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【連続テレビ小説】あぐり (105)「エイスケ死す」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

ぜんそくのため和子(新穂えりか)は伊豆へ転地療養。淳之介(大根田良樹)は腸チフスで入院し2、3日が山と宣告される。それを知ったエイスケ(野村萬斎)は突然岡山に帰郷。健太郎里見浩太朗)に廃嫡にしてくれるよう頼み、病平癒にご利益のある岡山の寺のお守りをもらって淳之介のもとへ届ける。あぐり田中美里)が淳之介に付き添っている間に、お守りを看護婦に預けていなくなったエイスケ。淳之介の容態は落ち着き…。

誰かと電話と話すエイスケ。「エトロフ鉱山倒産か…。まさかとは思ったけどね…来るとこまで来たって感じだね! 俺の悪運もこれまで…。万事休すか…」。

 

行李に荷物を積めるあぐり。光代は和子がさみしがってると人形を入れた。

 

2歳の頃から喘息の発作を起こしていた和子は、このころ伊豆の伊東にある病院に転地療養していました。

 

淳之介が起きてこないので、あぐりが起こしに行くと苦しんでいた。病名は腸チフス。かなり重症。

 

無精ひげを生やし、顔色が悪く酒臭いエイスケが家に帰ってきて明るく光代に話しかけた。しかし、淳之介が腸チフス飯田橋の警察病院に入院したと聞き、呆然とする。光代は一緒に病院に行こうと言っていたのに、エイスケの姿は消えていた。

 

光代が病院に駆け付けると、エイスケの姿はなし。あぐり健太郎に連絡しようというが、しばらく病状を見てからにすると言われた。

 

月組では勇造が従業員達にテキパキ指示を出していた。それを見ていたエイスケ。学生時代の勇造はかなり脚色されてて優等生にされてるけど、今のヒゲを生やしたワイルドな勇造が本来のエイスケの弟のキャラに近い…けど、またちょっと違うか。

吉行淳之介の本にこんな描写があります。

” 亡き父の弟は健在で、岡山で土建屋をやっているが、どこかに芸術的気質があるのが災いして、実業の方では成功しない。いつも、金がなくて困っている。この男も腕力が強く、いつも黒眼鏡をかけて和服の着流しである。上京してきて浅草あたりを歩くと、ヤクザの若い衆が間違えて挨拶する。親戚とはみんな喧嘩絶縁して、私の一家とだけつき合っている。ときどき電話をかけてきて、

「おい、どうしておるんなら」

と、気勢の上らぬ声を出している。”

 

ドラマのエイスケさんは優男風の描写にされてるし、写真を見てもほっそりした感じだけど、上の文章の”この男も”の”も”はエイスケさんをさしています。エイスケさんもまた結構武闘派だったらしい。

 

エイスケの姿を見て驚く勇造。「なかなかの御大ぶりじゃないか! いいよ! うん。いいね!」とエイスケ。磯辺や妻五郎も突然の帰省に驚く。しおがお膳を用意してくれて、健太郎は朝から酒を持って来た。しおが言うには女中らからは「近頃台所をうろつくでっかいネズミがおる」と噂されている。

 

勇造にみんな任せてあるから何もすることがないという健太郎はエイスケに酒をすすめる。そして、エイスケの話とは「僕を廃嫡にして下さい」。

ja.wikipedia.org

望月の家から分家してほしい、このままだとお父さんや勇造にも迷惑をかけるかもしれませんと言いだした。ドラマ的には借金の事を気にしてだろうけど、本当はもっと前の東京に家を建ててもらったあたりで確か廃嫡されてるはず。

 

