徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】あぐり (109)「淳之介の初恋」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

昭和18年5月、エイスケ(野村萬斎)がこの世を去って3年の月日がたち、学校の宿題で父親について書くよう言われた和子(楯真由子)。エイスケが死んだ時、まだ4才だった和子は、エイスケの記憶があまりない。あぐり田中美里)は和子に、エイスケとの出会いから、結婚して東京へ出てきて、淳之介(山田純大)と和子が生まれるまでの思い出を語って聞かせる。そこへ静岡の高校へ通っていたはずの淳之介が、突然帰郷して…。

エイスケが亡くなって3年経った昭和18年(1943)5月。淳之介は静岡の高等学校(旧制静岡高等学校)に行っていて、和子は国民学校の2年生になった。

 

和子は学校の宿題で父親のことを書くように言われたが、エイスケが亡くなったのが4歳で、エイスケの記憶は白い洋服を着ていたことくらいしか覚えていない。

 

エイスケ「和子。パパはず~っとそばにいるからねえ。早く元気になるといいね」

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なので、あぐりからエイスケの話を聞いた。

  

今回は和子に話して聞かせるという形のエイスケさんの名場面集と総集編といった感じでした。この回を当時見たのは覚えてたけど、土曜日回だと思っていました。先週末にこの回をやって、切り替えて月曜日から新章となるのが今のドラマっぽいけど、土曜日まで緑川靖子でごたついてたので、そこまで入れられなかったのかな? 「あぐり」でここまでの総集編は珍しい。

 

出会い

エイスケ「すべてが暗闇なんだよ。人々の欲望が渦巻いて、やがてそれが空や川をも闇の中に包んでしまうんだ。このキャンバスの中にそれが描かれているんだ。君たちには見えないのか?」

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結婚 …闇夜のカラスちゃんの翌日の回に結婚式だったか!

エイスケ「あれ? 『闇夜のカラスちゃん』?」

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女学校を辞めさせられそうになった時

エイスケ「これだけは言っておきますよ。あぐりは僕の『大切な妻』です。『最愛の妻』です。皆さんはさっき『自分の子供を守る』と言ったが、だったら僕はあぐりを守るのが夫としての務めなんだ」

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エイスケが優しい時はいなくなる時

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東京で出会った人たち

春子「あれ? この前と違う人?」

うめ「みんなよくそう言うのよ。『私エイスケの妻ですよ』って」

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チェリー山岡「あなたねえ絶対洋髪が似合うわよ。この髪切りなさい」

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弟子入り志願した時

あぐり「お願いします! 私をお弟子さんにして下さい。私…やっぱり諦められないんです! 子供は義母が東京で面倒見てくれる事になったんです。私…美容師になりたいんです! 私、本気ですから」

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エイスケ的にはこの次の回に洋服のリボン付けを手伝ってくれるところもいいのに。

 

修業時代の名場面とワインで乾杯シーンなど

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チェリー山岡の店に来店したエイスケ

エイスケ「『男子禁制』なんてどこにも書いてなかったけどね」

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森「流れに身を任せて流れを感じる」

 

エイスケ「ねぇあの雲どこへ流れていくのかなあ?」

あぐり「それは風が決めることだから…」

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森とあぐりの名言は同じ回だった。

 

エイスケ「僕はあぐりと結婚出来てよかったです。これからも大事にします。心配しないで下さい」

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和子はエイスケを早く死んじゃってかわいそうみたいに言っていたが、あぐりはやりたいことを全部やった人生だったと言った。

 

”私とはずいぶん違う人間で、腕力も強かった。死んだとき、食べることと女のことは普通の人の二倍はやったのだから、ま、いいでしょうと母親を慰めた人がいたという。配偶者にたいして、へんな慰め方をしたものである。” 

 

そういえば…とエイスケが和子をお風呂に入れるエピソードを話した。そうか! この回であの場面をピンポイントでやってたから覚えてたんだ。やっぱりあの週は全体的に記憶にないのに、あそこだけ鮮明に覚えているのはおかしいと思った。

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この週は美佐の最期、森や世津子との別れが描かれている結構重要な週なのに全体に覚えてない話ばかりだったんだよねえ。世津ちゃんや森がどうしていたかその後のこともあまり覚えてない。

 

エイスケ「どこにも行かないよ。僕はず~っとあぐりのそばにいるよ。これからもずっとね」

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そんな思い出話をしているときに、淳之介帰宅。静岡の学校は辞めたと言った。ジュンノーちゃん、ごつくなっちゃって…。

