公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
健次郎(國村隼)たちの看病で徳永家に泊まり込んでいた町子(藤山直美)。家族のかぜも治り、帰ろうとしたが、健次郎と話が弾み、弾みだしたら止まらなくなるこの2人。町子が自身の初恋の思い出を話しだす。昭和13年、10歳の町子(山崎奈々)は、同級生のマサル(北方将太)に恋心を寄せていた。同じころ、叔母の文代(増田未亜)が、写真技師の亀田(山下徹大)とひそかにあいびきしているのを町子は目撃する。
健次郎たちの看病で徳永家に泊まり込んでいた町子。家族の風邪も治り、帰ろうとしたのですが、健次郎との話がはずみ、はずみだしたら止まらなくなるのがこの2人です。
徳永家茶の間
時計は午後9時36分。
町子「大阪もそやった~。子供の頃、ほんまにいろんなことあったなあ」
健次郎「あった、あった」
町子「こうやってしゃべってたらね…」
この辺のセリフは微妙に先週最後の辺りとかぶってるけど、ちょっと違う。
話はいつしか町子の子供の頃の思い出話になりました。
町子「(健次郎にお酒を注ぎながら)うち、写真館やったやんか」
昔の街並み。当時は年代が変わるのが分かりにくいと言われていたらしい…が、ドラマではまあまああることじゃない!? 「いだてん」のときもそうだけど、年代が行ったり来たりするのが分かりにくいというのがよく分からない。「おしん」だって同じ形式だけどね。
町子が少女時代を過ごした生家は大阪市福島区の花岡写真館です。3歳離れた妹・孝子とともに大家族に囲まれて、愛情たっぷり受けて育ったのです。
祖父とともに写真館を営み、町子をいつも温かいまなざしで見つめていた父・徳一。優しいけれど子供たちのしつけや教育には厳しかった母・和代。仕事では頑固一徹でもユーモラスで気の優しい祖父・常太郎。大家族の家事を取りしきる一家の要、祖母・イト。
家族のムードメーカー、叔父・茂。少し澄ましていてツンツンと呼ばれていた叔母・文代。その妹・昌江は愛きょう者。町子たちの面倒をよく見ていました。新潟から写真修業に来ている技師・亀田と明るさが持ち前の技師・浦田。そして、祖父・常太郎の母・ウメ。家族は親しみを込めてバアバアばあちゃんと呼んでいました。
お手伝いさんを加え、総勢12人と1匹。家の中はいつもにぎやかでさまざまな出来事が起こり、町子の好奇心を刺激し続けていました。
長いナレーションとともにこれまでの昭和13年のシーンの回想。
徳永家茶の間
町子「何でそんなふうにもの考えんの?」
健次郎「ところであんた、初恋ってあんのかい?」
町子「もうそんなこと言わんと」
健次郎「いくつ?」
町子「え~、いいやん! 何でそういうこと聞きたがんの?」
健次郎「聞きたいからや」
町子「いいやん、別に。あの、もうね、小学校」
昭和13年11月
野山「咽頭を突け!」
一同「突き!」
野山「面を打て!」
一同「面!」
野山「戻る!」
小学校の校庭
町子たちは白い鉢巻きに半そで、ちょうちんブルマ姿で長い棒を持っている。
野山「咽頭を突け!」
一同「突き!」
野山「面を打て!」
一同「面!」
学校の廊下
町子「面! 月! 面、面、面!」
ヨシコ「もう、嫌やわ~、うち。こんなチャンバラみたいなん、嫌いや」
町子「そう? 踊りみたいで楽しいやん」
ヨシコ「マコちゃん、上手やもん」
階段を登り切り、廊下の窓からマサルが走るのを見る町子。
ヨシコ「マサル君、すごいね。勉強もできるし…」
町子「うん…」
ガラスに顔をベッタリくっつけていた町子は突然「アブダラダ~! 西洋の魔法使いやし! 飛べ、ほうきよ~!」と芝居がかったしゃべりをして棒にまたがって廊下を走る。しかし、野山先生に棒を取り上げられる。
野山「コラ、花岡! 何やってる~!?」
水の入ったバケツを両手に持ち、職員室前の廊下に立たされている町子。
男子「ハハハハハ! 立たされてとるな!」
男子2人「立たされ坊主! 立たされ坊主!」とはやし立てる。
廊下に立たされるだけじゃなく、頭に本を2冊乗せられてるのは初めて見た。
