいな着物を着た女がやってきた。女に話しかけられた少年は下田まで帰ると言い、女と一緒に歩くことになった。足を痛がる少年に裸足で歩くことを提案する女。女性も裸足だった。

 

少年は鍛冶屋が嫌で、静岡で印刷工をしている一番上の兄のところへ行こうとしていたがやめたと話す。

 

雨が降ってきて、小屋へ入ると、さっきすれ違った土工の男が寝ていた。女はあれこれ話しかけるが、男は雨傘をさして出ていった。

 

雨がやみ、再び歩き出すと、男に追いついた。女は少年に男に用があるから先に行ってと頼む。少年は一人先を急いだ。

 

昭和53年 夏

三島

佐藤印刷に田島が来た。田島は、天城の土工殺しは失敗だった。一番に凶器を捜せばよかったと佐藤に語った。

 

事件当日の早朝、長岡の娼婦宿から大塚ハナという女性が多額の借金を残したまま出奔。足抜け。その後、伊豆大島で大塚ハナが捕まった。証拠は氷室の足跡。ハナは湯ケ野の古池(こいけ)旅館に泊まったという。いざという時のために1円持っていて、宿賃60銭払った。

 

宿帳には塚本キクと書かれていて、大塚ハナの特徴と一致した。50銭銀貨2枚で払ったという。

 

村の青年団が野宿していた土工を起こした。青年団は出ていってもらいたくて食事をおごるが、何を聞いても「知らない」の一点張り。50銭やるから村から出ていけと諭す。ハナが払った50銭銀貨の1枚は土工が持っていたものじゃないかと刑事は追い詰める。

 

ハナは話し合いのあと1円をもらったのだというが、話し合いのあと、商売をしたと白状した。小屋に誘い込んだハナは、男が背中にひどい傷を持っていることを指摘した。「俺…殺されたんだ」という男。実の父親に崖の上から落とされたが、巡査に見つかった。誰に落とされたと聞かれても「知らねえ!」。生きていくために何を聞かれても知らねえと答えるようになった。

 

下田警察署の留置所に入れられたハナ。刑事たちはハナに土工殺しを白状させるため、厳しい取り調べをした。寝かされない苦しさからうその供述を始めたハナ。

 

回想

ハナは赤ん坊がいて、すごい熱があるのにお金がなく稼ぐしかなかった。結局、赤ん坊は亡くなった。

 

検事局に送られたハナは一転、証言を翻し、証拠不十分で無罪となった。冬、外で遊んでいた少年たちを見ていたハナは、ふと雪の上の少年の足跡と自分の足跡を合わせてみた。

 

昭和53年

田島は氷室の足跡はハナのものではないと今は思うと佐藤に語る。田島は梯子の上に板を敷いてその上に寝ればぬれたおがくずに触れることはないから一晩過ごすこともできるということを知った。ハナの足は9文。12~13歳の男の子ならこのくらいだろう。

 

少年は次の日の午後、家に帰った。28日は氷室に泊まったのではないかと田島は考えていた。「そう思いませんか?」と尋ねる田島に、佐藤は「そうですねえ」。田島は、とっくに時効でどうすることもできないと話す。

 

鍛冶屋のあった所は観光バスの車庫に。あの時の少年は、もう地元には住んでいない。帰り際、田島は少年が土工を殺した動機が分からないと言い残して帰っていった。

 

佐藤は当時を思い出す。トンネルを抜けて、先に行った少年だったが、ハナが心配になり、小屋に戻ると2人の行為を見てしまった。男はハナに50銭を渡すが、ハナがもう50銭を要求。

 

トンネルに入っていった男を追いかけた少年は、荷物を下ろしてしゃがみこんだ男の背中にあいくちで刺し、その後、何度も切りつけた。少年の鋭い視線を見つめられ、やっと立ち上がり歩き出す土工だったが、「やっと終わった」と崖から転落。

 

少年は男の服をはぎ取り、あいくちを川に捨てた。

 

走り出した少年は巡礼者に出会う。松本清張先生ご本人! 少年と対峙した巡礼者は「坊やがいつか迎えにゃならん長い苦しみの日のために祈ってあげたよ」と語りかけ、鈴を鳴らしながら去っていった。

 

最初に見抜かれたのはそのお遍路、田島刑事、そして、ハナも? 冬、鍛冶屋で働いていた少年を店の外からハナがじっと見つめていた。少年は外に出てハナと話す。足抜けできないところに売られて大島に行くというハナ。土工を「かわいそうな男だった」と話すハナに「かわいそうなんかじゃない!」と否定する少年。

 

タバコを吸いながらトンネルを眺める田島老人の引きの映像で終わり。

 

いや~、やっぱすげえわ! 和田勉さんは私の記憶だとバラエティに出てダジャレばっかり言ってるおじさんだったが、すごい演出家だ! 「阿修羅のごとく」とかもだもんねえ。民放の松本清張作品はエロ度が増すから、NHKの清張作品は見るべきだなー!