 

月曜日から総集編だったことに驚き。でもエイスケさんや懐かしい面々を見られて嬉しかった。「澪つくし」みたいに毎日数分ずつ恋のあらすじに費やした時間を思えば、これくらいの総集編、たまにはいいよ。

 

放送日を調べると、あぐり109回は1997年8月11日(月)ということで、お盆休みに初めて見る人向けでもあったのかな? ま、1997年ならビデオデッキもだいぶ普及してるとは思うけど、ファンじゃなければ録画して見る人はいないだろうしね。

【連続テレビ小説】あぐり (108)「エイスケ死す」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

エイスケの裏切りを許せないあぐり田中美里)は、緑川靖子(中川安奈)に会いに行く。エイスケの会社の借金は十万円もあり、離婚届はあぐりに迷惑がかからないようにするための用意だった。燐太郎(野村宏伸)はエイスケの机から、エイスケが死の2日前に書いた小説を見つける。それはあぐりへの愛に満ちあふれ、読んだあぐりはエイスケの残した借金を払うべく行動を開始し、生まれてくる子どものために、と靖子に金を渡す。

エイスケの子供がいるとあぐりに言った緑川靖子。健太郎や光代に話すとエイスケの財産を狙ってると怒った。あぐりはエイスケが離婚届を書いていたことを二人に知らせた。

 

緑川と話し合うため、アトリエに行ったあぐり。緑川は煙草をスパスパ。「でも…やっぱり私、信じられません。あんなに優しかった人が私を裏切るなんて考えられません」とあぐりは言うが、緑川はわたしたちは愛し合っていた、お腹はエイスケの子と言い張る。

 

緑川に電話があり、その場を離れたのでアトリエ内を見ていたあぐりは、エイスケの肖像画を見つけた。戻って来た緑川があぐりに言う。

 

緑川「あぐりさん。何でエイスケが私のところを居場所に選んだか分かる? 私は一緒に闘ってきたからよ」

あぐり「『闘う』?」

緑川「あの人の苦しみも悲しみも私は全部分かってあげたわ。受け入れたのよ。そして一緒に闘ってきた。エイスケが泣きたければ抱き締めてあげたし、苦しければ癒してあげたわ。あの人が『死のう』って言ったら一緒に死ねたわ! あなたはどう? エイスケの痛みが分かっていた?」

あぐり「私は…」 

緑川「あなたは自分の好きな仕事に没頭してエイスケの子とは何一つ分かってあげなかったじゃない。私は分かち合ってきたの。つらいこともうれしいことも全部分かち合ってきたの。おなかの子はその結果なの。何があっても私一人で守っていくわ。お帰り下さい」

 

事務所で思い悩むあぐり。エイスケの「僕はず~っとあぐりのそばにいるよ」という言葉を思い出すが、二人の結婚写真を引き出しから取り出し「エイスケさん…私あなたを絶対許さない」と写真を破ろうとした。しかし、エイスケの会社の人が来てるという言葉で止めた。

 

夜、ダイニングで健太郎と光代にエイスケの借金が10万円あったことを報告。健太郎は廃嫡してくれと言われた事や、あぐりの離婚届も家族に迷惑が掛からないようにという配慮だったのではと気付く。実際は、あぐりが市ヶ谷にお店を建てるときが廃嫡のタイミングだったみたいです。でもどっちにしても離婚はしなかったから借金を背負う事になったんだなー。つらい。

 

”吉行家というのは、なかなか財産家らしいんですよ。けれど、エイスケさんがあまりにも自由にやりましたからねえ。

 吉行の父は、長男のエイスケさんと嫁の私に、今、美容室のある市ヶ谷に土地をくださいまして。代わりに、エイスケさんは吉行家からはずされて、相続権を失うことになったんだそうです。”

 

あぐり美容院で打ち合わせをしていると、燐太郎があぐりを連れ出して、「アン・ダグリッパの結婚」という原稿を見せてくれた。原稿の最後は「昭和十伍年 七月七日 愛しのアン・ダグリッパ嬢にこれを捧げる」と書かれていた。 

↑「あぐり」が放送された1997年に発売された作品集の中にあるそうです。私も当時立ち読みして難解さにそっ閉じした本です。この中の作品はほとんど青空文庫とかで読めるのに、「アン・ダグリッパの結婚」は、ないんだよなー。ホントに昭和15年に書かれたものなのかも分からないし。

