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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (130)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

松屋に紹介された印刷所や製本屋へ通い、朝から晩まで見張るマリ子(熊谷真実)。折り屋では順番を飛ばされそうになるが、機転を利かせて回避する。そんな中、身体が痒くなる南京虫事件が発生。朝男(前田吟)がDDTをもってきて対処したり、虫が隠れそうな本を外に運びだしたり、一騒動。2巻目が売れるか心配になったマリ子は、夢の中で新八郎(田中健)から、よく眠り、明るく元気いっぱいに本を届けるよう助言を受け…。

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お弁当2つとかけて午前様ととく、その心は、いつも終電車で帰るマー姉ちゃん。何せ初体験の昭栄洋紙店の時とは違い、天松屋の紹介先は、えたいの知れない相手ばかり。ここで虎の子の借金をすってんてんにしたら一大事と印刷屋から製本屋へとマー姉ちゃんは見張りのための日参なのです。

 

お千代ねえやの作ったお弁当を持って、ヨウ子に送られて玄関を出たマリ子。外にはウラマド姉妹がいた。

ウララ「本当にマリ子さん、頑張ってくださいね」

マリ子「はい、ありがとうございます」

マドカ「それにしても本当にお大変」

 

マドカさんは半そでになってるし、緑も濃いから夏になったんだね。昭和22年の夏ということは「純ちゃんの応援歌」が始まったばかりで、純ちゃん一家がまだ美山村にいた頃だね。

 

マリ子「しかたありませんわ。脇で頑張っていないとすぐに後回しにされてしまうものですから」

ウララ「本当に私で代わってさしあげられるもんなら代わってさしあげたいのに」

マドカ「まあ、お姉様。それは無理というものですわ。マリ子さんでさえ、これほどのお覚悟ですもの。私たちならコロッてだまされちゃうのが関の山ですわ」

ウララ「それもそうですけど…」

 

製本屋

製本屋「ああ、あんたか」

マリ子「あの…うちの品は?」

製本屋「来てないよ」

マリ子「でも印刷所ではとっくに天松屋さんが受け取っていったので、もう着いてるはずだって言われたんですけど…」

製本屋「あっちでそう言ったってここにはないんだから」

マリ子「それじゃあ一体…?」

 

製本屋「折り屋だよ」

マリ子「折り屋?」

製本屋「ああ。印刷屋ってのは刷りっ放しでね。うちでそれを四つ切りにして折り屋に出すのさ。だから、あんたんとこのは、今、折り屋に回した。その折り屋で折ってこなきゃ、こっちは丁合いも出来やしねえよ」

マリ子「なるほど」

 

かくて今度は折り屋の見張りです。

 

定規を使って紙を折っているのは女性二人。マリ子は弁当を食べながら見守る。折り屋に紙の束を持って来た男が声をかける。

川村「よう! 暑いとこすまないが、また一つ早ばにこれを頼むわ」

マリ子「すみません。あの早ばとおっしゃっても私の方が先なんですけれど」

川村「(マリ子を無視して)おう!」

折り屋「いらっしゃい!」

川村「相変わらずのもんだけどさ、まあみんなでやってくれ」

一升瓶2本を折り屋に渡す。

 

折り屋「これはこれはいつもどうもすいませんな」

マリ子「あの…」

折り屋「ん? 何ですか?」

マリ子「いえ、別に…」

折り屋「どうかしましたか?」

マリ子「ちょっと待ってください」

 

折り屋「暑いですな~。今すぐにやらせますからね」

川村「お嬢ちゃんたち頑張ってるね」

折り屋「ここんとこ忙しくて…」

 

マリ子「あの、すみません。(ティッシュに包んだ現金?を手渡す)これでお酒のおさかなでも見繕っていただけませんでしょうか」

折り屋「これはどうもすいませんな」

マリ子「あの…おすしでもおつまみでも…。何でしたら私、ひとっ走り行ってきますけど、お店を教えていただけませんか?」

 

負けてはならじとそれはとっさの知恵でしたが…。帰り道、マリ子は職人を大事にすること親身のごとしだった母を思い出していました。

 

はるさん? 京都旅行とか、あれね。

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製本屋…古川信

折り屋…佐野哲也

川村…金子達昭

 

オープニングにはこれしか名前が出てなかったから、セリフのある人は俳優、製本屋や折り屋で作業をしていた人は本物の職人さんだったりするのかな? すごく手慣れた感じ。

 

マリ子が遅く帰っても起きて待ってくれていて、お茶漬け(?)を出してくれるお千代ねえや。

マリ子「でも毎日のことだから起きていてくれなくてもいいのよ」

千代「とんでもなか。一日駆けずり回ってるお嬢様をお待ちしてるのは当たり前のことですから」

マリ子「うん」

千代「本が出来たらば、お千代も一緒にリヤカーを引きますけども、それまでは何のお手伝いもすることがなくて歯がゆくてなりませんとですよ」

マリ子「頂きます」

 

はるが体をボリボリかきながら起きてきた。蚊ではない。お千代ねえやも脇腹がかゆいという。ノミはノミ取り粉をまいている。マチ子やヨウ子ももぞもぞかゆいと起きてきた。

マリ子「嫌ね、ちょっときれいにしてよ、きれいに」

はる「きれいにはしてますよ。それこそお千代ねえやは畳だって廊下だってなめるように拭いとるしね」

はるが布団をめくると、マチ子が何かを見つけた!?

