徒然好きなもの

ドラマの感想など

はいいろのねこ

妹が拾ったその猫は全身グレーで見た目はロシアンブルーそのものだけど、捨て猫だったから、雑種だったのかもしれない。拾ったのは1999年7の月。既に生まれて1、2ヶ月経っていたみたいだけど、誕生日も定かではない。結局、妹とは2、3年一緒に過ごした後、実家で暮らすことになった。

 

私は、猫が拾われたころは実家にいたけど、猫が実家で暮らし始める少し前、別の仕事がしたくて東京に出ていた。だから、猫に会うのはお盆と正月だけ。人懐っこいタイプではないため、べったりくっついてくることもないし、2、3日滞在して最後の夜に一緒に寝てくれたらラッキーくらいの間柄だった。

 

4年前、地元に戻ってきた。実家とは別の場所で暮らし始めたけどなかなか仕事は見つからないし、ほんの数か月暮らしただけで田舎暮らしに嫌気がさした。

 

それから1年ちょっとした後、また東京に出ようと思っていたら、父の体の調子が悪くなり、実家で母が面倒を見るのを手伝いたくて実家で暮らすことにした。数年前から兄の家族も暮らしていたため、実家も必ずしも安息の場所ではなかった。

 

そんな時支えてくれたのがその猫で、ついつい甘えてしまった。私が実家で暮らし始めて数か月後、あまりご飯を食べなくなって病院に連れて行ったら環境が変わったストレスかもしれないと言われたときはドキッとした。私が構いすぎたせいかもしれない。

 

その頃から、貧血気味で腎臓の調子も悪くなり始めたが、数日病院に通って点滴を受けたりして徐々に回復した。2015年は病院に度々行ったけど、2016年は特に不調もなくて1月の終わりに1度行ったきり。本当は年をとったら定期検診するべきなのにね。

 

2017年の春に父が亡くなった。猫は18歳を迎えたが元気で、2階の屋根から、スズメの巣からまだ毛の生えていないひなを持って来て食べていた。それがほんの1年前のことなのに、秋以降急に衰えた。

 

2017年の秋、裏庭に子猫が現れた。縞三毛のメス。ある夜一晩中鳴いているので外へ行っても姿が見えない。そんな日が何日も続いた。軒下に隠れていたけど、エサをやってみたらだんだんなついてきた。でも、老猫と子猫の相性が悪いとネットで見たので、徐々に慣らしていこうと思い、家に入れないようにした。

 

時々顔を合わせたけど、猫は警戒して鳴いている。子猫は全然気にも留めずに猫に寄ってくる。10月中旬のある日、外に小屋なども置いていたが寒くなってきたので、ついに子猫を家に入れて一緒に寝ることにした。猫は普段私と寝てくれていたけど、母や姪っ子と寝ることもあり、その日にならないと分からない。

 

子猫は慣れない中、興奮して寝てくれず、夜中、外に出すことにした(今まで寝ていた場所があります)。子猫を外に連れ出す時、猫もついてきて怒っていた。私は猫をなだめようと頭をポンポンと撫でたら、思い切り手を噛まれた。流血するくらいかまれたのは初めてで驚いた。数日、じんじんと痛いし、実は未だにうっすら痕がある。

 

子猫を家の中で飼い始めたら、猫は起きてるときは膝に乗ってきたり前と変わらない感じに思えたけど、夜、私の布団には寄り付かなくなった。

 

2017年9月あたりからまた猫の病院通いが始まった。エサを食べると目に涙がたまっていたのが気になってたが、ある日、鼻の脇がポッコリ腫れてしまった。歯ぐきから膿が出てそれがたまっていたみたいだった。歯が悪くなっていたけど、全身麻酔をして抜くには歳をとりすぎていたし、抗生物質の錠剤をもらってエサに混ぜたりして、また涙目になったら、それを定期的にもらっていた。それもずっと続けていかなければならない予定だったが、11月の下旬、あまり食欲がないせいもあって、錠剤をエサに混ぜても食欲旺盛な子猫に食べられるかもしれないと思い、一度、注射をしてもらったが、歯茎の腫れはそれでおさまった。先生はとても不思議がっていて、子猫の影響かも?と言っていた。

 

