公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
町子(藤山直美)と健次郎(國村隼)の新婚・別居生活が始まってしばらくたとうとしていた。健次郎が買ったビルの一室で子どもたちと休みの日に一緒に過ごす約束も、なかなか果たせずにいる町子。そんなある週末、健次郎が風邪で伏せている知らせを受け、見舞いに徳永家を訪ねる。すると義母のイシ(岩本多代)や長女の由利子(土岐明里)も風邪で伏せっていた。町子は、思いがけず家族たちの看病を引き受けることに。
花岡家
町子「お母ちゃん、ほな行ってきます」
和代「遅なんの?」
町子「う~ん、千葉さんらも来はるパーティーやからひょっとしたらパーティー終わってから新地へ流れるかも分からへんわ」
電話が鳴る。
和代「あ…。はい、花岡です。あっ、健次郎さん。はい、今…」
町子「もしもし! こんにちは!」
和代「旦那さんに『こんにちは』て」
町子「うん」
町子と健次郎の新婚・別居生活が始まって半年以上になろうとしていました。中間地点に健次郎が買った部屋で会うのも毎週とはいかないのが現状でした。
町子「医師会の旅行でしょ? うん。ああ…」
町子の様子を洗濯物を畳みながら見ている和代。
池内幸三・新作出版
記念パーティー会場
立食パーティー
みすず「2週間も会うてへんの?」
町子「毎日、電話はしてんの」
みすず「夫婦が2週間も会うてへんの?」
町子「シッ! 声が大きいねんて、あんたは、もう!」
みすず「いつまでないしょにしとく気?」
町子「おいしいよ、これ。食べてみる? ねえ」
池内が近づいてきたのが分かり、前髪を整えるみすず。
池内「ほんまに忙しいのにありがとう!」
みすず「おめでとうございます」
町子「おめでとうございます。本、読ませていただきましたけども、ものすごく面白かったです」
池内「おおきに!」
みすず「私も読ませていた…」
池内「徳永先生、元気?」
町子「元気です」
みすず「『声聞くかぎりは』でしょ」
池内「えっ? まだ続いてんの? 別居婚!」
町子「シッ! 声が大きい!」
みすず「サルトルとボーヴォアールのつもりなんです。カモカと町子」
池内「でも僕は、ようせんなあ…。寂しがりの甘えたやから、ず~っと一緒におらな我慢でけへん」
みすず「池内先生、寂しがり屋なんですか? 私と一緒や!」
池内「ほんま? 何か僕ら気ぃ合うかも分からへんね」
みすず「そうですよね」
2人の間で会話を食べながら聞いている町子の顔芸(笑)! ここが先週末のミニ予告だった。
町子「あの、これ、これ、おいしいですよ。これ」
池内「ああ」
千葉「花岡町子はおるか?」
みすず「千葉先生」
千葉「あ~、おった、おった、おった」
町子たちを見つけて近づいた来た。
千葉「あんた、結婚したんやて?」
町子「は?」
千葉「『は?』やないがな。さっき、池内君から聞いてびっくりしたがな」
町子「すいません。てれくそうて、よう、お知らせせんかったんです」
千葉「僕はかめへんけど、マスコミにはきちんと言わなあかんわ」
町子「けど、プライベートなことですし、プライベートは伏せといた方がミステリアスでええかなと思いまして」
千葉「アホ! もうそんなことしてたらあることないこと書きたてられるがな。ええか? マスコミにはきちんと説明しいや」
町子「は?」
金屏風の前でスピーチ
池内「今回の作品は、私個人といたしましても特別な思い入れがあります」
見ている町子とみすず。
町子「やっぱりないしょにしとくのはまずいのかな?」
みすず「今日、私、2次会も3次会も行く」
町子「けど、どうやって発表したらええねやろか」
みすず「『気ぃ合うかも分からへんな』やて」
町子、ため息をつく。
みすず「恋人、いてはらへんのやろか?」
池内のスピーチが終わり、拍手。
池内「え~、それから私事ではございますが、今日のこの機会に皆様にご報告したいことがあります」
みすずと町子が顔を見合わせる。
池内「え~、私、来月、結婚することになりました」
町子「え!?」
みすず、ふらつく。
町子「ちょ…ちょ…ちょ…ちょっと!」
ミニ予告…ここかな? 最近セリフの音声オフなんだもん。
千葉「おめでとうさん。プレーボーイのあんたもいよいよ年貢の納め時か」
池内、頭ポリポリ。こういうのも昭和仕草なんだっけ?