男子「あっ、町子、まだ立たされとる。おい、マサル、見てみ! アッハッハッハ!」
マサルはチラ見したが何も言わずに去った。町子はマサルを横目で見ていたため、本を落としてしまう。職員室から野山が出てきたが、野山の足元に本を落としてしまった。
学校の帰り
ヨシコ「笑てへんかったやん」
町子「軽蔑された…」
ヨシコ「マサル君、そんな子とちゃうよ」
町子はため息をつき、落ち込む。
ヨシコ「ほな、また明日」
町子「また明日…」
玄関
町子「ただいま」
和代「お帰り」
町子「行ってきます」
和代「宿題は?」
町子「帰ってから」
和代「帰ってるやないの」
町子「ポパイの散歩、行ってくる」
和代「町子! もう…しゃあないな」
町子が玄関に置いたランドセルを持って2階へ上がる和代。
ポパイと散歩している町子。「あ~あ、明日、行きたないなあ…。あっ! ツンツンやわ…」
町子は文代が亀田と秘かに会っているところを目撃する。
亀田「すぐ行くわけじゃないから。一人前になったら必ず迎えに来るよ」
以前も抱き合っていたことを思い出す町子。「また、あいびきや…」
またしても抱き合う2人。今度は夕方。
夜、福島寫眞館
町子の自室
町子の一人芝居
「マサル殿、どうしてもわらわを置いていかれるとおっしゃいますのか」
「お許しください、マコ姫様。武士というもの、戦いとなれば何を差し置いても参らねばなりませぬ」
「マサル殿」
「マコ姫様」
町子「しかし、そこに敵方の奇襲…」
「マサル殿、危ない! 後ろ!」
「あ~っ!」
人形を払いのけ、町子は倒れる。
「マサル殿、わらわはそなたを…」
「マコ姫様~!」
倒れた方、抱き締める方を両方やっている町子…とそれを見ていた孝子。
学校の廊下
男子「おい、町子! 町子! 町子はマサルのことが好きなんやろ!」
町子「そんなことあらへん」
男子「好きや!」
3人の男子「好きや!」
町子「違う!」
男子「いやらしいやつ!」
町子「そんなことあらへん!」
男子は行ってしまったが、一連の会話をマサルが聞いていた!? しかし、町子の横を無言で通り過ぎて行った。
倒れる町子。
友達「マコちゃん! 大丈夫?」
友達「どないした? 大丈夫?」←友達のうち、どっちかはヨシコちゃん。
花岡家の台所
大きな皿に盛られたカレー。文代が盛りつけ、イトが配る。
徳一「おいしそやなあ」
食卓についている町子たち。
孝子「お父ちゃん、このカレーライス、茶色い!」
徳一「うん? 孝子、違うで。これはハッシュドビーフライスっていうんや」
おっしゃれー!
孝子「お姉ちゃん、『ハックションビーライス』やて」
町子「ちょっと黙っといて」
孝子「おなか、痛いの?」
町子「あんたに言うても分からへん」
昌江「や~、おいしそうやなあ!」
イト「文代の腕前、先月より上がったか、みんなに聞かんとな。みんなに喜んでもろて初めて値打ちが出るいうもんさかいな」
昌江「私も学校出たら習いに行きたいわ」
常太郎「さあ、どうなってるかな」
茂「あ~、そうか。今日は文代のお料理の日か」
浦田「ええ匂いや!」
孝子「私もお料理教室でフランス料理習う!」
常太郎「いっそ、本場へ習いに行くか?」
孝子「フランスに!?」
常太郎「そや。修業は本場でするもんやさかいな」
徳一「ほな、僕も今からでもアメリカに修業行こかな」
常太郎「写真はここが本場や」
徳一「世界は広いんやで。いろんな写真があるんや」
常太郎「いや、本場はワシや! 世界一や!」
ウメ「誰が世界一やて?」
常太郎「ああ、あの、お母ちゃん、来はったで! ほら、急いで、急いで」
茂「あ~、ええ匂いやな」
ウメ「さあ、頂きまひょか」
常太郎「はい」
一同「いただきま~す!」
孝子「おいしい!」
徳一「うまい! 御堂ビルの地下のグリルと一緒の味や!」
和代「う~ん、ほんま、ほんま!」
常太郎「浦田、味はどうや? 文代のハッシュドビーフライスは?」
浦田「ええ、うまいです」
常太郎「どううまいかを言わんと。亀田はどや?」
亀田「ああ、おいしいです。本場よりおいしい」