 

ドラマでは、よりドラマチックに描くためか世津子や森との別れの時にも小説を書いていた設定のエイスケだけど、実際は昭和10年の和子が生まれた頃には筆を折っていたらしい。早熟の作家だったんだね。

 

燐太郎はアン・ダグリッパという言葉の中に”アグリ”という言葉が隠されていることとエイスケのあぐりへの思いが満ちあふれた作品だと言って、作品を読ませた。

 

「アン・ダグリッパ 残忍な虚妄 僕はあなたを愛す。あなたは僕に堅固な意志を与えてくれたのです。ヴェランダでアン・ダグリッパの結婚。私たちは街に出た。女学生アン。昨日私は彼女に花環を贈った。黄色い植物の感情。翌日、私の衣服に赤い花弁が密着した。ダグリッパ僕は泣いているのです。深夜 地球が灰皿になる」。

 

いくつか実際に読んだ人の感想を探したら小説ではなく詩みたいですね。ドラマではエイスケの作品をあまり読んでないあぐりをツッコむ人が時々見られたけど、エイスケさんの作品は全編こんな感じだよ。吉行淳之介さんが選んだ父の詩もエログロばっかりだし、感想を求められても困るような作品ばっかり。

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何度か書いたけど、そんな中でもこの作品は読みやすいと思いました。夫・英介、美容術をやっている妻・スマ子があぐりを彷彿させる。これも結局妻公認で浮気をするような男の話だけどね。

 

この作品を読んでいるときに、自転車に乗ってる女学生のあぐりと書生風エイスケが若いなー。田中美里さん、新人だけど、若いころから今まで違和感ないね。

 

あぐりはもう一度緑川のアトリエに行った。「悪いけどあなたと話すことなんかもう何もないわ」という緑川にあぐりはお金を渡した。

 

あぐり「お互い残された者同士なのよ。いがみ合っててもしかたがないわ。昔、知り合いに言われたことがあるの。エイスケは鳥で言えばカッコウだって。カッコウは巣を持たないのよ。そういう束縛があっては生きていけない鳥なのよ。その人言ったの。『カッコウを無理やりカゴの中に押し込めて育ててもじきに死んでしまう』って。

 

お互いエイスケさんをカゴの中に押し込めていなかった? そうじゃないわね。エイスケさんは死んだんじゃないわね。私たちの手のひらから飛び立ってしまったのよ。私たちを置き去りにして。あなたも私も置いてかれちゃったのよ。それなのにどうしていがみ合わなきゃならないの? 元気な赤ちゃん産んでください」

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エイスケをカッコウに例えたのは森さん。

 

話を聞いていた緑川はエイスケがあぐりと別れるつもりはなかったことを伝え、お金は受け取ると言った。帰り際、あぐりは緑川の喫煙を注意した。

 

カフェ・セ・ラ・ヴィで高山と燐太郎と話すあぐり。燐太郎は緑川靖子がパリに行くらしいと言った。あぐりは「あなたはパリは駄目ですからね! 私のそばにず~っといてくれるって言ったんですからね」と語りかけた。

 

緑川靖子は、その後パリで暮らし、あぐりとは二度と会う事はありませんでした。

 

次週予告

弟子のとめです。ジュンノーちゃんもあっという間に高校生。それが幼なじみの諒子ちゃんと偶然再会してあららら…。私という者がありながら…。次週「淳之介の初恋」。えっ先生が燐太郎さんと再婚!? まあっ!

 

26週のうちの18週目でエイスケさんがいなくなってしまった。今思えば、結構長く出ていたんだなとも思った。そしてリアルタイムでは、あと数週だったのに挫折してたんだな(^-^; あぐりとエイスケのセットで見ていたようなものだったので(二人でいるところなんて案外少ないけど)、この辺りで視聴意欲がぐんと減ったのは確か。

 

生田斗真くんの淳之介も1週間、その次の淳之介も1週間、そして来週から山田純大さんのジュンノーちゃん。しかし、今週の淳之介は今見ると、生田斗真くんからイメージが変わり、山田純大さんに似た人を選んだんだなー。もっとほっそりした少年のイメージでした。淳之介が山田純大さん、南が池内万作さん、尚久が関口知宏さんといずれも二世俳優だったのが、話題になっていたのは覚えてます。

 

