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ドラマの感想など

【ネタバレ】馬賊芸者

1954年 日本

 

あらすじ

芥川賞作家・火野葦平の原作を基に、大正初期の誇り高き博多芸者の恋を描く。多彩な娯楽作を手掛けた島耕二監督が大規模な博多ロケを行い、名女優の京マチ子が気風のいい芸者の切ない恋心を繊細に演じたメロドラマ。第一次大戦の好況に沸く中、博多芸者の信吉(京マチ子)は、結婚の約束を交わした俳優の小十郎(高松英郎)が程なく急逝し、瓜二つの人形師に遭遇するが、彼は妹分の芸者と恋仲だった。

2021.11.10 日本映画専門チャンネル録画。

peachredrum.hateblo.jp

マー姉ちゃん」でマリ子も福岡は馬賊の本場と言っていたけど、博多芸者の話。島耕二監督は戦時中に俳優から監督に転向した人。

 

九州博多。大正初期。

 

華やかな宴席。志村喬さん、若いな〜。歌舞伎役者・坂東京之助が踊る。しかし、直前、芸者の三味線では踊れぬと言う態度だったため、芸者たちは次々そっぽを向いて踊りを見ない。なんだあの態度は!と客に叱られた芸者の一人、信吉(京マチ子さん)は雨の中、抗議のため立ち尽くす。

 

翌日、風邪をひいて寝込んだ信吉の元にたくさんの芸者たちが見舞いに来た。志村喬さん演じる山辺幸太郎が謝りに来て見舞金を置いて行った。信吉は芸者積立金にというが、あぶく銭を積むとみんなで決めていたので断られ、人気投票の新聞を買ってもらい、京之助への面当てに市川小十郎という別の役者に投票した。

 

芸者たちで歌舞伎を見に行った。清香という芸者は清川虹子さんか。楽屋挨拶に行き、市川小十郎のもとへ行った。市川小十郎は高松英郎さん。荒々しいイメージがあったけど、この役は線の細い歌舞伎役者役。他の芸者は別の宴席に呼ばれて、信吉が相手をすることになった。人気投票で1位になっても仕方ないと謙虚な小十郎に好感を持った。その後、信吉の元に後輩芸者が嫌なことをする客がいると泣きついてきた。

 

信吉ではなく、小十郎がセクハラ野郎の呉服商の村山を追い払った。翌日、歌舞伎役者人気投票は京之助が逆転していた。悔しい信吉は山辺に相談に行くが、人気投票に熱中している信吉をやめさせようと京之助に大量投票したのだという。信彦が小十郎に惚れているのも悔しいのだと笑った。

 

それでもなんとか小十郎を1位にしようと奔走する信吉。直前まで小十郎が1位だったのに、結局、京之助が1位になった。人気投票というかどれだけ金持ちのスポンサーがついてるかという勝負みたい。新聞を買った人しか投票できないみたいだし。しかし、こういう人気投票も組織票も昔からなんだね。

 

信吉は小十郎を呼び出して人気投票のことを謝るが、小十郎はそんなこと気にしなくていい。そして突然「私の嫁になってくれませんか?」とプロポーズした。小十郎を探しに来た芸者に、信吉は芸者をやめる。堅気になると宣言し泣き出した。

 

小十郎が巡業に行っている間、小十郎の家で掃除をして待っている信吉。巡業先の島根から信子(信吉の本名)宛に分厚い封筒が届いた。小十郎が書いた長い長い巻き紙の手紙。掃除の手伝いに来ていた後輩の梅丸も一緒に読んだ。それからも各所から手紙をよこす小十郎。

 

お正月。信子の家には仲間の芸者たちが来ていた。もうすぐ大阪の堺から帰ってくると楽しそうに話していたのに「コジュウロウ カイエンチュウ シンゾウマヒ ニテ キュウセイス」という電報が届いた。泣き崩れる信子。

 

信子はまた信吉として芸者に復帰。酔っ払いながら他の芸者に抱きつく者、無理に酒を飲ませようとする者を手に持っていた模造刀で軽く叩いた。

 

人間は何のために生まれてきたんじゃろう、何のために生きてるんだろうと清香に悩みを打ち明けるが、清香は嫌な客が来たと逃げてしまい、信吉はまたしても模造刀で追いかけた。そんな時、廊下ですれ違ったのは小十郎そっくりの男! 信吉はぶつかって男が持っていた人形を壊してしまった。男は人形師の白石貞次と聞き、翌日、職場を訪ねた信吉は「私そっくりの人形を作って欲しい」と頼み、貞次を呼んで、デッサンをさせた。

 

もしかしてあの人は生きてるんじゃないか、生まれ変わりじゃないかと清香にいう信吉。電話のある家は芸者の置き屋!?

 

「待ち人 来たる」とおみくじに書かれていたとはしゃいでいる信吉。

 

ある日、置き屋に帰ると人形が届けられていた。貞次を呼び出して人形代を払うというが、親父がうるさいので電話をしないでくださいと終始そっけない態度。

 

今夜、7時に常盤館に来てくださいとなんとか頼み込んだ。しかし、貞次は来ず、梅丸と会っていた。貞次は梅丸と恋仲!? しかし、梅丸は呉服商の村山から身請けされそうになっていた。

 

貞次は信吉と話をすると言って、当てつけみたいだからと梅丸を部屋から出した。あなたから話をしてくださいと貞次が言い、信吉は貞次に好きですと告白したが、貞次は将来を決めた人がいると梅丸の話をした。荒れる信吉に先輩のお安と梅丸も入って話をした。

 

信吉さんにとって小十郎さんが宝物なら、僕にとって梅丸は宝物ですと堂々という貞次。しかし、信吉は結婚は反対だと泣いた。

 

お祭りの日。芸者パレード? 街中を練り歩く一行。信吉は一人置き屋に残っていた。お安が祭りに行こうと誘うが断った。梅丸にはもう会っていない。芸者たちは三味線と踊りを披露した。

 

置き屋にいた信吉の元に貞次の父が訪ねてきた。梅丸が見受されると知った貞次が家出したと聞かされた。

 

梅丸と会った貞次「どうしよう」

梅丸「もう死んじまいたい」

ノープランだったの!?

 

夜、信吉は貞次たちをを探す。清香からおいねねえさんの家でかくまわれていると知り、話をつけると言って、山辺から2万円の小切手を切ってもらい、信吉が梅丸を身請けするというが、置き屋のおかみも旦那も承知しない。しかし、芸者たちが駆けつけ、ここを動かないと言って承諾させた。

 

「私は心から男が嫌いになった」と清香に泣き笑いの表情を見せ、信吉は山辺の屋敷に向かった。爪を切っていた山辺を手伝い、独り身になったと打ち明けたが、山辺からは友達になるかと笑われ、黒田節を見せて欲しいと言い、山辺が歌い、信吉が踊る。すごいなあ。

 

外は雨が降り出していた。(終)

 

女同士の醜い争いが描かれることもなく終始助け合う芸者たち。貞次を好きになった信吉は酔いもあって無茶なことを言っていたけど、最後は気風のいい姐さんで終わった。山辺は独り者なのかな? 友達になるかというリアクションが意外だった。