千葉「さて、この、めでたき日にもう一つおめでたいニュースを…」
町子「大丈夫か? しっかりして」
みすずを支える町子。
千葉「花岡町子さんの結婚報告です」
またしても町子の顔芸炸裂! 面白い! 今度は町子がみすずにすがる番。
たこ芳
健次郎「ハハハ。で、みんなの前で発表したん?」
町子「恥ずかしかったわあ…」
健次郎「何が恥ずかしいねん?」
町子「私は芸能人と違うもん」
健次郎「立派な有名人やがな。そら千葉さん正しいわ。あることないことどころか週刊誌はないことないこと書くからな」
町子「何でうそを書きはるねやろ?」
健次郎「そら、うその方が面白いからやろ」
町子「けど、人を傷つけるうそは、あかんと思う」
健次郎「うん。真実も人を傷つけるで」
町子「うん?」
健次郎「ほんまに寂しい人に『あんた寂しそうやな』なんて言うたらあかんやろ」
町子「確かにね。そやから夢のないうそはあかんのよ」
健次郎「あてのない酒もあかん。厚揚げ頂戴。おりんさん」
りん「はいはい」
健次郎「あっ、そや、あれ、出してくれた?」
町子「『あれ』て何?」
健次郎「婚姻届」
町子「忘れてた~」
健次郎「何でもええから早うしといてや」
町子「分かりました。え~、私ね、お芋さんとそれと…」
町子・健次郎「たこ!」
そんな町子のもとに次々と取材がやって来ました。
花岡家
ちゃぶ台に若い男性記者と向かい合う町子。
記者「別居に関しまして、ご主人は何もおっしゃらないんですか?」
町子「ええ。2人で話し合うて決めたことですから」
記者「はあ…。けど…ご不便なこと、おありでしょう?」
町子「いえ。会おうと思ったらいつでも会えますもん。別に北極と南極に暮らしてるわけやありませんのでね」
記者「まあね…」といいつつ首をひねる。
別の女性記者
記者「う~ん…。では、ふだんは家事も子育てからも離れて独身時代と同じようにお仕事をしていらっしゃると?」
町子「はい、そうです…」
記者「すばらしい!」
町子「はい…」
またまた別の男性記者
記者「えっ? 婚姻届、お出しになられていないんですか? 別々で暮らしておられて婚姻届をお出しになっていない? 何の保障もなくて不安じゃありませんか?」
町子「不安て…え…どういう…どういう不安ですか?」
記者「ねえ、いろいろと」
町子「『いろいろ』て? えっ?」
週刊誌記事
篤田川賞作家 日本版サルトルとボーヴォアール
花岡町子さん 医師とのユニークな結婚生活
記事半分に町子の写真
いつもの喫茶店・加代子が週刊誌を読んでいる。
加代子「時の人いう感じやね!」
町子「もうやめてよ、もう!」
加代子「いいやん!」
町子「いいやん、やめよ!」
加代子「いいやん!」
みすずは音を立ててグラスの飲み物を飲み干す。「結婚がなんぼのもんや。こうなったら一生独身通したる」
町子「(加代子に)何も言いなや。何も言いなや。黙っときや。黙っときや。しゃべったらあかんで。しゃべったらあかん」
加代子も何度もうなずく。「なあ、町子」
町子「ん?」
加代子「婚姻届出さへんの、ご主人の主義?」
町子「区役所、どこにあんのか知らんねん」
加代子「はっ?」
町子「相手はね『ちゃんとしなさいよ』てうるさいねんけどね」
加代子「ほら。ちゃんと町子のこと考えてくれてはるやんな! 婚姻届出さな、結婚の意味あらへんよ」
町子「そういうもんなのかな?」
みすず「そらそうよ! 相手に何かあった時に保険金とか財産とか巡っていろんな問題があんねんて」
町子「私たちの私生活のこと、笑いながら見てる人がいてるなと思うだけで何か恥ずかしいなってくるよね」
加代子「そんな人おるかな?」
みすず「そんな暇人ばっかりやあらへんて」
町子「せやろか…」
たこ芳
タエ「ほらほら、ほらほら大き載ってんで、これ!」
りん「あっ、ほんまや」
貞男「結構きれいに撮れてるやん」
タエ「けどちょっと肥えて写ってんな」
貞男「そうかな~」
読んでいるのは「サンデー毎朝」。さっき加代子が持っていたのとは違う雑誌。
徹底取材
篤田川賞作家花岡町子さんに見る新しい夫婦
受話器を耳にあてる町子の写真。
タエ「けどなあ、こんな、有名人やん」
徳永醫院
俊平「[新しい夫婦関係』か…」
鯛子「さっき、ここにも電話かかってきたんですよ」
俊平「俺ん所へ取材に来てくれへんかな。何でもしゃべったるねけどな!」
健次郎「何をしてんねんな? こんな所で」
鯛子「おっ、日本のサルトルとボーヴォアール」
週刊誌を健次郎に手渡す。
健次郎「サルトルかサルトビか知らんけど、診察、始めるで。仕事、仕事。あんたもな、こんな所で油売っとったら、また嫁はんに怒られるで。早う帰りや」