今回、改めて小さい頃からのジュンノーちゃんたちを見ていくと、関口知宏さんが一番ジュンノーちゃんの系統だと思うんだけどなあ。今も時々、朝に旅番組の再放送が流れておなじみのせいか、関口知宏さん好きなんです。メガネの尚ちゃんだったのも忘れた…というかこの頃はもう熱心に見てなかったんだろうと思います。

 

2010年の再放送の時もやっぱり同じあたりでもういいかといったん録画をやめたけど、最終週だけは見て、13年越しに最終話は確認しました。今度は全話視聴するぞ。

 

【連続テレビ小説】あぐり (107)「エイスケ死す」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

エイスケ(野村萬斎)が死んだ夜、入院中の淳之介(大根田良樹)と和子(新穂えりか)の元にエイスケが現れる。通夜の支度が進む中、エイスケからあぐり田中美里)にあてたサプライズのバースデーケーキとカードが配達される。子どもたちの元に現れたと二人から聞いたあぐりは、ずっとあぐりのそばにいると言ったエイスケの言葉を信じられる気持ちになる。エイスケの死から1週間、画家の緑川靖子(中川安奈)があぐりを訪れ…。

お座敷に来た大学病院のお医者様が淳之介にいい薬をくれたと言って鈴音が仕事帰りに望月家を訪れた。出迎えたとめが泣いていたので、てっきり淳之介が亡くなったと思った鈴音は「全くこんな時に父親は何をやってるの?」と怒りをあらわにした。

 

しかし、亡くなったのがエイスケだと分かると泣き崩れた。あぐりが言う「本当に急だったのよ…。箱根から帰ってきて『具合が悪い』って座ったまま。私…車の具合だと思って…。あの時…狭心症の発作を起こしてたのね…。私…早く気が付いてあげればよかった。本当に眠るように亡くなってたのよ」の車の具合だと思ってたのは本当で、眠るように亡くなったというのは嘘。結構苦しんだらしいです。

 

カフェ・セ・ラ・ヴィでは燐太郎がひとりカウンターで飲んでいた。高山に「行かなくていいんですか?」と言われて、「おととい、あいつ、ここに来たろう…。あれ…俺に別れを言いに来たんだよ…。だから…もういいんだ。でもね…本当は別れじゃなくて助けを求めていたのかもしれないなあ…。どうして気が付いてやれなかったんだ、俺は…。17の時から一緒にやってきて結局、何も分かってやれなかったんだよ…。バカだよ俺は! バカだよ…」。

 

エイスケさんは明るいし優しい人ではあったけど、心の内を誰にも明かさない孤独な人でもあったのかもしれない…と今回の再放送で気付かされました。

 

病室で雑誌を読んでいた淳之介の前に赤いリボンが巻かれたカンカン帽をかぶって着物姿のエイスケがメロンを持って現れた。「悪いな、淳。パパ、おじいちゃんがお前にくれたメロン食べちゃったんだよ。だから、これ…おわびのメロンだ」。

 

淳之介は急に現れたエイスケに驚きつつ、「でも、ママ…メロン持ってきてくれたよ」。となると、昨日のシーンは、あのメロンは全部エイスケが食べて、あぐりはメロンを買い直したのかも?と思えてきました。

 

エイスケ「でもこれ、パパのおわびだ。食べろよ!」

淳之介「うん…。ねえパパ?」

エイスケ「ん…?」

淳之介「いつか言ってたよね。どんな便利な世の中になっても人間にしかできないことは必ずある…。どんなに優れた機械でも人間の愛には勝てないって」

エイスケ「ああ」

淳之介「小説を書くのも人間にしかできないんだよね…。なぜなら…小説には人間の愛が必要だからだよ。僕、思うんだ」

エイスケ「そうか…!」

淳之介「だから僕将来…」と夢を語りかけたところでエイスケの姿は消えていて、メロンだけが置かれていた。

 

一方、和子の病室も明かりがともった。

和子「パパ…!」

エイスケ「シッ。もう消灯時間過ぎてるからねえ…」

和子「うん」

エイスケ「和子、約束どおり、パパ…洋服着てきたからね。ほら」

和子「うん」

エイスケ「どうだ! なかなか似合うだろう?」

和子「うん」

エイスケ「和子。パパはず~っとそばにいるからねえ。早く元気になるといいね」と和子の手を握る。明かりが消え、和子の目の前からエイスケが消えた。エイスケさんの白スーツ、素敵です。脚長いなー。