 

翌日、朝男は、お千代ねえやの腕の赤い点を見て南京虫だと言った。

はる「で…でも、どうして急にこのうちにそんなものが?」

朝男「恐らくね、これね、犯人ね、マリ子さんだよ」

マリ子「ええっ!?」

朝男「多分、印刷所かね製本屋からしょってきたんだろ」

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※リンク先、虫の画像、刺された後の状態の画像あり。ひー!!!

 

マリ子たちは立ち上がり一斉に服を脱ごうとする。

朝男「おい、ちょちょちょ…ちょっと何するんでえ! 何するんでえ! 男がいるんだよ!? このあっしがいるんですよ!?」

パニック状態のはるたち。

 

朝男「いやいや、そ…その大丈夫じゃなくて昼間は大丈夫だって言ってんですよ」

マリ子「どうして昼間は大丈夫なの?」

朝男「ん~、それはやつらだって昼間は明るくて小っ恥ずかしいんじゃないのかい」

マリ子「もう! ふざけないでちょうだい!」

朝男「いやいや、本当のことだよ。やつらはね、泥的と同じで出歩くのは夜が専門。なにもストリップ始めなくったって…」

ヨウ子「嫌~! もう…」

 

朝男「いやいや、ごめんごめん…。そうそう…そういうことだろうと思ってさ、あっしがさ、こうして、ええ、DDTをもらってきたんだ。今にね、やつら、おびき出してやるから。へヘヘヘッ」

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日本ではDDTは昭和46(1971)年には販売禁止になっている。ドラマが放送されてる頃にももう使われてはいなかったんだね。

 

千代「だけどどこにいるんですか? 昼間はあいつらは」

朝男「う~ん、そうだな…本の隙間とか本の間だな」

マリ子「本!?」

朝男「あ~、まあまあ…そういやあ、やつらの隠れがにもってこいだな、このうちは。ええ?」

千代「天海さん!」

 

朝男「おっとっとっと、俺の責任じゃねえよ、おめえさんのかいかいは」

マリ子「だったらどうしたらいいんですか?」

朝男「よしよし! よし、俺に任せといてくれ! そのかわりね、二度と変なお客連れてくるんじゃねえぞ。よし、ほらとにかく表へ出しちゃおう」

マリ子「はい…」

朝男「ほら、はい! みんな運んで!」

はる・マチ子・千代「はい!」

皆で本の束を外へ運び出す。

 

という世にもおぞましい騒動の一幕もあって、待望の「サザエさん」2巻目、1万部が夏の終わりに完成しました。苦労のかいがあったと思えば、うれしさの限りでしたが、これをまた売り歩くとなると話は別です。どうにも眠れないのがマー姉ちゃんでした。

 

隣に寝ているのは、はる。前はマチ子と2階じゃなかったっけ?

 

マリ子・心の声「これでまたまた売れなかったらどうしよう…。お金を貸してくれた塚田さんにも申し訳ないけど返品1万冊となったら家の中は満杯だし…。私たち、もう庭へでも寝るほかは…」

 

新八郎の高笑いが響く。マリ子が起きるとそこにはピンクを背景にした新八郎が笑っていた。あの坊主ヅラのままなのね。

マリ子「ひどいわ! ひどい、ひどい!」と抱きついて、胸をポカポカ叩くのが昭和だな~。「私がこんなに心配してるのに笑ってるなんて…!」

新八郎「おっと待った! 今、君が心配してるのは僕のことじゃなくて本の売り上げのことだろ?」

 

マリ子「それは…。ううん、両方よ。絶対に両方だわ。だってあなたが早く帰ってきてくれれば、私はこんな出版なんかやらなかったかもしれないわ」

新八郎「あっ、それはすまなかったな。じゃあ責任の一端を感じてだ、一緒に本の売り上げのこと考えなきゃいかんだろうな」

マリ子「当たり前です」

新八郎「ハハッ! よ~し! まず…よく眠ることだ」

マリ子「何ですって!?」

 

新八郎「いいから、気持ちを楽にして」

マリ子「あなた!」

新八郎「まず睡眠不足じゃリヤカーは引けまい」

マリ子「それは…」

新八郎「それにだ、くたびれ果てた顔で注文取りに歩いてみろ。取次店の方だって運んだ本がくたびれてると思ってもしかたがないじゃないか」

マリ子「ええ…」

 

