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ドラマの感想など

【ネタバレ】署名のない風景画(脚本・橋田壽賀子/主演・池内淳子)

1986年7月29日 NTV

 

あらすじ

幸福な結婚をしたはずの妹が自殺した。心当たりのないまま、姉は妹の新婚旅行の足跡を辿って傷心の旅へ…。その先々にちらつく男の影。 旅先で出会った画家は、妹の恋人だった。その事を妹はなぜ隠していたのだろう。そして彼の口からは思いもよらない言葉が…。

火曜サスペンス劇場。テレビドラマデータベースによると、1967年にもフジテレビで木曜22時のシオノギテレビ劇場で放送されたこともあったそうです。1967年版には山内明さん(「はね駒」の橘徳右衛門役)も出てたのか。

 

市村家には婚礼を控えた妹・千世(ちせ)の元に沢山の贈り物が届いていた。姉・多恵が池内淳子さん。妹が叶和貴子さん。姉は料亭いちむらの女将。女将は独身でたった一人の妹を笹原というそれなりの家柄の次男に嫁がせることが決まり、準備に追われていた。女中頭?が「男はつらいよ」のおばちゃん。

 

贈り物の中に千世あての差出人のない絵画が届いた。店の板前の徳さんは一目見て千葉の海岸だと気付いた。千世は誰から送られたか見当がついてる様子だった。

 

多恵と千世は9歳離れた姉妹で多恵が屋台を引っ張りながら育ててくれたと言う。屋台のラーメン屋→一杯飲み屋→料亭。すごい出世!

 

千世が23歳ということは姉の多恵は32歳なんだけど、親子にしか見えない。当時池内淳子さんは53歳。叶和貴子さんが30歳。なぜこんなキャスティング?? 池内淳子さんは30代の頃も着物姿が美しい人ですけどね。

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北海道、東北の新婚旅行の行く先々から絵葉書をくれたことを楽しそうにお客様に話していると千世が帰ってきた。千世は多恵と徳さんの結婚を迫る。姉と徳さんがお互いに想いあっていることを知っていたからだ。

 

しかし、多恵は店の板前と結婚すると客が離れるのでは?という懸念があり、承諾しなかった。千世はその日は泊まって、翌日帰って行った。

 

しかし、笹原から千葉の海岸で千世の遺体が見つかったと知らせを受けた。徳さんを呼び、一緒に見に行った。中丸 新将さんが千世の夫の笹原さん。若い。

 

千世は崖から転落した事故死と処理されたが、多恵は納得しない。千世が転落した風景が千世に贈られた絵の風景に似ていた。床に伏せがちになった多恵は徳さんに勧められて旅をすることにし、行き先は千世の新婚旅行先の北海道・東北にした。

 

札幌→知床→浅虫温泉、行く先々で事情を話して宿帳を見せてもらうと、いつも石戸順という名前があった。次に訪れた十和田湖の旅館にもやはり石戸順の名前があり、女将が宿帳に記入しようとすると、石戸順の名前を見つけた。今、石戸順が十和田湖にいる!

 

十和田湖畔で絵を描いてる中に千世に贈ってきた絵画と同じ画風の男がいて、話しかけるが、何故か怒られる。多恵が去った後、男は絵をズタズタに切り裂いた。

 

夜中、旅館の中が騒がしくなった。絵描きの男が睡眠薬を大量に飲んだという知らせを受け、看病をかって出る多恵。自殺の原因は、ある事件のせいで絵が描けないことに絶望したからだった。多恵は励まし続け、事情を聞き出す。

 

十和田湖のボートに乗って心中を試みた千世と石戸。姉に迷惑をかけたくないが、愛のない結婚を続けるのは無理だと千世は言うが、石戸が死ぬことは思いとどまらせた。多恵は、絵を描き続けなさいと励まし続ける。

 

石戸は旅館で多恵に完成した絵を見せてくれた。石戸は多恵が千世の姉とは知らず、姉が千世を追い詰めて自殺させたのだと話し始めた。石戸は姉が自分が叶えられなかったことを叶えるために大学まで出して金持ちの男と結婚させたせいだと語った。信じられない思いの多恵は、石戸を責めた。

 

千世が大学4年の夏、千葉の海岸で写生している石戸と出会ったが、姉の期待を裏切ることが出来ず、姉の言うまま笹原と結婚した。しかし、石戸にだけ遺書を残して千世は自殺した。その遺書を多恵に読ませてくれた。

 

貧乏絵描きの石戸と結婚すれば、金で苦労すると多恵に反対されるのが目に見えていると千世は思ったのかもしれないけど、もうちょっと戦って欲しかった。

 

多恵を心配した徳三が訪ねてきて、自分で作ったお惣菜をタッパーで持参してくれた。多恵は徳三に感謝の言葉を言い、今まで頑張りすぎたと料亭をやめると宣言した。今より規模の小さな小料理屋をのんびりやりたい、ついてきてくれるわね? 黙ってうなずく徳三だった。

 

千世に幸せになってもらいたくてお金儲けに夢中になってきたけど、そのせいで千世を失った。

 

翌朝、徳三と一緒に旅館を出ると石戸が見送りに来た。石戸に徳三と結婚すると宣言し、旅館を後にする多恵と徳三。徳三は自分と多恵の荷物を両手に持ち、多恵は日傘を相合傘にして歩いて行った。(終)

 

んー、橋田脚本結構ツボだな。これもよかった。

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多恵と徳三の関係性が好き。長台詞、こしらえる、“ぞう”のつく名前と橋田脚本おなじみのフレーズもありつつ、おしん終盤にも見られたお金儲けに夢中になりすぎて大事なものを見失ってしまうという話でした。これ、1967年にもドラマ化されてるんだから、橋田さんの書きたいことなのかも。

 

殺人がバンバン起こるわけでもない2時間サスペンスらしくない話だけど面白かった。