 

エイスケの訃報を聞いて健太郎が岡山から駆けつけたのはエイスケが死んだ翌日のことでした。

 

健太郎はエイスケの顔を見て「どうして…そんなに…急ぐ必要があったんじゃ、エイスケ!」と語りかけた。そばにいた光代が「勝手なことばっかりして…勝手に死んでしまうんじゃから…。ほんまに親不孝な子じゃ、この子は」と涙を流す。

 

健太郎「いやあ…親孝行だったぞ、エイスケ! 一緒になあ、こいつ…わしと酒を飲んでくれたんだ…なあエイスケ?」

 

その日の夕方、あぐり宛てにエイスケから大きな箱が届いた。明けてみるとあぐり美容院をかたどった大きなケーキで「あぐり りえ おたんじょうび おめでたう」とメッセージがついていた。それにしてもエイスケさんの字がかわいい。

 

エイスケの「あさっての君の誕生日にはすてきなプレゼントがあるからね」という言葉や「どこにも行かないよ。僕はず~っとあぐりのそばにいるよ。これからもず~っとね」を思い出し、ひとり泣き崩れるあぐり

 

エイスケの野辺の送りも済み、1週間がたちました。

 

祭壇を前に、子供たちには今は黙っておいた方がいいだろうということになるが、淳之介の病院を訪れた健太郎と光代は淳之介からあぐりの誕生日の前日にエイスケが来たことを聞かされ、あぐりもまた和子から白い洋服を着たエイスケが来たことを知らされた。

 

エイスケの戒名は”文章院誠證宗和信士”

 

燐太郎は自分が書いた小説とまっさらな原稿をエイスケのために持って来た。そこに現れたのはベレー帽のおしゃれな女性。祭壇の写真を見て呆然とし、「エイスケ…本当に死んだのね」と写真を見つめた。あぐりの事は知っているらしい。

 

緑川靖子と名乗り、1か月ほど外国にいて何も知らなかったとあぐりに話した。お悔やみを言って出ていこうとするので、あぐりがエイスケとはどういう関係か聞くと、「あぐりさん…。私のおなかの中には…エイスケの子供がいるの。あなたには関係のないことだけど一応言っておくわ」と言い残し、帰っていった。

 

緑川靖子役の中川安奈さんは、私の中では「あぐり」の前は1994年の日テレドラマ「出逢った頃の君でいて」というドラマが印象深かったです。陣内孝則さんと不倫するのりP、そして陣内さんの妻が中川安奈さんでした。すごく怖い奥さん役だった気がするし、のりP頑張れと思って見ていた気がする。その中川さんも早くにお亡くなりになってしまったんだね。

 

” 大変な結婚生活でしたけれど、それでもエイスケさんは、私にとって大きな存在でした。エイスケさんが亡くなりました時は、何日も食事がのどを通りませんでした。人一倍ピンピンして、やりたい放題のことをやっていた人が、あまりに突然逝っちゃったからでしょうねえ。

(中略)

 ところが、悲しみの涙も乾ききらないうちに、借金やら、女の人やら、いろいろな問題が出てきました。”

 

” 吉行は、当時ドイツから輸入されていた新薬ズルフォン剤の錠剤を袂にしのばせていて、「この薬を服んでいれば安全ですよ」といって、にやりと笑った。吉行は予防薬として、そのズルフォン剤を常用していたので、その乱暴な服用をたびたび警(い)ましめたがききいれなかった。吉行の急死の原因は、そのズルフォン剤の濫用からであった、といまもわたくしは思っている。いえば、昨今やかましい「薬害」である。”

 

楢崎勤さんという戦前「新潮」の編集者を20年つとめた人物で、「吉行エイスケ作品集」を出す時に文章を書いてくれたものを淳之介さんが引用したものだそうです。

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この作品の中に歯が痛くてズルフォン剤を三箱カラにしたという文章があるので、痛み止めのような感じ? エイスケさんも何の説明もなく薬を飲んでいたシーンがおとといだったかあったな。

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こちらによればズルフォン剤=サルファ剤となっています。

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感染症の薬?? あまりに急だったものだから後から考えたらこれが原因かも?とみんながみんな考えてのことだったのかもしれないけど、原因は一つじゃなさそう。

 

亡くなった昨日より、子供たちの前に現れる幽霊のエイスケさんが泣けた。