徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】猫が変じて虎になる

1962年 日本

 

あらすじ

老人だらけの不老長寿の街を舞台に繰り広げられる、ブラックコメディ。落語『らくだ』を下敷きに、小沢昭一長門裕之が軽妙な演技合戦でシニカルな展開を牽引しつつ、名コメディアンの由利徹が爆笑をさらう快作。酒の失敗で会社に損失を与え続ける保険外交員の久六(小沢)は、禁酒を条件に出張に向かう列車内で風変りな半次(長門)と遭遇。不老長寿の地酒効果で老人に溢れる街に降り、勧誘も不発に終わる久六だが、偶然が重なり殺し屋に間違われる。

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元の「らくだ」めちゃくちゃ後味悪い。

 

2021.6.9日本映画専門チャンネル 蔵出し名画座

 

桑田佳祐さんは昔の長門裕之さんに似てると言われ続けてるけど、今でも若い頃の長門裕之さんに似てるのがすごい。

 

白黒映画。録画されてる映画の中で一番短いものを選びました。保険外交員の葛井久六(くずい・きゅうろく)は100万の契約を取り、契約者の老人と酒を飲んで騒いでいるうち、老人が亡くなって、1回の掛け金で100万が支払われることになり、部長からクビを言い渡されたが、何とか泣き落として上司預かりとして、寿市(ことぶきし)に出張に行くことになった。

 

出張に行くときのBGMが♪勝ってくるぞと勇ましく〜のメロディだった。改札で同じ鞄を持った半次と出会う。ギターを背負って、左目は眼帯でカウボーイファッション。汽車の中で半次の隣になったのは葉子という女医。

 

寿市に到着したときはBGMがオクラホマ・ミキサー。耳なじみの曲が流れるのが不思議。年輩の駅員には「坊や」と呼ばれ、元気な年寄りばかりが暮らす街だった。禁酒を誓ったばかりなのに酒を勧められ、東京に帰ろうとしたが、東京行きはもうないと言われ、そのうちラクダが出たと騒ぎになった。ラクダというのは由利徹さん演じる馬五郎という男で酔っ払って線路に寝転んでいた。

 

久六は旅館に泊まり、窓を開けて「お馬の親子」を歌った。それが偶然同じ旅館に泊まった殺し屋の半次が出すはずの合図だった。そのせいで半次にも桑田・長島という地元の印刷工にも久六が殺し屋だと勘違いされた。

 

半次は久六を手紙で呼び出したが、桑田・長島と出くわして逃げてしまい、久六は葉子と偶然出会って葉子が手紙の主と勘違いした。葉子が呼ばれたのは、死にそうな人間を診察するためだった。老人達は元気で亡くなったのは葬儀屋が自殺した。

 

久六は桑田・長島に呼ばれて印刷屋の瀬川の元に行った。瀬川は久六を殺し屋と勘違いし、久六は保険の契約として仕事を進めたが、男と男の約束だと契約書にサインをもらえなかった。

 

神社で半次と再会し、やっと久六が保険屋だと気付いた。今度は半次が瀬川の家に行き、もっとランクの高い殺し屋にした方がいいと自分を売り込んだ。久六は決闘で片をつけると久六を川に呼び出し、久六を撃った。

 

久六は耳のところを弾がかすめたが倒れたところを葉子に助けられた。決闘で死の恐怖が流れ込んできたから、今が契約のチャンスだと葉子に背中を押され、街でセールスを始めた。で、誰が死んだの? 瀬川は久六が殺し屋から保険屋に転職したと勘違い。

 

契約がたくさん取れ、葉子にニコニコ生命の嘱託医になってくれるよう頼んだ。しかし、町の権力者・大宅(おおや)の旦那から酒も売ってもらえないと言われ、契約を取り消したいという者が殺到した。久六は大宅に文句を言うが追い出された。

 

半次が殺しを依頼され、ラクダという男だと聞かされ、狙いをつけ、家を見に行くが、半次は顔見知りの馬五郎と再会。同期の桜を歌い出したと思ったら替え歌だった。

 

♪貴様と俺とは同期の桜

同じ刑務所の屋根の下

揃いのユニホーム 

いかすじゃないか

臭いメシ食った幾とせぞ

俺はカツアゲ お前はタタキ

粋な商売 やめられぬ

 

大アジア工業がこの町に来ることになっていて、土地一帯を高く売ろうと思ったが、馬五郎が立ち退かないので殺し屋を雇って殺そうとしたということが分かり、二人で瀬川印刷所に乗り込んで、ガラスを叩き割ったりして暴れて黒幕の名前を聞き出した。

 

馬五郎は瀬川がフグを食べていて、それを持ってきて自宅で食べ始めた。殺し屋の半次は当たるものは食べないとフグは食べず、先に寝た。馬五郎はフグの卵巣を食べ始めたが、しびれるといって、そのまま倒れた。

 

久六が馬五郎を訪ねてきた。半次が起こそうとするが、すでに事切れていた。半次は大宅に半次が殺したというように久六に言った。大宅は黒幕だとは白状せず、シラを切った。

 

禁酒していた久六だが、半次に無理やり飲まされた。頑なに断ってきた久六は酒が進むうち、気が大きくなり、大宅に死人のドドンパを見せると、半次が馬五郎を背負って歩き出したが、馬五郎が生き返った!?

 

拳銃を持った久六は半次に死人に踊らせると命令し、大宅はすっかりビビってしまい、大口の保険に入ってくれて、半次にも馬五郎殺しのギャラをたくさん払ってくれた。同じトランクだから、取り違えとかあるのかと思ったら全くそんなことはなかった。

 

トランクいっぱいの契約書と札束。東京行きの汽車で帰り道、久六と半次は酒を飲みながら騒いでいた。え! 馬五郎がいないということはやっぱり死んでたの!? 普通に踊ってたのに。トランクが開き、契約書もお金もトランクから風で飛んでいくが二人は気付かず、葉子と旅館の仲居・ケイ子を交え酒盛りしていた。(終)

 

大宅はゴリガン野郎と言ってて、どういう意味かと思ったら、とんでもないみたいなこと!? 漢字で書くと”御利願”!?

 

本当に死んでる馬五郎を踊って見えるように見せた比喩的表現だったのかな。馬五郎の踊りは面白かったし、久六も半次も良かった。あの劇中の元気な年寄りって、せいぜい50代、60代なんだろうな〜。

 

久六は禁酒を誓ったのにあらゆるところで酒を勧められて、アルコール・ハラスメントがすごいわ〜。酒が飲めない人にはさぞ辛かったろうと思いました。

 

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↑こちらに結末までのネタバレあらすじが載ってるけど、最後のあたり、映画でやってなかったけど??

 

”遂に寿市の老人たち全員を加入させた久六が、意気揚々と帰京すると、意外にも部長からクビだといわれた。半次が死体を酒蔵に入れたため、酒が腐って寿市の全市民が中毒で死んだからだ。しかし、捨てる神あれば拾う神ありとか、久六は葉子と結ばれ、新婚旅行の車内で、はからずも愛人ケイ子と相携えた半次と再会した。”

 

ラストシーンのトランクから契約書や紙幣が飛んでくのがその暗喩? でも女性とはうまくいくというね…(^-^;