猫は15歳以上用のウェットフードとドライフードを少しずつあげていたけど、食欲はどんどん落ちていく。気に入って食べてたものもある日突然食べなくなる。今まで食べなかったパンに興味を示して夜中にこっそり食べたりもした。散らかしてたけど食べた量はほんの少し。そんな中、子猫を飼い始めたことで、子猫用のフードを意外と気に入ってくれたのでそれをあげていた。

 

 

子猫用のドライフードは粒が小さくて食べやすかったみたい。

 

こちらは15歳以上のウェットフードもお気に入りでした。子猫がいなければ子猫用のフードをあげようという発想にならなかったので助かった。食べられないのを見るのは辛い。

 

それとは別に体重も少しずつ落ち始めていた。2015年に病院に通っていたころは最初が2.4キロ。2016年に一度行ったときは2.1くらいだった。2017年は2キロを切るくらいになって、1.88キロを保っていたのが、少し落ち込んだので11月末には連日通って点滴(皮下輸液)を受け、年末あたりから自宅で輸液をすることになった。病院で数回練習して自宅へ。針を刺すのも怖かったし、病院と違って猫も逃げるので最初のうちはなかなかうまくいかなかった。それでもまだ年明けまでは1.86~1.88キロをキープできていた。おしっこの量は多く、1月下旬あたりから布団にお漏らしをするようになったので、夜はペット用のオムツをつけて過ごすことが多くなった。

 

2月あたりからまた猫が布団に来てくれるようになった。猫は絶対人の左側で寝るので、子猫を右側に寝せて、両側に猫がいるとても幸せな時間をほんのわずかながら過ごせた。

 

2018年2月6日。6回分の輸液を使い終えたので約2週間ぶりに病院へ。1日おきに60ミリリットル×3の輸液をしていたのに、体重は1.46キロになっていた。やせたとは思っていたけど、病院で測るとそう変わらないのが今までだったので輸液もしていたし、エサも食べていたので、そんなに気にしていなかった。今までとは明らかに減った体重。その日は病院で輸液を受け、帰った。

 

一日置いて8、9、10日に60ミリリットル×3本の自宅輸液。天気のいい午前中は自ら外に出て日向ぼっこをすることもあった。本当は体の調子が悪く、自分でどうにかしたい思いがあったのかも…と今は思う。

 

子猫との関係は、警戒期が過ぎると、最後までひたすら無視だった。子猫は抱き付くように猫の頭を舐めることもあったけど、猫の方から舐めたりはなかった。猫がいる場所に子猫が行くと、すっとその場から去った。ちょっかいかけられて時々ツッコミみたいにポンと右手で叩くこともあった。10日の夜もそうだった。

 

10日の夜中。おむつをした猫が布団に入ってきた。そのときは左側に子猫がいたけど、その日は構わず布団に入っていった。いつもは、何度か布団を出たり入ったりするけど、布団を出ようとすることもあったけど、出なかった。お腹のあたりで寝る猫が布団からは出てないが、顔の近くに体を寄せていた。3時。布団から出ようとする猫がいたあたりの布団がぬれていたので、おむつも替えないといけないし、もう起きようと、リビングのストーブをつけて、戻ると布団から出て横になっていた。もう起き上がれないのか動かないので、リビングのイスに移した。

 

膝の上に乗せて見守るしかなかった。昨日までとは明らかに様子が違う。目を開けると、黒目が揺れるように小刻みに動く。スポイトで水をやる。そのうち母が起きてきた。猫ベットの上にペットシートを敷いて猫を置いた。昨日食べたものを吐いた。苦しそうに舌を出して大きく目を見開いて上を見た。それが最後だった。朝7時前だった。2月11日。日曜日の朝、猫は逝ってしまった。今年の冬は特別寒かったように思う。だからせめてもっと暖かくなるまでいて欲しかった。猫用に買ったオムツは半分も使いきれなかった。

 

2キロないくらいだったので、たまたまホームセンターで見かけたお試し用の3枚くらいしか入っていないSSSサイズも買って試したものの、さすがに小さかった。

 

 

あれからもう3か月も経った。猫と子猫は全然タイプが違うから違う生き物みたい。床に置くタイプの爪とぎを愛用していた猫とキャットタワーの支柱の爪とぎを使う子猫。ただ、大人になっても3キロないくらいだった猫と同じように子猫ももうすぐ1歳になるけど(9月に家に来たけど生後何か月だったのかイマイチ判然とせず)、小顔で小柄な雌猫に成長しつつある。体長を比べる猫はもういない。