エイスケはしみじみ「子供を持つって大変なことですよね」と話す。

健太郎「何じゃ? お前にしちゃあ当たり前のこと言うじゃねえか」

エイスケ「例えば子供のことで夜も眠れないことなんかありました?」

健太郎「おお…。お前の場合はしょっちゅうあった。それもつい最近までな。何じゃ? お前にもそんな事があるんか?」

エイスケ「僕は小さい頃から世の中のあらゆるものから自由になりたくてお父さんの腕の中から飛び出してばかりいましたよね」

健太郎「ああ…」

エイスケ「でもね…気が付いてみると僕も今じゃどこにでもいる一人の父親ですよ。親なんて子供の人生の前じゃ臆病で無力で本当に不自由な存在なんですね」

健太郎「エイスケ…。変わったのう、お前も」

エイスケ「それにしても僕はお父さんにとっていい息子じゃありませんでしたね」

健太郎「ああ、お前ほどの親不孝者はのう、日本中探したってどこにもおりゃせん。だがのう、エイスケ今は親孝行じゃ。退屈なこの親父につきおうてくれとる。それだけで十分じゃ」

エイスケは笑顔を見せ「考えてみると2人きりで飲むの初めてかもしれませんね」

 

初めての親子水入らずの酒盛り。その酒はどこかほろ苦くも幸せにあふれた味がしました。

 

病室のベッドで寝ている淳之介。あぐりは廊下で祈る。「やりたいことたくさんやりました。だから私の命を差し上げます。そのかわり淳を助けて…。お願いします…。助けて下さい!」

 

うつろな顔で汽車に乗っているエイスケ。

 

翌朝、淳之介の病状は峠を越えた。あぐりが光代に報告していると、看護師がエイスケが持って来たというお守りを手渡した。エイスケは「淳之介の容体が安定した」と聞いて帰った。見損なった話し合うあぐりと光代だったが、お守りが金山寺のものと気付いて驚く。

www.kinzanji.net、

病平癒のご利益があり、勇造が小さい時に肺炎にかかって生きるか死ぬかの時にエイスケがそのお寺でお守りをもらってきてくれた事を覚えいてた光代は、お札をもらいに岡山に行ったのでは!?と気付く。

 

あぐりが電話をかけると健太郎からエイスケが昨日来ていたことを知らされた。そこで淳之介が腸チフスにかかったことを報告し、エイスケが金山寺のお守りを届けてくれたことも知らせた。

 

健太郎はエイスケの言動から「あれはのうもう立派な父親になったぞ」と褒めた。あぐりもまた「エイスケさんは立派なお父さんだと思います」と返した。笑顔で頷く光代。

 

エイスケのお守りが効いたのか、その後、淳之介の病気は少しずつ快方に向かっていったのでした。

 

ありがとう! エイスケさん…。と病院の廊下の窓で空を見上げるあぐり

  

今日の話と関係ないけど、あぐりさんが東京や岡山で支店を出してたのは本当の事だけど、支店は誰がやってるのか気になってる人を時々見かける。なんとなくだけどドラマ上、チェリー先生のとこで派閥争いみたいなのを描いたから、あぐりのところは詳しく描かなかったのかなと思った。だって派閥争いのとこドロドロして嫌だ~って言ってる人も見かけたし。

 

今の視聴者からすると、チェリーの所であんなに丁寧に描いたのに、あぐりのところは誰が支店やってるの?になってしまうんだな。辰子もとめも沢子もずっといるのがドラマ上はおなじみの顔がいた方が安心感があると私は思うけど、店くらい持たせてやってよ~になっちゃうのかな。

 

辰子が支店を持って時々しか登場しなかったらそれはそれで寂しいけどな。当時は別に不思議とも思わないで見ていたことが、こうして人の感想を見ると、そういうとこ気になるのか~と気付かされます。

 

例えば、初期によく見られた「あぐりにはナイショだぞ」みたいなところやあぐり自身が「全然気付かなかった」と言うなど。ドラマを続けて見てると何とも思わなかったけど、一度法則?に気付くと、また言ってる!って思っちゃうんだろうね。

 

今日のエイスケさん。ますますやつれて切ない。