常太郎「ちょっとちょっと『本場より』て、お前、行ったこともないのに調子のええやっちゃな!」
一同笑い。文代だけは笑ってない。
ウメ「文代。どないかしましたんか?」
文代「ううん」
常太郎「嫁さんは料理上手に限るよってな」
町子、文代をチラ見。
昌江「お姉ちゃん。これ、何と何、煮込むの?」
文代「野菜とかいろいろ」
昌江「いろいろって?」
文代「いろいろはいろいろや」
昌江「ケチ!」
茂「御堂ビルのバーいうの、いっぺん行ってみたいなあ。文代はあるか?」
文代「あるよ」
昌江「誰と?」
茂「えっ、どんなんやった?」
文代「生セルリーが出てくんねん」
昌江「セルリーって何?」
文代「西洋の野菜」
昌江「野菜でお酒飲むの? ハイカラやなあ。映画に出てくるみたい? いいな。あいびきとか2人ですんの?」
文代「黙って食べてちょうだい! しょうもないことばっかり」
昌江「しょうもないて…」
常太郎「食べながらしょうもない言い合いをするんやない!」
皿をたたいてしまい、ハッシュドビーフが顔に飛ぶ。あ、先週の予告でやってた。ケチャップ?と思ったやつ。
イト「あ~、もう!」
孝子、笑う。和代、慌てて孝子の口を押さえようとする。
常太郎「何や、文代は。さっきからツンケンツンケンして! そんなかわいげのないことしてたらな、ええ嫁さんになられへんぞ!」
立ち上がる文代。
常太郎「何や!?」
文代「お父ちゃんなんか知らん!」と席を立ってしまう。
常太郎「おい! おい! 何や? あいつ!」
イト「ちょっともう、染みになりますやろが、もう!」
町子は亀田の顔をじっと見つめる。「ん?」と町子を見る亀田に、町子はハッシュドビーフライスを食べ始める。
徳一のギターで孝子が歌う。
♪夕暮れに 仰ぎみる 輝く青空
日が暮れて たどるは 我が家の細道
狭いながらも 楽しい我が家
愛の火影の さすところ
恋しい家こそ 私の青空
遊技場というか、卓球台のある部屋。
茂と浦田は卓球をし、昌江はそれを眺めている。町子はソファで読書。
文代は一人、部屋から夜空を眺めていた。
♪夕暮れに 仰ぎみる 輝く青空
満月から青空へ
常太郎「何してたんや?」
文代「歩いてた」
常太郎「『歩いてた』てどこを? ちゃんと説明せえ! 親に言われへんようなとこ歩いてたんか?」
和室
常太郎と文代は立っていて、常太郎のそばにイトが控え、徳一、茂は正座で見ている。
陰で見ている町子「ツンツンどないしたん?」
昌江「昨日の晩、帰ってけえへんかってん」
そして和代も見ていた。
常太郎「黙ってたら分からへんやろが!」
文代「そやから、川のそばとかぶらぶら歩いてただけ」
常太郎「ええ娘が夜中に1人で川のネキ歩いてたら危ないやろが!」
文代「ほな、何人やったらええの?」
常太郎「何人でもあかんもんはあかん!」
常太郎の切れ方に笑顔になる町子。和代、無言でたしなめる。
常太郎「ワシがええ言うまで外出は許さへんからな!」
文代「そんなん!」
常太郎「当たり前や!」怒って出ていく。
文代「そんなん、嫌やわ…。なあ、お母ちゃん」
イト「後でもういっぺん、ちゃんと謝んなさい!」
徳永家茶の間
健次郎「へえ~。えらい思い切ったことしはったんやな、ツンツン」
町子「おじいちゃん、ものすごう怒ってたもん」
健次郎「あ、そう。ほんで?」
町子「それでね、私にしたらおじいちゃんがそんなにツンツンに怒ると思わへんかってん」
健次郎「ああ」
町子「いや~、おじいちゃんね、お父さんにはものすごう厳しかったんよ」
起きてきた喜八郎。「けど、よう、しゃべるなあ。…オシッコ」とまた去る。
町子「まさかツンツンにあんな怒ると夢にも思わへんかったなあ」
健次郎「ふ~ん、夢にも思わんかったかはええけど、あんたの初恋の話はどこ行ったんだ?」
町子「もうええやん」
健次郎「ええことないがな」
町子「今、話変わってんのやから」
健次郎「いやいや、私は聞きたい」
時間を忘れて話し込む2人でした。
時計は午後11時過ぎ。
ミニ予告は笑顔でうなずく子供町子。
大人のエピソードもいいし、子供の頃の話も楽しい。