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【連続テレビ小説】あぐり (85)「男と女の間には」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

昭和5年春、文壇に新風を吹き込むエイスケ(野村萬斎)の『女百貨店』出版記念会が開かれるが、エイスケは今まで鼻にもかけなかった編集者たちが持ち上げて来るのが少し気に入らない。あぐり田中美里)と再会した民子(笹峰愛)があぐりの家に遊びに来て、エイスケに用があって訪れた燐太郎(野村宏伸)と幸せなひとときを過ごす。民子は、美容院を経営し、夫から愛され必要とされて生きているあぐりが羨ましかったと話す。

昭和5年(1930)早春

 

カフェ・セ・ラ・ヴィで望月エイスケの『女百貨店』出版記念祝賀会が開かれていた。「皆様ご存じのとおり望月エイスケ先生は混迷する日本文学界に新たな息吹を吹き込む新興芸術派の旗手として今や文壇になくてはならない作家でございます。つまり我が文芸書房といたしましても望月先生に期待するところは非常に大きく…」文芸書房の編集長かな? いい声だった。

 

エイスケは気恥ずかしそうな感じで挨拶を聞いていた。遅れてきた民子は近付いてきたあぐりではなく燐太郎の姿を確認して笑顔。今日の着物の感じが二階堂ふみさんに似てる。

 

エイスケ「この作品を愛と尊敬を込めて強き女、あぐりへ贈ります」と投げキッス。こういう事を臆面もなく言えちゃう人なのよ、この人は。民ちゃんは喜び、あぐりは「バカみたい」と言いつつ嬉しそう。

 

淳之介はこの4月から番町小学校へ通い始めていました。

 

ジュンノーちゃんって呼び方、懐かしい。友達二人が迎えに来て、弟子たちに送られて、元気に出かけていった。

ja.wikipedia.org

名門小学校で家からも近い。

 

カフェ・セ・ラ・ヴィでエイスケは編集者と打ち合わせ。上海を舞台に男女の情愛を書きたいと言えば、早速手配の方を…と原稿を持っていこうとした。エイスケは世津子に原稿を読んでもらおうとしたが、世津子は出版されてから読むと言った。

 

エイスケは世津子が原稿を読んでくれないことを不思議がった。「おかしなもんだよね。一度お墨付きを受けると誰も何もケチをつけない。さっきの編集者なんか今までの僕なんか鼻にもかけなかったんだよ」。

 

世津子は「そういうもんなのよ。誰も何がよくて何が悪いかなんて事分かってないの。でも彼らが分かってる事は一つだけあるわ。それはあなたが今の文壇を変える事ができる人物だって事。その素質に連中気付き始めたのよ」「あなたね自分の世界を確立したの。私の意見なんて…もう何の役にも立たないわ」と語った。

 

そこに登場したのはプレロタリア文学の若き旗手・川原甚八。東根作寿英さん。世津子の雑誌に連載していて、エイスケに紹介した。川原が「女百貨店」を読んだというのでエイスケが感想を聞くと…

 

「はっきり言って駄作だと思います。娼婦や職業婦人を登場させて社会性を持たせているようですが、小説全体を包み込む特有のエロチシズムとがあまりにも分離し過ぎてつかみどころがない。あれでは所詮プチブル文学の域を脱し切れない。あなたはブルジョワ芸術文学に埋もれてしまう人ではないと期待していただけに…残念でした」。辛辣。「澪つくし」の河原畑と言い、辛辣な批評をするのが流行ってたのか?

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プチブルジョアの略。中産階級。小市民。

 

エイスケは川原に拍手を送り、「素晴らしい批評感謝いたします。それじゃあごちそうさま。あっ川原君、僕は君のようにね自分の文章で革命ごっこをしたりしないんだ、失敬」と世津子の店を後にした。 

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これはまた難解すぎる(^-^;  全部読んだ川原がすごい。

 

民子があぐりの店を訪ねてきた。あぐりは店が忙しく、家で待たせた。ちょうど燐太郎もエイスケを待たせてもらうために来店。燐太郎さん髪伸びた!?

 

民子は、燐太郎の「蒼の時」の表紙裏にサインをしてもらいたかったと本を持ってこなかったことを後悔…でも会えてめちゃくちゃ嬉しそう。そこに淳之介がお腹を空かせてきたので燐太郎が台所を使ってエイスケ直伝のパンケーキを作った。すっかり目がハートマーク(古い表現(^-^;)の民子。

 

店にいたあぐりはとめに二人にお茶を出すように言い、とめは家に上がるが、2人の雰囲気に「ホッカホカでした」とあぐりに言い、すぐに沢子に「危険な感じ」と伝えた。辰子さんも「何おしゃべりしてるの!」と注意したものの、話を聞くとそういうの好きそう。

 

あぐりが家に行くと、民子が一人。燐太郎は2階で淳之介と遊んでいた。民子はあぐりに愚痴を聞いてもらいに来た。民子はエイスケと会った当時にエイスケが言っていた「君には見えないのか? あの暗闇のような街が」が何を言ってるか分からなかったけど、今なら分かると語った。

 

結婚してから東京の街は暗闇にしか見えなかった。毎日夫の帰りを待つだけの生活、掃除をして洗濯をして食事の支度をして…いつも一人ぼっちで何の目的もなく生きてる。自分で何も決められない。

 

それにひきかえあぐりは自分の足でしっかり歩いてる。あんな立派な美容院を経営して先生って呼ばれてさっそうと歩いてる。そしてご主人にすごく愛されて生きてる。必要とされて生きてる。あぐりがうらやましく「あぐりに比べたら私の生活なんて何?」…エイスケさん、外面はいいのよ~。でも民子だって、子供だけ作って東京に行ってしまった事とか知ってるはずなのにね。

 

しかし、民子は暗闇の中に少し光が見えたと笑顔を見せた。燐太郎とパンケーキを焼いてお茶をいれていた時、すごく幸せだった、うまく言えないけど見失ってた自分を見つけられそうな気がしたと目を輝かさせる。

 

民子が何を言わんとしていたのか…。あぐりの心の中に小さな不安が芽生えていたのでした。

 

民ちゃん…危険な香りしかしない。ま、燐太郎にその気がなけりゃ何でもないんだけどね。