新八郎「僕がまずマリ子にほれたのはだ、陽気に元気に生き生きとだ」

マリ子「まあ」

新八郎「さあ、目をつぶってごらん」

マリ子「はい」

新八郎「そしたら僕の方に頭をもたせて」

マリ子「こう?」

新八郎「そう、素直だ」

 

マリ子「ええ、素直ですとも」

新八郎「そしたらね…羊が1匹、羊が2匹って数えるんだ。こら! ちゃんと僕の言うことを信じて」

マリ子「はい」

新八郎「僕の言うことを信じていればね、マリ子はたっぷり寝て明日の朝には見違えるように元気で美人になってるぞ。あとは熱意だな。とにかく明るく元気いっぱいに本を運んでみろ。1本取る店だって必ず2本ということに…。いいね? 僕はマリ子のことをいつも遠くから見守ってるっていうことを忘れちゃいかんぞ。約束だもんな」

新八郎さん、結構しゃべったな。

 

マリ子はいつもより寝坊をし、はるに起こされた。

マリ子「そうでした…あれは夢でした…」

 

陽気に元気に生き生きもりもりと朝飯を平らげて、マー姉ちゃんの進撃開始です。

 

朝男がリヤカーを引き、お千代ねえやが押す。マリ子が店に交渉へ。

朝男「へい。あっしがね本の番しときますからね、お千代さんどうぞ日陰へ」

千代「いえ、天海さんこそ」

朝男「いえいえ、お千代さんこそ。さあさあ。ねっ?」

 

マリ子「ごめんくださいませ。いつぞやはお世話になりました。姉妹出版でございます」

金子「姉妹出版?」

マリ子「はい」

金子「あ~あ~! どうしても売れなかったあの『サザエさん』か」

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↑前回は寒い頃だったけど、今回は白いランニングに右手にうちわ、左手にアイスキャンデー。マリ子が来て、うちわを置いてアイスキャンデーを右手に。

 

マリ子「でも今度は大丈夫です。型を改めましたから」

金子「しかしね…」

マリ子「1本でも2本でも結構です。もし売れませんでしたらすぐに引き取りに参りますのでお願いします。あの、ここら辺でよろしいでしょうか」

金子「ちょちょ…ちょっとあんた」

マリ子「大丈夫です。今日は日もよろしいようですし」

 

金子「冗談じゃないよ。今日は仏滅の三隣亡だ」

マリ子「だからこれ以上駄目ってことはないんです。それだったら駄目っていうところから出れば今度は上っていくだけですし、お願いします。あと2本で結構ですから!」

金子「ハハハハハハッ! だいぶ痛い勉強したと見えて押しが強くなったね、あんたも」

マリ子「ありがとうございます。天海さん、こちら3本!」

 

次の取次店へ。

浅香「しかしだね…」

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荒谷二中の清水先生ね。

 

マリ子「いえ、この前、1,000部持っていっていただいたお礼です。今度はうんともうけていただこうと思って一生懸命いい本に仕上げました。絶対今度は大丈夫です!」

朝男「へい、毎度どうも!」

浅香「おい、ちょっと! こっちは置くとも何とも…」

千代「いつもお世話になっております」

マリ子「あっ、お千代ねえや、こっちに置きましょう」

千代「はい」

 

浅香「あっ、ちょっと待った!」

マリ子「あっ、いえ、あのお勘定でしたらひとつき先でも結構ですから…」

浅香「いや、そうじゃねえんだよ。この山…ちょいと低いんじゃねえかな?」

マリ子「えっ?」

浅香「一本は20と5冊。ちゃんと勘定してあんのかい?」

一本50冊じゃなかったっけ?

 

マリ子「ええ。今、製本所から持って来たばかりですけど…」

朝男「2冊少ねえよ、こいつは!」

マリ子「だって…」

浅香「ハハッ、やられたんだ」

マリ子「はあ?」

 

浅香「素人相手によくあることさ。ねっ? ひとくくりの中からちょいちょいと抜いたところで、ハッ、職人の方も結構、余禄にはなるんだ」

マリ子「まあ、なんていうことでしょう…」

朝男「誰でえ、こんな汚えまねしやがったのは!」

浅香「まあまあ…そう怒らないで。怒る前にそうされないことを覚えるこった」

マリ子「はい、そうでした。天海さん、足りない分をお持ちして」

朝男「分かったよ!」

 

背水の陣とは、まさに今のマー姉ちゃんの心境。これで今度も駄目だったら、もう姉妹出版は完全に再起不能になることでしょう。

 

当時の印刷、取次の様子が面白い。新八郎さん、意外と出てたんだなー。