手渡された週刊誌を持っていったん奥に行った健次郎だが、週刊誌の記事を見てニヤリ。週刊誌を閉じて懐にしまう。週刊朝夕?かな。加代子が持ってたのもこっち。
俊平「こっちの方が写真写りええで! ほれ」
健次郎「早う帰れ!」
俊平「ハハハハハ!」と記事を見せる。
花岡家
電話をしている町子。「週刊誌にようさん出てしもた…」
徳永醫院
健次郎「そら、話、したことは出るわな」
町子「年とった女の作家が結婚したいうのが珍しいねんて。結婚してんのに、で、別々に住んでるいうのを面白がられているみたい」
健次郎「ふ~ん。人の生活、面白がってるより自分の生活面白がるのが大人ちゅうもんやけどな」
町子「私もそう思う」
由利子が道を歩いていると、
主婦1「ちょっと聞いた? 別居結婚やて」
主婦2「徳永先生もまたややこし人、後添えにもらいはって」
主婦3「ふだんから子供のこととか家事とかほったらかしいうことやろ?」
主婦2「まあ、そんなん、奥さんちゃうやんかなあ!」
主婦1「私も旦那に言うてみよかしら」
主婦2「『出て行け!』言われて終わりやわ!」
どのひとかどの人か分からないけどとにかく3人でしゃべってる。
主婦3「ほんまや!」
主婦1「ちょ…ちょ…ちょっと! 由利子ちゃん、お帰り!」
主婦2「お帰り!」
由利子「ただいま」
主婦2「大変やね、いろいろ」
由利子「え?」
主婦3「いらんこと言いな! ほんまに」
主婦2の黄色いシャツの女性、見たことあるんだよな~。出演歴の中に「カーネーション」があるからそのせい? でも、54話の髪結いの客らしい。誰かと勘違いかな。
由利子は家の中へ入っていく。子供たちは複雑だね~。
その週末、久しぶりに町子たちは中之島の部屋に集合しました。
大きなテーブルでお好み焼きを焼く。
町子「焼けましたよ!」
健次郎「ほら、ソースをたっぷりと」
町子「はい」
清志「町子おばちゃん、青のりは?」
町子「あっ、青のりや。忘れてるわ」
登「お父ちゃん『べっきょこん』て何?」
由利子「登!」
健次郎「え?」
登「そうかて6年生の子が道でな『お前んとこ、べっきょこんやてな』て言うねん」
健次郎「清志や由利子も聞かれたことあんのか?」
清志「僕はない」
由利子「言われてへん」
健次郎「あのな、『別居婚』というのは今の僕とおばちゃんみたいに結婚しても別々に暮らしてるいうことや。分かったか?」
子供たち「ふ~ん」
本棚で本を見ている由利子
本のタイトル(×はよく見えなかった)
・忘却の国
・××2分×秒前
・赤犬村
・息×社会
・火取り虫
・天道虫 岡田伊織
・遊病院
・安楽椅子
・吉野山物語
・前奏曲
・浸蝕の森 鬼島賢二
・六月の軌跡 日高邦彦
元ネタあるのかな?
由利子「あ…」
由利子が取り出したのは、母・藤木澄子の「吉野山物語」。それを後ろから見ていた町子。「読んだ?」
驚いて振り向く由利子。
町子「お母さんの本、読んだことある?」
由利子は首を横に振り、本棚に戻して行こうとする。
町子「ものすごくいいよ、この小説。私、大好きやねん」
町子が「吉野川物語」を取り出した。「いっぺん、読んでみる?」
由利子は本を受け取った。
町子が玄関で子供たちを見送る。
健次郎「ほな、また」
登「おばちゃん、バイバイ!」
町子「またね。バイバ~イ!」
子供たち「バイバ~イ!」
町子は子供たちそれぞれに手イ振る。「気ぃ付けてね。バイバ~イ!」
由利子が振り向く。
町子「どうしたの?」
由利子「ううん。バイバイ!」
町子「?」
花岡家
町子「もしもし、花岡です」
徳永家
清志「あっ、おばちゃん。あのな、今、お父ちゃんな、熱出して寝てんねん」
町子「風邪やの?」
清志「う~ん」
町子「ああ…。ほなね『お大事に』て言うといてくれますか?」
清志「はい」
町子「はい、ありがとう。はい」
電話を切って、原稿に向かうが…町子「ん?」
徳永醫院
休診の札が下がっている。
健次郎は布団に寝ていた。
町子「ほんまに寝てるわ…」
健次郎「うそついてどうすんねん…」
町子「大丈夫?」
健次郎「来てくれたん」
町子「お薬のんだの?」
健次郎「薬、嫌いやねん」
町子「医者のくせして…。ねえ、ごはんは?」
健次郎「今朝まではちゃんと食べとったんやけどな、ちょっとえらいことでな…」
町子「え?」
イシも由利子も寝込んでいた。
町子は米を研ぐ。「そや、お鍋やん、これ。お鍋、お鍋、お鍋、お鍋、お鍋…」
下の棚には本やおもちゃ。「えっ!? どういう収納システム? ちょっと!」
思いがけず家族たちの看病を引き受けることになった町子でした。
高い棚から手を伸ばして鍋を取ろうとする町子。
ミニ予告 町子が何か言ってるところ。抽象的な…(^-^;
結婚しても変わらずおしゃべりできる町子と加代子とみすずの関係が羨ましい。